中世スペインに基層文化として古代ケルトが存在するという設定に基づいた架空の年代記を提案します。
『エルムスの年代記』(Crónica de Elmos)
序章:ケルトの影
物語は、古代ケルト文化が根強く残る山岳地帯「アウロマーニャ」(Aulomaña)に住む人々の神話と伝承から始まります。この地は、ケルトの神々や精霊が深く信仰され、聖なる石や森が多くの村で崇拝されています。ローマの侵略を受けた後も、この地のケルト人は強い抵抗を示し、ローマ化が不完全なまま終わりました。
第1巻:アウロマーニャの統一
ケルト系部族「アエリス族」(Aelir)を中心に、アウロマーニャを支配していた小規模な部族連合が、中世に入ると「エルムス王国」(Reino de Elmos)という一つの王国に統一されます。この統一を成し遂げたのは、「ケルタリクス」(Keltarix)という名の王で、彼はケルトの神々の加護を受けたとされ、強力な戦士であると同時に宗教的指導者でもありました。彼の治世は、周辺の異教徒の侵略を防ぎ、アウロマーニャの人々に繁栄をもたらしました。
第2巻:神聖王権とキリスト教の台頭
エルムス王国は次第に外部勢力、特にカトリック教会の影響を受け始めます。しかし、この過程は平和ではなく、ケルトのドルイドたちと新たに伝わってきたキリスト教の修道士たちとの間で激しい対立が生じます。この対立を描いた章では、「二重の信仰」の時代が続き、王たちはケルトの儀式とキリスト教の儀式の両方を行い、バランスを保とうとします。
特に「ドルイドの反乱」(Revuelta de los Druidas)と呼ばれる事件では、キリスト教の影響に反発したドルイドたちが、ケルトの古い神殿を守るために武装蜂起し、修道院を襲撃する様子が記録されています。この反乱は「エリサ王妃」(Reina Erisa)の治世中に鎮圧されましたが、彼女自身もケルトの神々を信仰し続け、王権の正当性を神秘的な力に結びつけました。
第3巻:北の脅威と黄金の時代
エルムス王国が最も繁栄した時期は、「黄金の時代」と呼ばれ、ここではアウロマーニャの文化と、外部からの技術や学問が融合しました。この時代、北からのノルマン人(北方の海賊)がアウロマーニャの沿岸を襲撃し、王国を危機に陥れますが、「タラモンド王」(Rey Talamond)という勇猛な王がこれに立ち向かい、ノルマン人を打ち破ります。
この勝利は、アウロマーニャのケルト的な武勇と、キリスト教の団結が一体となった象徴的な出来事とされました。ノルマン人との戦いで使用された戦術や装備には、古代ケルトの戦車や盾に似たものが再現されていたと言われています。
第4巻:堕落と王国の衰退
エルムス王国は次第に内部の腐敗と権力闘争により弱体化します。特に王家と貴族階級の間の対立が激化し、かつてのケルトの信仰や団結の精神は徐々に忘れ去られていきます。「ケルタリクス家」の血筋が断絶しかける中、王位継承を巡る争いが絶えず、王国は分裂の危機に陥ります。
この時期、キリスト教の教会勢力はさらに強力になり、かつてのドルイド信仰の痕跡は弾圧されていきます。ケルトの聖地や祭壇は次々と破壊され、その上に教会が建てられました。しかし、いくつかの地域では、古代ケルトの儀式が秘密裏に行われ続けたと伝えられています。
第5巻:再生と終焉
エルムス王国が終焉を迎える直前、「アウリス王」(Rey Aulir)が最後の努力として王国を再統一し、かつての栄光を取り戻そうと試みます。彼はケルト文化の復興を目指し、ケルトの伝統を尊重する政策を打ち出しましたが、カトリック教会との対立を深め、最終的には教皇による破門を受け、国外勢力の侵攻を許してしまいます。
エルムス王国はその後、周辺の強大な王国によって併合され、独立を失いますが、アウロマーニャの人々はケルトの精神を守り続け、地下に潜った文化は後世に語り継がれることとなりました。
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この年代記は、ケルト文化と中世の政治、宗教的な対立が織り交ぜられた物語として、エルムス王国の興隆と衰退を描いています。特にケルト文化の影響が残る地域の伝承や儀式が、物語の重要な軸となり、王国の歴史に深い意味を持たせています。