人違い(される側)が行く黄金樹への道   作:Another2

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力技の極みがあるぞ


【永遠の夜空】

【地下を目指せ】

 

 ラティナを仲間に加えて一段落つけて、我々はブライヴが待つというリムグレイブの霧の森に存在する井戸に向かっている、どうやらラニ達は都の位置の大凡を割り出していたらしいのだがそこに至る道を探しているらしいのだがどうも成果が振るわないらしい、というのを本人から聞いた。

 そんなわけで久しぶりにリムグレイブに舞い戻りそのまま霧の森へ向かった、相変わらず霧が濃い事この上無いが件の井戸は小黄金樹の近くにあるらしいのでそれを目印に地を駆け目的の井戸…井戸?に到着した、どうみても建造物である。

 中に入れば水を汲む物はなく円盤状の昇降機が一つあるのみ、それに乗ればなんの問題なく動き地下へと動き始めた、井戸とは。

 

【永遠の夜空】

 

 地下に降り真っ先に目に入ったのは夜空を思わせるような満天の星々、天井となる岩盤が目に入っているので正確には夜“空”では無いのだが、それでもこの光景には目を奪われる、レアルカリアの星空にも劣らぬ美しい光景だ。

 仮にこの空が人為的に作られた物ならば神業という他あるまい、それが否となれば、これこそが神秘というべきなのだろう。

 更には眼下にはかなり巨大な建造物、おそらくあれが永遠の都とやらか…?ここから向こうまで飛び移るのは容易いが…下手に足を踏み外せばどこまで落ちるかも分からん、先にブライヴとの合流を成すとしよう。

とにかく目を奪われんばかりの光景を尻目にひたすらに奥へ奥へ、今はブライヴとの合流を急がねば。

 

 結構奥の方まで進んだ所の崖の近くにブライヴは立っていた、どうやら目的のノクローンは我等の上に見えているのだがそこに至る道がないのだと、近くの転送門も全て試したらしいが全て外れだったらしい、ふむ…我に秘策あり。

 


 

「お前さん、今の重さはどの程度だ?お前の肉体と装備込みで結構あると思うが」

 

 

「む…まぁそれなりにあると思うが…何を考えている?」

 

 

「あの陰気な男に頼るのは癪なのだろう?俺に良い考えがある」

 

 

 黄金の褪せ人が発する良い考え、その言葉に文句を言いたくなったのはメリナだ、だって絶対碌な事じゃない。

 

 

『待って、もう少し考え直して頂戴、別の方法があるはず』

 

 

『メリナ、何を訴えているんだ、彼が妙案を思い浮かべたのだろう?ならばそれに従えば良いじゃないか』

 

 

 裏方で霊体の女二人がてんやわんやと言い合っているが黄金は敢えてそれを無視する、どこまでも効率なのだ。

 

 

「取り敢えずちょっとでも距離を稼ぐ為上層に上がるか、なぁに、死にはせんさ」

 

 

「ふむ…聞かせろ黄金の、一体何をするつもりだ」

 

 

「あ?目的の都は俺らの上にある、だがそこに至る道はない、だったら跳んで入るしかあるまいよ」

 

 

「…なに?」

 

 

「だからな?俺がお前を担いでジャンプして上の都に突入するんだよ、俺の身体能力なら行けるさ」

 

 

「…そうか、その手があったか!ククッ慣れない事はする物じゃないな、我が牙と剣で道を開く、頭を働かせても道がないなら我が肉体を使えば良かったのだ、よもや俺とした事が壁をよじ登るという選択肢を考慮していなかったとは!」

 

 

「そういう事だ、これが一番早い」

 

 

『…彼等は本気で言っているのか?』

 

 

『観念しなさいラティナ、彼の旅に同行するという事はこういう事よ』

 

 

『…心労察するに余りあるよ』

 


 

【得体の知れない奴】

 

 さてと、難なくノクローンに入れた事だし秘宝とやらの探索に赴くとするか、何やらメリナがラティナを慰めているのが気になるがまあ良いだろう。

 着地した近くに居た霊体がモーグウィン王朝がどうのとか言っていたが遥か向こうに見えるアレがそうなのだろうか、確かめるにも距離があり過ぎる故に届かんし、そもそも今の目的地ではない、後回しだな。

 上層部には先程は霊体だった奴等が肉体を持って闊歩している、どうやら彼奴等は祖霊の民と言うらしく黄金樹とは距離を取った種族らしい。

 

 道から外れ崖の方へ、そうすると昇降機から見えた遺跡の様な建造物が見えるので飛び移って行く事となる、道中銀色の軟体生物がちらほら居たがそういう生き物なのだろう。

 

 

銀の雫は生命を模倣する

模倣はやがて再誕となり

いつか、王になるのだ

 

 一行の前に佇む四体の銀の雫が居た、そいつらは生命を模倣する、しかしその意思までは模倣出来ない限りなく完全に近しい不完全な物、さりとて甘く見ない事だ、銀の雫の模倣は、器だけとは言え完全に成すのだから。

 

 

「……」

 

 

 ()()は睨み合っていた、片や無機質な物で、片や一瞬の驚愕はあれどすぐさま過去最大の警戒態勢に、当然だろう、何せ目の前には()()()()姿()()()()()()()がいるのだから。

 

 

「…ブライヴ、奥の三体は任せて良いか、片手間に戦える相手じゃなさそうだ」

 

 

「…ああ、その方が良いだろうな、俺としても、今アレとは戦いたくはない」

 

 ドッペルゲンガーと呼ばれる現象がある、それは魂や精神状態の不安定、単に自分と似た生命がいるだけというだけの話ではあるのだが、有名な逸話にこんな物がある。

 

ドッペルゲンガーを見た者は死に至る

 

 果たしてその逸話は真の物なのかどうかは定かではない、されどもしその逸話が真実なのであれば、提唱した者はあの手の生物に殺されたのであろう。

 

 

「皮肉な物だな、ゴッドウィンとか言う奴と同じ姿をした人間の…更に同じ姿を取るってのは、まぁ俺自身は俺が偽物と思った事は一度も無いが」

 

 

 言い終わるより先に相手の黄金が右拳による殴打を繰り出し──目にも止まらぬ速さで繰り出されたそれは──、同じく目にも止まらぬ速さで持って受け止められていた。

 

 

「おいおい、“待て”が出来ないタイプかお前は…全く躾がなってねえなぁ…」

 

 

「奇遇な事に…」

 

 

()()()()()

 

 

 黄金の褪せ人は左手で受け止めた拳を逸らし右の拳で相手の黄金の腹部に叩き込む、しかしそれは奇しくも同じ様に相手の左手でもって受け止められた。

 

 

──力は同等…反射神経も鈍くねえ、完全に俺を模倣したと見て良いな、となると俺が出来る事は相手にも出来るだろう、だって俺だし。

 

──全く、最初は単なるお使いで気乗りしない仕事だったが…

 

 

「案外悪くねえ仕事じゃねえか‼︎」

 

 

 瞬間黄金の褪せ人は相手の胴を蹴り飛ばし両車間に距離が空く。

 

 

「気合い入れてけよ‼︎生前葬だ‼︎」

 

 

 今度は黄金の褪せ人が仕掛ける、黄金の褪せ人は下から相手の腹部へ打ち上げる様に拳を撃ち込みそのまま相手を空へと打ち上げた、無論その攻撃自体は防がれているのだが、遥か高くに打ち上げられた写し身の黄金は一瞬とはいえ黄金の褪せ人を見失った、そう認識した次の瞬間には黄金は既に真横に飛来しており──痛烈な蹴りを見舞い写し身の黄金を上層部の大地まで身を運ぶ事になった。

 

 

「流石に俺を真似るだけはあるか、アレを喰らって尚けろっとしてやがる」

 

 

 相手の頑丈さを確認し地面に着地した瞬間に写し身の黄金は仕掛ける、再度の拳による攻撃、無論黄金の褪せ人は防御を取るが先程と違うのは当たる直前で写し身の黄金は手を開き黄金の褪せ人の肉体を掴み取る、そして黄金の褪せ人を力尽くでぶん回し地面に叩き付け、追い討ちに力一杯踏み付けを行った。

 

 

「良いんじゃねえ?」

 

──掴まれた片手分防御が甘かったな、左手はまだ動く…が、損傷が浅いわけじゃねえ、この戦いでこれ以上無茶効かすのは悪手だが…

()()()()()()()()()

 左に結構な損傷を負った訳だが…だからこそ左でも攻める。

 

 

「全て問題なし、続行だ」

 

 

 ここで一つだけ補足をしておこう、写し身の雫は相手の姿形をそっくりそのまま模倣し肉体の性能そのままに動く事が出来る、しかしそれはガワだけ、中身までは伴って居ない、つまり写し身の黄金には意思はなく設計された機能の通りのまま最適解の動きを繰り出しているだけに過ぎない、その事を黄金の褪せ人は一切認知していない。

 

 両者再度構えを取り距離を詰める、互いの指先が触れる近さまで詰まった瞬間写し身の黄金の拳を突き出す──しかしその拳は空を切り、視界から黄金の褪せ人の姿が消える。

 “膝抜き”、遠い葦の地にて伝わる武術体系において予備動作を消す技術、加えて黄金の褪せ人は膝のみならず股関節、肩と抜いていき倒れるより滑らかに写し身の黄金の足元に移動、姿勢は低く力の流れを殺さず巡らせ繰り出される、曰く──卍蹴り。

 強烈無比な蹴りが写し身の黄金の顔に直撃する、言うまでも無いが脚の力は腕の倍以上の力がある、黄金の褪せ人の筋力ならば尚更だろう、そんな男の渾身の蹴りを顔に喰らおう物なら比喩表現無しに首が飛ぶ…筈だった。

 

 

──マジか‼︎首から上をすっ飛ばすつもりで蹴ったんだが…まだ繋がってやがる‼︎

 

 

 蹴りの衝撃で崩れた姿勢に間髪入れずに腹部に蹴りを捩じ込む事で更なるダメージを与え写し身の黄金を蹴り飛ばす、最早致命傷は免れない、生物であるならば。

 幾度となく直撃を与えて尚立ち上がりその姿を見て流石の黄金の褪せ人の胸中に違和感が走る。

 

 

──いやいや、流石に妙じゃねえか?コイツの姿形は間違いなく俺だ、それは間違いねえ、だが仮にも“俺”がこうも簡単に攻撃を喰らうか?

 さっきの蹴りにせよ俺の反射神経なら回避は間に合うだろうし間に合わないにせよ蹴りの方向に合わせて身体を捻るなりして威力を殺してる筈だ。

 なのに顔面にモロだぞ?脳が揺れてる気配はねえし腹部にめり込ませた蹴りによる吐血の無い…まず間違いなく内臓がイカれてる筈なんだが…

 そもそもだ、“俺が俺と戦う”のに向こうは一切高揚してる気配がない、ずっと無機質なままだ、まるで()()()()()()()()()()

 

 

「あぁ、そういう事ね…」

 

 

 ここで黄金の褪せ人の中で全ての辻褄が合う、同時に昂っていた戦意がみるみる内に萎んでいく、相手の正体の全容を理解したが故に。

 

 

「興醒めも甚だしいな、まさか俺が人形遊びに興じる事になるとは…」

 

 

 冷めていく黄金の褪せ人を尻目に尚も攻撃を仕掛けてくる写し身の黄金、しかし種と仕掛けが分かった今最早彼の機械的な動き等生物的な動きを行う彼に当たる筈もなく、捌かれては手痛い反撃を貰うという一方的な物となった。

 

 

「どうした人形、機能不全になったか?もうこれ以上の手は無いのか?無いなら殺す…はちょっと違うな、生きてねえし、ぶっ壊すってのが正しいか」

 

 

 写し身の雫には“知性”がある、より正確に言うなれば高度な演算能力を有している、その演算を持って現状の解を得る。

 

 

──相手の身体能力の模倣…完、対象の性格…極めて好戦的、現状勝率…0%、機体駆動のアップデート…完、身体変形機能…解除。

 

 

 黄金の褪せ人が仕掛ける、トドメの抜き手を持って胴体を貫通させる、その思惑は、写し身の黄金の肉体から生えた銀の棘を持って静止された。

 写し身の雫の強み、それは絶え間ない演算による度重なる成長、そしてそれから成る極めて効率的な動き、更には今現在は人型の姿を取っているが本来の姿は不定形、様々な形に変形できる変幻自在な身体、つまり人間の姿形をしていても彼等には生物に存在する“骨格と関節”という物が存在しない。

 それが何を意味するのか、極めて高い身体能力を有する黄金の褪せ人の肉体が、“骨格の可動域”という拘束具から解き放たれ、一切の遊びが無く効率的に敵を殲滅に掛かる、という事。

 その事実を、今の一瞬の攻防で黄金の褪せ人は理解させられた、理解させられて尚彼は、笑みを取り戻し、萎んでいた闘志が再燃焼を起こした‼︎

 

 

「先刻の言葉を訂正しよう、お前は“人形”ではない、この世で最も戦闘に適した“兵器”だ‼︎」

 

 

 思いがけない好敵手との戦闘、これまでの数多の生物を凌駕する肉体性能を誇る相手、今や両者には相手を確実に殺すという確固たる意思しか残されていない‼︎

 理由は単純、何方がより強いか‼︎最早それのみ‼︎




妙だな…なんで写し身の雫がこんなに強くなっている…?

・黄金野郎
 黄金的近道をでダイナミックエントリーを決め込んだ馬鹿、写し身に対しては上げて落ちて最後ブチ上がった。

・霊体シスターズ(姉妹では無い)
 黄金逆バンジーの被害者、真面目に可哀想。

・ブライヴ
 黄金的近道肯定派、仕事は早く終わるしセルブスにも頼らなくて済むし割とご機嫌。
 対面の雫は普通の人間型二体とトロル型が一体、結構しんどいけどまぁ黄金野郎の対面相手より遥かにマシ。

・写し身の雫(黄金野郎)
 馬鹿近道の所為でボス部屋から出張させられた個体、ゴッドウィンと同じ姿をしている黄金野郎の模倣とかいう最早何ウィンか分からん奴、因みにその変身は全デミゴッドの核地雷です。
 性能的にはケイネス先生の月霊髄液+ターミネーター2のT-1000なので単純スペックなら真面目に最強。
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