レダ達との近況報告を終えた後彼女等にこの後どうするのか尋ねたがもう暫くこの辺りを散策するらしい、一行の目的地はローデイルの更に奥、つまりは巨人山嶺な訳だが今のままでは厳しいと踏んだらしい。
曰く、通ずる道が封印されているとかなんとか、まぁまず間違いなく封印を施した主はモーゴットだろうな、ラニも自分の発言に同意しついでに奴はデミゴッドの中でも生粋の生真面目である事も教えてくれた、知ってる。
なのでまぁ、さりげなくモーゴットは自分の標的である事と自分の所為で鍛えまくってると思うという旨を伝えておくことにする、物凄く渋い顔された。
で、これから我等はどうするのかと問われたのでデミゴッドが一人、ライカードに会いに行く為に火山に行くと伝えた所同行者が増えた、何故。
特に、戦士として一皮剥けたネフェリと剣士として高みを目指しているミリセントが名乗りを上げまるでやはり火山か、いつ出立するとばかりに同行を申し付けてきた、一応己等の一行の長はレダである筈なのにな、レダはこうなった二人は意地でも動かんらしいから仕方なく…と言った感じで着いてくることになった、その、なんだ…お疲れさん。
旅を再開する前に、今の三人の実力の程を確かめておきたい、一目見た感じでは三人の総合実力値は横並びと言った所か、実戦値の差でレダがやや先んじていると言った所、しかしそれを差し引いてもネフェリとミリセントの戦闘者としての才覚は凄まじい物を感じる、この二人…大成したならばよもやすると自分より強くなるやもしれん。
しかし今はまだ心身共に未熟、三人がかりで且つ、此方は素手での相手で丁度五分といった辺りか。
レダはどうか知らんが少なくともミリセントとネフェリは戦闘を生業としている、自分の態度に舐められていると感じたのか少々怒りの雰囲気を感じる。
残念だが自分はこの三人を“舐める”という段階にすら置いていない、
そんなもので二人して突貫してきたが、*1まずネフェリの斧の持ち手を掴み攻撃を制する、そしてそのままミリセントに放り投げてやればミリセント共々地面に転がされる。
一瞬何をされたのか解っていない二人に軽く説明してやった。
・其方が距離を詰めると同時に此方も詰めた、従って間合いは無い。
・高々素手と侮った虚を突いた、武器を持っていないということは両の手が自由に使えるのと同義という事。
・そもそも二人は気配が強過ぎる、あの歩法を使って距離を詰めれたのは褒めれた点だがそれはある程度の実践経験者なら難無く対処出来る事。
・そして二人して同方向から来る利点がない、左右別れて向かっていればまだ過程は異なっていた事。
それでも最初の踏み込みに迷いが無かったのは賞賛に値するし戦闘に於いて強い奴は最初の踏み込みに迷いが無い、確固たる意思を持って攻めてくるので存外に侮れない。
以上の点を踏まえて再度手合わせ、今度はレダも加わるらしい。
ネフェリが力強く果敢に攻め、ミリセントが速度を活かして縦横無尽に駆けて詰める、そしてレダは柔軟に二人の援護、時折嫌らしく攻めてくる辺りは流石の経験値と言った所。
ミリセントもネフェリも素質は悪く無いのだがどうも愚直というか、余りにも攻めが素直過ぎる、嫌いではない、寧ろこの正々堂々たる攻め方は好みですらある、しかしそれでは対人では通じない。
自分やラダーンなら応じるだろうが生憎全ての人間がそうでは無い、寧ろ実戦とは如何に相手の嫌がる事をして自身の強みを押し付けるかの駆け引きといえる、事実レナラやラニも自分との接近戦は避けて遠距離から強力な魔術を押し付けて来た、あの手の戦術は実に単純だがそれ故に強力で且つ対処する側としても非常に面倒だ。
その旨を淡々と説明してやるとどうも納得がいかんらしい、どうもこの二人、卑怯な手や策を弄せずに正々堂々と真正面から突破するのが決着に相応しいと思っているらしい、誰かの影響でも受けたか。
話を戻して、要するにだ、戦闘に於いて卑怯や小細工は何も問題ないという事だ致命傷を負ってようが毒に侵されようがそれは此方の都合であり相手方には何の関係もない、どの様な時であれ場所であれ敵は来る、そしてその敵が不意打ちを仕掛けようが毒を仕掛けようがそれは相手の非ではなく対応出来なかった側の不手際。
寧ろ不意打ちを成功させた側を褒め称えるべきである、何故ならばそれを成功させるに辺りどれほどの技を磨いたのか、試行錯誤を重ねたのか、それを知らずにあろう事か卑怯者と断じる者こそが恥知らずという物だ。
技とは、小細工とは、狡い物だ、即ちそれこそが武器であり強者に向けられたる刃だ、狡く非情で徹底された技は、武器は、言い換えるならばそれは良い物なのだ、好みの範疇こそあれど批判する謂れはない、そも回避等で対処すれば良いだけの話だしな。
そこまで説明してやると二人は納得こそすれど何処か渋い表情をしていた、まぁなんだ、使う使わないは自由だがそういう小細工に対しての対応力を上げておいて損はないというだけの話だ、それこそ自分とて必要ならば小細工を弄するやもしれんしな。
ライカードが住まう場所、火山館とやらはあの火山の何処かにある屋敷であるらしい、その為にはまず火山を登らねばならず現在我々は登山活動中である。
火山というから余程の高温を予想したが近くの川の影響で単純な暑さより蒸し暑さが勝る、道中ラニがゲルミアには輝石魔術とは別の神秘が存在しそれを発掘し魔術として復興させたのが他ならぬライカードであるとか、紛れもなくカーリアの血筋にして完成された魔術師というわけだ、近頃の評判は良くない様だが。
「当時の
曰く、地底より遥か底、地脈の奥深くにこそ眠れる神秘があるとな、当時は誰もが一蹴する理論ではあったのだがただ二人…母レナラと伯母レラーナのみがそれを真摯に受け止めていた」
そして、その理論を完成させたという訳か。
「そうだ、しかもあろう事か自ら見出した
そこまで行けば最早誰もライカードを異端の目で見る事はない、あの母ですら手放しで褒めていた程だ。
正直言って私は、ライカードに…我が兄に身を焦がす程の嫉妬を覚えた、同時に我が身の未熟を悔やみ…そしてそれ以上に兄ライカードをラダーン共々誇りに思った。
既に知っているだろうが新たな魔術に名を付けれる魔術師は少数だが、新たな魔術基盤を構築した魔術師は更に少ない、私やラダーンですら既存の魔術基盤を使っているのだからな」
ラニの話に耳を傾けながら歩くと亜人が支配する廃村があったのでレダ達が軽く散らしていると奥の方に輝石と一体化…というか最早体の組成が輝石になりつつある御仁を発見した。
どうやらこの者は源流魔術師が一人、アズールと言うらしく頭が輝石になっているのはアズールが得た神秘による啓蒙であるらしく輝石魔術を収める魔術師は最終的にこの形に落ち着くのだとか、なのでレナラが輝石魔術の源流を探求するのを禁じて今のレアルカリアがあるのだと。
現在アズールは殆ど無機物と化しているので生物としては事実上死んでいる…らしいのだが、どう見ても此方を見ているよなあの御仁、手招きしてるし。
「おぉ…星を、暗黒の星を下した者よ、汝は何処まで進むのか…」*2
今にも消え入りそうな声で何か言っている。
「我等星によって人となり、人を超え、また人を失う…知らぬ者よ、かねて星を恐れたまえ」*3
それだけを言い残すとアズールは糸が切れたかの様に動かなくなった、死んでしまったのだろうか。
先の発言をどうやらラニ達は聞き取れていなかったらしく言われた事を復唱した、まぁ声も小さかった事だしな…聞き取れた事を伝えたらラニが物凄く神妙な顔をしていた。
後アズールから自身が見出した魔術を授かった、試しに使ってみたが溜めが長すぎるし魔力が保つ限り照射出来るのは良いが結構踏ん張らないと推進力で吹っ飛びかねん、戦闘では使えんな。*4
アズールが居た場所から道なり進むといつぞやの赤狼が闊歩しているのを見つけた、レアルカリアのとは違い完全な野生個体だ。
以前は自らの足でこの地を巡ると決めたが…ふむ、猟犬代わりに手懐けてみるのも良いだろう、高い知力はある事だしな。
件の狼は此方を認識するや些か足を鈍らせた、野生の世界は厳しい、彼我の戦力差を見極める力が無ければ待つのは餌と化す末路のみ。
しかし奴にも矜持があったのだろう、自らを奮い立たせるのも兼ねて遠吠えを一度入れ自身に喝を入れ直し此方に襲い掛かり牙を向けて来た、その口に拳を合わせて咥えせてやると彼方の表情から噛み切れない事に疑問を抱いている様子。
その合間にもう片方の手で頭を軽く撫でてやった、それで繊維喪失したのか口を開き、頭を垂れて服従の誓いを示して来た、良い子だ。
斯くして何事も無く赤狼を従えたので早速跨ってみる事に…おぉ、結構視野が高くなるな。
軽く走らせてみると結構速い、軽快な足回りで揺れも少ない存外乗り心地が良いな、気に入った、あっという間に山頂付近だ。
──しまった、奴等を置いてけぼりにしてしまった。
「…置いて行かれてしまったな」
「まぁ私達の足で赤狼の機動力に追いつくのは至難だし、それは仕方ないが」
一方此方は黄金馬鹿が置き去りにした側の方、既に姿が見えなくなった一団の頭目を追いかける形で歩を進めている。
黄金との旅が初であるレダ達は突然置き去りをかまされ流石に面食らったが、流石に長い付き合いでもあるメリナは冷静そのものだ、正確に言うならばラニも同行するのは初めてなのだが以前までのやらかし*5がある為にある程度平静を保てている。
「取り敢えず追うぞ、あの馬鹿は愚直に天辺を目指すだろう、そこまで行けば火山館はいやでも目に入る」
そして道中進む中目に付くのは積み重ねられた死体の数々、この地で生きている者ならば死体など見慣れているがそれでもやはり気分が優れるものでは無い、ましてやレダ・ミリセント・メリナの三人はケイリッドに於いて腐敗の眷属達と血で血を洗う様な死戦を経験している。
そんな中に一つ、異様な死体があった、地に沈んでいるのではなく崖の壁面にめり込んでいる多足多腕の異形、見る者によっては蜘蛛を幻視させるそれは接ぎ木の貴公子と呼ばれる存在だ。
「…腹部が大きくめり込んでる、傷跡から見てまだ新しい、誰があれをやったのかこれ以上に分かりやすい実例もそう無いわね」
「あれも決して弱くないのだがな…流石に相手が悪過ぎる」
少しすると山の頂上から激しい激突音が響き渡る、硬く重厚なもの同士がぶつかり合う音だ、これによりメリナ達は黄金の現在位置を把握、すぐさま向かうことになった。
幾つかの縄梯子を登り、橋を越えてそれぞれ一人ずつが逸れ狼の霊体に乗り霊気流で飛ぶ事でなんとか頂上に到着した、尚黄金を追いかける際に狼に乗れば良かったのでは無いかと指摘されたがメリナは全力で視線を逸らした。
頂上に着き彼女達が目撃したのは座り込み欠伸をしている赤狼と黒い岩塊の様な牛…に見える生き物と力比べをしている黄金の姿であった。
「あれは…降る星の獣、その成体か」
その正体を即座に看破したのは知識豊富なラニである。
「降る星の…言われてみれば何処か地下のアレの面影があるわね」
メリナの言う地下のアレとはアステールの事、メリナと黄金はアステールの種族名までは頭に入れてないのだ。
「君が言う地下のアレというと隕石やら強力な重力を駆使したという、例の奴か」
「アステールな、まぁアレは目の前のソレが最後まで成長しきった際に変体する事であの姿になる、つまり降る星の成獣と名を冠してこそいるがその実態は成虫足るアステールに至る蛹の前段階…謂わば幼虫と言っても差し支え無い姿なのだ。
あの姿になり数百…数千という気が遠くなる長い年月を星の地脈を吸い取り脱皮を繰り返す事で漸く奴等は羽化する、余りにも長過ぎる幼年期という訳だ」
その降る星の成獣の全力の突進を黄金は両手で角であり牙でもあるその部位を掴み取り受け止め推進力を殺しそのまま持ち上げ地面に叩きつける。
「悪いが連れが来た、それなりに楽しめたが締めにさせてもらうぜ」
そういうと黄金は右手に魔力を集中させそのまま右拳を成獣の腹部に堅牢な装甲を貫通させ炸裂させる、そのまま引き抜くと体内に埋め込んだ魔力球が重力魔術の一つ引力の力を発生させその反応にて成獣を圧殺してしまった。
「うーん…強いには強かったんだが…どうも物足りんね、アレと比べると」
星外の存在を、しかも重力の力を扱う以上ある程度の耐性がある降る星の成獣を重力の力で圧殺するという埒外の事をしでかしておいてこの発言である。
「まぁ流石に完全体と比べては…な、それで?闘った感想は?」
「
「貴方が置いて行ったからね」
「流石に悪かったと思ってる」
追いついて来たメリナ達と共に今度こそ火山館へと向かう、と言ってももう目の前に見えているのだが、入り口に狂い火を患った小巨人を輝石のアークで軽く両断してやると中の入り口が開く、中から仮面をつけローブを羽織った女が現れる、名をタニスというらしくライカードの側妃なのだという。
ラニがタニスが出迎えた事を大変驚いていた、本来なら出迎え等寄越さないのがこの火山館という在り方らしいのだがタニスが更に告げる。
「どうぞ中へ…王がお待ちです、全ての謎は直接ご覧になったほうが早いかと」
ふむ、話が早い、では遠慮なく入らせて貰おう。
中に入った途端に分かった、我が身を包む圧力、廊下を進む一歩毎に突き刺されていると錯覚する様な鋭い気配、こんな気配を出せる奴がそうそういる筈もない、間違いなくデミゴッドの類だ。
廊下を抜け広間に出たら、ソイツは居た。
黄金と赤の混じった剣を携えて、重厚な鎧に身を包み、溶岩の様に熱く、されど蛇の様に何かを企んでいる事をまるで隠そうともしない目線、そしてソレら全てを全身で表している、いうならば《王者の風格》とも取れるそれを惜しげも無く発しているその存在。
流石にこれだけ列挙させられたら説明されるまでもない、コイツがライカードだ。
「…よく来たな、立ち話もなんだ、席に着くと
祝:黄金旅団結成‼︎
・頭目の黄金野郎ことグラム
三人の現在の実力を測る為軽く手解きを施した、長々と地の文でも言ってる様に基本卑怯外法なんでも来いな性質、対応できない側が未熟理論。
この度赤狼を手懐けた、多分居場所的にライカードのだと思うけどそんな事は気にしない、ライカードは蛇派だ、多分。
・旅団の苦労人ことメリナさん
一度決めた事は絶対変えない黄金の気質を誰よりも理解してる、そして基本経路は身体能力に物言わせたTAS挙動なのも理解してる()
なので黄金奇行には一番耐性がある、が故に追いかける際に狼の霊体を召喚し損ねるという痛恨のミス、彼女も毒されて来ているのかも知れない、多分それ指摘したら本気で怒る。
・家族大好きラニ様(小)
ライカードが新たな魔術を復興させてレナラに褒められたと聞いて氷属性のくせして嫉妬の炎に焼かれそうになった人、その直後流石は我が兄と思う事にした、心が二つある。
移動中はメリナの服の中かフードの中に居る。
ラニは間違いなく犬派、ラダーンは猫…というよりは獅子派だと思う。
・新人の三人の戦乙女達
地力は高いがまだまだ実践経験不足のミリセントとネフェリ、それを補う様に経験達者なレダがサポートする感じ
黄金野郎が調子乗って馬鹿先行かましたので黄金の洗礼を受ける事はなかった、よかったね。
・源流の魔術師アズール
黄金を見てアステールを殺した事を察知、自らの魔術を授け例の警句を提唱した後動かなくなった、死んだわけではなく更なる高次元的思考へと身を投じただけ、多分相方も同じ事をやる。
・ライカード
なんか服(蛇)脱いで居間に居る、威厳たっぷり。
弊作に置いてゴドリックに次いで盛られる奴じゃなかろうか。
地底人ではない()
以下被害者達
・溶岩土竜:通りすがりに興味を持たれた黄金にピクルに潰されたシベリアトラ宜しく捻られた、可哀想。
・亜人の女王マギ:戦乙女達が軽く捻った。
・接ぎ木の貴公子:ベジータ宜しく岩盤された、所詮クズはクズなのだ。
・降る星の成獣:メリナ達が追いつくまで黄金の力比べをさせられた可哀想な奴、最期は腹部に重力魔術の一環である引力を腹内部に叩き込まれて重力の力を扱う物が重力の力で圧殺されるというこれ以上ない屈辱を持って死んだ。