この小説ではデミゴッドの事を基本半神と書いてるんだが予測変換の一発目に阪神が来るの本当にやめて欲しい、阪神何も関係ないのに。
このままだとデミゴッド達がタイガースになってしまう。
湖をざぶざぶと駆け抜けて暫く、ちょっとした街のような場所に到着した、尤も既に廃墟と化して久しい形相だが。
街から伸びる坂道を登った先に件の城がある、道中の邪魔者共を蹴散らしながらえっほえっほと坂道と階段を駆け上がり城門の前に到着した。
ではいざお邪魔しますと門を開けようとしたのだが何やら結界が張られている模様、これがトープス氏が言っていた代物か、そっと手を伸ばし触れてみれば途轍もない斥力で弾かれる感覚に襲われる、まあ身体は飛ばなかったが。
しかし成程、確かにこの結界は力尽くで破壊は不可能だろう、今現在の自分の力では、という注釈を加えさせてもらうが、なんか悔しいし。
仕方がないので鍵を探す事にする、どうやら門の近くに放置させられている遺体が握り締めていた書状によれば近くで何やら待ち合わせをしていた模様、目と鼻の先なのだから行ってみる他あるまい。
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魔術学院レアルカリアの麓の湖の一角にはとある飛竜が縄張りを張っている、その竜の名はスマラグ、スマラグは魔術師喰らいとして魔術師から恐れられている。
スマラグが他の飛竜と異なるのは飛竜にしては少々知恵が働くという事、魔術師を喰らい続ける内に彼等が扱う輝石に侵食され確かな知性を獲得したスマラグは竜にしては少々人間味が深いのだ。
それが幸運だったのかもしれない、魔術師とは基本的に狭間の地に於いて肉体強度的には弱者に分類される、それゆえに強力な魔術を行使するのだが、問題は弱者故の臆病さを飛竜スマラグが会得してしまったという事、そしてそれはスマラグにとってこれ以上ない程幸運に動いた。
圧倒的な強者の気配、数ある飛竜の中でも有数の力を誇る(と彼は認識している)己自身がまるで生まれたての矮小な蜥蜴でしかないと認識させられるような、圧倒的な暴の化身、そんな気配がすぐそこまで来ている、そこまで知れた彼の行動は早い、それ即ち、“逃亡”である。
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ううむ、濃密な気配はしたのだがよもやもぬけの殻とはな、いや確かに強者の気配はしたのだが…鈍ったか?
とにかく岩に囲まれた遺体が握りしめていたのは確かに輝石鍵だ、こいつを用いて学院の中にお邪魔致そう、カーリアの女王とやらが何処にいるか不明だが大方偉い人間とは最奥か天辺、或いは最地下にいるものだ、であれば自ずと向かう所も知れるというもの、さてさて、楽しませてくれたまえよ。
昇降機を登り学院に入ると出迎えたのは雨と星、雨が降っているのに星が近くに見えるという矛盾、どうやらこれも魔術によるものらしい、なんとも目が奪われる景色ではないか、これがまさか人の手で作られた物とは俄かに信じられん。
道なりに進みそれなりに過ぎた、道すがらの変な物を被った魔術師脅…基丁重なお話の上でレナラの居場所を聞き出し何の苦難もなく学院内を闊歩し少々ひらけた部屋に出た、中にはかなりの体躯を誇る赤い狼が一匹、確かな敵意の意思と殺意の目を持ってこちらを見据えていた。
ふむ…良い獣だ、これなら跨って移動にも扱えるだろうな、兼ねてより英雄の側には優秀な猟犬がいる物だ、機会があれば一匹手懐けてみるのも一興か。*1
む、何か妙な文言を授かった気がする、よもやこれが啓示という奴か、戦闘の最中に送って来るとは、これだから神とやらは信用ならんのだ。
とにかく、目の前の狼は巨体の割に良く動き素晴らしい機動力を持つ、それに定期的に放たれる剣の魔術も追尾性が高くて良い、そして何より獣特有の鋭い爪と牙、これを忘れてはならない、引っ掻き、噛みつき、肉体を活かした突撃、蹴り上げ、そして高い危機察知能力からくる回避能力、其れ等の行動の折に極自然に組み込まれる“魔術”という攻撃法…よく躾がされている、成程確かに優秀な飼い主を持った物だ、この領域まで来るともはや生物ではなく芸術的作品とさえ言える、見事な物だ。
だが見栄えだけではなく実戦的な対応も可能で今も尚自分をこの先に行かせまいと立ち塞がっている、全く番犬にはもってこいだな。
まぁ…自分の前に立ち塞がるならば葬るのみだが。
ここ最近の彼はえらく上機嫌だ、というのも破片の君主にしてデミゴッドの1人、戦士となったゴドリックとの戦いは憂鬱染みていた彼にとってかけがえのない戦闘だったのだろう、ゴドリックが所持していた大ルーンは彼に取り込まれ彼の一部となった、それがいい事なのか、悪い事なのかはまだわからないのだけど。
城の裏口からリエーニエに入った際に彼がシャブリリのブドウを拾った際頭の中が空になった、もし彼が狂い火に惹かれてしまったらどうしようか、その時には彼を殺さないといけなくなるだとかそんな不安が頭をよぎった。
そんな中でハイータという人物と出会った時、私はこれまでにない不安に襲われた、もし彼が彼女の願いを聞き入れたならどうするべきか、私は霊体だから直接干渉は出来ないし何より彼を殺せる気がしない、この人は強過ぎる。
…まぁ結果から言えばそれは杞憂だったのだけど。
「葡萄か…この地では葡萄が名産品なのか、しかもシャブリリという人物が育て上げる葡萄が一番出来がいいと来た、ならその御仁を見つけた際少し分けてもらうよう頼んでみよう」
正直言って彼がこの地の出来事に疎くて助かった形になる、彼はなんだかんだで人助けを苦と思わない人間だからきっとハイータの頼みを遂行しようとしただろう、例えそれが世界を滅ぼす物だとしても、まあ現在彼の中では葡萄農家シャブリリとして認識されているのだけど、あんな物騒な葡萄農家がいてたまるか、その後トープスさんが正しい知識を与えてくれて大きく感謝する事にする。
トープスさん、貴方は学院では鈍石と侮蔑されたのだろうけど、今貴方は世界を救うその一端を担った、これは生涯誇っていい事だとおもう。
「そんな…シャブリリは葡萄農家ではなかったのか…」
何故彼はこんなにショックを受けているのだろう、葡萄が好きなのだろうか。
その後湖を闊歩する彼の前にやけに前屈みな女が現れて、要約するとならず者に奪われた首飾りを取り返して欲しいと、二つ返事で了承した彼はすぐさまならず者から首飾りを購入する形で取り返した、その際に茹で上げたエビを幾つか購入し舌鼓を打っていたが近くにいる其れ等はどう見てもザリガニなのではと思ったのだけど、彼から幾つか分けてもらいそんな事はどうでもいいかと思った、美味しければそれで良い。
あの娘の場所に戻り首飾りを返すと彼女は自身をラーヤと名乗り火山館の人間であると名乗った、火山館と言えば破片の君主が1人、デミゴッドのライカードが根城としていた場所の筈、これは思いがけない情報の入手した物だと内心私はほくそ笑んだ。
まぁ尤も彼は自分の旅路を指示されるのは嫌いな性分をしているから、多分結構後回しにされるんだろうな…と、呑気に私は思っていた。
そして今、彼はこの魔術学院をまるで我が家の様に闊歩する、度胸が凄い。
道の脇にいた魔術師を見つけるや否や彼は首根っこを掴んでレナラの居場所を脅し聞いた。
「お前達魔術師が魔術を扱う条件は触媒となる杖と、使用する魔術の詠唱だというのはトープスから聞き及んでいる、さて、今お前の詠唱の要たる喉を俺が抑えつけている訳だが…潰されたくなけりゃレナラの場所を言え」
正直あの魔術師に同情する、魔術を行使する前に圧倒的身体能力で距離を詰められて喉を握られているのだから、自身が丹精込めて築き上げてきた知力が、なんてことのない筋力に捩じ伏せられるというのは彼にとって耐え難い屈辱だろう。
「こ、この学院の最上部……大書庫に女王レナラがいる……‼︎」
「あんがとさん」
それだけ言い放つと彼は魔術師を雑に離してそのまま通り過ぎ様とする、しかしながら悲劇的な事に魔術師とはプライドが高い、故に今し方体験した屈辱を払拭する為に彼を殺そうとするだろう、やめておけば良いのに。
そんな私の微かな願いもあの魔術師に通じる訳もなく背後から輝石魔術によって彼を葬ろうとしたあの魔術師は……当然の様に察知していた彼によって首を捩じ切られて死んでしまった、余計な事をしなかったらもう少し長生き出来たでしょうに。
「魔術の総本山と聞いていたが…この体たらくとはな、これではゴドリックの方が幾分もマシじゃねえか」
『そもそも魔術というのは探究の側面が強いらしいし、実戦経験が豊富な魔術師は少ないんじゃないの?それこそ魔術師にして英雄的な扱いをされているレナラが該当するんだと思うけど』*2
「引きこもりの研究者って事か、理解しかねるな」
こうして幾つ目かの階段を登り終えた後に少し広い空間に出た、そこには赤い狼が一匹、こちらを見据えて居る。
確かあれは赤狼と呼ばれる成熟した狼の更に特殊な個体だった筈、レアルカリアに居るならこの個体はレナラの躾が済まされているのだろう。
「なぁメリナよ」
『どうしたの?今は目の前の敵に集中して欲しいのだけど』
「狼でシフってどういう意味だ」
『私が知る訳ないでしょ』
時折この人は変な事を言うし変な事をやらかす、あの時の大跳躍と大疾走の恨みは今後忘れる事はないだろう、それにしてもこの狼、かなり強い、徹底してヒットアンドアウェイに徹する事で攻撃されるリスクを下げている、此処が室内というのも彼方にプラスに働いている、周りの本棚を巧みに使う事で足場とし更なる跳躍を行っている。
いつしか聞いたことがある嘘の様な話、狭い室内で機動力のある動物と人間が戦うなら人間は武器を持って初めて対等だという話、無論嘘なのだろう、そこら辺にいる動物は小さく、体重も軽い、覆らない体重差というのもあるだろう。
しかしもし仮に──動物と人間の体重が同じなら…或いは動物の体重の方が重く、そして一切の機動力を欠くことなく動く事が出来るなら…人間はなす術もなく食われて終わるだろう…とかなんとか…そんな感じの話。
私は、その仮定に人間側も動物と同じだけの機動力を兼ね備えていた場合のケースを書き加えた方が良いと思った。
前後左右上下、あらゆる方向に跳躍し赤狼を翻弄する黄金を私は生涯忘れる事はないだろう、1人と一匹、こんな狭い所でよくもまぁこれだけ跳び回れる物だと感心してしまう。
そしてとうとう赤狼が捕まり床面に叩きつけられ、動かなくなった、よく見ると生きてはいる様だが、決着…なのだろうか。
「“伏せ”だ、ワンころ」
『やり方に問題がある』
「なんでもいいだろ、結果黙らせたんだから」
『野蛮人』
「言ってろ」
赤狼が居た部屋を抜けると広場の様な場所に出た、目の前にある一層高い建物、そこにレナラが居るのだろう、広間からほんの少し離れた坂道を登り──途中鉄球が落とされて来たが彼が受け止めてそのまま元あった場所に投げ飛ばしてしまった、悲鳴が聞こえた事から誰か居たのだろう──漸く目的の建物に辿り着いた。
◆
「…貴公何用だ」
「奥の女王に用がある…アンタは?」
「私はカーリア騎士ムーングラム、レナラ様に近づく者は何人たりとて許さん」
「アンタは此処までに見た騎士崩れの奴等とは一味違うみたいだな」
「…奴等はカッコウの騎士と呼ばれるが騎士とも呼べぬ賊軍よ、魔術学院に雇われその敵を葬るという大義を掲げながらその実略奪と殺戮を繰り返す…凡そ人の所業とは言えん」
「カーリア王家の味方じゃないのか?」
「奴等はカーリアにとっての敵だ」
「そうか…そりゃ悪い事をした」
「…何?」
「ほら…俺はこんな身なりだからよく目立つ、んで持って騎士の姿っぽい奴らが続々と襲いかかって来たんだが…まぁ、殲滅させちまってな…おそらくアンタが今言ったカッコウの騎士って奴なんだろう、だからアンタ達が滅ぼす敵を俺が全部殺してしまったから…まあ、なんだ…獲物の横取りをしてすまない、とだけ」
「ククッなんだ貴様、真面目というか律儀というか…変な奴だな、およそこの地に似つかわしくない、あぁその事は気にするな、実力差をわきまえぬ奴等に非があるし、獲物というわけでもない」
「…どうしても通してはくれねえか」
「…そうだな、仮に私が貴公と戦ったとして、万が一にも勝ち目はあるまいよ…だがな、それでもやらねばならんのだ、今やレナラ様を守る剣は私のみなのだから」
勝負は一瞬だった、地に沈んだのは蒼銀の騎士、当然の結末と言える、しかしムーングラムが弱いわけではない黄金の褪せ人が強過ぎるだけだったのだ、されど黄金、騎士の命を取らず。
「アンタのその忠義心に免じて、命だけは見逃すとしよう、尤も戦闘者としてのお前は今し方死んだが…」
「…貴公は、レナラ様を殺すのか?」
「さぁな」
ただ一言だけ残して黄金は昇降機を起動し大書庫へ向かっていった。
番犬と忠義の騎士を突破していよいよレナラが待ち構えているという書庫に辿り着いた、なんとも重苦しい扉よ、息がつまりそうだ。
力の限り扉を開いたはいいのだが──。
我が母の、泥濘の眠りを侵すことなかれ
罪人よ
語り継ぐがよい
カーリア最後の女王、満月のレナラの
気高い夜の有り様を
扉を開けた瞬間このような声が聞こえたと思えば月光が反射する水面世界に自分は居た、奥には魔術の杖を構え如何にもな魔術師の女が1人、しかしその身から発せられる圧力はなんとも筆舌に尽くし難い、コイツ強いな。
どうやら謎の横槍が入った様ではあるがこれはこれで良い、さてさて、血湧き肉躍る戦いと赴こうか!
黄金野郎検知、ラニ様渾身の防衛設備を開幕起動、これによってレナラ戦が第1形態をすっ飛ばす事に。
・黄金野郎
描写してないだけでカッコウの騎士に身包み目当てで滅茶苦茶襲われてた、全部返り討ちにした。
通り側にいた魔術師からレナラの位置を丁寧に話し込んで聞き出した、人それを恐喝という。
・メリナ
黄金的恐喝の目撃者、被害者に同情はない、何故か敵と意気投合しがちな黄金に頭を悩ませている。
・輝石竜スマラグ
圧倒的暴の黄金気配を察知、逃亡を選択、尚逃亡した先の空を駆けていたアデューラに無惨にも殺されている、儚い命だった。
・ラダゴンの赤狼
室内に狼とかいう普通に考えたら強みを消す配置、ですがこの狼は賢いので環境利用闘法を習得しているんですね。
某灰狼とは何も関係はないが赤狼の上にのる黄金の長髪の英雄って画面的に映えるよね、トレントじゃ黄金野郎的には小さ過ぎたんや…
・カーリア騎士ムーングラム
まともに戦うと結構強い人、なのでよくエレベーターに突き落とされている、この話ではそんな事はない。
作中では省いたが結構な剣戟を演じてみせた、シンプルに強者。
・満月の女王レナラ
廃人になってるけど、かつては前衛にレラーナ、後衛に自分で黄金樹勢力(ラダゴン)を一度退けた疑惑がある人、そりゃ強えわ。
尚レラーナがいなかったとしても純魔ビルドであのラダゴンを真正面から退けてる事になるので尚のこと怪物、おそらく魔術師に於けるホーラ・ルーみたいな人。