アクア「MEMちょのために高校を紹介したら彼女も着いてきた件」 作:ムテキング
都内某所
「カミキ君、君に頼まれていたあの二人。高育にちゃんと合格させておいたよ。面接官に鼻薬を効かせてDクラスにしておいたから安心したまえ」
「ありがとうございます。総理。お礼に人気アイドルグループのCコシヒカリを例のマンションにお届けします」
「いつも悪いね。やはり選挙前は若い女の子を食べて英気を養うに限るよ」
「また何かありましたらよろしくお願いします。では」
男は電話を切るとほくそ笑む。
「ふふふ。マーダーライセンスを取得して僕を殺そうとしているようだがまだまだ甘い。これでアクアは3年間シャバには戻れないね。ではルビーをじっくり甚振って殺してあげるよ」
高度育成高等学校の入試は出来レースであり、中学からの推薦がなければ合格しない。
本来ならアクアとMEMちょは決して合格することはないのだ。
だが、謎の男の策略により、総理のテコ入れで無理矢理合格させたのだった。
更にアクア達の希望が絶対叶わないようにDクラスへと配属させられたのだ。
「まぁそれでもAクラスになりそうなら、来年には暗殺者でも入学させるとしようか。でもMEMちょ君ぐらいなら最後にAクラスに移動させてあげても良いかもな。確か彼女の希望は紅白歌手になること。紅白歌手も職業だから就職可能だしな。そして大晦日の紅白終了後、正に人生の絶頂期に非業の死を遂げる。ふふふ、素敵じゃないか。これでこそまた僕は最高の生を実感出来るという物だ」
この男、正に外道である。
ちなみにマーダーライセンスは自衛隊、つまり殺人鬼という職業なので一応Aクラス特典で取得可能である。
何故なら政治家とかの息子は大抵このライセンスを取得しているのだ。
一般国民には秘密にされているが、上級国民では常識なのであった。
ところ変わって入学当日の高度育成高等学校。
1年の各クラスで学校の説明が行われていた。
「予め配られている端末に毎月1日にポイントが振り込まれる。すでにお前らには10万ポイントが振り込まれているはずだから確認しろ。10万円と考えると多いように感じるかもしれない。だが、この学園での価値は全て実力で判断される。この素晴らしい高度育成高等学校に入学できたお前達にはそれだけの価値があると言うことだ」
「ほえー、アクたん毎月10万円だって、凄いね。でも今月はもうすっからかんだけど」
「ああ・・・そうだな(いや、佐枝ちゃん先生は10万ポイントが既に振り込まれているとは言ったが、毎月10万振り込まれるとは言っていないな。価値は実力で判断される? つまり入学できた現段階での価値が10万と考えるべきだな)」
アクアは茶柱先生の言葉の裏の真意を読み取ることに成功した。
「この学校の敷地内での買い物は全てこのポイントを利用する。全てこのポイントで買うことができる。だがこのポイントは卒業時には全て回収されるので溜め込むことには意味が無い。もし不要であれば誰かにあげてしまってもいいが、無理矢理奪ったりしたことが判明したら処罰をくださないといけないから注意しろ。この学校はいじめ問題には敏感だからな」
(奪ったりしたことが“判明したら”か。つまり見つからないように証拠を残すなと言うことだな。それに何でも買えると言うことは権利などの形の無いものも買うことが出来るのか?)
タイミング良く茶柱先生が質問を受け付けたので、アクアは聞いてみることにした。
「茶柱先生。何でも買えると言うことですが、免罪符は購入出来ますか?」
「免罪符・・・だと?」
「つまり、何か違反した際にそれを取り消す権利は購入可能でしょうか。例えば喧嘩をしてしまい、誰かを傷つけたり、それでもし相手が怪我などをしてしまった場合などです」
「ふむ・・・そうだな。その場合はどういう状況でそうなったのか、そしてどれだけの被害が出たのかによって罰則が変わってくるので、それによって必要なポイントは変わってくるな」
「例えば・・・そう、極端な話、誰かを死なせてしまった場合などはどうでしょうか」
「ああ、それだったら過去に事例があるな。高度育成高等学校の敷地内は政府直轄の治外法権が適応されている。この学校内で学生による犯罪行為は全て教員と生徒会による合議によって処罰される事になっている。殺人事件は年に数回発生しているが、取り消すには2000万ポイントが必要だ。もし払えなかった場合は退学となり、しかるべき場所へと送られることになっている。ただ、2000万ポイントを払っても、犯罪行為を止められなかったという理由で、それ以外に毎月貰えるポイントが減少するというペナルティが発生する。退学が絡むような事件ならだいたい1万から3万ぐらいが引かれることになる。このペナルティに関してはクラスの連帯責任となって全員に反映されるから、犯罪を犯そうという者がいたら周りのクラスメイトがしっかり止めることをオススメする」
結構重要な事を茶柱先生が解説してくれているが、周りの生徒はみんな遊んだり寝ていたりと誰も聞いていないようだ。
真面目そうな堀北でさえ、「犯罪をするような愚かな人間がこの高度育成高等学校に入学できるわけないじゃない。治外法権だの殺人だの、どう考えてもジョークの類いじゃない。真面目に聞くだけ損よ」と綾小路の頭にコンパスをブスブス刺しながら嘲笑っている。
綾小路の顔面が出血で真っ赤になっているが大丈夫だろうか。
だがそれでも無表情&棒読みで「痛いぞー、とっても痛いぞー、やめろー堀北ーぶっとばすぞー」と言っているので案外平気そうだ。
仮面ノリダーとか随分と古いネタだな。おい、MEMちょ、あんまりソワソワと反応するな、歳がバレるぞ。
MEMちょ。まさかお前、仮面ノリダーリアタイ勢か?
そういえばMEMちょの部屋、フラワーロックとかゲームウォッチとかあったような。
あと昭和のアイドルグループのレコードも充実していたな。
ちょっと年齢の計算が合わない気がしてきたのだが・・・。
MEMちょのアラフォー疑惑はとりあえず置いておくとして・・・想定していたとはいえ、殺人が許容されているとは。
やはりこの学校はやはり一筋縄では行かないようだな。