アクア「MEMちょのために高校を紹介したら彼女も着いてきた件」 作:ムテキング
さて、意地を見せてやると強がったのはいいが、どうしたものか。
開始早々試験が終了した俺たちは、会議室をかりて集まることになった。
堀北クラスで判明している優待者は櫛田と頭が軽い軽井沢だけだ。
軽井沢は先ほどから松下に泣きついている。
どうやら綾小路と外村が同じグループでずっと幼女向けアニメの話をしていて気持ち悪かったらしい。
松下は軽井沢を甲斐甲斐しく世話を焼いたり守ったりして自分へと依存させている。
あと一人が不明だが、ここに集まっていないのはホモ部だけ。
山内が未だに試験中で、同じグループの綾小路を抜くと、残っているのはホモだけ。
最後の優待者は平田ホモ介であろう。
そう考えていたら山内のグループが試験終了した事を伝えるアナウンスが流れてきた。
同じグループの奴に聞いたら、山内が裏切ったそうだ。
なんでも黒川クラスの生徒が他のクラスに契約を持ちかけたのだ。
・黒川クラスの生徒は契約を結んだクラスに端末のメールを見せる。
・契約を結んで裏切った場合、そのクラスは25万プライベートポイントを支払う。
つまり裏切りで貰える50万プライベートポイントの半額を支払う代わりに優待者を教えるということだ。
黒川クラスの見返りが少なすぎる為、罠の可能性が高いことに他クラスが躊躇する中、山内がすぐさまその提案に乗った。
他の生徒も止めようとしたが、全く聞こうともせずに「大丈夫だ、問題ないぜ」と黒川クラスの契約に承諾し、裏切りメールを送ったそうだ。
活動的な馬鹿より恐ろしいものはない、とゲーテは言ったが、正にその通りだ。
やられたな。
恐らく何らかの手段で端末の中身を入れ替えているのだろう。
また、支払いに25万を支払うのが契約者なら、山内の借金になるし、“クラスの生徒”になっていれば、他のクラスの生徒が承諾が必要なのだが、支払い対象が“クラス”だけだとそのクラス全員の承諾を取らなくてもクラスの代理人として契約可能だ。
恐らく拒否をしようとも全員の口座から分割して引き落とされるだろう。
これではクラスポイントが50減らされて、更に25万ポイントの借金を背負った形だ。
そして黒川クラスはこの時点でクラスポイントが+500になる。
前回の試験で失ったクラスポイントの半分近くを取り戻していることになり、俺たちはまたもやDクラス落ちだろう。
「他の試験中の2グループに連絡は取れるか?」
「契約のことだろう。今、グループチャットで呼びかけてる」
幸村が先回りして連絡を取ってくれていた。
「良かった、契約は持ちかけられたそうだが、両方ともどのクラスも契約していないそうだ。罠なので契約しないように伝える」
「頼んだ。クソッ何が必要経費だから好きにしていいだ。全勝ちする気満々じゃねーか。これだから役者は」
とんだ負けず嫌いだ。
この危機を脱するには“優待者の規則”を見つけることだ。
軽井沢、櫛田、ホモ。そして金八クラスの鈴木。
この4人の共通点は何だ。
軽井沢は松下に依存している。
櫛田は名無しの権兵衛に依存している。
ホモはホモだ。
もしかして、鈴木もホモだとか?
そうすれば同性愛者が優待者という可能性も・・・いやないな。流石に試験で取り扱うにはセンシティブ過ぎる。
こんな時に外村が居れば直ぐさま情報を集めてくれるんだろうが・・・。
『今回はあかねたんに先にお願いされたでござるからこっちは手伝えないでござる。それに優待者の規則もあかねたん自身で見つけたことだから教えれないでござるよ。こう見えて勝負事に関してはフェアですしおすし』
見事にフラれてしまったからな。
「一体あかねは何を見つけたんだ・・・」
幾ら前世からのアドバンテージがあったとは言え、所詮俺は秀才止まりだ。
黒川あかねという本物の天才に勝つには俺では無理なのか。
整えられた髪を手でかき回し4つのグループ表を穴があくほど読み返す。
「おう、邪魔するぜ」
会議室の扉が荒々しく開かれ、金八、いや、龍園翔が入ってきた。
そして彼の後ろから、おかっぱ髪の男と、そしてママが連れ立って入ってきた。
「マッいや、ひより!」
「アクア君、お久しぶりです」
「久しぶりだな。ここ最近は忙しくて図書館に行けなくてすまなかった」
夏休み直前までサバイバルの準備や、芸能活動の撮りだめなどがあって忙しく、彼女と会うのも1ヶ月ぶりである。
ああ、彼女の柔らかな笑顔とバブみを感じる声を聞いていると心が癒やされていくのを感じる。
「ひよりと乳繰り合うのは構わねぇが、後にして貰えねぇか」
「む、金八先生か」
無言で繰り出された蹴りを軽く避ける。
「二度とそう呼ぶなって言ったよな」
「すまなかったな、龍園。で、何か用か」
龍園は空いていた椅子にどっしりと座ると、側に居たおかっぱ頭が龍園にファイルを差し出す。
「取引だ。お互いの優待者の情報を共有して規則性を見つけ出し、黒川クラスの優待者をあぶり出す」
龍園がファイルをこちらへと突きつける。
「本来だったら一之瀬クラスも巻き込んで残り3つのグループを分け合う予定だったんだが、そっちのアホが1グループ終わらせやがったからな」
「だったら、一之瀬クラスに契約を持ちかけるのが筋じゃないのか」
「ふん、あっちに渡しても上との差は縮まらねぇからな。だったらこっちの方がマシだ。それにひよりがテメェに会いたがって正直うざかったしな」
龍園のからかうような言葉に、ひよりママが顔を赤くして恥ずかしげに身体を縮こまらせる。何それ可愛い。
とりあえず渡されたファイルを確認する。
・お互いのクラスの優待者情報を教え合う
・共有した優待者情報から優待者選定の規則を協力して見つけ出す
・規則性が分かり、黒川クラスの優待者が分かったら、お互い1グループずつ指名する
・2グループ以上を指名した場合は罰則として、得られたクラスポイントとプライベートポイントのそれぞれ倍を契約した他クラスに移譲する。
本来はこれを一之瀬クラスと合わせた3クラスで契約するつもりだったのだろう。
だが、2クラスでも問題ない内容だ。
「良いだろう、では教師を呼んで契約しよう」
俺はいつも通り顧問の真嶋先生を呼び出す。
「いや、私でも良いのだが、お前達の担任は茶柱先生だぞ」
「真嶋先生の方が信頼できますので」
その言葉に真嶋先生は胃を押さえながら引き攣った笑みを浮かべた。
契約締結は滞りなく行われ、早速規則性解明の話し合いを開始した。
「こっちの優待者は、軽井沢恵、櫛田桔梗、ホモの3人だ」
「ホモさん、ですか? 外国の方でしょうか」
「いや、名前は平田ホモ介だな」
「平田さんですね。これで6人の名前が分かりましたね」
ひよりママは、優待者のいるグループの名簿6枚を机に広げて考え込む。
真剣な表情で考え込むママも可愛いな。
ルビーの言ってたオギャバブランドはここにあったんだ。
「法則性・・・ああ、それにクラスの関係性を無視するんでした。クラスというのを除けば・・・名前がバラバラになるので並び替えましょうか」
「パソコンがあるからエクセルで整理しよう」
「お願いします」
俺がエクセルにグループメンバーの名前を入力し、名前の順でソートさせる。
これを6グループ分作って印刷する。
「ちゃんと名前順に並んでいるとスッキリしますね」
確かに、神経質と言われてしまうだろうが、順不同だとなんとなく気持ち悪いからな。
「名前の順と言いますとABC殺人事件が有名ですよね」
「アガサ・クリスティの名作だな」
「はい、古典ではありますが、今でも通用する名作で・・・」
ひよりママはそこで言葉を句切り、口元に手をやり何やら考え込む。
そして、名前順にされた名簿を手に持ち見比べだす。
「そうなのですね・・・アクア君。法則性が分かったかもしれません」
「な、なんだってー」
「干支の順番です。名前の順にしたとき、干支の順番と同じ人が優待者です」
その言葉に、俺も名簿を見て確認する。
確かに、辰は干支の順番だと5番目で、名前の順の5番目は鈴木だ。
他のグループも確認してみるが、全て一致している。
「おう、優待者の規則が分かったか」
こちらの話を聞いていた龍園が椅子から立ち上がりやってきた。
「ああ、確認したが6つのグループで当てはまっている。間違いないだろう」
「だとすると、黒川クラスの優待者は、こいつとこいつか」
龍園が残っているグループ名簿の名前にチェックを入れていく。
「んじゃとっとと終わらせようや。こっちは俺たちが貰う。お前達はそっちのグループを終わらせろ」
俺は渡されたグループに入っているクラスメイトに優待者の名前を伝え、裏切るように指示をだした。
そして数分もしないうちに残り2グループが終了したアナウンスが流れ、今回の特別試験は2回目の話し合いを待たず、1日目にして終了することになった。
夏季グループ別特別試験結果
11グループ 結果3
1グループ 結果4
一之瀬クラス 853-150=703
龍園クラス 700-100=600+50万プライベートポイント
堀北クラス 398-150=248(Dクラスに降格)+25万プライベートポイント
黒川クラス 0+400=400(Cクラスに昇格)+525万プライベートポイント
初日のグループディスカッション1回目で全グループ終了とか一生懸命試験を用意した教師の気持ちを考えてないのか、この鬼畜!
現状1日1回更新で5日分は予約投稿出来ています。
このペースがこのまま守れたらいいのだが。
追記:今回の契約で勝手にクラスの代理人として山内がプライベートポイントを賭けた契約を締結しているが無理があるのではというご指摘を受けました。
今回の契約内容は以下2点です。
・黒川クラスの生徒は契約を結んだクラスに端末のメールを見せる。
・契約を結んで裏切った場合、そのクラスは25万プライベートポイントを支払う。
契約内容はあくまで契約を結んだクラスに端末のメールを見せることだけです。対価はありません。
ただし、契約を結んで裏切った場合のみ罰則として契約したクラスは25万プライベートポイントを支払うということになります。
勝手にクラスの代表として契約するのは葛城や初期の堀北などよう実あるあるですね。
契約を行う甲と乙がいるとします。
乙はクラスの代表だと言って甲と契約を結んだとします。
でも実際には乙の行動はクラスの意思に反していても甲としてはそれは判断できません。
なので、実際に契約が結ばれた場合、後から乙のクラスが無効と言い張っても契約は成立します。もし契約を無効にする場合は裁判が必要になりますが、この場合、乙は善意の第三者として扱われるので契約内容に明らかな不当性がない場合、無効化は難しいと考えられます。
例えば、乙は甲にクラスポイントやクラス全員のプライベートポイントを全部譲渡するという内容だけでは乙側にメリットがありません。それに相当する物がなければ不当な契約として無効化は可能です。
そして今回の場合は、黒川クラスの提案した契約は、黒川クラスの端末にあるメールを見せるというだけです。対価はありません。これを見せるので結果1に導くのが目的だったと言われれば反論できません。あくまで、契約を結んだのに勝手に裏切った堀北クラスが悪いと判断されると考えられます。契約する際は気をつけようということですね。
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