アクア「MEMちょのために高校を紹介したら彼女も着いてきた件」 作:ムテキング
今回はとあるキャラが酷い目に遭うのでご注意ください。
船の人気がない非常階段。
特別試験が早々に終了し、生徒達が豪華客船の旅を楽しんでいる裏側で、人知れず言い争いが起きていた。
「とぼけんなよ! あんたがリカを突き飛ばしたのは事実だろう!」
「は、はあ、なんであたしなわけ。別人だって言ったでしょ」
そこには4人の少女がいた。
その中の一人は堀北クラスの軽井沢であった。
そして、その軽井沢へと文句を言っているのは龍園クラスの女子3人。
その中で真鍋という少女が中心となって軽井沢へと言い寄っていた。
他の二人も軽井沢が逃げられないように囲い込んでいる。
軽井沢は顔に怯えの色を見せながらも、強がるように反論していた。
「だったら確認させてよ。今からリカをここに呼ぶから。それであんたじゃなければ許してあげる」
埒が明かないと真鍋が言い、一人の女子が端末を取り出す。
「意味わかんないし。先生に言いつけるから」
「先生になにを? 私たち別に暴力振るってるわけじゃないし。なんならリカを突き飛ばしたことを問題にしたって良いんだからね」
真鍋は軽井沢の苦し紛れの言葉を鼻で笑いながら、リカを呼び出すように指示する。
「ま、待ちなさいよ」
「なんで待たなきゃいけないの」
「・・・今思い出したのよ。前にあたしとぶつかった子がいたこと」
「しらじらしい。最初から覚えていたくせに。まぁいいや、ちゃんとリカに謝るわけ?」
「そうじゃない。あれは「はい。ちょっと待って」え?」
軽井沢が失言しそうになったので影から見ていた松下は止めに入った。
「誰よ。あんた」
「ごめんね、この子と同じクラスの松下よ。後でこいつには謝らせるから今日のところは引いて貰って良いかな」
「なっ! 勝手なこと言ってるんじゃ「ほら、あっち」な、なによ」
カッとなり思わず手を出しそうになった真鍋に、後ろを見ろと指を差して止める松下。
何やら嫌な予感がした真鍋が恐る恐る後ろを見ると、後方の階段上部に腕組みをしている龍園と山田、そして銃口を向けて何時でも鎮圧できる体勢を取っている自衛官がいた。
「おうおう、威勢が良いな、真鍋」
「りゅ、龍園。なんでここに」
「テメェらがコソコソと動いてるのをこの親切な松下が教えてくれたんだよ。良かったな、今ならまだ問題にはならないぞ」
「か、勝手なこというんじゃないよ! こいつにはリカがやられてるんだよ」
「それに関しては私が責任を持ってケジメ付けさせるよ」
松下が軽井沢を庇うように真鍋との間に立つ。
「諸藤の件は別にしてだ。それはともかく、今のこの状況は不味いんだよ。徹底して注意したはずだ。今更知らねえとは言わせねぇぞ。葛城と戸塚がいじめなどで退学にあった件をよ」
その言葉に真鍋達の顔が蒼白になる。
「今、学校側はいじめに神経質になってるんだ。この自衛官見りゃ分かるだろ。理事長の首が月まで吹っ飛ぶカウントダウン中なんだよ。お前も一緒に連れてって貰うか」
「い、嫌です。ご、ごめんなさい」
真鍋達は一斉に軽井沢へと頭を下げた。
「ふ、ふん。分かれば「軽井沢」・・・ご、ごめんなさい。私も調子に乗ってた」
松下が恐い笑顔で軽井沢を制し、謝らせる。
「よし、これで手打ちで良いだろう。今回の借りもある。諸藤の件も頭下げて貰えば話を大きくするつもりはねぇ」
龍園は階段を降り、真鍋の肩をポンポンと叩いて耳元に口を寄せる。
「だが、勝手に動いたのは頂けねぇな。もし俺に先に相談してたらクラスポイントを増やすチャンスだったんだぞ」
龍園が自衛官へと聞こえない声量で真鍋へと告げる。
「そういや、お前、彼氏が欲しいだってな。よし、俺が恋のキューピット役をやってやるよ。おい、アルベルト。こいつをひんむいて適当な男子部屋にでも突っ込んどけ」
「Yes. Boss」
「や、やめて! 謝るから! もうしないから」
「Let's Go! I'll take you to the Party!」
山田にファイヤーマンズキャリーされていく真鍋を残り2人は青い顔で見送った。
「テメェらもつまらないことしてるんじゃねぇぞ。何か問題があったら先ず俺に相談しろ」
そう言って、龍園は去って行った。
自衛官も問題が解決したとみて、「レンジャー」と一言唱えると音もなく姿が消え去った。まさにニンジャだ。
「軽井沢。あなたもあんまり調子に乗ってるとホモ部行きにされちゃうよ。気をつけようね」
「ホモ部は嫌。あたし、後でリカって子にちゃんと謝るよ。だからもう怒らないで、千秋」
軽井沢は助けてくれた松下への依存を更に深めることになった。
深夜、人が少なくなった船のデッキで星野は人を待っていた。
「呼び出したのに待たせてしまいすまんな、キャスバル」
「いえ、俺が早く来すぎただけです」
星野が振り向いた先には未だに女装姿の堀北会長とお団子女生徒がいた。
「紹介してなかったな、こいつは橘秘書官だ」
「3年Aクラスで生徒会書記を務める橘茜です。別に秘書官じゃないので気にしないでくださいね」
「ああ、それについてだが、つい先ほど秘書官職が認められてな。よろこべ橘。これでお前は正式に俺の秘書官だ」
「えー」
なんか複雑そうな顔をする橘先輩。
「橘先輩。なんか苦労人そうですね。アッカリーンとか言いながら消えたりしないか心配です」
「別に取り外しはできませんよ。このお団子」
ゆるゆり知ってるのか。流石堀北会長の秘書だ。
「それで、用件だが、生徒会についてだ。キャスバル、生徒会に入っては貰えないだろうか」
「それ、あかねにも言ったそうですね。答えはあかねと同じです。今は仕事が忙しいので無理です」
「やはりか。だがこのままでは南雲が生徒会長になるだろう。奴は今ある学校のシステムを壊し、より過激なシステムへと変えようとしている」
堀北会長は嘆息しながら語る。
「南雲は世直しのことを知らないのだ。革命はいつもインテリが始めるが、夢みたいな目標を持ってやるから、いつも過激なことしかやらない。このままだと来年以降、試験がより危険な物になる可能性が高い」
「どうせ妹さんの事を心配しているんでしょ」
図星なのか堀北会長は気恥ずかしそうに咳払いする。
「妹の事もそうだが、他の生徒にも影響は大きい。2年生の退学者が多いのは知っているだろう。私はそれを止めようと諭したが、上手く導いてやることができなかった」
「だとしても、生徒会に入るメリットが薄いです。今から南雲会長の生徒会長当選を覆すのは無理・・・いや、あかねならやれそうだが、ですが俺では厳しいです」
「だが副会長とかなら」
「生徒会に所属するよりは今のまま芸能活動をした方がポイント貯まりそうですのでね。ないです」
きっぱりと断ると会長は落胆したような顔をする。
「それにそんなに妹の事が心配なら、貴方が守ってやれば良いんじゃないですか」
「だが、私がこの学校に居られるのは3月までで、卒業したら・・・そうか・・・卒業するんだな」
「会長?」
何やら考え込んでしまった堀北会長を心配するように橘先輩が声をかける。
「橘秘書官。お前は卒業後どうするか考えているか?」
「え、まだ具体的には・・・。恐らくどこかの大学とか。でも出来れば会長と一緒が・・・」
「そうか、ならば俺についてきて貰えないだろうか。お前が居れば俺はより高みへと飛べるだろう」
「会長・・・私で良ければ何時までもおそばにお仕えします」
橘先輩はうっとりした顔をしているが、そんなに安請け合いしていいのだろうか。きっとこの会長、ろくでもないことを考えているぞ。
「キャスバル。南雲の件、俺の方で考えがある。実りある会談だった。感謝する。だがアルテイシアは渡さんぞ」
だから要らんって。
会長は踵を返して去ろうとしたが、俺は聞いてみたいことを思いつき呼び止めた。
「会長。聞いておきたいことがあるのですが」
「なんだ? 今履いているパンツは鈴音たんのお気に入りの苺柄のスキャンティだ。俺が中学入学時にお祝いに送ってたいそう気に入られてな」
「聞いてねーよ、聞きたくねーよ、なんで妹のパンツ履いてんだよ、死ねよ変態が」
「む。ちゃんと洗ってから返すぞ」
「そういう問題じゃねーんだがな。あとゴム大丈夫か? まぁその話はいい。噂で聞いたんだが、会長は格闘技が得意なのだとか」
「ああ、自慢になるからあまり吹聴などはせんが、一応空手5段と合気道4段。あとジオンの騎士としてフェンシングも習得している」
ジオンの騎士ってなんだよ。
別にシャアが使ってたからってフェンシングが必須な軍じゃないだろう。
「中学時代にな、ほら、あるだろう。中学の頃の男子には色々と。それで空手と合気道を始めたのだ。引き籠もっていたのもあって時間だけはあったからな」
「それで、空手や合気道の段位って年齢制限があったはずなんですが、確か空手5段だと26歳以上だった気が・・・会長っていまいくつなんですか?」
「ん? 今年30になるがそれがどうした? 男の年齢など聞いても楽しくはないだろうに。まさか・・・お、おれはお前のアムロじゃないからな。俺は異性愛者だ」
堀北会長が慌てたように両手で尻を押さえる。
そんなわけねぇだろうが。
「橘先輩。あんな会長のどこが良いんですか?」
「大人っぽくて素敵じゃないですか」
あれは大人っぽいじゃなくて大人だし、逆に子どもっぽいと思うのだが・・・恋は盲目と言う奴だろう。
だが、堀北会長に対する疑問が一つ解消された。
どうりでなんか老け顔だと思っていたのだ。
老けてるんじゃなくて逆に童顔なんだな。
そして何故あれほど優秀なのに次期当主なのが名無しの権兵衛の方なのかの理由も分かった気がした。
俺が親でも見捨てて妹にワンチャンかけるわ。
軽井沢さんのいじめ事件解決です。
また、堀北生徒会長の年齢疑惑もこれで晴れましたね。
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