アクア「MEMちょのために高校を紹介したら彼女も着いてきた件」   作:ムテキング

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体育祭編はまだ続くので初投稿です。


ひとたび金の問題になると、誰もかれも同じ宗派になる

体育祭の発表についてクラスでは色々な意見が飛び交ったが、今は夏前から続けているトレーニングを継続するぐらいしか具体的な案は出なかった。

 

 

俺たちのクラスは夏のサバイバル試験に向けて、5月の中間試験が終わってから体力トレーニングを継続的に行ってきていた。

初めは須藤や池、小野寺など運動が出来る生徒が主に参加していた。

 

だが、芸能部の幸村や櫛田、そして運動音痴と思われていた佐倉も一緒にトレーニングに参加しているのを見て、他の生徒達も段々と参加してくれるようになり、結果的にホモ部以外の全員がトレーニング量の差はあるが参加してくれている。

 

あまり運動が苦手な生徒は早朝のランニングや柔軟運動から慣らしていき、少しずつ体力をつけて貰っていた。

逆に運動が得意な生徒にはジムを借り切って筋トレなどの身体作りから、簡単な格闘技のトレーニングも行っている。

豪華客船の旅から帰ってから顧問の真嶋先生に依頼して、監視付きではあるがキャンプにも連れて行ってもらい、実践的な山岳訓練も実施することができた。

やはり、サバイバル試験では全員が初手でリタイアしたことは多少心残りがあったようで、来年同様の試験がもしあったらリベンジしてやるという思いがあったようだ。山岳訓練は全員(ホモ部以外)が希望し、実に熱の入った訓練になった。

高円寺は訓練したのかって? 奴は山で適度にターザンごっこしていつの間にか勝手に帰ってたぞ。高円寺に専属で付いていた監視の人、ご苦労様です。

 

そんなこともあり、春から比べるとこのクラスは運動面においては恐らく上位に来るのではないだろうか。

流石に龍園クラスのMIBには勝てないが、全体的な能力なら負けないと自負している。

ただ、龍園とは敵対したときにどんな盤外戦術をしてくるか読めないところがある。

それに対戦相手にはあかねもいる。

夏前から漸く纏まりかけているクラスに余計なヒビを入れられたくないな。

 

 

あかねの事について思いを馳せていると、本人からメッセージが届いた。

 

 

「あかねの奴、なかなか面白い事考えるじゃないか」

 

 

俺はあかねとホームルームの間にメッセージのやりとりを行い、案の具体化を模索していった。

 

 

そして、2時間目のホームルームでは体育館で全学年の顔合わせを行われる予定になっていたので、俺は須藤と幸村を呼んで早速作戦を開始することにした。

 

 

 

 

 

「おい、あいつら」

 

「あれって1年だよな。なんつー身体だよ」

 

「やべぇ仕上がりだぞ」

 

 

体育館には1年生から3年生までの生徒が集まっていた。

そしてその生徒達の視線を釘付けにしているのは俺たち1年Dクラスだ。

 

 

須藤、池、幸村、三宅を中心にクラスの男子達が上半身裸にオイルを塗り、鍛え上げられた筋肉を誇示するように行進している。

ぴえよん先生の教えは正しく、ひと夏の鍛錬でもそれなりに映える筋肉を手に入れることが出来ていた。

また、女子達もカバディを行いながら、運動能力の高さをアピールする。

これには流石の龍園も俺たちのヤバさが伝わっているだろう。

 

 

「やべぇ、色んな意味で関わりたかねぇぜ」

 

 

伝わってるよな?

とりあえず第一関門クリアと言ったところか。

 

 

俺たちは赤組が纏まっている場所へと向かい、各々ポージングをしながら待っていると、3年生の生徒が前に出てきた。

 

 

「お、俺は3年Aクラスの藤巻だ。今回赤組の総指揮を執ることになった。1年もそれでいいよな?」

 

 

藤巻先輩はチラチラと俺たちの方を見ながら咳払いをして話を続けた。

 

 

「1年には先にひとつだけアドバイスをしておく。一部の生徒はもう釈迦に説法かもしれんが、体育祭は非常に重要なものだということを肝に銘じておけ。体育祭の経験は必ず別の機会で活かされる。これからの試験の中には一見遊びのようなものも多数あるだろう。だがそのどれもが学校での生き残りを賭けた重要な戦いになる」

 

 

曖昧な物言いだが、とりあえず身体は鍛えておいて損はないということだろうか。やはり筋肉。筋肉は自分を裏切らない。

 

 

「今はまだ実感もなければやる気も・・・いや、やる気満々そうだなぁお前ら。なんでそんなに気合い入りまくってるんだ。もう少し肩を抜いても良いぞ、別に戦場に行くわけじゃないんだぞ。まぁいい。全学年が関わるの種目は最後の1200メートルリレーのみ。それ以外は全て学年別種目ばかりだ。今から各学年で集まり方針について好きに話し合ってくれ」

 

 

藤巻先輩は、最近の若い奴らは分からんと言いながら3年生の集団に戻っていった。

 

 

それに入れ替わるように一之瀬帆波がAクラスを率いながらやってくる。

 

 

「えっと、Dクラスのリーダーの堀北さんは・・・」

 

「俺たちのリーダーは足の骨がまた折れて、先ほど茶柱先生に付き添われて病院に行ったぞ」

 

「あー、俺の足が滑ってな。多分夏休みの間に床にワックスでもかけてたんだろうな」

 

 

俺の言葉に綾小路が棒読みですっとぼけながら答えた。

 

 

今回のあかねの案をクラス内に共有したところ、名無しの権兵衛が正々堂々と正面から打ち勝つべきだと猛烈に反対し、もし案を実行しようともそれを阻止すると言い出したところで、綾小路の足がうっかり滑って奴の足を蹴り抜いたんだ。そして見事に新しい関節を獲得した名無しの権兵衛を見た茶柱先生は、死んだ魚のような目で「これは事故です。このクラスにいじめはありません」と宣言しながら病院へと搬送した。

なんだか現代の学校の闇を垣間見た気がするが気にしたら負けだ。

 

 

一之瀬は何かを悟ったような困ったような顔をしていたが、横から龍園が割り込むことで会話は中断された。

 

 

「鈴音の奴、また怪我しやがったのかよ。決着を付けてやろうと思ったが当てが外れたぜ」

 

「なんだ龍園。リーダーが居ない俺らは敵じゃないってことか」

 

「ふん、雑魚はどれだけ群れようが雑魚だろうが。それを指揮する王がいなければ所詮は烏合の衆だ」

 

「そうか、確かに俺らは最弱かもしれないな。だが俺らの最弱さいきょうは、ちっとばっか響くぞ。野郎共! 俺たちの特技は何だ!!」

 

 

俺の言葉に、Dクラスの生徒達が声を張り上げて答える。

 

 

『殺せ! 殺せ! 殺せ!』

 

 

その叫びは体育館を震わせるほどの声量とそして気迫が籠もっている。

 

 

「この体育祭の目的は何だ!!!」

 

『殺せ! 殺せ! 殺せ!』

 

「俺たちは学校を愛しているか! Dクラスを愛しているか!」

 

『ガンホー! ガンホー! ガンホー!』

 

 

その咆吼に体育館中は静まりかえり、学年を問わず、全ての視線が俺たちへと向いていた。

 

 

「ストッパーであるリーダーが居ない俺たちは命知らずの暴走列車だ。精々轢き殺されないように注意するんだな」

 

 

龍園はそれでも凶悪な笑みを浮かべていたが、その後ろに居るBクラスの生徒達は皆怯えたような視線を向けてきている。

 

それに気付いた龍園は舌打ちをして、どうしたものかと考え始めたようだ。

 

 

そこにCクラスを率いたあかねが合流してきた。

 

 

「Dクラスの皆さんに正面から当たると恐そうですね。こんにちは、Cクラスのリーダーの黒川あかねです」

 

「俺はDクラスのリーダー“代理”の星野アクアだ」

 

 

Dクラス生徒達は既に名無しの権兵衛をデコイとしてリーダーに据えていることを知っている。知らないのは綾小路以外のホモ部ぐらいだろう。

そして、芸能部と共同でトレーニングする事もあるため、あかねと親しいことも知っている者もいるが、今回は空気を読んで黙ってくれている。

 

 

「それにしても、今回の体育祭、旨みが少ないと思いませんか。こんなのではやる気が起きませんね」

 

「景気よくばら撒いた夏のポイントを少しでも回収してーんだろうよ。ひーこら頑張って1位取っても50ポイント。しかも紅白戦で負ければマイナスだ。やってられねぇぜ」

 

 

龍園が愚痴を付く。

龍園も2、3年生の情勢は分かっているだろう。

白組は確実に負けるということを。

今回のBとCはどう頑張ってもマイナスになる。確かにこれではやる気もでないというものだ。

更に、俺たちがこれでもかと運動能力をアピールして威圧しているんだ。Bクラスの士気は急降下中であろう。

龍園なら今も頭の中で如何にしてマイナスを減らすか思案しているはずだ。

 

 

「私達Cクラスもこのままだと美味しくありませんので、ちょっと小細工を考えてみたのですが・・・」

 

 

 

だからこそ、今の龍園ならあかねの案に乗ってくるだろう。

 

 

 

「この体育祭で、学校からポイントを巻き上げませんか?」




Dクラスの掛け声は作戦として行っているだけで、本当に洗脳されて戦闘マシーンになったわけではないのでご安心を。

モチベ維持の為にも感想、評価お待ちしております。

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