アクア「MEMちょのために高校を紹介したら彼女も着いてきた件」   作:ムテキング

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50回記念なので、みんな大好きスイートマイエンジェル櫛田桔梗ちゃん回で初投稿です。


あなたの一番になりたい

人は自分の理想どおりに生きているだろうか。私はそう。自分の理想どおりになれていた。

 

容姿には恵まれていたし、記憶力が良いので勉強だって出来る。運動だって得意だし、おしゃべりにも自信がある。手先だって器用だし、とっさの出来事にも柔軟に対応する賢さも持っていた。

 

じゃあ自分は完璧な人間だろうか。

 

そう問われればノーだ。自分より頭の良い人間も運動が出来る人間も世の中には大勢居る。確かに私は何でも出来るが、何にも一番にはなれない。言ってしまえば器用貧乏な人間だ。だというのに、私は生粋の負けず嫌いのようで、高校に入る前の自分は何一つ1番になれない事に悩み、常に自分より出来る人間に酷いコンプレックスを持っていた。私は一番星になりたかったのだ。誰よりも強く輝き、皆が羨望し称賛する人間になりたかった。そんな私が最終的に辿り着いた先が、他人の『信頼』を集めることだった。どんな人間にも信頼されるように親しげに優しく接し、相手の心を解きほぐし、相手から一番の秘密を聞き出したとき、私は初めて満たされた気がした。そして、もっと他の人から信頼されるように、どんどんと交流の輪を際限なく広げていき、そして私は自身の承認欲求を満たしていった。他人の信頼を得るために、自身の感情を押し殺して相手に合わせ続ける。他人は私に心を許し、自身の負の感情をどんどん私へと押しつけてくるようになった。私はその負の感情を受け止めていくうちに、自分が壊れていくのを自覚した。

 

ワタシをみんなのゴミ箱にしないで。

 

私は自分の中に堪った負の感情を吐き出すために、SNSを活用してしまった。

誰にも見せないように匿名で、鍵までかけて吐き出していた汚い感情の羅列。

 

だけど、そんなワタシのゴミ箱は暴かれてしまった。

 

何故か鍵が外れていて、外へと公開された私のSNS。

それを知って私を弾劾してくるクラスメイト。

 

なんていう奴だ  こんなことを考えていたなんて思わなかった  失望した  穢らわしい なんて気持ち悪い奴なんだ

 

本当に気持ち悪いのはお前らだ! これは全部お前らが押しつけたモノだろうが! お前らがワタシをゴミ箱にしたんだろうが!

 

私はそんな思いを押し殺して、教室を飛び出した。

死にたい。そんな気持ちを抱えながら、街中を当てもなくふらついていたときに、に出会ったんだ。

 

だったら全て壊してしまえば良い。

 

は、私の話を真摯に聞いて共感してくれた。

こちらの気持ちに寄り添うような巧みなの会話に、いつしか私はに心を開き、クラスメイトの秘密を全部暴露してしまっていた。

ある男子生徒は体育のゴリラ先生とラブホテルに通うホモカップル。担任の女教師がクラスの男子数人と関係を持っている。女子のトップカーストグループが半グレ組織と援助交際のとりまとめをしている。闇バイトで強盗殺人の片棒を担いでしまって逮捕に怯えるチー牛グループ。日本の将来を憂いて鬼島総理暗殺の為に国会議事堂の爆破を企てている革命家気取りのインテリグループについてはも興味深そうに聞いていた。

どれもこれも私一人には重すぎる秘密ばかり。

決してSNSにも書けない秘密で、これだけは暴露できないと思っていたのだが、いつの間にかに全て語ってしまっていた。

 

そんな酷い人達なら全て壊してしまっても問題ないよ。むしろ世の中のためになるね。

 

の提案にはどこか危険な香りがしたので、私は賛同をする事はなかった。だがその後の雑談で私は最終的に翌月行われるスキー合宿の件を話してしまった。私はこんな状態なので行く気はなかったから、どうでも良い情報だったのもある。

 

だが、私が参加しなかったスキー合宿で、クラスメイトの乗ったバスがガードレールを突き破り、車道から崖下に転落して乗員全員が死亡するという事故が発生したのだ。

 

事故調査の結果、ブレーキとタイヤの摩耗が原因の事故だと報道されたが、メンテナンスがしっかりしている事で有名な旅行会社のバスで本当にそんな事が起きるのだろうか。

の仕業だ。何をしたのかは分からないが、きっとが関わっているに違いない。私は何故か直感的にそう感じ取っていた。

 

結局、私一人だけになってしまい、私は別クラスへと編入されることになったが、卒業までの間、私は死んでしまったクラスメイト達のことで何時糾弾されるのかと不安に怯え、逃げるように高度育成高等学校へと進学した。

 

だが、同じ中学だった堀北鈴音も高度育成高等学校に進学してきて同じクラスになった。

 

私は彼女をなんとしても退学させないと、また私の居場所がなくなってしまう。そう考えていた。

だが二日目に星野に出会ってから私の人生は新たな変革を迎えたのだった。

 

 

 

 

「完璧な存在になりたい? 言っておくが完璧なアイドルなんて言われたアイですら、私生活ではボロボロだったって聞いてるぞ。MEMちょを見てみろ、あんなのでもアイドルやってるんだぞ」

 

 

今の私は完璧な存在ではない。

 

 

「結局の所、どう見せるかの問題だ。確かにアイや有馬かな、黒川あかねみたいな圧倒的な存在感やカリスマ性を持った人間もいる。だがそれと同じような事は演出でいくらでも可能だ。それに昭和のアイドルみたいに普通の人間からは乖離した存在より、最近ではAKBみたいな普通の人間でも頑張れば手が届くようなアイドルが好まれている。だとするなら、お前みたいな器用な人間の方が有利なんだよ。MEMちょを見てみろ、ご覧の有様だよ。こんなんだって芸能界で生きているんだぞ」

 

 

だけど、ありのままの姿を見せて、それで受け入れられる演出を身につけた。

今の私は80万人のチャンネル登録者達に称賛される女王様だ。おい、だれが女王様だ。バラエティ番組にもよく呼ばれ、しかもテレビドラマの出演も決まった。みーちゃんとユニットを組んでアイドルデビューも予定されているし、いまや私はマルチに活動するトップスターだ。

確かにどれも一番にはなれないだろう。だがどれも優秀に熟せるというのは非常に価値があることだと星野に教わった。後は知識や演出、技術で幾らでも補える。一番星にはなれなくても一番星に見せることなら出来る。

 

 

「綺麗なだけの人間なんてものは憧れはするだろうが、その反面アンチも多い。ちょっとした疵で大きく叩かれて一気にオワコンだ。俺はクラスで一番優秀なのは櫛田桔梗、お前だと考えている。知識、判断力、運動能力がどれも高水準だが、何より誰にでも受け入れられる非常に高いコミュ力は何物にも代えがたい武器だ。MEMちょを見てみろ、年齢問題という明らかな疵すら演出とコミュ力で笑いに変えてウケているんだ」

 

 

堀北を見てみろ。幾ら輝く才能があってもそれを全く活かせておらず、クラスのお荷物扱いだ。もはや堀北が私のことをなんて言おうが誰もまともに取り合わないだろう。櫛田が腹黒? 何を今更。そのギャップが良いんだろう。清濁併せ呑む人間味溢れたキャラが一番ウケるのだ。天使な自分と悪魔な自分を上手く使いこなしてみんなを魅了してやる。

 

 

「お前は自分の持ち味を活かして最高の自分を演出するんだ」

 

 

私は完璧な存在ではないが、みんなの心に残るオンリーワンな存在になってやるんだ。

 

 

「まあ、それでもアイには敵わないだろうがな」

 

 

そんなことを吐かす、あのすかした顔した星野も振り向くような・・・。

 

 

 

 

 

 

 

そういえば、あの時の、どことなく顔立ちとか星野に似ていたな。

もしかして親戚とかじゃないだろうな。なーんか嫌な予感がするから秘密にしておこうっと。




櫛田が会った彼とは・・・。
推しの子と世界観が混じった結果、櫛田のクラスメイトが悲惨な目にあいました。しかたないね。

コミケの追い込みなどで年末は忙しくストックが少なくなってきているので、毎日更新が難しくなるかも。
まだ後2話予約してますが、唐突に更新が切れたら万策尽きたなって笑ってください。

モチベ維持の為にも感想、評価お待ちしております。

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