アクア「MEMちょのために高校を紹介したら彼女も着いてきた件」 作:ムテキング
「ククク・・・鈴音ェ、漸くテメェに借りを返せると思うと今から昂ぶって仕方ねぇぜ」
「貴方ごときが私に勝てると欠片でも思っているのなら、よっぽどおめでたい頭をしているのね。私が指揮するDクラスは無敵よ。今から負け台詞を考えておく事ね」
金八先生と名無しの権兵衛が教室前の廊下でお互い一歩も引かず睨み合っている。
金八クラスとの直接対決が成されることになったのだ。
その始まりは今日、中間試験の結果発表が行われるホームルームでの事だった。
「席に着けー、中間の結果を張るから適当に見ておけ」
何時もの厳しい顔と違い、何やら憑き物が落ちたような力の抜けた顔をした茶柱先生がやる気なさそうな態度で中間の結果が書かれた紙を黒板に張りだした。
「今回の赤点ラインは40点だ。見ての通り退学者は無し。もうどうでもいいが、この調子で頑張れ。体育祭の報酬で100点超えている奴は・・・全員プライベートポイントを選択したからない。須藤や池も今回は平均70点だ、頑張ってるな。山内ィ、お前41点で今回もニアピン賞だぞ。狙ってるのか? もう少し気張れよ」
「え? 褒められたの? 貶されたの?」
山内が嫌みを理解できないのか不思議な顔をしているが、前回の期末同様狙っているのかと思うようなギリギリの点数で赤点を回避している。綾小路達ホモ部が勉強を見ているようだが、本当に必要最低限の省エネな勉強会のようだな。ある意味凄すぎる。
それにしても本当に茶柱先生はどうしたのだろうか。
今まで見え隠れしていた野心などがなりを潜め、牙を抜かれたように覇気がなくなっている。
「あと、各授業でも言われていたので分かっていると思うが、来週、2学期の期末テストに向けて8科目の問題を散りばめた小テストを実施する。既にテストに向けて勉強を始めている者もいると思うが、改めて伝えておく」
その言葉にホモ部を除いたクラスメイトは神妙な顔で聞いている。各授業でこれだけ繰り返し告知されているのだ、この学校のことだから単なる期末テストの予習テストというわけではないだろう。ホモ部以外は既に勉強会を実施して、何が起きても問題ないように準備をしている。ホモ部の事は知らん。どうせ綾小路がなんとかするだろう。
「小テストについてだが、全100問の100点満点となっている。問題量は多いが内容に関しては中学3年生レベルのものになっているので、山内以外なら問題ないはずだ。山内は先ず小学1年生の漢字ドリルや算数ドリルから勉強しなおしておけ。そう言うわけで、基礎をきちんと覚えているかの再確認を兼ねたテストだということだ。更に1学期の小テスト同様に成績には一切影響しない。0点だろうが100点だろうが取って構わない。あくまでも現状での実力を見定めるためのものだ」
「マジか! やった! 綾小路、今回俺勉強しなくていいだろう!」
「いいわけあるか馬鹿が。帰ったら今日こそ九九を間違えずにできるように特訓だ。サボったらホモと一緒にギャラクティカファントムだからな」
「マジか! 七の段が強敵すぎるんだよ! 七以外は問題ないぜ!」
「清隆君のギャラクティカファントムは癖になるよね。山内君、サボっても良いよ。一緒に涅槃を越えよう」
それは越えちゃダメだろう。山内は本当になんで赤点にならないんだろうな・・・。
「はぁ・・・頭が痛い・・・もちろん気付いているだろうが、小テストの点数が無意味なわけでもないことを先に伝えておく。何故なら、この小テストの結果が次の期末試験に大きく影響を及ぼすからだ」
本当にお疲れ様です。そして期末試験が次の特別試験という事になるのか。
「茶柱先生、質問であります! その影響というのはどのようなものでしょうか。学のない自分には理解が及ばないであります」
須藤がビシッと腕を垂直に掲げ、茶柱に質問をする。ちょっと日々の教練に影響を受けすぎている気がする。思想教育はもう少しマイルドにした方が良いかもしれない。
「須藤、おまえ自衛隊にでも入るのか? まあ、いい。次回行われる小テストの結果を基に『クラス内の誰かと2人1組のペア』を作って貰う」
「ペア、でありますか。つまりそのペアと連帯責任で試験を行う、と言うことでありましょうか」
須藤も段々この学校のやり方に慣れてきたのだろう。ペアで行われる際の一番高い想定を口にする。
「ほう、須藤もなかなか成長しているな。そうだ、そのペアは一蓮托生で期末テストに挑むことになる。行う試験科目は8科目各100点満点。各科目50問の合計400問。そして取ってはならない赤点が今回は2種類存在する。1つは今まで通りに近いが、全科目に最低ボーダーの60点が設けられており、60点未満の科目が1つでもあれば2人とも退学が決定する。この60点といはペア2人の点数を足した合計点のことを指す。例えば山内と平田がペアだとするならば、山内は当然0点を取るので平田が60点を取らねばアウトと言うことだ」
生徒達から息をのんだような緊張した静けさが広がっている。優秀なパートナーと組めれば良いが、もし山内と組むことになったら・・・誰もがその爆弾が自身へと回ってくる恐怖に身を震わしている。
山内など既に自分が勉強しなくてもパートナーがなんとかしてくれると0点宣言している。本気で勘弁してほしいところだ。あの須藤すら恐怖の眼差しを山内に向けているからな。平然としているのは綾小路だけ・・・いや、彼奴も冷や汗を流している。
「そして今回新たに追加される退学基準は総合点においても赤点の有無が判断されるという点だ。仮に8科目全てが60点以上であっても、ボーダーを下回れば不合格になる」
「それに関しても・・・ペアの総合点、ということでありますか」
「その通りだ。総合点はペアの合計点で定められる。求められるボーダーはまだ正確な数字は出ていないが、喜べ、例年の必要総合点は700点前後だ、山内と組むなら全科目88点以上取らないと退学だ。ロシアンルーレットの気分が味わえるな」
最悪だ。あの言いようではそのボーダーは大分上下しそうだ。山内と組むなら全科目100点を取っても安心は出来ないだろうな。
「総合点のボーダーが決まっていない件については後から説明するとして、期末試験は1日4科目の2日間に分けて行われる。それぞれの科目の順番はおって通達する。万が一体調不良で欠席する場合には、学校側が欠席の正当性を問い、やむを得ない事情が確認できた場合には過去の試験から概算された見込み点が与えられるが、休むに該当しない理由の場合には欠席したテストは全て0点扱いとなるので注意するように」
「茶柱先生、質問であります! 怪我で入院は正当な理由になるのでありましょうか!」
「・・・・・・・・・いじめはありません。監視カメラのない場所での事故は証明のしようがないので証言が第一になります。そして私はこのクラスにいじめはないと確信しています。なるべく後遺症のないような範囲の怪我をするように」
「おい、山内。悪いことは言わないから多少は勉強しろ。最低でも見込み点以上は取れるようにしてやる」
「お、おまえら。な、なんだよその恐い笑顔は・・・分かったよ綾小路。今回は真面目に頑張るから頼んだぜ」
良かったな山内。ここまできて勉強をしないようなら本気で不幸な事故が起きていたかもしれないぞ。
あのみーちゃんですら殺気を放ってたからな。
「例年この特別試験・・・通称ペーパーシャッフルでは1組か2組の退学者を出している。そしてその脱落の大半はDクラスの生徒だ。けして脅しではなく本当の話だ。去年などはDクラスから10組の退学者が出て一気に生徒の数が半分以下になったからな。まあ、あれは南雲のしわざで特殊な事例ではあるが、それでも油断だけはするな」
また南雲か・・・Dクラスが10人しかいない理由の一つがこのペーパーシャッフルというわけか。そしてそれはこの試験は他クラスが関与できる余地が多分にあるということでもあるな。試験の名称も意味深ではあるしな。
「ボーダーを割ったペアは例外なく退学だ。私の発言が只の脅しだと思うなら上級生たちに聞いてみると言い。おまえたちもいい加減コネクションが出来はじめただろうからな」
だが、逆に去年が例外だとしたら、これほど過酷そうな試験内容にも関わらず、例年は1組か2組しか退学者は出ていないのか。頭が悪いDクラスやCクラスなら組み合わせ次第では阿鼻叫喚で大量の退学者がでそうだが。つまり、ペアというのはランダムで決まるというわけでは無いと言うことだな。おそらくは・・・
「最後に、本番のペナルティについてだ。当たり前田のクラッカーだが「プッ」なんだ、反応したのはMEMちょだけか・・・もう古いのかこのギャグは。そう当たり前だがテスト中のカンニングは禁止とする。カンニングしたものは即失格とみなし、パートナー共々退学になるので、特に山内の挙動には注意するように。これは今回の試験に限らず全ての中間、期末試験に該当することだ。おい山内、カンニングという手があったかって顔に書いてあるぞ。本気でやめろよ、そんな情けない理由で退学とか許さんからな。知恵に死ぬまで馬鹿にされそうだからマジでやめてくれ」
山内はバレないように頑張るっすとか言ってるが、綾小路、ちゃんと躾をしろよ。あと、茶柱先生、本当にご苦労様です。今度真嶋先生がよく効くって言っていた胃薬を差し入れますんで。
「はぁ・・・肝心のペアの決定方法は小テストの結果が出た後に伝える」
やはり小テストがペアの決定に関係することで間違いないな。となると、退学者の少なさから考えてやはり点数で決まると言うことか。ならばそのペアもこちらである程度操作が可能だな。一番の問題は中間層だろう。恐らく例年の退学ペアは劣等生と組んだのではなく、お互いが中間層で苦手科目が被ったというパターンが一番ありそうだ。
俺はクラスのチャット(ホモ部抜き)に、『小テスト前に得意不得意の科目を全員申告してくれ』と書き込む。
即座に全員の既読が付き、次々と申告されていく。
『やっぱり小テストの点数で決まる感じかな? 点数の高い生徒と低い生徒がペアになるとか』
千秋も気付いていたのか、さりげなく優秀さをアピールしてきた。『いいね!』を押しておこう。
『なるべく不得意科目が被らないように点数調整をする。また、最高点は堀北会長の妹に譲る予定だ。山内と一緒にこの試験を楽しんで貰おう』
すぐさま桔梗から『いいね!』が付く。少しは隠せよ。
「それからもう一つ、期末試験では別の側面からも課題に挑んでもらう」
クラスが僅かに動揺するが、黙ったまま茶柱先生の説明の続きを待つ。
「本当に春からは想像できないほど成長したな、お前達。まず、期末テストで出題される問題をお前達自身に考え作成してもらう。そしてその問題は所属するクラス以外の3クラスの1つへと割り当てられる。他のクラスに対して『攻撃』を仕掛けるということだ。迎え撃つクラスは『防衛』する形となる。自分たちのクラスの総合点と、相手のクラスの総合点を比べ、勝ったクラスが負けたクラスからポイントを得る。クラスポイントにして50ポイントだ」
他クラスが作った問題で各教科60点以上をペアで確保しつつ、総合点で700点前後のボーダーを超える。更に、クラス全体の総合点で相手のクラスを上回る必要がある。そして、去年大量の退学者を出したというのは、恐らく南雲のAクラスがDクラスを攻撃したということだろう。
どこのクラスを攻撃するのか、どこから攻撃されるのかが大事になってくるな。
「直接対決、つまり例えばCクラスとDクラスがお互い攻撃し合う形になればクラスポイントは一度に100ポイント変動することになる。滅多にないことだが、総合点が同じだった場合は引き分けでポイントの変動はないが、最低ボーダーがあることは忘れるな。体育祭みたいに他クラスと共同して0点で引き分けなどすれば全員退学になるぞ」
「他クラスに攻撃する問題を作成すると言うことですが、生徒が答えられないような問題を作れば、相当難易度が高いテストになってしまうと思うのですが。去年の南雲先輩はそれを行ったのですか?」
「いい質問だホ・・・いや平田。当然だが生徒たちに任せたらそうなるだろう。そのため、作り上げた問題は私たち教師が厳正かつ公平にチェックする。おい、真嶋に渡すなよ。あいつそろそろ本気で倒れるからな。少しは労ってやれよ。これに関しては担任に提出することになってるから私に渡せ。指導領域を越えていたり、出題内容から解答できない問題がある場合には都度修正させてもらうことになるだろう。そのチェックを繰り返し、問題文とその解答を作成し完成させていく。なので危惧されているような事はない。南雲がやったのはもっと悪辣な方法なので安心しろ。今までの説明はしっかり理解できたか? ホモ部以外は各自抜かりなく録音していたようなので、それを聞き返して分かりにくければ後で聞きに来るように」
茶柱先生までホモ部呼びしてきたか。最早教師の間でも定着してるとみるべきか。綾小路に部活動設立申請をしてみるように言うか? もし通れば部費貰えるぞ。やるなら堀北会長が在任中の間がチャンスだろう。妹可愛さに許可してくれるかもしれん。名称ホモ部。活動内容はホモ。凄い部活だな。通ったら鏑木プロデューサーへの良い土産話になりそうだ。案外ウケてドラマ化とかあるかも知れない。
「あと、万が一問題文と解答が完成しなかった場合、救済措置も残している。期限終了後、予め学校側が作っている問題に全て差し替えることになる。だが気をつけておけ、学校側が用意していているテストの難易度は低めになると思った方がいい」
その救済措置を使えば敗北は確定ということだろうな。
「問題を作る際、クラス内だけで決めようと教師に相談しようと、他クラス他学年の生徒に相談しようと、あるいはインターネットを活用しようとソレは自由だ。特に制限はない。学校側が容認できる問題出れば簡単だろうと難しかろうと、内容は問わない」
「つまり、有名塾の講師陣と東大クイズ研究会を外部から招聘して作成することも許されるのでしょうか」
「おい星野、少しは加減してやれよ。その場合はSシステムに関しての秘匿契約等が必要になるからもし本当にやるなら一声かけてくれ。必要な費用はちゃんとクラスのポイントで払うんだぞ。あと、肝心の攻撃先のクラスがどこになるかだが、それに関しては単純明快だ。希望クラスを生徒側が1つ指名し、私が上に報告する。その際に別クラスと希望が重なっていた場合には、代表者を呼び出してくじ引きを行う。逆に被っていなかった場合は、そのまま確定となりそのクラスに問題を出題することになる。どのクラスを指名するかは来週行う小テストの前日に聞き取る。それまでに慎重に考えておくことだ」
人数が2人少ないあかねのクラスは総合点が2人分少なくなるため、一見有利になりそうだが、クラス全員の平均点は高いだろう。それにあかねがどんな問題を出すかが不明だ。それなら一之瀬クラスや金八クラスを狙う方がいい。やるならまだ学力差が少ない金八クラスだろう。搦め手などに気をつける必要があるが、それさえなんとかなれば良い勝負が出来るだろう。
だとするならあかねには一之瀬クラスを相手にして貰って、いっそのことあかねのクラスと一緒に問題を作るのが一番いい手だな。
俺は今の考えをあかねへとチャットで送る。
直ぐさま既読が付き、OKと返信が来た。
あちらで一之瀬クラスと戦えるように調整するそうだ。
こっちはこっちで名無しの権兵衛を餌に上手いことを金八先生を釣り上げるだけだな。
クラスチャットの方でも名無しの権兵衛をリーダーとして祭り上げ金八先生に差し出すように書き込んだ。
すると外村が早速金八先生の端末へと名無しの権兵衛からの挑戦状を送りつけてくれた。さすが仕事が早い。
「以上が小テスト、期末テストの事前説明になる。あとはお前達で考えることだ」
そう茶柱先生は締めくくり、今日の授業は全て終了となった。
こうして、挑戦状を受け取って怒り心頭な金八先生と、周りからリーダーリーダーと囃し立てられて調子に乗っている名無しの権兵衛が教室前の廊下で啖呵を斬り合っていると言うわけだ。
神輿は軽くてパーが良いとはよく言ったものだ。
クラスのみんなは生暖かく見守り、綾小路はまたもや頭を抱えている。
あとはあかねのクラスと調整を上手く付けてこの試験を乗り越えよう。
| 体育祭終了後のクラスポイント | ||
|---|---|---|
| A | 一之瀬クラス | 653 |
| B | 龍園クラス | 650 |
| C | 黒川クラス | 450 |
| D | 堀北クラス | 248 |
山内はどれだけ馬鹿なキャラにしても許されるので使い勝手がいいですね。
コミケが迫ってくる・・・。
モチベ維持の為にも感想、評価お待ちしております。
アンチヘイトタグをつけた方が良いか?
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必要
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不要