寝て起きたら翼が生えてた
【???side】
ふと、目が覚めた。
さっき寝たばっかりだったような気もするけれど、窓から入ってくる光は朝のソレではなかった。
雲一つない青空には太陽が爛々と輝いていた。
寝ぼけ眼をこすりながら、寝起きでぽやぽやしている脳がゆっくりと覚醒していく過程である違和感を覚えた。
気付いた瞬間眠気がウソのように引いていき、周りを確認しようと体を起こそうとする──
〈ぐぉっ…… いっっったぁ………〉
が、腹部へ走る強烈な痛みに遮られてそのままベッドへ逆戻りした。
昨日変な物食ったっけ…? ニンニクとか腹いたくなるようなものを食べた記憶がねえんだけど…
痛む左の脇腹を擦りながら、更なる違和感に気付いた。
俺が着ていたのはユ〇クロとかに売ってるような普通のシャツとハーフパンツだったはず。
なんでこんな高級そうなパジャマ…?なんて着てるんだ?
こんな服持ってないぞ。
〈何なんだこの状況… やけに体重いし…〉
体が重くて思うように動けないので、仕方なく顔だけで部屋をぐるりと見渡す。
今の時間は… 14時… こりゃ完全に寝過ごしたな。 今から行っても授業とか間に合わねえわどうしよう。
テンパっていたせいで気づかなかったが、頭上には自分の寝ているベッドを囲むようにアルミのフレームが浮いている。
ココ保健室…? 自分の部屋で寝てたはずだよな…?
自分のいる場所や状況がわかるほどに混乱していく。
これよくある脱出ゲーム系ホラーの冒頭とかだったりするのかな… なんてよくわからないことを考えているとガララとドアが開いて誰かがこちらに向かってきている。
やべえ、これ逃げられないわ
メチャクチャ窓が近いので多分部屋の奥の方なのだろう。
しかも、上手い感じに角っぽくて陰になっているので誰が来ているのかわからない。
急に訪れた命の危機かもしれない状況を前にして、どうすることもできない自分にできることなどあるはずもなく。
怖くなって目を瞑っていた。
「…! もう、大丈夫なのですか…?」
女の人の声だった。 綺麗な声だった。
恐る恐る目を開けてみると、そこには烏の濡れ羽のような色をした長い髪と透き通るような白い肌、カラコンでも入れているんじゃないかというほどに赤い目をした女性がこちらを心配そうにのぞき込んでいた。
恐らく彼女の制服であろう、真っ黒なセーラー服が窓から入ってくる風で揺れている。 頭の上には
そして彼女の胸は豊満であった
多分今後の人生の中で二度と拝めることはないだろうと言い切っても過言ではないほどに大きかった。
…制服着てるってことは学生だよね?
余りの衝撃に思わず口からポロリと零れてしまった。
〈うおデッカ…… あっやばっ〉
そう思って慌てて口をふさぐもバッチリ聞かれてしまい、その女性は顔を真っ赤に染め体を震わせながら
「……次は許しません。」
とだけひねり出した。
すみませんでした… ノンデリな俺に全責任があります…
□□□□□□□□□
「…ごほん。 初対面の方にお説教をするつもりはありませんが、そういった言動は控えてくださいね。」
〈はい…… すみませんでした…〉
「わかれば良いのです。
さて、自己紹介をしていませんでしたね。
私は羽川ハスミと申します。
見てわかるように、トリニティ総合学園の正義実現委員会に所属しています。
貴方の名前を聞かせてもらっても?」
〈あー、はい。
「緋翠タクマ… タクマと呼ばせてもらいますね。」
〈ウェ!? は、はい…〉
「?
まあいいでしょう。 貴方はどこの学区の学生ですか?」
〈どこのって… 東京ですけど…〉
「東京…? 聞いたことのない名前ですね… 少し探してみますので待っててください。」
そういうと羽川さんはスマホを取り出して検索を始めた。
東京を聞いたことがない…? そんなことあり得るのか?
ていうかトリニティ総合学園なんて聞いたことないぞ…
〈あの、すいません… 一つ、いや2つ聞いてもいいですか…?〉
「構いませんよ。 どうされましたか?」
〈あのー… 腰から生えてるその大きな羽根ってなんなんですか?
コスプレ…とかじゃないですよね?〉
「違いますよ。
トリニティの生徒にはさほど珍しくもないものです。」
〈そう… なんですね。
じゃああともう一つ、羽川さんの頭の上に浮いてる赤い十字架みたいなのってなんですか?〉
2つ目の質問を聞いた瞬間、保健室の雰囲気が凍り付いた。
息をするのも難しいくらいに瞬間的に空気が張り詰めたのを感じた。
多分、これが殺気というものなんだろう。
もしかしてまたノンデリしたか…?
いやさっきは女の人に向けていきなり胸デカいとか言ったからだけど今回のは流石に違うだろ。だってあんな丸見えなんだぞ。
指摘されてキレられるようなことなのか…?
「あ、貴方には… 私のヘイローが見えているのですか…?」
〈ヘイロー? 天使の輪ですか?
見えるも何もそこにあるじゃないですか…〉
「そう… そう、ですか…
タクマ。」
〈はい?〉
「その話は、絶対私以外にしてはいけませんよ。
何があっても、絶対にです。」
〈え… わ、わかりました〉
イヤ雰囲気怖すぎるって…
「ちなみに理由も教えられませんので、深入りは諦めてくださいね。」
〈ア、ハイ〉
□□□□□□□□□
「結論から言いますと、東京という地名は見つけられませんでした。
もしかしたら記憶が錯乱しているのかもしれませんね。」
〈記憶が…?〉
「…はい。」
そう言うと羽川さんの雰囲気が一気に暗くなる。
〈どうしたんです?〉
「私は貴方に謝らなければいけません。
左の脇腹はまだ痛みますよね…?」
〈え? まあ…
あれ、なんで知っているんです?〉
「…それは私のせいなんです。
射撃訓練の際、私が的を狙撃した瞬間に射線上に貴方が空から落ちてきたのです。
避けられなかったとはいえ、貴方を撃ってしまったことに変わりはありません。
申し訳ありません…」
羽川さんはそう言いながら深々と頭を下げた。
どうすりゃいいんだこれ…
この謎の痛み的に撃たれたのは事実なんだろうけど正直記憶がないから謝られても…って感じではあるんだよな。
〈羽川さん。〉
「…はい。」
〈とりあえず謝罪は必要ないです。
多分腹の痛み的に撃たれたのは事実なんでしょうけど、話を聞く限りでは故意に撃ったわけではなさそうですし、何より自分には撃たれた記憶がないので。
糾弾しようにも自覚が無いから出来ませんもの。
そういうわけなんで、このお話は終わりにしましょう。〉
「ですが…」
〈じゃあ、こういうのはどうですか。
何か美味しいモノでも奢ってください。
傷が治ったらになりますけど。〉
「そんなことでいいんですか?」
〈いいですよ。〉
「…わかりました。
それでは、とっておきのお店があるので後日一緒に伺いましょう。
…それにしても。」
〈どうしました?〉
「撃った私がこんなことを言うべきではないのでしょうが、ヘイローがあるのに銃弾が体を貫通するなんてことがあるのかと思いまして。」
〈………………羽川さんのみたいなヤツが、俺の頭にもあるんですか?〉
「ええ、あると思いますよ。
貴方と違って色や形状まではっきりとはわかりませんが、それでも存在しているのは分かります。」
〈…ここって鏡とかあります?〉
「今持ってきますね。
それと、先ほど私の羽について質問していましたが…
貴方の背中にも羽根が生えているではないですか。」
〈????????????????????????????????????
…嘘だろ?〉
悲報・寝て起きたら翼が生えてた
初めまして、レタスサラダと申します。
私は7月末にブルアカを始め、現在はアビドス1章2章、パヴァーヌ1章、エデン条約前編読了済みと言った進行度合いの新米先生です。
猟犬使い先生概念(敬称略)や某クソボケオリ主君(敬称略)やドブカス書記(敬称略)などの素晴らしい作品から多大な影響を受け、自分も書きたくなって投稿を開始いたしました。
別の場所で別の二次創作を書いたことはあるのですが、ブルアカは初めてなので至らぬ点もあるかと思いますがご容赦頂けると嬉しいです。
規約も読んだうえで投稿しているつもりですが、もし違反の部分を見つけたら教えていただけるとありがたいです。
設定などの詳細は今後ちまちまと書いていこうと思っているので、アドバイスや感想などお待ちしております。