この前俺たちが奇襲されかけたのは通信の傍受が原因らしい。
治安維持の部隊でそれはあかんやろ‥
というかチンピラ連中ってそんなモン持ってんのか…
とりあえず原因がわかったようなのでティーパーティーと掛け合って通信設備をアップデートするらしい。
必要経費だと思うけどそれも交渉しないといけないのか。
羽川先輩の言っていた派閥争いが酷いという言葉の意味が身に染みる。
ティーパーティー自体も3つに派閥が分かれており、他にも政に不干渉を貫く救護騎士団や胡散臭いシスターフッドなど色々面倒らしい。
正実の面々は無派閥というか基本的には中立らしい。
後から聞いた話だが少し前まではティーパーティーの私兵というか完全に上司と部下みたいな関係だったらしいが色々あったらしく(本当に色々あったらしい)、形式上部下という扱いではあるけど事実上独立した部隊とのこと。
ロンド・ベルか?
なのでこの前の通信設備云々すぐ承認されたらしい。
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〈んー……〉
今日はなんも予定のない休日である。
向こうにいた頃は動画見ながらソシャゲしたりとか通話しながらゲームしたりしてたけど、こっちの物はあんまりしっくりくるものがなく、ログインしたり気まぐれにやる程度に留まっている。
今までの休日はトリニティ中を散策して回っていたがだいぶ前に回り終わってしまったので最近はやることがない。
キヴォトス唯一であろう男子生徒なのであまり他の自治区にはあまり出向かないよう言われている。
特にゲヘナには。
…新しいお店の開拓にでも行こうかな。
散策中に大体回り切ってるけど裏路地とかのは入ったことがないし。
…よし、それにしよう。
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裏路地のお店も意外と少なくないので、今のお腹が求めているものを探して歩き回っている。
朝飯を食べずに家を出たので、時間的に余裕はあれどお腹的にはもう限界。
かと言ってここで適当なお店を選ぶと後悔するのは明白。
焦らずじっくりと選ぶことが大切だ。
…ふむ、喫茶店。
今までに見つけたのはジャンクなお店が多く朝には向いてないものばかりだったので昼ならば…と思っていたが、喫茶店なら朝でもちょうど良い気がする。
メニューもなかなか良さそうだし。
まだ早めの時間なのに結構混んでるな。
いけるか?
「いらっしゃいませー。
…おひとり様でよろしいでしょうか?
現在お店混み合っておりまして、相席をお願いするかもしれないのですがよろしいでしょうか?」
〈あー、大丈夫です。〉
「ご協力感謝致します。
席へご案内いたしますね。」
獣人の店員さんから案内されてボックス席へ案内される。
カウンター席も全部埋まってるから仕方ないけど一人でボックス席は確かにもったいないよな。
はやる気持ちを抑えてゆっくりとメニューに目を通す。
昼はガッツリ食べるつもりなので朝は程々に抑えておきたいが、メニューを見ているとどうもその決心が鈍りそうになる。
どれもこれも魅力的だ。
俺自身珈琲派なのだが、学校というかトリニティでは紅茶が主流なようで、自宅以外では飲む機会があまりないのでここぞとばかりにオススメブレンドを注文。
メインはトーストにスクランブルエッグ、ソーセージと生野菜の付くモーニングプレートを注文した。
値段は高くも安くもないが、店の繁盛具合を見るに味は保証されていそうなので楽しみである。
先に珈琲が届いたので舌鼓を打ちながら待っていると、注文したものが届いたのだが…
〈詐欺だろこれ。〉
おかしい。
自分の目がおかしくなったのかと思ったが何度見てもおかしい。
写真よりも量が多いぞ。
美味そうだし食べきれない量ではないが、朝からこの量を食べたら昼に食おうと思ってたものをセーブしなくてはいけない。
ちょっと予想外だったな…
まあいいか。
料理を持ってきた店員さん…さっき案内してくれた人が申し訳なさそうに口を開いた。
「申し訳ありません。
先程お話しさせていただいた件なのですが、お客様新規で来店されたため相席をお願いしたいのですがよろしいでしょうか?」
〈大丈夫ですよ。
ちなみに何人ですか?〉
「おひとりです。」
〈わかりました。〉
トリニティ自治区といえど行き来が規制されているわけではない(ゲヘナを除く)ので、他の学園の人だったらどう説明しようかと思っていたのだが、店員さんの横にいる人を見ると… どうやらトリニティの生徒のようでとりあえず一安心した。
まあ、知らない人だけど。
「この度は不便をかけてしまい申し訳ありません。」
〈いえいえ気にしなくていいですよ。
一人でボックス席も気まずいので。〉
【???side】
学園からは少し離れた場所に位置する裏路地の喫茶店。
街を散策している最中に風の噂で聞いたソコは、目立つところにあるわけでもないのに常連客が足繁く通い常に賑わっているという。
毎日沢山の人から派閥への勧誘を受け、人間関係に少し疲れてしまった私はたまたまそのお店の場所を知ることができたので迷わず入店を決意した。
しかし残念なことにお店はとても混んでいた。
お昼にはまだ早い、さりとて朝というにはいささか時間が経ち過ぎている絶妙な時間帯。
飲食店のピークタイムから外れた時間であるにもかかわらず、だ。
タイミングを間違えたかなと思いつつ、お店を出ようとしたら料理を持った店員さんから相席で良ければと説明された。
普段の活動範囲から少し遠いところにあるので再び訪れるのも面倒だなと思っていたため、ありがたく相席させてもらうことにした。
どうやら店員さんは予め相席の可能性を説明していたようで、配膳ついでに案内された。
どんな人なのかと思い視線を向けて絶句した。
黒地に赤い差し色の入った制服、黒い髪に黒い目というキヴォトスでは珍しい普通の装いで一見特徴がない人物。
しかし、現在トリニティ中で噂になっている人物だった。
ゲヘナの生徒のソレよりも禍々しい巨大な翼とスナイパーライフルを携えたキヴォトス唯一の男子生徒。
正義実現委員会の緋翠タクマがそこにいた。
【タクマside】
「…お、お客様?」
「…ハッ! ご、ごめんなさい。」
「もしや体調が優れないとか…」
「ああいえそういうわけではありませんので大丈夫です。
ありがとうございます。」
どうしたんだこの人。
目があったと思ったらいきなり固まって。
ドン引きしているように見えたけどそれ俺にじゃないよね?
料理のデカさに対してだよね?
もし俺に対してだったらかなり失礼… いやトリニティだしそんなもんか…
〈あの… どうかしましたか?
料理の大きさに驚いてました?〉
「それもそうなんですけど、噂になっている人物を見つけてそれにびっくりしてしまいまして…」
料理じゃなくて俺だった。
なんでや。
ていうか噂って何。
「緋翠タクマさん…ですよね?」
〈そうですけど…
とりあえず席座った方がいいですよ。〉
「それもそうですね。
それでは失礼致します。」
〈それでその、噂ってなんですか?〉
「今年の新入生に男子生徒がいるというものです。
噂ばかり先行して誰もその姿を見たことのない都市伝説のような存在でしたから…」
〈大袈裟過ぎやしませんかね?
今までも普通に街歩いてましたし。
ああでも授業受ける時も詰所にいるしなぁ…
そう考えたら正実のメンバーしか面識ないな俺。〉
「単純に出不精なだけ…ということですか?」
〈委員長から混乱の元になるからあんまりホイホイ出歩かないように言われてるからってのもある。
特にティーパーティーの人たちとか、面倒くさくなるからやめとけって。〉
「ああ… そういうことなら確かにそうかもしれませんね。」
〈あの、お喋りもいいですけどご飯食べてもいいですか?〉
「これは失礼致しました。」
〈…もし良かったら、お一つどうです?
思ってたよりいっぱいあったので。〉
「よろしいので?」
〈構いませんよ。
お昼もガッツリ食べようと思ってるので。〉
「ではお言葉に甘えて…」
相席した生徒に写真の倍近く盛られていたトーストを一つ差し出す。
お、美味い。
これはリピートしてしまうかもしれん。
〈どうですか?〉
「凄く大きいです…」
〈ンフッ‥!〉
「?
どうされました?」
〈なんでもないです…〉
確かにトーストでかいよね、うん。
そういやこの人誰なんだろう。
制服の着慣れてない感じが同級生っぽそうな気がする。
それにしても、キヴォトスの生徒ってマジで顔整ってる人しかおらんよな。
モブ顔の自分からしたら羨ましいことこの上ない。
どうせ転生(?)するならイケメンにして欲しかったんだが。
桃色の髪に同年代の女子にしては高めの身長にスレンダーなスタイル。
向こうならモデルできるでしょってレベルだよ。
…なんか変態染みてて嫌だなこの言い方。
手出すとかは絶対ないけど女社会のキヴォトスでそんなことしたらただでさえ肩身が狭いのに居場所がなくなっちゃうわ。
「どうされました?
もしかして、ぱんくずとか付いてます?」
〈え?
ああいえ。〉
「そういえば、自己紹介がまだでしたね…
遅くなってしまい申し訳ありません。
浦和ハナコと申します。
タクマさんと同級生ですので、これから顔を合わせることもあるでしょう。
よろしくお願いしますね?」
ゲーム本編前の時間なので、まだ勧誘されている最中でちょっと辟易し始めたハナコだったりします。
主人公君が入ったお店はチェーン店化していない個人経営のコ〇ダのようなものを想像して頂ければ。