浦和ハナコ… うーん、知らない人だ。
そんでもって同級生らしい。
流石に同級生くらいとはもっと交流を持つべきだろうか。
さすがにこのまま詰所通いというわけにもいかないだろうし、いくらなんでも窮屈すぎる。
「ふふっ…」
〈?〉
「いえ、私これでも少し有名みたいで…
嬉しいわけではないのですがちょっと意外だなと。」
〈いやー… なんか申し訳ない。〉
「気にしないでください。
私としてはそちらのほうがありがたいですから。」
〈もし良かったら友達になってくれませんか?
相席になったのも何かの縁ですし。〉
「…私で良いのですか?」
〈?
はい。
あ、有名人なんでしたっけ?
やっぱそういうのってまずかったりしますか?〉
「全然まずくないです!
これからよろしくお願いしますね、タクマさん。」
そうして仲正さんに次いで二人目の友人ができた。
後に剣先先輩からツーカートリオと呼ばれる友人関係である。
〈そうだ、浦和さんてこのあと予定あります?
もし時間あればどこかお出かけしませんか?〉
「…はい?
私と、ですか?」
〈はい。
友人になった記念といいますか。
あ、こういう言い方だとナンパみたいになるのかな… すいません忘れて
「行きましょう。」
…あれ、いいんですか?〉
「構いませんよ。
ただ、ちょっとびっくりしてしまっただけで嫌というわけではありませんから。」
〈そう…ですか?
それならありがたいですけど…〉
「ふふふ。
男の方に誘われたのは初めてですね。
エスコート、お願いしますね?」
〈えっ〉
□□□□□□□□□
ゲーセンや映画館でもあればと思ったが、ゲーセンは今いる場所からだと遠い上にラインナップが乏しく、映画館も距離がある上にあまり興味をそそられるものが無かった。
悲報:デート終了のお知らせ
前も含めてデートとかしたことないし…
浦和さんの提案でウインドウショッピングをすることになった。
そのままついでに日用品の補充をしたいらしい。
「付き合わせてしまって申し訳ありません。」と言われたが、俺の友人は女の子の買い物には文句を言わずに付き合ってやるのが良い男の条件だと言っていたのでそれに倣おうと思う。
まあソイツ女の子とデートしたことなかったはずだけど。
それに買い物なら人手は多い方がいいだろうし、これでも正実の一員として日々訓練を重ねている。
多少の荷物くらいへっちゃらなのである。
そう伝えると一瞬キョトンとした顔をして「ありがとうございます…」と頬を染めながら返された。
きゃわ。〉
仲正さんとか羽川先輩とかは美人系だけど、浦和さんは可愛い系の顔をしている。
…イカン。
女子の顔をジロジロ見るのは失礼らしい。
女子に限らず人のことをジロジロ見るなって?
それはそう。
□□□□□□□□□
【ハナコside】
タクマさんにお礼を言うとこっちをじっと見たまま捻り出すように〈きゃわ〉と言いました。
きゃわとはなんのことでしょう…?
今の感じだと無意識に出てきた言葉でしょうし、聞くのはやめておきましょう。
人は時々無意識に変な独り言を言うものです。
タクマさんがお買い物に付き合ってくれるのはとてもありがたいですが、せっかくのデートなのに荷物ばかり持たせてしまうのは申し訳ないですね…
…もうすぐ夏ですし、お買い物に付き合ってくれたことへのご褒美くらいあっても良いですよね?
〈タクマさん、もう少しだけお付き合いして頂いてもよろしいですか?〉
「俺は大丈夫ですよ。
ぜんぜんよゆーです。」
「それなら良かったです。
では参りましょうか?」
私たちはそのまま次のお店へ向かったのですが…
〈……あの、浦和さん。
次の買い物は……〉
「見ての通り水着のお店ですよ?」
〈その、さすがにちょっとここは…〉
「あら?
先ほどはまだ付き合って頂けるとのことでしたが…」
〈うっ…… そういうわけではないんですけど………〉
「では構いませんね?」
〈はい…〉
耳を真っ赤にしてしまって…
可愛らしいですね。
「私いくつか試着したいので、申し訳ありませんが荷物を持っていてもらえませんか?」
〈わかりました。
じゃあ俺は外のベンチで待ってるので…〉
「タクマさんは女の子を一人で置いてけぼりにしてしまうお方なのですか?」
〈………………わかりました。
ここで待ちます…〉
【タクマside】
心臓に悪過ぎる。
最近の女子ってこんなに大胆なのか?
キヴォトスの人だけか?
多分揶揄われてるだけなんだろうけど恋しちゃいそう。
…うん、勘違い乙で振られる未来しか見えない。
そうこうしてる間に試着室の中から名前を呼ばれ、振り向くと水着を纏った浦和さんがモジモジしながらこちらに感想を求めてきた。
「どう…でしょうか?」と聞かれても可愛いです似合ってますとしか答えられねえよ。
教えてくれマイフレンドこういう時にどう答えるのが正解なんだよ。
しかし、その答えに満足したのかカーテンが閉じられ「次もお願いします。」と言われた。
あんなありきたりな感想で良かったのだろうか…?
ミテ、アソコノフタリ。カップルカナ?
ワ、カワイイネー。
アレ?ニンゲンノオトコノコ?
早く出たい…!!
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水着ショーが終わり、そのまま何着か購入した後お昼を食べた。
あんなものの後だ、二人してぎごちなくなってしまうのは仕方ない。
浦和さんも浦和さんでハイテンションになってたのを今になって恥ずかしがっている。
騒がしい店内に反比例して俺たちのテーブルはやけに静かだった。
それはそれとして料理は美味しかった。
そのままお店を出た俺たちは浦和さんの部屋に向かって足を進めていた。
〈あの… 浦和さん。
その、さっきの件についてなんですけど…〉
「あ、はい…」
〈正直に言わせてもらうとですね、こんな俺でも一応思春期男子な訳でして…
ここは女世帯で俺以外に人間の男子が今のところいない以上無理を言ってるのは承知の上ですが、距離感がちょっと近すぎて勘違いしそうになるので…
程々にしてもらってもいいですか……(震え声)〉
「も、申し訳ありません…
つい楽しくなっちゃって…
お友達とこういう風にお買い物したりしたのは初めてで、少しテンションが上がってしまいました…」
〈初めて…?
浦和さんてもしかしてボッ
「それ以上言ったらまた水着を試着しに行きますよ。」
なんでもないです。〉
そんな話をしていると進路上で銃声が聞こえた。
〈はぁ…
浦和さんは少し待っててください。
ちょっと行ってくるので。〉
「いえ、私も行きます。」
そのまま浦和さんがついてきてしまったので共に銃声の聞こえた方へ向かうと、不良共とヘルメット団が戦闘していた。
本当にこいつら懲りないな…
〈浦和さん、正実に通報して応援呼んでもらっていいですか?
その間に俺があいつら抑え込んでおくので。
正義実現委員会だ!!!
市街地でドンパチしてんじゃねえぞ豚箱にぶち込んでやる!!!〉
いつも全武器種の練習もしているとはいえ、普段から担いでいるSRしか持ってきていないのでそのまま凸砂することになった。
浦和さんはARだけど、流石に正実の人間が民間人(?)に前を任せるのはちょっとね…
せや!
武器がないなら現地調達をすればええんや!
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【ハナコside】
タクマさんはヘルメットのバイザーを撃ち砕いたり、足元を撃って地面にヒビを入れて蹴躓かせたりとあまり見たことのない攻撃を始めた。
ヘルメット団は素顔を見られることを極端に嫌がるのでバイザーを破壊するのは有効な手段だし、そもそも私たちは銃弾を受けた程度では怪我もしないので直接体に撃つよりも転ばせたりバランスを崩した方が制圧しやすいというのも確かである。
やはり正実のメンバーということもあって常人よりも頭の回転や射撃の精密さ、体捌きなどは目を見張るものがある。
しかしSRでの近接戦は流石の正実でも無理があったようで、突然〈あああああああ!!〉と叫び始めたかと思うとSGを持ったヘルメット団に向けて、槍投げの要領で思いっきりSRを投げつけた。
武器を…投げつけた…?
あのSRならまだ残弾はあるはず…
自ら武器を手放すなんて何を考えているのかと思っていたが、バイザーを突き破ったSRにドロップキックを捩じ込んでヘルメット団を気絶させ、持っていたSGを奪い取って戦闘を再開した。あまりの所業に周りの不良とヘルメット団も一瞬フリーズしている。
その隙を逃すことなく私も敵を制圧するために引鉄を引く。
彼が奪い取ったSGはレバーアクション式のものだったようで、発砲するたびに銃口を相手の頭や顎に思い切り叩きつけながらリロードしていく。
…それの持ち主や同じようなレバーアクション式のSGを普段使いしている人たちが発狂しそうな光景だ。
全弾打ち尽くしたそれの銃身を掴み、グリップで相手の腕を殴ってまた武器を奪う。
時には背中の巨大な翼で敵を薙ぎ払ったり…
それが何度か続き、気づいた頃にはそこで暴れていた不良たちは全員伸びていた。
〈ハァーーーーーーー…………
ホァーーーーーー………………〉
変な呼吸をしながらタクマさんがゆっくりと座り込む。
あれだけ暴れ回ったのだから当然か。
「タクマさん、お疲れ様でした。
大丈夫ですか?」
〈あ、はい…
なんとか大丈夫……です…
いや、巻き込んでしまって申し訳ありません…
せっかくのデートだったのに。
荷物は無事ですか?〉
「ええ、タクマさんのおかげで。
しかし、学園から離れているのがアダになりましたね。
もう少しで正実の方々が来るそうです。」
〈そすか…
はぁー良かった…
もう動けない…〉
程なくして正実の車両が到着し、不良とヘルメット団を回収、私達も一緒に乗せてもらい学園に戻ることになった。
タクマさんは疲労と銃弾の擦り傷が多かったためそのまま救護騎士団に放り込まれ、私は一応の事情聴取を受けることになった。
何か悪いことをしたわけではないのでただどういう状況だったのかを聞かれるだけに留まったが。
□□□□□□□□□
上級生の方からタクマさんの状態を聞かされ、この後何も予定がないならどうせだし見ていってくれと言われたので救護騎士団を訪れたが、また別の正実の方々がタクマさんのベットの傍にいたので話しかける。
「タクマさんの同僚の方ですか?」
「そうっすね。
仲正イチカっす。」
「羽川ハスミです。
貴方は…浦和ハナコさんですね?」
「はい。
…ええと、ハスミさんは高等部の方でしょうか?」
〈「フッ‥」〉
「………………いえ、貴方やイチカ、そしてここで眠ってるお馬鹿さんの一個上です。
あとイチカ、あとでお仕置きです。」
「えっ
ちょっ… なんでタクマは省くんですか!?」
「それは… 大変失礼致しました…」
「お気になさらず。
よくあることなので…」
「無視しないでほしいっす!」
「タクマさん、様子はいかがですか?」
〈体が痛えっす。〉
「ずいぶん無茶したみたいっすね。
それにしても、距離が合わないからって武器を現地調達するなんて…」
「民間人や施設を守ったことは誇らしいことですが、だからと言って無茶していいわけではありません。
もし貴方に何かあったら… 私は悲しいです。」
〈うっ…… 申し訳ありません…〉
「タクマさん、守ってくれたことは嬉しかったですがSRが合わないなら私の武器をお貸しいたしましたよ?」
〈浦和さんがAR持ってるのすっかり忘れてて…〉
「ハナコさん、彼の戦闘を見ていた貴方にひとつ聞きたいのですが彼の戦いぶりはどうでした?」
「武器の損傷度合いとかを考えなければ非常に良い戦い方だったかと。
レバーアクション式のショットガンをリロードする時に銃口でアッパーカットをキメてリロードしたりとか、銃本体にはよろしくないと思いますが効率的ではありますね。」
「タクマそんなことしてたんすか?
確かにそんなことしてたらすぐにボロボロになっちゃうっすねー。」
「あとは、ヘルメット団にしか効かない手ではありますがバイザーを壊して撤退させたりとか、SRの長い銃身に服を引っ掛けて敵を放り投げたり、空になったマガジンを足元に投げて足を取って転ばせたりとか、そんな感じです。
他には… 関節技とか銃本体を殴ってバランスを崩したところに足払いをしたりとか…」
〈詳しく説明されると、我ながらめちゃくちゃしてるなぁ…〉
「CQC‥って言うんでしたっけそういうの。
というか、タクマってそんなに強かったでしたっけ?」
〈仲正さん、世の中には男子3日会わざれば刮目して見よって言葉があるんですよ。〉
「昨日会ったじゃないっすか。」
「…ふむ。
先輩に近接格闘の訓練を打診してみても良さそうですね。
ご協力感謝致します。」
いつのまにかお気に入りが200件を超えていました。
読んでいただきありがとうございます。
そして少し間が空いてしまいましたが、またポツポツと投稿していきますので楽しんでいただけると嬉しいです。
ハナコ、本編だとあんな感じですけど元来人を揶揄える素質があったのではという当社独自の理論に基づきました。
ソースはないです。
そして初?の戦闘回です。
これを先頭と言って良いかは迷いましたが戦闘回です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
(第6話の呼吸の練習中の部分ですが、数カ月から2カ月に書き直しました。)