第11話
【タクマside】
それから数日経って復帰した俺は、今日も今日とて不良をしばきヘルメット団のヘルメットを破壊し呼吸の練習に明け暮れていた。
羽川先輩から浦和さんのことを聞いて、今の自分に何かできないかと考えたけど特に出来そうなことがなかったので俺は考えるのを辞めた。
先日の戦闘を思い返す。
もしもあの場にいた連中が全員俺と同じSRだったらやばかった。
あの時は不意打ちで敵のSGを奪えたから良かったけど、初見殺しみたいなものだし何度も通じる手ではないだろう。
というか毎回SR投げるのはなんか武器に対して申し訳ないし…
SR以外にも接近戦ができる武器を持とうと決心するまでそう時間はかからなかった。
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【ツルギside】
〈というわけなんですけど、俺に前衛の稽古をつけてくれませんか?〉
「…なぜ、私に頼む?」
〈今の正実だと剣先先輩が1番格闘に慣れてそうだと思ったからです。
あと、他の先輩に聞いてもやっぱり同じ答えだったので。〉
「そうか…」
挨拶こそ顔を合わせればしていたが、こうして言葉を交わしたのは初めてだ。
ハスミが撃ち落として、そのまま正実に入ったというキヴォトス唯一の男子生徒…
「いや待て、お前がSRを持っているのは前衛よりも被弾する確率が低いからだったはずだ。
何故前衛に出るつもりで話をしている?」
〈あ、やっぱそういう理由もあったんですね。〉
「あっ…」
〈別に構いませんよ。
なんとなくそういう理由もあるのかなと思ってたので。〉
「…ただ、お前に説明した理由も嘘ではない。
その硬い翼なら弾丸を通すこともないし、事実ロケットランチャーの爆風をモロに浴びても傷一つつかなかった。
遮蔽物の裏から狙撃するのが基本のスナイパーで、自在に動かせるシールドを自前で持っているのはこれ以上ないアドバンテージだ。」
〈接近戦で片手を塞がずに振り回せる長物兼シールドがあるのも有利じゃないですか?〉
「それは…まあそうだな。」
〈あれ、否定されるかと。〉
「別に嘘を言っているわけではないからな。
れっきとした事実だ。
だが、お前は…… 私達とは違う。
銃弾を食らえば痛いでは済まないだろう。
ハスミとのことは聞いている。」
〈けど、ヘイローがあれば銃は効かないんですよね?〉
「基本的にはな。」
〈俺が撃たれた時ってどうだったんですかね…?〉
「さあな。
私とてそこまでは聞いていないし、ハスミも覚えてはいないだろう。
…確かにお前が撃たれた時はもしかしたらヘイローが無かったのかもしれない。
だが、ヘイローがあった状態で貫通していたとしたらどうするつもりだ?
お前自身の記憶にはないのかもしれないが、そういう傷は案外体がちゃんと覚えているものだ。
やってみなければわからないことだが…
そんなことのために自分の体を傷つけようなどとは思うなよ。」
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【タクマside】
ぐうの音も出ないでごわす。
ヘイローの加護?のようなものがあるのかを試すために自分で自分を撃ったりとか正気じゃねえしな。
けどなぁ…
「そもそも、なぜ前衛に出たがる?
スナイパーも立派なポジションだと思うが。」
〈なぜ… なぜでしょう……
うぅん… この前みたいに誰かに迷惑を掛けてる連中をぶちのめすため…ですかね…
俺、色んな種類の銃を練習してるじゃないですか。
多分、SRの訓練しかしてなかったらあの場で不良共の制圧とかできなかったと思うんです。
端くれとはいえ正実のメンバーですし、武器種が合ってないから助けに行けないって言い訳はなんとなくしたくないなって。
この前はただの不良だったから武器奪ってとか出来ましたけど、慣れ親しんだ武器じゃないとパフォーマンスが下がりますし、そういうのとか考えたら前衛の訓練もしないといけないと思いました。〉
とどのつまりはその程度のことだ。
手が届かないなら仕方がないと諦められる。
手を伸ばせば助けられるのに、手を伸ばさない…手を伸ばせない理由を探して引っ込めるのが嫌なのだ。
まるでどこかの仮面ライダーみたいな物言いだが、根底にある思いがコレなんだから仕方ないね。
誰も彼もが己に降りかかる理不尽を自力で打ち払えるわけじゃない。
誰かに理不尽を押し付ける奴を俺は何があっても許さない。
だから、それで苦しんでる人がいるなら迷わず手を伸ばしたいと。
その場のノリで入部を決めた正実だったけど、思い返してみればその思いを実現させる絶好のチャンスだと思っていたのかも。
いやどうだろう、あんま考えてなかったような気もするな…
「………………………分かった。
先輩達に話をして、許可が降りたら稽古をつけてやる。」
〈ホントですか?
ありがとうございます!〉
「許可が降りたらの話だ。」
良かった。
今も呼吸の鍛錬は続けているし、日々上達していると思いたいけど、相手をしてくれる人がいるのといないのとでは段違いに鍛錬の質が変わる。
俺との稽古が剣先先輩にどれほどメリットを示せるかは分からないけど、少しでも戦い方を盗まなきゃ。
【ツルギside】
一瞬だけ、タクマの目に鋭いものが宿った。
コレは多分気のせいなんかじゃない。
ハスミや他の人達からは普段飄々としているという風に聞いていた。
話をしていてそんな雰囲気を感じてはいるし、事実コイツはそういう性格なのだろう。
ならば、あの鋭さは一体…
先ほどコイツが語っていたことも嘘ではない、しかし全てを詳らかにしたわけでもない。
それは直感で分かった。
何を隠しているのかは分からないし知ろうとも思わないが、タクマが道を違えぬように導くのも先輩としての役目なのだろう。
「キヒッ…」
〈どうしました?〉
「…これでも私は先輩達からのお墨付きを貰っている。
コレから世話になる人達… 救護騎士団に顔を出しておけよ。」
〈………あははっ。
臨むところです。〉
さて、コイツはどこまでついてこれるだろうか。
またしばらく時間が空いてしまいましたが第11話です。
現在続きを書いておりますので、そう遠くないうちに投稿できるかと思います。
※追記
前話と順番が逆になっていたので修正しました。
ご連絡頂けた方誠にありがとうございます。
しばらくは修行編というかなんというかそんなターンが続くかと思います。