17話です、どうぞ。
【タクマside】
〈めちゃくちゃ食べてしまった…〉
久々に食べた餡子や白玉などの和菓子はとても美味しかった。
向こうにいた頃にはコンビニやスーパーで売っている商品しか食べたことがなく、それはそれで美味しいのだがこういったお店で食べたのは初めてで、料理や材料は同じのはずなのに既製品とお店で出てくる商品はこうも違うのかととても驚いた。
安価で安定したクオリティを供給できる大量生産品と材料から調理まで全て職人がこだわり抜いた高級品を比べること自体おかしいといえば確かにそうなのだが。
久々の和菓子に舌鼓を打つ俺の目に映るのは見たことないくらいにニコニコしながら頬を膨らませる羽川先輩だった。
別に俺が作ったわけではないけれど、地元(?)というか俺が元々住んでいた世界と同じ料理を美味しく味わってくれているのを見ると自分のように嬉しかった。
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「初めて食べましたが、あまりにも美味しくて少し食べ過ぎてしまいましたね…」
(少し…???)
「タクマ?
どうしましたか?」
〈あっいえなんでもないです〉
「?
まあいいです。
とりあえず美味しいものも食べましたし、本来の目的を果たすことにしましょう」
〈あっ〉
「………もしかして忘れていました?」
〈ソンナコトナイデスヨ〉
「全くもう…」
そのまま支払いを済ませ(後輩に支払わせるわけにはいかないと奢ってもらった。ご馳走様です)ると、オーナーさんがやってきた。
「どうでしたか? 百夜堂は」
「最高でした。
自治区一と聞いてはいましたが、トリニティでも十分張り合えるレベルとは思いもしておらず侮っていました。
正実にも甘いものが好きな子は多いのでここの話を広めていこうと思います」
「それはありがたい!
うちはいつでも大歓迎ですよ!
あ、でも大所帯で来る時は予め連絡くださいな?
材料をたくさん用意しておきますので!」
「そう言っていただけると嬉しいです。
みんなに紹介もしたいですけど、何より私ももう一度食べたいものが多すぎまして…」
〈とても美味しかったです。
先程神社で自分の住んでいた地域にも似たようなものがあったってお話しましたよね?
実はここの和菓子もそうなんです。
久しく食べていなかったから何だか懐かしい気分になりました〉
「おお、そう言ってもらえるとありがたい!
どうでした? 故郷の味と比べて」
〈そっくり…というかそのまんまでしたよ。
最も俺はコンビニとかスーパーのしか食べたことなかったんでクオリティはこっちの方が断然上ですけど〉
「ええ、ええ!
そうでしょうとも!
自治区一の肩書は伊達ではありませんよ!」
〈また時間を作って来たいです。
今度は友人も連れて〉
「サービスしますよ!」
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〈そういえばなんですけど、俺達が百鬼夜行を訪れたのには理由がありまして〉
「お力になれるかは分かりませんがお聞きしますよ」
〈ここの自治区には刀があると聞いて訪れたんですけど、何処で手に入るかとかって知ってますか?〉
「ほう、刀ですか…
これはまた随分と珍しいものをお探しで…」
「俺の戦闘スタイルには必要不可欠なものでして…」
「ふむ… 確かにココには存在していますが、あくまで美術品としてです。
果たして実用に耐える物があるかどうかは分かりませんよ?
それでも構わないならば製作者のところへご案内して致します」
〈是非お願いします!〉
「…分かりました。
一度陰陽部の方々からお伝えしてもらいますので10分ほどお待ちください」
しばらくしてオーナーさんが戻ってきて、無事陰陽部と製作者の許可が降りたそうなのでその足で向かうことになった。
ここからそう遠くないところらしく、20分ほどで着いた。
着いたのだが…
「ここは… 普通の民家では?」
〈そう見えますね…〉
「はは、そう見えるのも仕方ありませんよ。
実際そうなのです。
工房はここの地下にありますので」
インターホンを鳴らすとすぐに猫型の獣人が出てきた。
どうやらこの方が刀鍛冶らしい。
「いらっしゃい、待っていたよ。
君かい?
刀を武器として使おうっていう面白い奴は」
〈面白いかどうかはわからないですけどまあ合ってますよ。
けど、刀を使うのってそんなに変なんですか?〉
「君たちも知っての通りここキヴォトスでは当たり前のように銃がそこにある。
そんな銃社会でわざわざ近付かなきゃ使えない刀を振るうのは割に合わないからな。
良くてウチの銃剣レベルだ。
何故君は刀を求める?
銃はそこにあるだろ?」
〈俺の戦闘スタイルには必須だから…ですかね。
銃剣を使ってたんですけど、それだとサイズが足りなくて…〉
「ん?
君らトリニティだっけ?
トリニティにも銃剣があるのか?」
〈はい。
これなんですけど…〉
俺は刀鍛冶にスチームブレード(仮)を手渡した。
「…なんとも珍妙だな。
ウチのとはまるで違う。
銃剣というか、両方を兼用しているのか?
バレルに刀身が装着されているし」
〈これ、刀身とグリップ部分で分割できるんです〉
「本当か?
本当だ…」
〈俺が見つけた時には真ん中にコンテンダーを改造したような物が挟まってました〉
「ああ、グリップの後端がこんな形をしているのはストックも兼ねてるのか。
よく考えられている」
〈流石にコンテンダーは使いづらいので取り外して使ってますけどね〉
「強度は…そこそこあるな。
実用にも耐えうるレベルだ。
誰が作ったんだこんな使い辛いもの…
それを使ってる君も君だが…」
〈うちの保管庫にあった物なのでそこら辺の詳しい事情はなんとも〉
「……珍しいものを見せてくれた礼だ。
君の望むように刀を打とう。
もちろんお代はしっかり頂くが」
〈当然です。
そういえばさっきの何故刀を求めるって質問ですけど。
キヴォトスって銃社会ではあるけど銃って基本効かないし決着つかないじゃないですか。
だから刀が欲しかったっていうのと…〉
「ああ」
〈単純にカッコいいからです。
ロマンでしょ、刀は〉
「気に入った。
最高の一品を君にお届けしよう」
えーーーまるっと3週間もお待たせしてしまい申し訳ありません。
ワイルズがですね… 楽しくて…
詳しいことは次いで投稿する回でお話します。