寝て起きたら翼が生えてた    作:レタスサラダ

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第18話です。
どうぞ。


そうして俺は刀を振るう

【タクマside】

「まあすぐにできるわけではないんだが。

完成したら連絡するから連絡先を教えてくれるか?」

 

〈はい、こちらに〉

 

「ああ、確かに。

お代はその時にいただこう」

 

〈ありがとうございます!〉

 

「気にしないでくれ。

君のようにロマンをわかってくれる子に刀を打てるなら鍛冶屋として冥利に尽きる」

 

 

無事刀鍛冶に刀を打ってもらえることになった。

俺たちはそのまま鍛冶屋さんと別れて帰路に着く。

 

 

「良かったですね。

お連れした甲斐がありましたよ」

 

〈いえ、こちらこそこんなところまで着いてきてくれてありがとうございます。

貴方がいなかったら久々の和菓子にもあの鍛冶屋さんにも辿り着けなかったでしょう〉

 

「私からも御礼を言わせてください。

また一つ好きな物が増えて人生が豊かになりました」

 

「あはは!

そこまで言わせるとは我ながら百夜堂のスイーツは素晴らしいですね!」

 

「先程お店で頼んだスイーツは結局全部食べてしまいましたし、お土産用にテイクアウトをお願いしてもよろしいですか?」

 

「勿論です!

保冷剤とかも入れなきゃいけないので少し嵩張りますが大丈夫ですか?」

 

「ええ、問題ありません。

よろしくお願いします」

 

〈皆喜んでくれるといいですね〉

 

「喜んでくれますよ、きっと」

 

「お二人とも、これから作りますのでおそらく1時間半ほどかかると思います。

出来上がったら連絡させていただきますのでその間は自由にしていてください」

 

「ありがとうございます」

 

〈じゃあお言葉に甘えて、少しブラブラしませんか?〉

 

「良いですね」

 

 

オーナーさんが店の奥に入るのを見届けて、店の周りを散歩することにした。

 

 

 

 

□□□□□□□□□

 

 

 

 

「良かったですねタクマ。

無事欲しい物が手に入って」

 

〈ええ、本当に。

これでもっと強くなれます。

良いもの作ってもらうからにはそれに見合うだけ働かないとですね〉

 

「高等部に上がれば肩を並べることもあるでしょう。

今から楽しみですね。

 

一つ聞きたいのですが、ココは貴方の故郷に似ているのですか?

先程の和菓子や神社…?など、故郷に似たような物があったと言っていたのが気になりまして」

 

〈和菓子も神社も殆どそのまんまですね。

街並みは…まあ一部はこんな感じです〉

 

「一部…というと?」

 

〈資料でしか見たことないですけど、栄えているところはミレニアムとかD.U.地区とか春葉原とかに似たような作りです。

一部の観光地に今の百鬼夜行の街並みがあったり…俺からしたら百数十年前くらいの外観ってところでしょうか〉

 

「そんなに昔の…」

 

〈なんで街並みに関しては懐かしいってより歴史の教科書で見たことあるくらいの認識です〉

 

「…ん? ちょっと待ってください。

この街並みの中に神社があるのは全く違和感がありませんが、ミレニアムなどの街並みの中にも神社などがあるのですか?」

 

〈あるところにはありますが、そんなに数はないですね。

神社があるのは住宅地の中とか山とかそういったところの方が多いです〉

 

「だいぶ変わった街並みをしているのですね…」

 

〈…自分で説明してて思いましたけど確かに変ですね。

でもどうしたんですか?

いきなりそんな話を〉

 

「もしもココが貴方の故郷にそっくりなら、トリニティよりもこちらの方が貴方に適しているのではないかと思ったんです…」

 

〈ああ〜…〉

 

「タダでさえ貴方はキヴォトスに来てからまだ間もない。

寂しくない訳でもないでしょう?

だから、もしも貴方が望むなら少しでも馴染みのある風景があるこちらへの転校を」

 

〈ストップです〉

 

 

そう言って俺は羽川先輩の口を抑え… 抑え… ダメだ届かねえ。

俺がちっちゃいのもそうだが先輩がデカすぎる。

 

 

「今何か不躾なことを考えましたか?」

 

〈滅相もございません〉

 

「ならよろしい。

続けてください」

 

〈はい…

先輩の心遣いはとても有難いし嬉しいです。

寂しくないと言ったら嘘にもなります。

まあ別に友人と呼べるほどの存在はいなかったのでその辺りはどうでも良いのですが。

でも別に今が嫌だとかそういう訳じゃないですよ。

正実の皆は優しいですし、そういう人に拾ってもらえたのは幸運だったと思いますよ。

だからまあ、何というか今のところ別のところに行くってのは考えてないです〉

 

「‥杞憂でしたね」

 

〈余程嫌なことがあったら話は変わってくると思いますけどね〉

 

「そうならないようになることを祈っています。

何かあったらすぐに私に相談してくださいね」

 

〈その時はよろしくお願いしますね〉

 

 

 

 

□□□□□□□□□

 

 

 

 

それからしばらくして鍛冶屋さんから刀が完成したと連絡が来たため、再び羽川先輩と共に百鬼夜行へ向かうことになった。

 

 

「やあお客人。

待っていたよ」

 

〈楽しみにしてました!

それで、俺の刀は何処に?〉

 

「まあ落ち着くといい。

刀は逃げやしない。

着いてきてくれ」

 

 

ワクワクしながら鍛冶屋さんの後を着いていく。

案内された部屋に置かれた刀掛には一本の刀が掛けられていた。

 

 

〈おお…!

これが俺の…!〉

 

「そうだ。

俺が打った君のための刀だ」

 

〈すげえ!

本物の刀だ!

うおー!〉

 

「貴方がココまではしゃぐのは初めて見ました」

 

「間に合った!

間に合いましたか!?

まだ刀抜いてないですよね!?」

 

〈わぁぁぁ!

オーナーさん!?

どうしたんですか!?〉

 

「タクマさんの刀が完成したと聞きまして!」

 

「俺が連絡しておいたんだ。

水臭いじゃないか、俺のところに連れてきたのはこの人だろう?」

 

〈あれ?

俺さっき連絡したはず…

あ、送れてませんでしたすみません〉

 

「間に合ったのでOKです!」

 

「よし、役者も揃ったことだし抜いてみろ」

 

〈はい!〉

 

 

刀を台から持ち上げて刀身をするりと鞘から引き抜く。

その刀身は部屋に入ってくる日光をまるで鏡のように反射し部屋を照らしている。

規則正しく浮かぶ刃紋はその刃に並ぶほど鋭く輝いている。

 

 

「乱れ刃の大逆丁字だ。

カッコいいだろ?」

 

 

…あまりの美しさに喉が鳴る音がうるさいくらいに自分の中で反響したのがわかる。

 

言葉が出ない。

自分の中にこの刀の美しさを表現するに足りるだけの語彙がないことがとても悔しい。

 

 

 

 

 

 

□□□□□□□□□

 

 

 

 

「おい、おーい」

 

〈…はっ!

どうしました?〉

 

「どうしたもこうしたもあるか。

そのままの状態でもう30分も経ってるぞ?」

 

〈…えっそんなに?〉

 

「ああ、ほら」

 

 

そう言われて部屋の時計を見ると確かにそのくらい経っている。

 

 

「まあ?

打った俺からしたらそんなに見入るくらいに惚れ込んでくれたなら嬉しいけどな」

 

〈いやぁ…あはは。

初めて実物を見たのでつい…〉

 

「そうだ。

ついでと言っちゃなんだがよ、おまえさんが刀を使ってるのを見せちゃくれないか?

付き添いの姉ちゃんに聞いたんだが、ナイフを使って踊るように戦うんだって?

刀を使うのもナイフじゃ足りないからなんだってな」

 

〈あら、羽川先輩喋っちゃったのか〉

 

「ん?

もしかしてトリニティだけの秘密だったりしたか?

それなら悪かった」

 

〈いや全然そういうわけではないので安心してください。

ただ、自分で言おうと思ってただけなので〉

 

「なら良かった」

 

〈2人は外に?〉

 

「ああ。

周りからは見えない中庭があるからそこで見せてくれ」

 

 

 

 

□□□□□□□□□

 

 

 

 

【ハスミside】

〈お待たせしました。

羽川先輩先に言っちゃダメじゃないですか!

俺が自分で言おうと思ってたのに!〉

 

「ご、ごめんなさい…

貴方があんまりにも嬉しそうだったので口から溢れてしまいました…」

 

 

 

部屋から出てきたタクマに叱られてしまいました。

私が悪いので甘んじて受けることにしましょう。

 

 

〈まあいいですけど…

先に言っておきますけど、まだ未完成だから多少見苦しい部分があってもスルーしてくださいね?

じゃ行きますよー?〉

 

 

そう言いながらタクマは刀を構え動き始めた。

本人はツルギとの一戦以降全く成長しなくなってしまったと言っていたが傍から見ればそんなことはないのではなかろうか。

あの大きなナイフから刀に持ち替えたことで全体のシルエットが洗練されているし、体重移動などもナイフの時よりもスムーズになっている。

流麗な舞に見えるコレが剣術体系というのだから不思議だ。

オーナーさんも鍛冶屋さんもタクマの動きに魅入られたようだ。

そうでしょう、私の後輩は凄いのですよ。

 

 

〈…ふぅ。

こんなもんですかね。

どうでした?〉

 

「私に剣術は分かりませんが凄かったですよ!

まるでウチに伝わる神楽舞のようだった!」

 

「…ああ、なんか見たこと無いのに既視感を覚えたのはそれに似てたからか。

よく見ると違うのはわかるが、知らない奴にそうだと言って見せたら信じてしまうだろうな。

面白いものを見れたよ」

 

「初めてちゃんと見ましたが、美しいものですね。

本当にこれでもまだ未完成なんですか?」

 

〈ええ。

まだ動きを真似出来ているだけなんです。

本当はもっと凄いもののはずなんです。

完成したらまた見せにきますよ〉

 

 

 

 

□□□□□□□□□

 

 

 

 

こうして俺は刀を手に入れることができた。

呼吸の完成度は上がったものの、やっぱりどうにも最後の一手が足りなくて完成には至らないままだった。

とある事件の最中にそれは完成し、本編の呼吸法に勝るとも劣らない(当社比)モノに届かせることが出来たものの、果たしてそれを呼吸法と呼んでいいのかどうか困るのはまた別の話である。




ワイルズが楽しくて投稿頻度が落ちてました。
通勤の行き帰りにちまちま書いてるのですが、書いた分を投稿するのはやっぱりPCからの方がやりやすいのでいつもそちらに移してから投稿しているのですが、その時間でモンハンやってたので遅れてしまったんですよね。
ちなみにこれでストックはなくなりましたのでまた行き帰りにネタを出す作業が始まります。

ラスボスとかしたタシンおじさんの滅びのバーストストリームから主人公を庇いサムズアップしながら溶鉱炉へ沈んでいくアジャラカンの勇姿には涙せずにはいられませんでした。


刀の拵えは分かる人は分かると思いますがワンピースに出てきた黒刀秋水のものを参考にしました。
原作と違って黒刀ではありませんが。
逆丁字という刃紋が実際にあると今回調べて初めて知りました。





ちなみにこれにて序章は終了となり、時系列順的に次の話となる回は結構時間が飛びます。

次回投稿分はいつかお話ししたトリミレイベント「CODE BOX」編になります。
私自身まだパヴァーヌ二章終わってメインストーリーそのままなのですが一応最終章後の時間軸でのお話になります。
ので主人公君のキャラが序章から少しだけ変わっていることもありますのでご了承ください。

それではまた次回。
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