どうぞ。
【タクマside】
アビドス砂漠ねぇ…
行ったことないんだけど…
というか、機密文書が盗まれたってなんだよ一体。
信用されていないんだか、護衛はティーパーティで固めるから正実は必要ないとか言っておきながらこのザマとは。
挙句尻拭いをこちらに頼むなんて…
自分達の不始末くらい自分達でどうにかしろよあの政治屋気取り共が…
…愚痴ばっか言ってても仕方ないか。
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『……はい』
〈アビドス高等学校の方で合ってますか?〉
『…どちら様ですか』
〈俺… いやえっと自分はトリニティ総合学園中等部正義実現委員会所属の緋翠という者です。
アビドスの方にお話があって電話かけさせてもらったんですけど今時間とか大丈夫ですか?〉
『まあ、はい。
大丈夫です』
〈ああ、良かったです。
それでお話の内容なんですけど、現在トリニティにヘルメット団の連中が集団で押しかけてまして。
それで、そいつらがどうやらアビドス砂漠の方へと逃げていったみたいで、上からそれを追撃するように命令が降りたんですね。
砂漠とはいえ他所の自治区の土地なので、一旦そちらの責任者に話を通しておこうと思って連絡したんですけど…〉
『…そういうことですか。
なら別に、構いませんよ。
どうせ砂漠しかありませんし』
〈本当ですか?
ご協力ありがとうございます〉
『別に気にしなくていいです。
ヘルメット団にはこっちもイライラさせられているので。
組織は多分違うでしょうけど、ああいう連中が減るならそれに越したことはないので。
一応言っておきますが、民間人に手を出すような真似はやめてくださいね』
〈勿論です。
正実の人間はそんな無意味なことしませんから〉
『そうですか。
なら、よろしくお願いします』
とりあえず向こうの許可は得たし準備するか。
補給物資は置いといてもらったし、少しだけ休憩しよう。
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LMGの装填よし。
刀よし。
手榴弾よし。
予備弾倉よし。
非常食よし。
水分よし。
コンパスよし。
〈さて、行くか…〉
情報によればよく見る赤い格好をしたヘルメット団らしい。
この砂漠で真っ赤な格好はよく目立つ。
加えて他の自治区とは違いここは砂漠に呑まれたゴーストタウン。
人がいないから怪しい動きをしていればすぐに見つかる。
そう思っていたのだが…
〈見渡す限り一面の砂漠…この中から見つけなきゃいけないの…?
単純に広すぎるだろ…〉
初めて来たアビドス砂漠はめちゃくちゃ広かった。
前世(?)でも砂漠なんて行く理由もなかったので足取られてすっ転ぶわでもう大変。
おまけに日差しを遮るようなものもないため直射日光で体力をじわじわと削られる。
〈暑いよ〜…
本当にヘルメット団なんているのか…?〉
砂漠に呑まれたであろう昔のアビドスを思わせる建造物を探してみるも収穫はなし。
おまけになんだか風も強くなってきた。
砂嵐が来るのかもしれない。
人の手が入っていない砂漠のど真ん中で当然スマホの電波が通るわけもなく、砂嵐に関する情報を仕入れる手段もないまま探索を続行するのは危険だと考えたのだが…
〈うぉわ!?
な、なんだ!?〉
突如として建物が揺れ始めた。
これは…地震だ。
ゴウンゴウンと周辺に地鳴りが響き渡る。
かなりデカいし、この地面をつき上げるような揺れ方…
震源が近いのかもしれない。
砂漠のど真ん中で隠れる場所もないのでしゃがんでやり過ごそうとした。
その時…
〈…は?
地面が隆起して…
クッソこんなところd
[GAHHHHHHHHHHHHHHHHHHHH!!!!!!!!!!!!!!!!!]
………………え?
は、何………………?〉
突如数m先の地面が隆起したと思ったら、地盤を突き破って巨大な機械の蛇…?のような物が出てきた。
なんだこれ…
こんな化け物がキヴォトスにいるなんて聞いてないぞ…
ていうかアイツ、めっちゃこっち見てるんだけど…
あっまずい
〈うおわああああああああ!?!?!?!?〉
あの野郎いきなりビーム撃ってきやがった!!!!
何すんだよいきな…り……
着弾地点の砂が溶けてる…
ヤバい。
あんなの当たったら確実に死ぬ。
あまりの非現実さに脳の認識が追いつかない。
ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ
〈ッ!?〉
再び飛んできたビームをすんでのところで躱す。
掠めてもいないのに皮膚がジリジリと焼け付くように痛い。
これは砂漠の日差しじゃない。
あのビームにはそれだけのエネルギーが込められてるってことだ。
なんでいきなりあんなわけのわからん化け物に追いかけられなきゃいけないんだ…!!
〈クソがァァァ!!!!!!〉
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巨大な機械の蛇と遭遇してから30分くらいは経っただろうか。
一向に撒ける気がしない。
砂嵐のせいで視界は制限されるし身を隠したところですぐに見つかる上、あの巨体のくせしてかなりスピードがあるので距離を離すのも難しい。
どうしろってんだ…
幸いなことに呼吸の鍛錬の過程で体力はかなり付いているので逃げるのには問題ない。
ないがとにかく砂嵐が鬱陶しい。
息を吸うにも口の中に入ってくるし、目を開けるのも難しい。
おかげで今は吹き荒ぶ砂嵐に紛れて聴こえてくる蛇野郎が暴れる音を頼りに当てもなく彷徨っている。
視界が確保できない状況で土地勘のない場所を歩き回るのは結構致命的な気しかしないが、逃げるのをやめたら今度は蛇に押し潰されてしまう。
なんであの蛇は俺をこんなにも執拗に狙ってくるんだ…?
アビドス砂漠には宝物があるというのは風の噂で聞いたことがある。
あの蛇がその宝を守っているのだとしたらあんなモノが存在している理由も腑に落ちるが俺は宝なんて持っていない。
砂漠に入った人間を片っ端から追いかけてるならアビドスの人たちはどうやって暮らしているんだって話になるけど… 俺が余所者だからか?
ああもうわけがわからん。
どうしてこんな目に合わなきゃいけないんだ。
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あれからどのくらい経っただろうか。
自分がどっちに進んでいるのかもわからないまま走り続けた俺の視界には砂漠にあるとは思えないような巨大な峡谷があった。
あのルビコニアンデスワームもどき… もといアビドスオオスナヘビから身を隠すには今までの廃墟よりはよっぽどマシだろうと恐る恐る降りていったのだが、真ん中あたりで崖の削れ方が今までと変わっていることに気づいた。
これは… 階段か?
岩盤を削り出してるのか…
なんでこんな砂漠のど真ん中に…?
不思議に思いつつ1番下まで辿り着くと、そこには人工的に削り出されたであろう巨大な洞窟が存在していた。
もしかしてこれが砂漠のお宝とかいうやつか?
…あれ。
アビドスオオスナヘビがお宝を守ってるなら尚更マズいのでは。
そう思いつつもやはり中が気になるので少し進んでみたのだが…
〈めちゃくちゃ広いな…
これどこまで続いてんおわぁっ!?
何!?
何なのもうさ!?〉
何かに足を取られて思いっきりすっ転んだ。
痛い。
何かと思い足元を見てみたが、そこにあったのは線路だった。
こんな砂漠の地下に線路…?
しかも全然錆びてないし、結構新しいモノなんじゃないか?
そのまま線路沿いに歩いてみて、俺はここが一体何のための洞窟なのかを理解した。
〈これって確か列車砲とかいうやつだよな…
なんでこんなところに…
しかもアビドスとゲヘナの校章…?
どういうことだよ…〉
そこに鎮座していたのは超アビドスとゲヘナの校章が刻まれた巨大な列車砲だった。
これが砂漠のお宝…?
いや、それにしては新すぎる。
この御伽噺は昔からキヴォトスに伝わっているものらしいからきっと違う。
もしかしてアビドスオオスナヘビを破壊するための兵器だったりする?
入り口はあっさり見つかったし鍵も難なく解錠できた上、中には丁寧なことに地図もあったのですぐにメインコンソールルームに辿り着けたが、そもそも俺は列車の動かし方も知らない上に電源と思しきものもご臨の終でございましたので結局動かすことはできなかった。
〈クソが!!!!!!!〉
本当はビナー君に遭遇する当たりで次話にしていたのですが少し短いかなと思ったので繋げました。
というわけでみんな大好きビナー君回です。
結論から言いますが主人公君が見つけたのはアビドス3章で出てきたヤツとは別です。
世の中には便利なことがあるんですよね。
試作機とか2号機とか…
ユニコーンep7であれだけの猛威を振るったネオジオングもナラティブで2号機出てるしまあ良いかなと思って…
それにどんな天才でも一発で完成品作るのは現実的に考えて無理じゃね?と考えたら試作機とか普通あるよなとなったのであまり違和感はないかと。
それではまた次回。