24話
☆
「ちょっと! 何をしているんですか!!
私は1人で大丈夫です!」
〈あの2人に怪我人2人の面倒見させるつもりか!?
それもこれもアンタがさっさとこの人を受け取らずにゲヘナだのトリニティだの細かいことにこだわってただろうが!!〉
「はあああああああああ!?!?!?!?
トリニティの人間がいきなり私達に頼み事なんてしてきたら疑うに決まっているでしょう!?」
〈状況見て判断するとか出来ねえのかお前は!!
人の命が掛かってるんだぞ!?
それに、ちんたらしてるせいでアンタだって怪我してるじゃないか!!
足手纏い抱えてアレから逃げるこっちの身にもなれよ!!!〉
「だったら私のことなんて見捨てればいいでしょう!?
頼みもしてないのに余計な真似を!!」
〈生憎俺はお前みたいな頭ゲヘナと違って学園がどうのこうので人命を見捨てるカスみたいなことするつもりはねえんだよ。
それに、忘れたのか?
お前の生命線を握ってるのが誰なのか。
そんなにギャースカ喚くならお望み通りこのまま捨ててやっても構わないんだぞ!!
砂漠のど真ん中にお前の墓標が建つことになるがそれで良いんだな!?
きっとあの2人は悲しむだろうよ!
いや憐れむのかもしれないなぁ!!
ゲヘナだのトリニティだのと、細かいことにこだわって命を捨てるような馬鹿げた奴のことをさ!!
良いんだな!? それで!!!〉
「っ…………」
〈なんだよ?
威勢よく騒いでたくせにいざとなったら命乞いでもしようってか!?
あぁ!?
答えろよ!!!〉
タクマは砂漠で行き倒れていた生徒… アビドス高校3年の梔子ユメを肩に担ぎ、彼女を預けようと接触したゲヘナ学園の1年生天雨アコを脇に抱えながらアビドスオオスナヘビ …もといデカグラマトン第3のセフィラ「ビナー」の猛追から逃れていた。
そこは見渡す限りの砂漠地帯。
障害物となる廃墟が多い旧市街地を探そうにも、執拗なまでに追跡するビナーに行手を阻まれ思うように進めない。
加えて、人間2人を抱えながら慣れない呼吸と飛行をし続けているタクマはすでに限界を迎えつつあった。
〈…ん?
アレ旧市街地… うわっ!?〉
「ちょっ… きゃあ…!!」
ようやく旧市街地を見つけたタクマだったが、急な突風に煽られてバランスを崩し、推力が落ち、そのままビルの屋上へと不時着した。
〈ハッ… ハァ… ぐぅ……
おい、大丈夫か…?〉
「え、えぇ…
貴方こそ大丈夫なんですか?」
〈大丈夫なわけないだろ…
こっちは慣れないことしてるせいで体ガタガタなんだよ…
むぐっ!?〉
「ゲヘナの戦闘糧食です。
それ食べて少しでも回復してください。
それと… その… 先程は申し訳ありませんでした。
確かに貴方の言う通り、彼女の安否を最優先するべきでした」
〈…別に、わかってくれりゃそれでいいです〉
「それと、ありがとうございます。
ゲヘナの私まで助けて頂いて…」
〈ああもう… だから…!
人命救助にゲヘナだとかトリニティだとか関係ないんだって。
例えアンタがトリニティだったとて、ヘルメット団とかスケバンみたいなカス共なら迷わず見捨ててるし。
確かにゲヘナの連中なんか好きじゃないし、俺以外のトリニティの人だってほとんどは好きじゃないだろうさ。
確かにさっきの優先順位理解してない対応はムカついたけど、ゲヘナの人間からしたら別に間違ってるわけじゃない。
それに、マトモに制服着てるから多分それなりの人間なんだろうって判断した〉
「…そうですか」
〈まあマトモに制服着てるとは思ってるけど、マトモな制服着てるとは思ってないよ〉
「はぁぁぁぁぁぁ!?!?!?!?!?
これのどこがマトモな制服じゃないっていうんですか!?!?!?!?!?!?」
〈マトモな制服は横乳の部分だけ布を切り取ってたりしないだろうが…〉
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【タクマside】
〈アコちゃんはこの人のこと見ててくれ。
俺はあの蛇の化け物をぶっ倒してくる。
あと、もし可能だったら応援を呼んでくれ〉
「可能だったらってなんですか…
やりますよ流石に。
あとアコちゃんて呼ばないでください」
〈しょーがねーだろアンタの名前知らないんだから。
砂漠のど真ん中ってのもあるかもしれないけど電波が通じねえんだ。
俺のスマホじゃ駄目だった〉
「ああ、そういうことですか…
…確かに通っていないようですね。
私のも繋がりません。
通信機もダメみたいですね。
なら今はあの2人が風紀委員の皆を連れてきてくれることを待つしかありません。
というか、貴方も応援を待った方が良いのでは?」
〈悪いがそれは無理な相談だ。
あの蛇野郎はどういうわけだか俺を狙ってる。
その人も別に戦闘に巻き込まれて倒れてたわけじゃない。
だからその人をアンタたちに任せて避難してもらおうって思ってたんだがな…〉
「うっ……
そ、その… 悪かったとは思ってますよ!」
〈まあ過ぎたことガタガタ言っても仕方ないしいいよ〉
「その… アレと戦うなら持っていってください。
少しは足しになると思うので」
そう言って渡されたのは手榴弾。
手持ちのものはもう使い切ってしまったたのでこれはありがたい。
〈助かるよ。
これだけあれば多少戦いやすくなる。
ちなみにマシンガンの弾とかは無いよね?〉
「流石に銃種が違うので持ってませんよ…」
〈いやいいんだ、ありがとう。
…ふぅ、よし。
じゃあちょっとぶっ倒してくるわ〉
「そんな軽い感じで臨める相手なんですか…?
…私がいうのもおかしな話ですが、くれぐれも死んだりしないでくださいよ」
〈……ポテトサラダ作って待っててください〉
「だァからそういうのをやめろって言ってるんですよ!!!!!!!!!!!」
〈巻き舌になるほどの勢いでキレなくてもいいじゃんか…
それに死亡フラグってのは折ってナンボでしょ。
そんな簡単に死ぬつもりなんてありません〉
「トリニティの生徒がゲヘナの生徒守って死ぬとか政治的にもだいぶヤバいので本当に頼みますよ?
いや本当に」
〈大丈夫ですって〉
そう言って俺は砂漠で拾った生徒をアコちゃんに任せることにした。
「天雨アコです」
〈?〉
「私の名前です。
天雨アコ。 貴方の名前も教えなさい」
〈緋翠タクマです〉
「タクマですね。
ちなみに学年は?
その制服、正実のものですが高等部のものではありませんよね?」
〈中3ですよ〉
「そうですか…
では、今後私のことは天雨先輩と呼ぶように」
〈わかったよアコちゃん〉
「天雨先輩と呼ぶように!!!!!!!!!」
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【アコside】
トリニティの男子生徒… 緋翠タクマはアビドスの生徒を私に任せてそのまま機械の蛇へと飛んでいった。
まさかヒナさん以外にも空を飛べる有翼の生徒がいるとは思いませんでした。
あの翼… ゲヘナの生徒やトリニティの生徒のどれとも一致しない特殊な形状をしていましたが、なんなんですかアレ。
どうして先端からあんなジェット噴射みたいな…
もしかしてヒナさんよりも速い…?
…いや、流石にそれはないでしょう。
「死なないでくださいね…
それよりも、この方どうすればいいんでしょう…
とりあえず水と塩タブレットは捩じ込みましたが…」
昨日に引き続き更新です。
一応年内の更新はこれが最後になる予定です。
ビナー編が終了したら更新を止めていたcodebox編を再開しようかと思います。
丁度復刻もある(はず)と思っていますので。
今年も拙作を読んでいただきありがとうございますた。
年明けの回書いたような気がする…と思っていたのですがそういえば投稿してからもう1年も経っていたんですね…
その割に今年あまり更新ができませんでしたので、来年はもっとペースを上げて、引き続き頑張っていきますのでよろしくお願いいたします。
良いお年を。