ゲヘナに漂うお茶の味   作:Mrふんどし

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最近あまり書きまとめる時間が取れず普段よりも間隔が空いてしまいました。
もしかすると2月まで忙しくなる可能性があるので、それまでは投稿頻度が遅くなるかもしれません。


新年の始まり

「........ん...?」

 

若干冷たい空気が顔を撫でる感触、そして身体にのしかかる重さに私はゆっくりと目を覚ましました。

まず最初に視界に入ったのは見覚えのある天井...ここは茶室でしょうか。

 

「....zzz」

 

未だ完璧に開かない目のまま顔を横に傾けるとそこにはこちらに思い切り抱きつき寝息を立てるキョウカさんの姿...慎重に身体を起こすと少し離れた所にはアサリさんにミオさん、そしてシズクさんが寝ている姿もありました。

 

(どうやらあのまま寝てしまった様ですね)

 

状況を理解した私はそのまま慎重に布団から起き上がり、近くに置いてあった携帯を手に取り画面を覗き込むとそこに表示された時刻五時半頃。

 

(ふむ、丁度良いかもしれません)

 

この時間であれば問題なく初日の出を拝めそうです。

新年を迎えたことですし、一発目のイベントととしてはピッタリでしょう。

 

「皆さん、朝ですよ」

 

そうと決まれば早速動かなければ、背筋を伸ばし微睡から身体を起こすとまずは私に抱きついていたキョウカさん、それから順に声をかけていきます。

 

「んぇ....朝、ですの...?」

 

「ん...おはようございます」

 

「...姐御の声!」

 

「.....zzzz」

 

それぞれ違った反応を見せながらも、眠たげに目を擦って布団から起きてくれた四人。

....いえ、キョウカさんはまだ夢の中にいる様ですが。

 

「おはようございます、新年一発目の朝ですよ。もう少しで初日の出なのでよければ見にいきませんか?」

 

「初日の出....っ!わ、わかりました!私、一回ちゃんと見てみたかったんです!」

 

私の言葉にアサリさんは一瞬で目を覚ましテキパキと布団を畳んでいきます。

 

「素晴らしい提案ですわね、是非ご一緒させていただきますわ」

 

「すぐ準備しますんで!」

 

「....餅?」

 

「キョウカさん、お餅はまだありませんよ...今度作ってあげますから今は起きてください」

 

他の三人も次々仕度を整え始め、荷物の整理、着替えを各々済ませた私達は満を辞して茶室を出ていきました。

 

「うぅ、やっぱり寒いですね...」

 

「もう一月ですからね、これからどんどん寒くなりますし風邪をひかないように気をつけましょう」

 

「姐御のお茶を飲んでれば風邪なんてへっちゃらですよ!」

 

「良いですわね、では私も今度とっておきの紅茶を用意してきますわ、風邪の予防にピッタリですので」

 

「お菓子もつけてくれると嬉しい」

 

そんな会話を繰り広げながら冷たい空気が張り詰める廊下を歩き、部室棟の入り口まで辿り着き扉を開けるとまだほんの少し暗い空が私達五人を出迎えてくれました。

 

周りにはまた積もり始めた雪が溜まっており、視界の隅には....いつぞやに建てられた巨大な雪像が完璧な形で立っているのごわかります。

 

(...相変わらず目立ちますね、余程しっかり作ったのか全く溶ける気配はありませんし....)

 

自分を模しているので何処となく気恥ずかしさもありつつ、ミオさんが作ってくれたものでもあるので嬉しさもあり...複雑な感情を抱えながら視線を空へと移します。

 

「あとどれくらいですかね?」

 

「おそらくもう少しだと思いますが...」

 

私はもう一度携帯の画面を見てみると時刻は五時五十分、いつ出てもおかしくない時間です。

 

「それにしても、今日から新しい年ってなんだがあんまり実感が沸きませんよね」

 

「そうですね...今年はどんな年になるんでしょうか」

 

「きっと去年よりも良い年になりますよ」

 

私の言葉にアサリさんはそう答えて笑いました。

それを見て思わず頬を緩めていると

 

「あっ!姐御、見えてきましたよ!」

 

不意に空を指さして声を上げたミオさんに釣られて上を見てみると、遠くの空が少しずつ眩い光を放ち始めているのが視界に映りました。

 

「綺麗です...」

 

「美しい朝日ですわ」

 

ゆっくりと、それでも確かな速さでその範囲を広げていく光...私達はその言い表せない美しさに目を奪われてしまいます。

やがてその全てを曝け出した太陽は完全に空を明るく染めて地上を見下ろしていました。

 

 

一月一日、今日ゲヘナは....いえ、この世界は新たな年の一歩を踏み出しました。

 

「先輩」

 

「...どうかしましたか?」

 

「その....年越しの時も言ったんですけど...今年もよろしくお願いします」

 

「...ふふ、ええ今年も」

 

私は小さくそう返しながら、もう一度空を見上げてこれからのことに想いを馳せるのでした。

 

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