ゲヘナに漂うお茶の味   作:Mrふんどし

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朝宮サエの日常6 ★

....茶室の入り口に張り紙がされていました。

 

どうやら私を名指しでの呼び出しの様です。

しかも紙の右端に書かれていたマークはよりによって”万魔殿”...もう嫌な予感がこれでもかと伝わってきますが、無視する訳にもいきません。

 

何とも言えない不安を抱えながら以前も棗さんに連れられた部屋へ向かってみると、物凄く不機嫌そうな羽沼さんが椅子に座りこちらを睨みつけている姿がありました。

 

私としてはそんな態度をとられる覚えが全く無いのですが...え、私がイブキさんを誑かした?一体何を企んでいるのか答えろ?

.....全く意味がわからないのでどういう事かと尋ねようとすると背後の扉が開き、そこから聞き覚えのある声と共に私の背中に軽い衝撃が走りました。

驚いて振り返ると、丁度話題に上がっていたイブキさんが抱きつきこちらを見上げて笑顔を浮かべています。

 

その瞬間羽沼さんがイブキさんの名前を呼んで絶叫しましたが訳がわかりません、何なんですか一体....

状況についていけずどうしたらいいのか困惑していた所、イブキさんに続いて棗さんが姿を現し部屋の中を見て溜息を溢しました。

 

改めて彼女から話を聞いてみると、以前お二人が茶室に訪れた際イブキさんが私に甘えていた事を雑談のつもりで話した所、羽沼さんが早とちりしてイブキさんが私に取られたと勘違いしたとの事。

...万魔殿に所属する全員がイブキさんを大切に思っていると棗さんから聞いていましたが、まさかここまでとは....

 

後で棗さんの方から誤解は解いておくとの事で、私は部屋から解放されたのでした。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

現在私は身体をロープでぐるぐる巻きに、口はテープで止められた状態でトラックの荷台に乗せられていました。

隣を見ると私と同じ状態にされたフウカさんがまるで死んだ魚の様な目をして遠くを見つめています。

 

殆ど拉致....というか拉致そのものなのですが、私達がこんな目に遭った原因となったのは勿論美食研究会のハルナさん達。

確かにここ最近大人しいなと思っていましたが全くそんな事はありませんでした。

 

ごく普通に茶室で過ごしていた所、凄い手際の良さで抵抗する間も無く連れ去られて今に至るわけですが、一体今回は何をするつもりなのでしょう。

 

そう考えている内にやって来たのは木々が生い茂っているのみでそれ以外特に何もない場所、何故こんな所に?と不思議に思っているとハルナさんが説明してくれました。

 

何でも秋の味覚とも呼ばれるサンマ、それをこの時期に秋要素をこれでもかと詰め込んで食せば秋の味を感じる事が出来るのかを確かめたいのだそうです。

 

....そんな疑問を解決する為にわざわざ私達をここまで連れて来たのかという思いも若干ありますがどうやら彼女達は本気の様で、フウカさんがサンマを焼くための新品の七輪、地面や木にくくりつける為に用意された大量の紅葉の造花、更に焼き魚に合うとの事で私が淹れる為の煎茶の茶葉と茶道具一式に畳まで揃えている徹底ぶり。

 

....ここまでされては流石に断る事は出来ません、そもそも帰る手段もハルナさん達が運転して来た給食部のトラックしかありませんし....仕方ありません、ここは彼女達に協力するとしましょうか。

 

 

―――――――――――――――――――― 

 

 

少し前は万魔殿に呼び出され、数日前は美食研究会に拉致され...最近私の身の回りで色々と起きすぎて少々疲れてきましたが、こんな時こそ心を落ち着かせるのが大切です。

 

...折角そう思っていたのにも関わらず、突如外から爆発音が聞こえてきました。

いきなりの事態に宇治さんは跳び上がり、狭山さんは...流石です、こんな時でも畳で気持ちよさそうに寝息を立てています。

 

とにかく外の様子を確認する為私と宇治さんは部室棟を飛び出しますが、そこには思いもよらない...いえ、少しだけ予想していた通りの光景が広がっていました。

部室棟付近の地面に空いた大きな穴、衝撃により辺りに立ち込める土埃、穴の周辺に立つ何人もの人影、その中から聞こえてくる高笑い...間違いありません、そこには温泉開発部の方達がいました。

 

確か今彼女達は別の場所で活動していた筈、そう考えているとこちらに気がついた部長のカスミさんがまるで私の心を読んだかの様に話し始めました。

 

彼女が言うにはこの辺りに温泉があると導き出した為、メグさんに残りの実行部隊を任せ自分達は急遽戻ってきたとの事。

....その割には目の前の穴からは一滴も温泉が沸いてない様に見えるのですが....え、見つからなくとも信じればそこに温泉は存在する?

芸術的な爆破が出来たからそれで良し?

駄目です、彼女の言う事が一向に理解できません...

 

私がカスミさんの話に頭を抱えていると、いつの間にか遠くの方から複数の怒声が聞こえてきました。

どうやらこの騒ぎを聞きつけた風紀委員がこちらに向かってきたようですが、それを先に察知していたカスミさん達は軽く別れの挨拶をするとすぐさまこの場から走り去ってしまいました。

 

.....本当に最近は疲れる事だらけです...

 

  

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