ゲヘナに漂うお茶の味   作:Mrふんどし

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朝宮サエの日常7 ★

ある日の事、フウカさんから今度食堂で提供するおかずの試食を頼めないかと連絡がありました。

 

他の子も是非一緒にとの事で私は二人を連れて食堂に向かうと、中にはフウカさんの他にもう一人見知らぬ少女が待っていました。

どうやら彼女が以前給食部に入部した牛牧ジュリさんだそうです。

お互いに顔合わせを済ませた後早速フウカさん達は調理に取り掛かり、その間テーブルで待つ事となった私は二人と話しながら時間を潰しているとやがて料理が運ばれてきました。

 

お皿に載っていたのは程よい大きさに切られたトマトに綺麗に盛り付けられた生姜焼き。

見た目もさることながら当然味の方も大変満足いくもので狭山さんに至っては誰よりも早く食べ終わりおかわりを要求している程でした。

 

その後ふと私はある事を思いつき、今日集まれたついでにもしよければ牛牧さんの料理も食べてみたいと口にしました。

が、それを聞いた瞬間フウカさんはピシリと動きを止め、何故か牛牧さんも苦笑いを浮かべています。

 

もしかするとまだ料理が上手く出来なくて心配なのでしょうか?私は別に気にしませんしこうして今日集まれた折角の機会ですから...そう話す私に彼女達はお互い顔を見合わせ何か小声で話し合うと、どこか緊張した様子で厨房へと向かっていきます。

 

そうして暫くして戻ってきた彼女によってお皿が運ばれ″それ”が私の目の前に置かれました。

 

....これは私の見間違いなのでしょうか。

置かれた皿の上には紫色の表面から緑色の液体が漏れ更には触手の様なものが生えた”何か”が載っています。

恐る恐る彼女に尋ねると、どうやらこれは先程と同じ生姜焼きを作った結果出来たものだそう。

隣に座る二人も心配そうに私を見つめていますが、私からお願いした手前ここでやはりいりませんと言うのは牛牧さんに失礼です。

 

.....大丈夫です、見た目だけ変えた食べ物というのはいくらでも売られていますしこれもそれと同じ類でしょう。

 

私はコクリと喉を鳴らしてその”物体”を口に近づけ....

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

今日は二人を連れて百鬼夜行へとやって来ました。

 

狭山さんが加入して暫く経ちましたし、宇治さんと同様そろそろ彼女用の道具を買っておこうかと思ったのも理由の一つですが、出来れば三人お揃いで着物を着てみたいという私の我儘もありました。

 

初め狭山さんは動き辛い服は苦手だと行くのを渋っていましたが、私が薄物ならば心配ないという旨を伝えると少し考え込んだ後に了承してくれました。

...まあその時宇治さんが溢した美味しい喫茶店があるという言葉に反応した様な気もしますが....何はともあれ早速必要なものを揃えるとしましょう。

 

宇治さんは二度目の百鬼夜行というのもあり慣れた様子で狭山さんを案内していき、私はそんな光景を微笑ましく思いながら二人に着いていきます。

 

それから急須等の道具を買い揃えた後、私達は以前お世話になったお店に到着しました。

中に入った狭山さんはキョロキョロと周りを見渡しますが、何を選んだら良いのかわからなかったようで少し不安気にこちらに尋ねてきます。

 

私はそんな彼女に麻の薄物を提案し何着か試着してもらった所、彼女はその着心地に満足したのかクルクルとその場で回り始めます。

私と宇治さんは、彼女に似合ってる旨を伝えると狭山さんは顔を上げてこちらに振り返りました。

 

その時見た彼女の顔に一瞬浮かんでいたのは、とても楽しそうな笑顔....

 

狭山さんのそんな表情を初めて見た私と宇治さんは思わず呆気にとられてしまいましたが、何故か彼女自身も驚いた様子で自分の顔をペタペタと触っています。

 

そんな彼女の姿が何だか可笑しく、それと同時に不思議と嬉しく思った私は珍しく声を上げて笑ってしまいました。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

今日も変わらぬ一日...という訳ではありません。

私は先程自分で淹れた抹茶を飲みながら襖の方を見つめていました。

 

いつもなら宇治さんが茶室にいる時間なのですが、既に一時間程過ぎています。

特に時間は指定してないのでいつ来て貰っても構わないのですが、彼女がここまで来るのが遅れた事はなかった為少々気になってしまいます。

 

そんな中不意にガチャリと部屋の扉の音が聞こえ襖が開かれると、フラフラとした足取りで狭山さんが茶室に入ってきました。

...話を聞いてみるとどうやら今日もまた宝くじにお金を全て使ってしまったそうです、最早当たり前と化してしまったその理由に私は小さく溜息を溢してしまいます。

 

私は彼女に煎餅を手渡しながら宇治さんの事で何か知らないかを尋ねてみると、私の言葉を聞いた狭山さんはキョトンとした表情を浮かべました。

彼女が言うには今朝モモトークに宇治さんから体調が悪いから休むと連絡があったとの事。

 

一応私も彼女とモモトークは交換していますがその様な連絡は一切届いていませんね....まさか嫌われてる?そ、そんな事はない筈です!昨日まで普通に接していましたし....な、ないと思いたいです....

 

私が冷や汗を流していると、きっと体調のせいでそこまで頭が回らなかっただけだろうと狭山さんに呆れた顔で言われました。

 

しかし、もしそうなら少し心配ですね...彼女は寮に住んでる筈ですから部屋に薬はあると思いますが、食事はきちんととれているのでしょうか....

 

 

....狭山さん、少し留守をお願いしますね。

 

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