今年最後の投稿となりました。
これからも不定期ながら朝宮サエの日常を投稿していきますので、来年もよろしくお願いします。
「本日はお集まりいただきありがとうございます」
天気の良い昼下がり、郊外にある街の一角で私は集まった住民の方々に向けてお礼とお茶についての説明をしていました。
去年から私がお茶の素晴らしさをもっと他の方にも知って欲しいという事で続けているこの会ですが、今回で五回目の開催となります。
個人的な思いで行っていた事ですが、有難い事に是非またやって欲しいとの要望をいただく様にもなり私としても非常に嬉しい気持ちでこの会を開けていました。
私の説明を聞いて実際に各々好みの茶葉や茶道具を用いてお茶を淹れていき、最後にそれを飲みながら和やかな雑談をする....参加者はご年配の方が殆どで形としては小さなお茶会の様なものですが、皆さんとても楽しげな様子でこの時間を過ごされていました。
「いやぁ、今回も開いてくれてありがとうね」
「中々こういう機会でもないと他の人と集まるのもないからねぇ。お茶も美味しいし、毎度助かってるよ」
「いえ、お気になさらず。私も皆さんとお話できてとても楽しいですから」
「まだ若いのに謙虚だなぁ、私が若い頃なんかもっとやんちゃだったのに」
「最近は使われなくなった建物をいきなり爆破させて、それを背景に写真を撮ったりとかそういうのが流行ってるんだろう?」
「私達も若い時は喧嘩で似たような事をやったが時代が違うと道具の使われ方も変わるもんだね」
各々の思い出話に耳を傾けながら、和やかに会は進行していきます。
それから暫くが経ち、そろそろ解散しようかという雰囲気になった時。
ドンッドンッ!
パパパパッ!!
「な、何だ?」
突然遠くの方から激しい銃声が鳴り響きました、それだけなら珍しい事でも無いのですが...何やら只事では無い様です。
私が状況を確認しようと様子を窺っていると、奥の通りから何名ものヘルメットを被った少女達が姿を現しました。
彼女達は全員同じヘルメットを被り、手には銃器を、腰の辺りにはいくつかの手榴弾で武装してあります。
どうやらこの騒ぎはあの方達の仕業の様ですが、そんな彼女達はこちらに気がつくとゾロゾロと列を作って向かってきました。
「おい!ここで何をしてる」
一番前にいたリーダーらしき人物がそう声をかけてきます。
「な、何なんですか貴方達は!」
「今日からここはあたしらトゲトゲヘルメット団が仕切る事になったんだ、だから勝手に何かされたら困るんだよ」
「そ、そんなの聞いてないぞ!?」
「あ?そりゃそうだ、ついさっき決まった事だからな。わかったらさっさとここから退きな...ああ、金になりそうなものは置いてけよ」
「そ、そんな....」
「いいからさっさと.....ん?」
住民の方とヘルメット団のやり取りを聞いていた私は、彼らを背に庇いつつ彼女達の前に立ち塞がりました。
「なんだお前」
「今日この場でお茶会を開いていた者です」
「お茶会...?」
「ええ、ともかくここで貴方達が好きに暴れていい理由は何もありません。それに私達が貴方達に従う理由も同様にありません、今すぐこんな事はやめてください」
「はっ!説得か?良い子ちゃんぶってんじゃねぇぞ!」
私の対応に怒りを露わにしたリーダーらしき少女は、手元の銃をこちらに向けて四方八方に撃ち始めました。
「わぁ!?」
「きゃあ!?」
どうやら威嚇の様でしたが、その何発かは私の背後に隠れていた住民の方に当たりそうになり、残りはテーブルに置いてあった湯呑みや急須にぶつかりそれらが粉々になってしまいました。
中に入ってあったお茶や砕け散った破片が辺りに散らばります。
「何をするんですか!危ないでしょう!」
「お前達が従わないからだ」
「これ以上やればただではすみませんよ!住民の方達に謝ってください!それに人のものを壊した事や会場をめちゃくちゃにした事も!」
「あいつらがすぐに動かないから教えてやっただけだ、何であたしらが謝る必要があるんだよ。壊れたのもただの入れ物だろ?それに何だ、お茶会だって?そんなどうでもいい事よりさっさと....」
「.....今なんと言いました?」
「は?」
「今、なんと言いました?」
「何言ってんだ?だからそんなどうでもいい事....」
バンッ
「「「「へ?」」」」
そう彼女が口にした瞬間、一発の銃声と共に私の前に立っていたリーダーらしき少女は目を回して倒れました。
周りにいた他の仲間達も何が起こったのかわからず呆気に取られている様子。
私は袖から取り出したハンドガンを彼女達に向けながらポツリと言葉を発しました。
「.....正座してください」
「えっ」
「正座してください」
「い、いきなり何言って」
バンッ
そう話す一人に向けて私が再度引き金を引き発射された銃弾は見事に彼女のヘルメットを貫通し、眉間を貫かれた少女は先程同様目を回して気絶しました。
「ひっ!」
残った彼女達は次第に状況を理解したのか、小さく悲鳴を溢しながらこちらを恐る恐る見つめてきます。
私はそんな彼女達に向かって”とてもにこやかな笑みを浮かべて”再度言葉を繰り返しました。
「皆さん、正座してください」
「「「「はい....」」」」
そこからはとにかく彼女達の行いがどれだけ悪い事か、不誠実な事かを延々と叩き込み、彼女達が馬鹿にしたお茶の歴史やその素晴らしさを教え込むと気づいた時には数時間が経過していました。
「....ふぅ、もう行っても構いませんよ」
「す、すみませんでしたぁぁぁぁぁ!」
私がそう伝えると彼女達は全員目に涙を浮かべながら頭を下げて逃げる様に去って行きます。
.....あれ、これは私やらかしてしまったのでは?
ようやく気分も落ち着き改めて冷静になって振り返ってみると、いくら何でも流石にやり過ぎだと言わんばかりの行動に私は頭を抱えてしまいました。
(あああああああああ!!!や、やってしまいました!気持ちが昂ってしまったとはいえ....私は何という事を....)
その後、住民の方からお礼や賞賛の言葉を貰いましたがどうにも微妙に気持ちが晴れず、その日私は重い足取りでゲヘナ学園へと戻る事となったのでした。