ゲヘナに漂うお茶の味   作:Mrふんどし

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朝宮サエの日常11 ★

今年何度も訪れている場所...私達は今回も百鬼夜行に来ていました。

理由は勿論、川根さんの着物を買う為です。

 

茶室内では私を含め基本着物を着て過ごしているのですが、川根さんはまだ来たばかり...けれども四人のうち三人が着物を着ている中、彼女一人制服姿でいさせるのは個人的に少し申し訳無く思っていました。

 

始めに提案した時は、『あたしが姐御達と並び立つのはまだ早いですから!』と断られたのですが、宇治さんや狭山さん...最終的には私の言葉に覚悟を決めた様な顔をした彼女は何故か物凄く気合を入れ了承してくれました。

いえ、ただの買い物なのでそこまで気を張る必要は無いのですが....。

 

そんな経緯もあり四人で買い物へと訪れ特に何事もなく購入し終えた時、お店を出て暫くしてから問題が起こりました。

なんと背後から突然現れた通行人に川根さんが持っていた買い物袋を奪われてしまったのです。

 

まさか盗まれるとは思っていなかった私達はすぐに反応出来ず、急いで追いかけますが犯人との距離は開く一方。

もう無理かと思った瞬間、突然上空から何者かの声がしたと同時に目の前を走っていた窃盗犯が一瞬のうちにロープで拘束されました。

 

それから私達の前に屋根から現れたのは、セーラー服と着物が組み合わさった格好に大きな狐の尻尾を持った少女でした。

 

その後色々と話をしたのですが、彼女...久田イズナさんは忍術研究部に所属しており、最強の忍者を目指し日々修行しているそうです。

 

確かに先程の身のこなしはまさに本物の忍者の様でした、きっとその夢を目指し今までひたすら努力を重ねてきた結果なのでしょう。

私がお礼と共に彼女の動きを賞賛すると久田さんは嬉しそうに尻尾を振り、それから彼女はサササッっと擬音を口にしながら走り去っていったのでした。

 

ふむ、百鬼夜行にも学園があるのは知っていましたが、私の知らない彼女の様な方達がまだ沢山いるのでしょうか?

 

基本買い物でしか来た事がありませんでしたし、今度時間がある時にゆっくり百鬼夜行の地を巡るのもいいかもしれませんね。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

そろそろ夏休み...という事はもうすぐテストの時期でもあります。

正直大半の方が授業に参加しないこの学園ではあまり意味の無いイベントの様な気もしますが....一応私は問題ないレベルで勉強はしているのでおそらく大丈夫でしょう。

 

宇治さんも普段から真面目に授業を受けているのでそこまで心配はしていないとの事。

ですがふと視線をずらしてみると、そこには額に汗を浮かべながら顔を背けている二人の姿が.....。

 

いえ、狭山さんは昼間はバイトをしていますし、川根さんは最近までずっと郊外で過ごしていたので確かにお二人が勉強をしていないのはわかっていましたが...話を聞くにどうやら試験範囲の殆どがわからないレベルだそうです。

 

え、教えて欲しい?...ですが試験当日までそこまで期間はありませんし、今から全範囲を覚えるとなると中々厳しそうですが.....わ、わかりました!わかりましたから!そんなに頭を下げないでください!

 

...しかし普段勉強をしていない分、当日まで彼女達のやる気や集中力を維持させるのは難しいでしょう。

そうですね、ではもし結果を出せたら何かご褒美をあげましょうか。

欲しいものでも、したい事でも、可能な限りは協力しますよ。

 

私がそう提案すると、彼女達はやる気に満ちた顔で早速教科書を取りに茶室を出ていきました。

まあこれでお二人が頑張れるのなら私も精一杯手を貸すとしましょう。

 

おや、宇治さんどうかしましたか?....え、宇治さんもご褒美が欲しい?

は、はあ、まあ構いませんが....

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

私が茶室で静かにお茶を飲んでいた時、バンッと大きな音を立てながら襖が勢いよく開かれました。

そこには無表情ながら僅かにわかる程度にドヤ顔を浮かべた狭山さんが立っており、彼女は一枚の紙をこちらに見せつけています。

 

おお!この前のテストが返ってきたのですね...54点、あれだけの短い期間でここまで取れれば大したものじゃないですか!

 

私が喜びで彼女を抱き抱えていると、同じく答案を持って走ってきた川根さん、それから暫くして宇治さんもやって来て茶室に全員が揃いました。

 

川根さんは51点で宇治さんは...86点。

ふむ、川根さんも一生懸命頑張ってましたからね、嬉しいですよ。

宇治さんは流石ですね、皆それぞれ良い気分で夏休みを迎えられそうで何よりです。

 

ああそうでしたご褒美ですね、勿論良いですよ。

あくまで私に出来る範囲になりますが...そう言うと早速狭山さんが口を開き一枚のチラシを見せてきました。

 

狭山さんはそのチラシに載っていた限定品の高級饅頭が欲しいようです...た、確かにこれは中々の値段ですね。

まあ頑張ったご褒美ですからいいでしょう。

 

川根さんは...私にこの本の主人公のコスプレをして欲しい!?で、ですがもしそれをするなら色々準備が必要ですし....え、服やウィッグはもう持ってる?

わ、わかりました、それが希望なら私も腹をくくるとしましょう。

 

最後に宇治さんへ尋ねてみると、彼女は少し無言になった後私達を見つめ、『皆で海に行きたい』と呟きました。

 

実は前から全員で何処かに遊びに行きたかったそうですが、遠慮もあり中々言い出せなかったとの事。

そこで折角の夏休みという事で、今回のご褒美を理由に海へ行くのはどうかと考えたのだそうです。

 

確かにこれまで一緒に買い物をしたり等はありましたが、彼女達と本格的に遊びに出かけたりはした事がありませんでした。

それに皆さんと海に行くとは、夏休みの良い思い出になりそうです。

 

海...良いじゃないですか、是非行きましょう。

 

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