ゲヘナに漂うお茶の味   作:Mrふんどし

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朝宮サエの日常12 ★

私達の通うゲヘナ学園にもとうとうやってきた夏休みシーズン。

他の方達がそれぞれ思い思いの休みを満喫している中、私達四人は今ゲヘナ郊外の商店街に来ていました。

理由はこの前の試験で結果を出した狭山さんのご褒美を叶えるためです。

 

彼女が希望したお饅頭はどうやら数に限りがあり尚且つ一日の販売時間も非常に短いのだとか。

その為予め並んでおこうと考え初めは私一人で来るつもりでしたが、彼女達も一緒に来たいとの事で全員で向かうことになったのです。

 

私達の前にも既に結構な人数が並んでいる事から余程人気の商品なのでしょう、そんな事を考えていると不意に私を呼ぶ声が聞こえてきます。

その声に振り向いてみると、なんとこの前出会った阿慈谷さんがこちらに手を振っていました。

 

どうやら彼女はまたモモフレンズのグッズを買いに来ていたらしく、ニコニコと笑いながら先程購入したであろう大きな抱き枕を見せてくれました。

 

...相変わらず独特の顔つきに不思議な可愛らしさを持つキャラクターですね、まだ売っているのなら私も今度買いに来てもいいかもしれません。

 

それからも彼女と話していく内に話題が夏休みの話になり、その中で私達が今度アラバ海岸へ行く事を話すと阿慈谷さんもトリニティ地区にある海に遊びに行く予定だと教えてくれました。

...その際に彼女が『戦車を調達しなくては』と呟いた様な気もしましたが、きっと聞き間違いでしょう....。

 

そんな彼女と色々な話をしていた時、突然前方から銃声が聞こえそちらに目を向けると、そこには先程まで並んでいた子達が何故か争っている姿が。

聞こえてくる声から察するに、どうやら待てなくなった一部の人が列に割り込んだ事で喧嘩が起こってしまった様です。

 

ただお饅頭を買いに来ただけなのに何故こんな事に....仕方ありません...宇治さん、狭山さん、川根さん、お店にも迷惑ですから彼女達を止めますよ。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

今日は川根さんのご褒美を叶える日...私の目の前では、彼女によって着々と準備が行われています。

本来であれば着替えて終わりの筈だったのですが、直前になって彼女からその姿を撮ってもいいかと尋ねられました。

 

正直こういう衣装を着るという事自体初めての為流石に恥ずかしさがあったのですが、絶対に他の人に見せないと強く言われ更に頭まで下げられてしまったので思わず了承してしまいました。

 

それからいよいよ準備も終わり、私は未だに内心渦巻く羞恥心を抑えつつ川根さんが用意してくれた服を持って着替え用の小部屋に入ります。

 

教えられた手順通りに金髪のウィッグを頭に被り、顔には黒いマスクをつけ、着物を脱いだ後に襟を立てさせた制服を着ていきます。

最後に大きな帽子を片目が隠れる様に被ってから茶室にに設置された鏡の前に向かうと、そこには普段の私とはまるで別人の様な少女が映っていました。

 

こ、これが本当に私なのですか...?

自分の事とはいえ、あまりの変化に私は鏡の中を覗き込んでしまいます。

川根さんは私の姿を見て歓喜の涙を流し、他のお二人も感嘆の声を上げパチパチと拍手してきた為、その反応に少々恥ずかしくなった私は顔を思わず背けてしまいました。

 

その後落ち着きを取り戻した川根さんにいくつも写真を撮られたり、主人公が話したセリフを求められたり等色々ありましたが、暫くして彼女も無事満足してくれたのか大変良い笑顔を浮かべながらお礼をしてきます。

 

そんな中ようやく一息つけると安心していると、不意に外からフウカさんが私を呼ぶ声が聞こえてきました。

どうやら以前私が食堂に行った際、そこでハンカチを忘れていった事を思い出し届けに来てくれたとの事。

 

わざわざありがとうございます...フウカさん、そんな驚いた顔をしてどうかされましたか?

え、私が不良になった?一体何を言って...あっ、そうです!つい着替えるのを忘れてました....!

 

ち、違うのですフウカさん、この格好はですね....あぁ!ま、待ってください!

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

まだ日も明るい時間帯、私はゲヘナ学園の校門前に立ち皆さんの到着を待っていました。

 

何故なら今日は海へ向かう日だからです。

皆さんと初めて遊びに出かけるという事で自分でも珍しく気分が浮ついているのがわかります。

 

更に目的地が海である都合上、着物では動き辛いだろうと考え今日は私服を着ているのですが、普段と違う格好をしているというのも余計に気持ちをそうさせるのでしょう。

 

そんな事を考えていると、遠くの方から宇治さんが手を振りながらこちらに走って来るのがわかりました。

彼女は私が既に待っていた事を気にして謝ってきましたが、『楽しみで早く着きすぎてしまった』と素直に言うのは恥ずかしかった私は特に気にしていないとだけ伝えると、それから少しもしないうちに川根さんと狭山さんも姿を現しました。

 

私達を見た川根さんはいつも以上に元気な様子で挨拶をしてきましたが、何故か隣にいた狭山さんは少し落ち込んでいるようです、一体何が...え、来る前に買った宝くじが全部外れた?

 

話を聞いてみるとどうやら初めて四人で遊びに行く記念に久々に購入したとの事ですが、それが全てハズレだった事にショックを受けていたようです。

...相変わらずの彼女の行動に最早驚く事もなくなってきましたが、きっと海に行けば彼女の気分も晴れる事でしょう。

 

それから気を取り直して備品として借りた車に持ってきた荷物等を詰め込んで走らせる事暫く、突然後ろの席に座っていた川根さんが少し困った様子で声をかけてきました。

 

何でも今向かっているアラバ海岸でスケバン集団の『破茶滅茶』と『びしょびしょヘルメット団』と呼ばれるヘルメット団が抗争をするとの情報をSNSで見つけたそうです。

 

.....閑静なリゾート地という事でゆっくり休めるかと思い今回の目的地として選んだのですが、やはりどんな場所であろうとゲヘナの中にある以上変わらないのかもしれません。

 

まあ既に結構な距離を進んでしまいましたし、泊まるコテージも予約してしまったので今更引き返すのもアレでしょう、ひとまず気にしない事にしてこのまま向かうとしましょうか。

 

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