ゲヘナに漂うお茶の味   作:Mrふんどし

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とうとう50話目です、これからもゆっくりとですが投稿していきます。

感想にあったので、四人の大まかな設定身長を載せておきます。
(あくまで本作品を書く前にある程度決めていたものに過ぎないので、あまり気にしなくても大丈夫です)

サエ   154cm
アサリ  158cm
キョウカ 146cm
ミオ   167cm



いざ海へ

「服装良し、荷物良し...」

 

ゲヘナ学園内にある寮の一室にて、私は自身の姿とスーツケースの中身を指差しながら何度も確認作業を繰り返していました。

鏡を見ながら髪はハネていないか、着ている服装はおかしくないか、それらをいつも以上に念入りにチェックしていきます。

 

何故ここまで慎重なのか、それはついに今日が先輩達と一緒に海へ遊びに行く日だからです。

 

私としても他の人と一緒にどこか遊びに出かけるだなんて経験は今までした事が無く、しかもそれが夏の定番と言っても過言ではない海に行くとなればその喜びは言葉では言い表せません。

 

それゆえに万が一忘れ物等してしまえば折角の思い出が残念な事になってしまいますし、先輩達にも迷惑をかけてしまいます、それだけは何としてでも避けないといけません。

 

幸いな事に集合時間までにはまだ余裕があるので今から出ても充分間に合うと思います。

 

「....よし!」

 

それからようやく何度めかの確認を終えた私は、スーツケースを閉じて気合いを入れながら立ち上がると寮の部屋を飛び出していきました。

 

 

 

 

「あ、先輩...」

 

スーツケースを引きながら学園の敷地内を歩いていると、何と集合場所である校門前には既に先輩の姿がありました。

 

(も、もしかして時間を間違えた!?いやでもちゃんと確認したし....とにかく急がないと)

 

まさかもう先輩がいるとは思いもよらず驚いてしまいましたが、理由がどうであれ先輩を待たせてしまっていた事には変わりありません。

私は足を動かすスピードを早め手を振りながら近づいていくと、先輩はこちらに気づいたようで顔を上げ口を開きました。

 

「宇治さん、おはようございます。早かったですね」

 

「おはようございます!あ、あの私もしかして遅れちゃいましたか?そうでしたらごめんなさい...」

 

「ああ別にそう言う訳ではありませんよ、気にしないでください。ただ...私が念の為早めに来ていただけですから」

 

どうやら迷惑はかけていなかったみたいでひとまず安心です。

先輩の言葉に胸を撫で下ろした私は焦っていて気がつかなかったのか、そこでようやく目の前の先輩がいつもと大きく違う格好をしている事を認識しました。

 

普段であれば夜会巻きに纏めている髪も今は動きやすい様にかポニーテールに、更に服装も着物ではなく上はゆったりとした白色のブラウス、下は反対に黒色のワイドパンツを身につけています。

 

「...ああ、これですか?海に行くのなら流石に普段の着物のままだと動き辛いかと思いまして、この前ショッピングモールに行って購入したんです」

 

私の珍しいものを見る視線を受けてか先輩がそう答えました。

 

「まあ生憎こういう服には詳しくなかったので全て店員の方にお任せしたのですが....似合ってますかね?」

 

「...あ、は、はい!凄く似合ってます!完璧です!」

 

私は普段と違う先輩の姿に思わず見惚れてしまい反応が遅れ、慌てていたせいでそんな単純な感想しか伝える事が出来ませんでしたが、それを聞いた先輩は嬉しそうに微笑んでくれました。

 

「ありがとうございます、宇治さんもとてもお似合いですよ....おや、どうやらお二人も来たみたいですね」

 

「え、あ、本当ですね」

 

先輩の言葉に振り返ると、そこにはさっきの私同様にスーツケースを引きながらこちらに走ってくるキョウカちゃんとミオちゃんの姿が。

 

二人の服装もやはりいつもと違って新鮮で、キョウカちゃんはサイズが大きめの青いTシャツに紺色のショートパンツ、ミオちゃんはジーンズに黒いジャケットを羽織った姿をしていました。

 

「遅くなっちゃってすみません!姐御、アサリさん、おはようございます!」

 

「ごめん、待った?」

 

「問題ありませんよ、お二人も良く似合っていますね....狭山さん、大丈夫ですか?もしかして気分でも悪いとか...」

 

ふと溢した先輩の言葉に私もつられてキョウカちゃんを見てみると、確かにいつもよりもどこか顔が暗く見えます。

もし体調が悪いのに無理にでも来たとしたら大変です、先輩もそう思ったのか心配そうに彼女に理由を聞くと

 

「...ここに来る前買った宝くじのスクラッチ全部外した」

 

「「え?」」

 

あまりに予想外すぎる答えが彼女の口から飛び出し、思わず私と先輩は聞き返してしまいました。

でもキョウカちゃんに嘘を言ってる雰囲気は全く無く、さも当然の様な顔をして言葉を続けます。

 

「だからそれで落ち込んでた、でもみんなの顔見て少し良くなったから大丈夫」

 

「...一応聞きますが何故そんな事を?」

 

「最近全然買ってなくてお金余ってたから、それにサエ達と初めて遊びに行く記念で今なら当たるかもって」

 

「...それで買いに行こうとする行動力がある意味凄いのですが....はぁ、何だか狭山さんらしくて逆に安心しましたよ」

 

「あはは...」

 

「...何かキョウカさんって結構凄いんですね」

 

なんだかんだいつもと変わらない彼女の様子に安堵した先輩は一つ溜息をつくと、それから私達の方に向き直り告げました。

 

「まあひとまず三人とも何も問題ない様で何よりです。予定の時間はまだ先ですが、皆さんが良ければもう出発しようと思うのですが如何でしょう?」

 

「そうですね、良いと思います」

 

「あたしも大丈夫です!」

 

「うん、良いよ」

 

「わかりました....では皆さん行きましょうか、アラバ海岸に」

 

こうしてその日、私達の本格的な夏休みが幕を開けたのでした。

 

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