ゲヘナに漂うお茶の味   作:Mrふんどし

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朝宮サエの日常13 ★

車に揺られる事数時間、私達はようやく目的地であるアラバ海岸西エリアへと辿り着きました。

 

車を停め遠くに見える海や砂浜を見てみると、普段とは違い開放的なその景色に宇治さん達も目を輝かせているようです。

 

私もそんな光景に思わず目を奪われていたのですが、ひとまず持ってきた荷物を置くのが先だと考え皆さんを連れて予約していたコテージへと足を運んでみると、そこは何故か予想とは反し物静かな空気が漂っていました。

 

今は丁度夏休みシーズン真っ只中、その為この時期私達以外にもここに来るお客が大勢いてもおかしく無いと考えていたのですが....

 

そう思っていると人柄の良いコテージの管理人の方がこちらに声をかけ、私達の不思議そうな顔を見るとポツポツと事情を話してくれました。

 

本来であれば他にもお客が来る予定だったそうですが、どうやら直前になってこの近くでスケバン集団の『破茶滅茶』と『びしょびしょヘルメット団』の抗争が起こるという情報を知り、そのせいで予約をキャンセルされてしまったとの事。

 

その影響で開店予定だった海の家等の他のお店の関係者も全員撤退してしまい、今現在この辺りは普段よりも寂しい状況になってしまったのだとか

 

...ここに来る前にチラッと川根さんからそんな集団がいるとは聞いていましたがそこまで影響を与えてしまっていたとは...まあ一応バーベキュー用の道具は積んできましたし、少し歩けばスーパーがあるとの事なので食材はそこで買えば問題ないでしょう。

 

ひとまず持ってきた荷物を整理するとしましょうか...既に反対側の東エリアから銃声が聞こえている様な気もしますが、幻聴という事にしておきましょう。

 

 

―――――――――――――――――――― 

 

 

現在私は一人買い物袋を手に下げながらコテージまでの道のりを歩いていました。

 

あれからコテージの寝室にて荷物を整理した私達でしたが、海を楽しむ前に今のうちに夜のバーベキューで使う食材を揃えてしまおうという事になり、最終的に私が買い出し役を引き受けたのです。

 

宇治さん達は私一人に任せるのは申し訳ないと仰っていましたが...折角海に来たのです、彼女達には楽しんで貰いたいですし、こういうのは先輩である私が率先してやるべき役割でしょう。

 

そんな事を言って彼女達を説得した私は、それから無事買い物も終え帰っている最中に思いもよらない人達に遭遇しました。

 

それは、何やら大量の袋を抱えているハルナさん達...美食研究会の方々です。

 

何故彼女達がここに?と私が一瞬動揺していると、ハルナさんはこちらに気がついた様でニコニコと微笑みながら声をかけてきました。

 

どうやらハルナさんが言うには″夏の海岸やお祭り騒ぎの中で食べる焼きトウモロコシは何故美味しいのか″について研究する為にここへ来たそうです。

 

相変わらず食への探求が凄いとある意味関心してしまいますが、ここで祭りが行われるのでしょうか?そんな話は知らなかったのですが....

 

少し不思議に思いつつ彼女達と話をしているとそろそろ″お祭り″が始まる時間らしく、ハルナさんは私にトウモロコシの入った袋を一つ渡すと早足にその場を去って行ってしまいました。

 

....どこかハルナさんの物言いが気になりますが、私も三人を待たせる訳にはいかないので急いで戻りましょうか。

ありがたい事に大量のトウモロコシを貰いましたし、少し多いくらいですがこれだけあればご飯としては十分ですね。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

買い物から帰り食材をコテージに置いた後、それから私達は水着に着替えるといよいよ海へと繰り出しました。

 

私の水着は今回の私服と一緒に買ったもので、上はパーカータイプのラッシュガードを羽織り、下はショートパンツ型のものを。

宇治さんは少し丈の長い黄緑色のワンピースタイプの水着を少々恥ずかしそうにしながらも着こなしています。

 

川根さんが着ているのはタンキニと呼ばれるタイプの水着らしく、上下黒色のそれが彼女のスタイルの良さを際立てています。

そして狭山さんは....何故かウェットスーツに浮き輪という奇抜すぎる組み合わせをしていました。

 

どうやら以前素潜りの様子をテレビで見たらしくそれに影響を受けて購入したは良いものの、その後自身があまり泳げない事を思い出したそうです。

...まあ狭山さんは特に気にしていないようなので良しとしましょう。

 

やはり海というのもあり気付かぬうちに気分が上がっていたのか、それから時間を忘れる程に私達は遊びに徹しました。

 

みんなで海に入り気の済むまで泳ぎ続けたり、休憩と称し足元の砂で思い思いの作品を作り上げたりと...側からみれば少し子供っぽいと思われるかもしれませんが、私達は構わず夢中になって″夏休み″を満喫していました。

 

....それからどれほど経ったでしょうか。

多少日も暮れ始めた頃、私達はバーベキュー用の鉄板を取り囲みながら夕食の準備を進めていきます。

 

昼間に購入したお肉や野菜にハルナさん達から貰ったトウモロコシを鉄板の上に乗せていくと、徐々に食欲を唆る良い香りが漂ってきます。

 

....が、三人が楽しそうに食材を焼きその隣で私が持参した道具で全員分のお茶を入れていると、突然私達以外の足音が聞こえてきました。

急いで辺りを見渡してみると、なんとそこにはスケバン風の制服や被っているヘルメットがボロボロになった複数の不良らしき少女達がフラフラと近づいてくる姿が。

 

少し警戒してみたもののどうやら何かをしてくる気力も無いようで、彼女達はグッタリとその場に倒れ込んでしまいました。

 

...仕方ありません、このまま放っておくのは可哀想ですし....私達だけでは全部は食べきれませんしね。

 

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