ゲヘナに漂うお茶の味   作:Mrふんどし

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探求中の出会い

「ねぇ!ほんとにあの情報って合ってるのよね?」

 

「ええ、間違いありませんわ」

 

少々人混みの多い街中にそんな少女達の声が響き渡る。

 

「場所も時間も確認した通りで問題ありません、もう少しすればあの海岸の東エリア付近に大勢の見物人や集団が集まる筈ですわ」

 

この先に起こりうるであろう事に胸を躍らせ、目を瞑りながら歩く銀髪の少女。

 

「うふふ、一体どれ程の催しになるのか楽しみですね〜」

 

そんな彼女の隣をニコニコと楽しそうに笑いながら歩く金髪の少女。

 

「折角ここまで苦労して運んで来たんだし、絶対成功させてやるんだから!」

 

そう言って息を切らしながらも一人やる気に満ち溢れている様子の赤い髪の少女。

 

「ふぉんあにほひひいはららいひょうふらよー」

 

そして彼女達の中で唯一水着を着て、口いっぱいに食べ物を頬張っている少女。

 

一見すればただ四人の少女が仲良く歩いているようにしか見えない光景に過ぎないだろう....彼女達全員がその背中に大きく尋常ではない程大量のトウモロコシの袋を抱えている点を除けばだが。

 

「食べながら言われても全然わからないんだけど」

 

「んぐ...こんなに美味しいから大丈夫だよ!」

 

「っていうかそもそも売る為に持ってきたんだから食べちゃ駄目でしょ!」

 

「え〜」

 

「まあまあ、少しくらいは大丈夫ですよ。それに私も何だかお腹が空いてきちゃいました〜」

 

「アカリまでイズミと一緒になったら無くなっちゃうから駄目!」

 

「...うふふ、また一つ美食の探求が出来ると思うとドキドキしてきましたね」

 

そんな彼女達....美食研究会はいつもの様に彼女達が考える″美食″を追い求める為、今回はアラバ海岸へと足を運んでいた。

 

″夏の海岸やお祭り騒ぎの中で食べるトウモロコシは何故いつもより美味しく感じるのか″...そんな(彼女達にとって)崇高な疑問を解決するのが今回の美食研究会の目的だ。

 

だがそれを叶える為にはただ普通に食べてみるだけでは当然駄目...それに海岸やお祭り騒ぎ、どちらかの条件のみを揃えるだけでは完璧に美食を追い求めたとは言えないだろう。

 

けれども美食の神は悩む四人を見捨てなかったのだ。

 

「まさかこんなに良いタイミングでヘルメット団とスケバンの全面戦争があるなんてラッキーでしたね〜」

 

「噂通りならかなりの人数が集まるらしいし大繁盛間違いないわね」

 

「シチュエーションは完璧、この機をみすみす逃すのは美食研究会としての名が廃ってしまいます...是非とも最高の焼きトウモロコシを完成させなければ」

 

「焼きトウモロコシ楽しみ〜、売れ残ったら食べていいんだよね?」

 

「駄目よ!絶対に全部売り切ってやるんだから」

 

そうして四人それぞれがこれから先の未来を思い浮かべながら歩いている時だった。

 

「おや、あちらの方は...」

 

「どうかしたの?」

 

不意に足を止めたハルナはある方向を見つめ声を上げる。

彼女の反応に三人もつられて同じく視線を向けると、そこに居たのは髪をポニーテールに纏め、今の季節に合った涼しげな格好をして買い物袋を運んでいる一人の少女。

 

彼女の方もハルナ達の視線に気がついたのか、四人を見つめる少女の顔には驚いた表情が浮かんでいる。

だが四人にはその少女にどこか見覚えがあった、それも最近自分達と行動を共にした少女の内の一人で....

 

「あらあらサエさんではありませんか、奇遇ですね」

 

「...やはりハルナさん達でしたか、まさかここで出会うとは思っていませんでした」

 

見知った人物との思わぬ邂逅にハルナが一人近づき声をかけると、その正体は彼女達の予想通りお茶飲み同好会の朝宮サエだった。

 

「普段とは随分雰囲気が違ったので驚きました、とてもよく似合っていますわ」 

 

「ふふ、ありがとうございます...ところで、どうしてハルナさんはここに?」

 

自身の服装を褒められどこか嬉しそうに微笑んだサエは、彼女達の後ろにある大量の袋を見ながら不思議そうな顔をしてハルナに尋ねてきた。

 

「まあハルナさん達の事ですから、きっと何か食べ物について探求しに来たのは想像できますが...」

 

「うふふ、まさにその通りですわ。今回はこちらのトウモロコシを使おうと思っておりまして」

 

「トウモロコシ、ですか...?」

 

首を傾げながらまだよくわかっていない様子のサエに、ハルナはこれから自分達が行おうとしていた″美食の探求″について語っていった。

当然スケバン集団とヘルメット団の抗争の件等ぼかす部分も混じえながらだが、最後まで話を聞いたサエはどこか納得した様子で頷いている。

 

「成る程...相変わらずハルナさん達らしい理由でなんだか私も安心しましたよ」

 

「ええ、なので丁度これから行われる″お祭り騒ぎ″に参加するつもりなのですが....ちなみにサエさんはどうしてこちらに?」

 

「私は夏休みの思い出作りとして宇治さん達と一緒に海に遊びに来ていたんです、先程夜ご飯の材料を買い終えた所でして」

 

「そうでしたか、折角であればサエさんを″お祭り騒ぎ″にお誘いしようとも考えていたのですが...そういう事情でしたらお邪魔する訳にはいきませんわね」

 

「ちょっとハルナ!急がないとそろそろ始まっちゃうんじゃないの?」

 

お互い話をしていると、二人から離れた所で待っていたジュンコが急かす様に声をかけてくる。

それを受けてハルナも携帯を取り出し画面を見てみると、彼女の言う通り予定の時刻がそろそろ迫ってしまっていた。

 

「おや、残念ながらもう時間のようです....では折角ここで会えた記念にこちらをどうぞ」

 

そう言ってハルナは先程まで背負っていた袋の一つを手に取りサエに手渡した。

そこに入っているのは当然満杯になるまで中に詰め込まれた美味しそうなトウモロコシ。

 

「え、でもこれはハルナさん達がこれから使うものなのでは...」

 

「まだまだ在庫には余裕があるのでこれくらい問題ありませんわ。それに、大切な思い出を作ろうとする際に食べるトウモロコシの味というのも中々興味をそそられるものですから....それではサエさん、後日またその感想をお聞かせくださいな」

 

「は、はぁ...」

 

それだけ言い残し少々困惑気味のサエと別れたハルナ達は、それから早足に目的の海岸を目指し駆け抜けて行ったのだった。

 

 

...その後四人は予定外にも現れた風紀委員と交戦する事となるのだが、それは別のお話。

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