次回以降の話は既に考えてはいるのですが、書く時間があまり確保できず取り掛かれていない状態です。
その為もしかすると次の投稿日は少し遅れるかもしれません。
書けたらいつも通りの間隔で投稿していきます。
「「「「ご馳走様でした」」」」
海から離れた場所にある木陰の中で、それぞれ手を合わせ食事の挨拶を済ませる八人の少女達。
あれだけ量のあったスイカですが、ハルナさん達が参加してくれたおかげで一つも残さず綺麗に食べ切れましたし、昨日残ったトウモロコシやポップコーンも合わせて丁度良い具合にお腹を満たす事が出来ました
「見た目から予想はしていましたが想像以上でした。綺麗な朱色に口に含んだ際の食感、果肉に凝縮された甘み、どれ一つとっても非の打ち所がない素晴らしいスイカでしたわ。これをくれた管理人の方に私からも是非お礼を申し上げたいくらいです」
どこかうっとりとした表情を浮かべながら頬に手を当て感想を話すハルナさん。
確かに私も今回のものが今まで食べてきたスイカの中で一番美味しいと自信を持って言えるので、彼女の気持ちはとても理解できます。
「ふぅ...なんか久しぶりにこんなに落ち着いて食べられた気がするわ」
その隣に座るジュンコさんは彼女達の中では一番少食でしたが、普段はこういう場面で何かしらアクシデントが起こる事が多いらしく、何事もなく食事が出来た事に満足そうにしています。
「ん〜!美味しかった!」
そう呟きながら少し離れた所で砂浜に寝転がっているイズミさん。
彼女は先程までスイカやトウモロコシに謎のソースをかけ、それを当然のように食していたのですが、本当に身体に影響は無いのでしょうか...?
「そうですね〜、晩御飯までの丁度いい繋ぎになりました♡」
そして今回私達を含めて一番食べていたのはアカリさん....にも関わらず、彼女はまだどこか余裕そうな笑顔を浮かべています。
確かに以前から彼女は他の方に比べて大食いであるとは知っていましたが、まさか私が目を離した隙にあの大きなスイカが一瞬にして消えるとは思いませんでした...普通に考えれば胃の容積的にあり得ない筈なのですが....
「四人ともありがとうございました、私達だけでは食べ切れませんでしたし、お陰でとても楽しい時間を過ごす事が出来ました」
「はい、私も先輩のお話とか色んな事を聞けて楽しかったです...!」
宇治さんの言葉に頷いている狭山さんと川根さん、どうやら私が席を外している間に彼女達はハルナさん達から去年の私について教えて貰っていたそうです。
まあそれ自体は特に構いませんが...その頃の私は殆ど一人茶室で過ごしていただけなのであまり面白い話は無いと思うのですが...
「こちらこそ貴重な時間を共有する事が出来て大変嬉しかったですわ...さて、ここですべき事は終えましたしそろそろお暇すると致しましょうか」
「そういえばあんた達は帰る手段あるの?私達はこれから別の場所に行くつもりだけど」
「ええ、学園の備品の車を借りてきたので問題ありませんよ」
ふむ、ジュンコさんの物言いだと私達より先に別の車を借りていたという事でしょうか?
でも確か備品の名簿欄に彼女達の名前は無かった様な気が....
まあ何はともあれハルナさん達の言う通りやりたかった事は一通り出来ましたし、約束した時間までに備品を返さなければならないので、最後の片付けを終え荷物を持った私達は全員で駐車場へと移動しました。
「....あの、ハルナさん」
「はい、何でしょう?」
「いえ、その...ハルナさん達がお借りした車というのはもしかして”アレ”ですか?」
「?ええ、その通りですわ」
が、そこに停まっていた一台の車を見た私は思わず動きを止めてしまいました。
何故ならそこに停まっていたのは、どこか見覚えのある車両....”給食部のトラック”だったからです。
主に給食の食材の搬入に使われているもので、私はここに来る前にフウカさんが『最近ようやく新調できた』と話していたのを思い出していました。
「ご心配無く、今回はしっかり事情を話してフウカさんから譲って頂きましたから。帰ったらちゃんとお返しするつもりですので」
ハルナさんは自信満々な様子でそう答えてくれましたが.....一応学園に戻ったらフウカさんに労いのお茶でも淹れるとしましょうか。
「それでは私達はお先に失礼致します、皆様方も気をつけてお帰り下さい」
「また今度美味しいお茶飲ませてねー!」
「先輩方も、今日はありがとうございました!」
「じゃあね」
彼女達に別れを告げると、ハルナさんはこちらに親指を立てながら華麗に去っていきます。
「それにしても、色々とありましたが良い小旅行でしたね...」
だんだんと四人の乗るトラックの影がこの場から遠ざかっていくのを見届ける最中、私はポツリとそう呟きました。
今まであまりこういった事をしてこなかったというのもあり全てが新鮮に感じられた今回の休暇、ですがそれが終わる事でどこか寂しいという気持ちも同時に沸き上がってきます。
「私、みんなと遊びに来れて良かったです」
「うん、私も」
「絶対また来ましょう!何なら今度は温泉なんかどうです?」
「今から温泉となると少々気が早いですが...そうですね、その時になったら行ってみてもいいかもしれません」
あれから少し経ち時刻は既に夕方、フロントガラス越しに外を覗いてみると、そこには夕焼け色に空が染まっている光景が広がっていました。
昨日も同じ様な景色を見ている筈なのですが、今眼前に映し出されている光景は不思議とまるで違うものの様に感じられます。
「.....」
そんな景色を静かに見つめていた私は、不意に自身の横や背後に座る少女達に意識を向けました。
行きと同様助手席に座っている宇治さんに、後部座席に仲良く並んで座る狭山さんと川根さん。
ルームミラー越しに見える彼女達は全員目を瞑っており、耳を澄ませてみれば微かに寝息も聞こえてきます。
「....ふふっ」
そんな三人の姿を見て、どこか微笑ましく思った私は小さく笑みを溢しました。
「....来年もまた遊びに来ましょう...きっと」
そう誰に聞こえる事のない独り言を呟いた私は再び意識を目の前の夕焼けに向け、ゲヘナ学園を目指し車を走らせていったのでした。