今回後書きに今後の投稿についての連絡を載せました。
読んでいただけるとありがたいです。
「うぅん...」
「「.....」」
先程山道を降りて十分程経過した現在、私達の目の前には車の後部座席で静かに目を瞑る謎の少女がいました。
あれから棗さんと協力しなんとか気絶した彼女を車まで運び終えたまでは良かったのですが、肝心な事に少女は一向に目を覚まそうとしません。
イブキさんに至っては歩いた疲労からか今は棗さんの背中でスヤスヤと寝息を立てています。
「それにしても、彼女は何故ここに来ていたのでしょうか?...まあ紅葉を見に来た以外にあまり理由は思いつきませんが」
「どうでしょう、紅葉なら一応トリニティの方にも見られる場所はありますから何とも」
などと棗さんと小声で話をしていた時、
「ふわぁ...?ここは....」
突然聞きなれない声が聞こえ視線を向けてみると、そこには先程まで眠りについていた少女が丁度起き上がる姿が。
まるで普通に眠りから覚めた時のようなリアクションで意識を取り戻した少女は、どこか上品な仕草で目を擦りながら車内を見渡しています。
「車?私はさっきまで山にいたような....あら、貴方達はいったい?もしかして私がここにいる理由をご存知で?」
「ええ、まあ知ってるというかそもそもここまで運んだのは私達なので」
「そうなんですの?」
不思議そうな顔をする少女に私はあの時起こった事の説明を始めました。
自分達が紅葉狩りをしていた時に偶然見かけた事、危ないと思い声をかけたところで坂から落ちてしまった事、木にぶつかり気絶していた所をこの車まで運んだ事、それらを全て伝え終えると少女は納得したように頷き頭を下げてきます。
「これは大変ご迷惑をおかけしてしまったようですわね」
「いえ、こちらもいきなり声をかけて驚かせてしまったので...ところで聞いてもいいでしょうか、貴方はあそこで何をされていたんですか?」
「?面白いことを聞きますのね、ここへ紅葉を見に来た理由など決まってますわ」
首を傾げる私達を前に至極当然だと言わんばかりの態度を取る彼女はゆっくりと口を開き
「紅茶を美味しく堪能できる場所を探していたに決まってるじゃありませんか!」
「「え?」」
そう自信満々に言い放ちました。
「ただの一杯、されど貴重な一杯...紅茶を最大限味わおうと思ったのならその為に行動するのは当たり前、そうでしょう?」
「えっと、まさかその為にゲヘナまで足を運んだのですか?」
「当然、ここで見られる紅葉はとても美しいという情報は仕入れていましたので。それに、紅茶の為ならばゲヘナであろうと地の果てであろうとそんな些細なものは関係ありませんわ!」
「は、はあ....」
な、中々に変わった...いえ、芯の強い方の様ですね。
トリニティの方の中には私達の様なゲヘナ生へあまりよくない印象を持つ方がいるのは知っていますが、彼女はその辺りは特に気にしていない様子。
隣に立つ棗さんも少々苦笑いを浮かべていますが、彼女が悪い方では無いのは理解しているようです。
「でも少しわかりますよ」
「え?」
「私も似た趣味を持っているので、貴方のその熱意や気持ちは理解できます」
好きなものの為に本気になれる、それはとても素晴らしい事です。
私もやり方は違えど、より美味しいお茶を求める為であればきっと彼女の様に行動するでしょう。
「ほう、貴方もそうでしたか」
「ええ、私の場合は紅茶ではなくお茶ですが....貴方と同じ様に情熱を注いでいるつもりですので」
「確かに朝宮さんはうちの学園の中でも精力的に活動してますね」
「まあ普段はただ茶室でお茶を淹れているだけですけどね」
「.....」
互いに同じ様な趣味を持つ者同士仲良くなれそうと思いそう口にしますが、今まで頷きながらこちらの話を聞いていた彼女は口をつぐみ突然何かを考える様に黙ってしまいました。
「.......」
「あの、どうかされましたか?」
「...........せんわ」
私はそんな様子に気付き声をかけますが何故か彼女は黙ったまま、ですがそれから暫くすると彼女は勢いよく顔を上げ
「負けませんわ!!!」
「え?」
「貴方が情熱を注いでいるのはきっと嘘では無いのでしょう、ですが!その情熱は私の紅茶愛の方が強い筈です!そうである筈なのです!」
そう言って先程の優雅な態度とは一変、目を大きく開き手をブンブンと動かしながらズイッとこちらに詰め寄ってきます。
「あ、あの私は別に比べる気は全く....」
「勝負ですわ!!!」
そして、彼女はこちらに指を突きつけいきなり宣言してきました。
「勝負、ですか?」
「ええそうです、どちらの方が愛が強いのか...それを決めなければ私のこの気持ちはもう収まりつきませんわ!後日私と貴方の真剣勝負です、逃げるだなんて事は認めませんので、首を洗って待っていてくださいまし!」
「「.....」」
「ふふふ、今から楽しみですわ。私も準備をしなくて、ではご機嫌よう!」
本当に唐突すぎる彼女の変わり様に思わず固まってしまう私達、一方そんな私達を見てどこかスッキリした様子の少女は車から降りるとまるでステップを踏むように去ってしまいました。
「....」
「.....朝宮さん、どうするつもりですか?」
「どう、しましょうかね...何だか今年は本当に色んな事に巻き込まれているような気がします....」
「zzz.....」
最終的に残された私と棗さんは同時に溜息をつきつつも、背中で気持ちよさそうに寝ているイブキさんを起こさないように車に乗るとそのままゆっくり学園まで戻って行ったのでした。
活動報告の方にも書く予定ですが、こちらの方でも連絡しておきます。
実は今週末から数ヶ月間とても忙しくなってしまい、投稿頻度がもの凄く落ちる可能性が高いです。
今後二十話先くらいまで書く話の内容自体は思いついてはいるのですが、それを文章に落とし込む時間が取れなくなるので、もしかすると更新が一時的に止まる事もあるかもしれません。
一応時間を見つけて可能な時は投稿しようと考えていますので、お待ちいただけると幸いです。