ゲヘナに漂うお茶の味   作:Mrふんどし

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デートの約束?

今日も今日とても変わらぬ茶室、その中で私はアサリさん、キョウカさん、ミオさんの三人と穏やかな時間を過ごしていました。

 

「この間お茶のフェイスパックっていうのを見かけたんです、最近はついお茶って文字に反応しちゃって...」

 

「ふふ、わかりますよ。私も見かけたらついつい手に取ってしまうので」

 

「私もこの前宝くじ買っ....外歩いてた時に抹茶団子見つけたよ」

 

「キョウカさん、今何を言いかけたのですか?」

 

私がそう指摘するとキョウカさんは見事に顔を横に逸らしますが、そのままじっと見つめていると彼女は観念したのか小さな声で呟きました。

 

「....宝くじ買った。でも大丈夫、ミオに止められて30枚くらいだったから」

 

「私からすれば30枚も大量なのですが....ちょっと待ってください、ミオさんも一緒にいたのですか!?」

 

「あーえっと...」

 

キョウカさんの言葉に思わず反応し隣に座っていたミオさんに顔を向けると、彼女はどこかばつの悪そうな顔を浮かべながら私に向き直り口を開きました。

 

「あ、姐御!一応あたしも止めたんです!止めたんですけど....その、何というか、キョウカさんの熱弁に押されてしまって...」

 

「うん、ミオは解ってくれた」

 

「はぁ...まあ無理のない範囲なら大丈夫ですが、くれぐれも以前の様に無理はしないでくださいね?」

 

「あはは....」

 

そんな事を話しながら、やがて時刻が夕方に差し迫った頃

 

〜〜♪

 

不意に私の袖から規則的なリズム音が聞こえてきました。

 

(電話ですか...この時間にかけてくる人物となるとおおよそ予想はできますね)

 

「すみません、少々席を外しますね」

 

「あ、はい!わかりました!」

 

三人に断りを入れそのまま廊下に出た私は袖から携帯を取り出し画面を見てみると、そこには案の定見覚えのある名前が写っていました。

 

「もしもし」

 

『朝宮さん、出てくれて良かったですわ!もう少しでモモトークの方にスタンプ100連打をする所でしたもの』

 

私は先程予想した通りの展開に苦笑いを浮かべながら画面をタップして通話を始めると、そんな冗談めいた事を話す本山さんの声が聞こえてきます。

いえ、彼女の場合冗談ではないのかもしれませんが...

 

「お久しぶりですね」

 

『そうですわね、最近はこちらも色々とあったせいでろくに話せていませんでしたし....』

 

「本山さんもお変わりない様で何よりです」

 

そうして暫くの間互いの近況についていくつか話をした後

 

「ところでお聞きしたいのですが、先程は何か用事でもあったのでしょうか」

 

『あら、そうでした。私とした事がつい話に夢中で忘れてしまっていましたわ』

 

私がタイミングを見計らい電話をかけてきた意図を尋ねると、彼女はコホンッとひとつ咳払いをし何の気なしに告げました。

 

 

『朝宮さん。私と今度のお休みにデートに行きましょう!』

 

 

「.........え?」

 

 

聞こえてきた言葉に一瞬思考が止まった私は、思わずポカンと口を開けてその場で固まってしまい、そのまま無言の時間が少し続きます。

 

『ああすみません、言葉足らずでしたわね。正確に言えば今度のお休みに私とお出かけに付き合っていただけないかと思いまして』

 

私の困惑ぶりに気づいたらしい本山さんはそう改めて提案してきました。

 

「あ、ああそういう事でしたか。すみません、突然の事で困ってしまって」

 

『問題ありませんわ、最近見ているテレビでその様な台詞があったものでついそれを真似してみたくなったのです。それで、どうでしょう?』

 

「ええ、特にその日は何もありませんし良いですよ」

 

『なら決まりですわね!時間はお昼頃、集合場所は....そちらの〇〇区域にしましょうか。わざわざトリニティまでお越しいただくのもアレでしょうし』

 

既にゲヘナに来る事を当然の様に話す本山さん、やはり彼女はかなりアグレッシブな方みたいです。

...それとも最近のトリニティの方達は皆さん彼女と似た感じなのでしょうか?本山さん以外だと阿慈谷さんしか関わった事が無いのでよくわかりませんが...

 

『では詳しい話は後ほどモモトークの方でするとしましょう。そろそろ私も寮の方に戻らないといけませんので、これで失礼します』

 

「わかりました、では後ほど」

 

そう言って彼女との通話を終了した私は携帯を袖に仕舞い込み、扉に手をかけて中へ入っていきます。

 

「先輩お帰りなさい」

 

「ええ、ただいま戻りましたよ」

 

茶室へと戻りそれから少しの間アサリさん達と共に雑談をして過ごしていたのですが、やがて本日も寮へと戻る時間を迎える事となりました。

全員が自身の茶道具を片付け始め帰る準備を終えた後、四人で寮までの道を雑談を交わしながら歩いていきます。

 

「あ、先輩。そういえば聞いてもいいですか?」

 

そして私の寮の前につき、三人と別れるといった所でアサリさんが不意にそんな事を呟きました。

 

「構いませんよ。何かありましたか?」

 

「えっと、たいした事じゃ無いんですけど...さっきの電話がなんだったのか気になってしまって」

 

(電話?...ああ、そういえば戻ってから特に何も三人には話していませんでしたね)

 

「あれは......」

 

と、本山さんから連絡を貰った事を素直に話そうとしたのですが、途中で言葉を止めて私は頭の中である事を思い返しました。

 

それは以前、かなり前に本山さんと電話で話していた時の事。

 

『朝宮さん、貴方は時に真面目に考えすぎているのだと思いますわ。確かに全て真面目にこなすのは大変立派な事ですが、堅すぎる性格は時に不利益を生むこともあるのです』

 

『は、はあ....』

 

『それに、もう少し柔らかく物事を捉えられれば、貴方の″お茶″も更に成長する事間違いありませんわ!』

 

『な、成る程...』

 

(ふむ、真面目になりすぎですか...確かにあながち間違ってないのかもしれませんね。この間の夜桜さん達とのカラオケでも、もっと気楽に考えても良いと言われましたし...)

 

このまま普通に答えるだけでは″普通″です、こうした時も冗談っぽく返事をした方がより気楽さが出て良いのかもしれません。

そう考え一瞬頭を悩ませた私は、先程通話した時の本山さんの言葉を思い出し

 

「そうですね....実はデートの約束についての連絡だったんです」

 

「で、デート!?!?」

 

「「っ!」」

 

彼女の言葉をお借りして三人に告げました。

 

アサリさんは辺りに響く程の声でそう驚き、その声に隣にいたキョウカさんとミオさんが思わず身体を跳ねさせているのがわかります。

 

(ふふ、中々良い反応をとってくれますね、これは成功かもしれません)

 

「ええ、次のお休みの日にお誘いを貰いまして。なので今度お出かけに行く場所と時間を決めていたんです」

 

「お、お出かけデート!?!?!?」

 

(...何やら反応が良すぎる気もしますが、まあ気のせいでしょう)

 

「では皆さん、また明日。気をつけてお戻りくださいね」

 

 

ひとまずこれ以上ここで立っていても他の方のご迷惑になってしまうので、私はそう彼女達に挨拶をしてから一人寮の入り口へと歩いて行ったのでした。

 

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