ゲヘナに漂うお茶の味   作:Mrふんどし

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朝宮サエの日常22 ★

肌寒さに目を覚まし窓の外を覗いてみると、ポツポツと外では雪が降り始めていました。

どうやら本格的にキヴォトスに冬が訪れたみたいです。

 

そういえば去年は大量の雪が積もってしまったせいで寮前の雪かきが大変でしたっけ...

そんな事を思い返しながらベッドから降りた私は、早速部室棟へと向かうために厚手の着物に着替えていきます。

 

今日は休日だからか、それとも雪が降ってきたからかわかりませんが、普段よりも人通りの少ない広場を通りそのまま部室棟前までやって来た時、不意に背後からパタパタと走ってくる音と共に声が聞こえてきました。

 

その正体はアサリさん、彼女曰く雪に気持ちが舞い上がりついつい早めに来てしまったとの事。

なんとも微笑ましい理由に私も頬を緩ませていると、私とアサリさんの携帯から同時に通知音が流れました。

発信元は私達のモモトークグループ、そこには雪にはしゃいでいるであろうミオさんの文面と、郊外の写真が添付されています。

 

どうやら私よりも早起きしていた彼女はアサリさん同様雪で気分が上がり、そのままの勢いで郊外へ向かったのだとか。

後少し経ったらこちらに戻るという連絡を受けますが、そのタイミングでまたもや通知、今度はキョウカさんからの様です。

 

...え?寒くて動けないから迎えに来て欲しい....?

 

何とも彼女らしい文面に私とアサリさんはお互い苦笑いを浮かべながら、寮を目指し来た道を並んで引き返していきました。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

少しずつ雪が積もり始めてきた頃、私は一人茶室でお茶を飲み過ごしていました。

普段であればアサリさん達もいるこの部屋ですが、今はその三人ともここにはいません。

 

それは今日が休日だから...という訳では無く、彼女達は最近何やら用事があるらしく、茶室へ来られない日が続いていました。

私としては特に問題はないのですが、理由を尋ねようとするとどうにもはぐらかされてしまう為、少し気になってしまいます。

 

まさか知らない内に彼女達へ何かしてしまったのでは、そんな不安が僅かに込み上げてくる中突然茶室の襖がガラッと開かれました。

 

そこから現れたのは何とシズクさん、彼女は相変わらず変装になっているのかいないのかよくわからない格好で元気な声を響かせています。

とうとう連絡も無しにゲヘナへやって来る様になりましたが...トリニティとしては問題無いのでしょうか?

 

そんな事を考えていると、そのまま茶室に上がり込んだシズクさんは私が浮かない顔をしていると指摘し、話してみると良いと正面に座りました。

 

....正直ちゃんとした回答が返ってくるか心配ですが、このまま考え続けるのも良くないのは確かです。

私はシズクさんの湯呑みを取り出しお茶を淹れる準備を進めながら、口を開いたのでした。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

それからも私はどこかもやもやとした気持ちを抱えて日々を過ごしていました。

相変わらずアサリさん達は集まって何かを話し合っているようですが、当然それについて尋ねてもやはり誤魔化されてしまいます。

 

まさか本当にシズクさんが言っていた通りの事が....いえ、流石にそこまでは考えすぎですよね。

 

そんな事を思いながらも暫く経ったある日の事、いつもの様に茶室へと向かったのですが、中からゴソゴソと物音が聞こえてくるのがわかりました。

まさか自分よりも早く誰かが部屋の中に?

 

あまり無い事態に恐る恐る扉を開き襖に手をかけます...その瞬間、

 

 

パーンッという破裂音が私の耳に届きました。

 

 

突然の事に驚き声も出なかった私ですが、視界に映ったクラッカーを持ったアサリさん達の姿、飾り付けられた茶室内....彼女達が言い放った”誕生日”という言葉....それにより、いつぞやに自身が逆の立場で似たような事をやった記憶が徐々に思い起こされていきます。

 

なんでも私に気づかれないように彼女達が今日までの計画を密かに立てていたそうです。

その事実を受け、これまで抱えていた不安が全くの的外れであった事を知った私は思わず自分自身に笑ってしまいました。

 

私の行動に首を傾げていた三人ですが、顔を見合わせて微笑むとこちらに手を差し伸べてきました。

それを見た私は応えるように手を重ね、彼女達に引っ張られるまま茶室へと足を踏み入れたのでした。

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