ゲヘナに漂うお茶の味   作:Mrふんどし

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朝宮サエの日常23 ★

その日の朝、非常に気持ちの良い目覚めを迎えた私は軽い朝食を取った後着物に着替え、新しい”簪”で髪を纏めてから部屋を出ました。

 

今日も元気に茶室へ...そう思いながら寮の玄関口へと向かったのですが、一歩外を出た瞬間私の視界には昨日までは無かった雪景色が広がっていました。

 

雪は膝元まで積もっており、見る限りかなり先まで道が埋もれているようです。

 

...まさかたった一日でここまで変わり果ててしまうとは....私は驚きやら感心やらで思わず呆然と固まってしまいます。

 

やがて私以外にも起きて来た何名かの生徒が後ろから集まって来ましたが、彼女達は外の光景を見てはしゃいだり面倒くさそうに部屋へ引き返したりと三者三様と動きを見せています。

 

私も一瞬この道を進んで行く事に躊躇しましたが、流石にこのまま放置すれば時間が経つに連れ積雪量が悪化するのは自明の理。

 

仕方ありません....私は溜息をつくと、壁に立てかけてあった雪かき用のスコップを手に持ち、目の前の雪目掛けてそれを突き刺していくのでした。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

来る日も来る日も降り続ける雪....

やっとの思いで雪をどかし終えたかと思えば、翌日にはまるで何事もなかったかの様にドサッと積もる...

 

去年よりも明らかに異常と言える量に途中で諦めそうになった事もありましたが、何だかんだでその度に部室棟までの道のりを掻き終える事は出来ていました。

 

そんなある日の事、額に張り付く髪をどかしながら茶室へ向かっている最中、背後から棗さんに声をかけられました。

 

...やけに疲れた顔をしていますが大丈夫でしょうか?

ひとまず茶室へと一緒に向かい話を聞いてみると、またもや羽沼さんが変な提案をしてきたそうです。

 

どうやらこの大雪のせいで万魔殿の前は勿論他の建物周辺もかなり雪が多く、通行に支障が出ているとの事。

だからと言って自分達がわざわざ他のところまで除雪作業を手伝うのは面倒くさい...なら他の生徒自ら無理矢理やってもらおうと考えた結果、今度の休みに『雪像祭り』なるものを開催する事に決めたのだとか。

 

....まあ楽しみながら作業が終わると考えれば、今回の案は中々良さげかもしれません

 

私はこの雪の中、無理矢理祭りについてのポスターを配らされている棗さんに同情しながら、雪像作りへ参加を決めたのでした。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

雪像祭りの当日、広場には私達の他に多くの生徒が集まっていました。

 

目の前には大きな雪山が積まれており、その上に設置された壇上で羽沼さんのスピーチがかれこれ10分以上行われています。

 

雪山の下ではイブキさんが他の万魔殿の方達と雪遊びに興じており、他の生徒も雑談に夢中で誰も彼女の話を聞いて無いのですが...まあ羽沼さんは気づいてないようなのでおそらく良いのでしょう。

 

そうしている内に開始の合図が羽沼さんが告げられ、集まった生徒達は一斉にそれぞれ振り分けられた持ち場へと走り出しました。

 

私達の担当は部室棟周辺....あの建物はほとんど私達しか使用していないからというのが理由だそうです。

まあ周辺の雪掻きは毎日行ってましたし、他と比べるとそこまで苦では無いでしょう。

 

ただし今回のメインは雪像作り、流石に雪で巨大なものを作る技術は私にはありません....

 

...ん?ミオさんどうしましたか?

え、任せてください?

 

そういえば海へ遊びに行った際に彼女は砂で像を作っていましたね....こういう作業は得意なのかもしれません。

 

では作成に関してはミオさんにお任せするとして、私達は雪を運ぶ作業に集中しましょうか。

 

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