【本編完結】山田リョウを餌付けした未練タラタラな元カレくん 作:SUN'S
俺の元カノの山田リョウは意外とグルメだ。
最高品質の食材から最低な品質の食材まで余すことなく全てを食し、俺と付き合う前は凹凸の少ないスレンダー気味だった身体も少し膨らみを増している。
「おい。コイツも太ったとか思ったろ」
「いや、逆にリョウは痩せすぎだろ?」
「………」
ホントかよ、コイツ。
そう言いたげに目を細めて、俺の事を訝しげに見つめるリョウから視線を逸らせば虹夏と喜多さんが「最低だな、この野郎」という眼差しを俺に向けている。
三人とも落ち着け、まだ慌てる時間じゃない。
そんなことを内心で思いながら素直に謝罪する。いや、べつに俺は悪くないはずなんだが、やっぱり女の子は太ったとか痩せたとかそういう話題は禁忌なんだろうか。
たまにバイト先に出没する酒カスのお姉さんもかなり痩せすぎていて心配なんだけど。あんまり人様のプロポーションに口出しするのはやめよう、うん、ほんとに。
「とりあえず、今日は食べて痩せる料理だな」
「そんなのあるの!?」
「うおっ、流石に俺でもビビるぞ。喜多さん」
「あ、ごめん…じゃなくて!ホントに食べて痩せられる料理があるの!?」
「ま、まあ、一応あるにはあるけど。どっちかと言えば食べても太りにくいやつだが」
そんなことを喜多さんに話していたら、いつの間にか虹夏のお姉さんやPAさんまでもが俺の近くで話を聞いている。お、おお、すげえな女の子のスレンダーに対する執念…!
「………とりあえず、キノコ類や海草、生ガキなんかは低カロリーかつ繊維質で消化も良い。大根おろし、スミソと和えれば簡単なおかずにもなる。トコロテンやサシミコンニャクと和えて一緒に。うどん、白米、なんかとも毎日三食食べるようにすれば問題ない。ああ、それとドレッシングやマヨネーズは使わないようにな」
俺の言葉に女性陣は「なるほど」とか「相変わらずの豆知識」とか言っているけど。基本的に俺の料理は趣味を越えて、ほとんどリョウのためだけに磨いたものだからなあ。
「リキ、帰ったら食べさせてね」
「おう」
「リキくん、出来れば私も…」
「まあ、一人や二人ぐらいなら」
「よし。じゃあ、アタシとコイツのも頼む」
「えっ」
まさかのお姉さんとPAさんの参戦に驚きつつ、恨めしそうに、羨ましそうに、リョウ達を見つめる喜多さんは「ううっ、まだ中学生だから夜間外出できない」と悔しそうに呟いている。
「今度(リキが)作ってあげるよ」
「リョウ先輩!」
あまりの嬉しさにヒシッ!とリョウに抱きついて、胸元に顔を擦り付ける喜多さん。なんか顔が怖いくらい緩んでる気がするのは気のせいか?