【本編完結】山田リョウを餌付けした未練タラタラな元カレくん 作:SUN'S
「リキくんはリョウの方がタイプでしょ?」
ある日の「STARRY」にて。
突如、俺の愛しい虹夏はそう呟いた。ギギギッとリョウの方に視線を向けると全力で首を真横に振っており、自分は無関係だと主張している。それならばお姉さんか?とカウンター席を見たら、ギロリと睨まれた。
お姉さん、それは怖いっす。
「ど、どうして、そう思うんだ?」
「えー、そこは『俺のタイプは虹夏だ』って言うところじゃないの?」
クスクスと小悪魔な笑みを浮かべて、俺をからかう虹夏の視線はマジだ。いや、確かに二人と出会ったキッカケはリョウのバンドだったが、あの金欠に恋するのは、まあ、無くはないかもしれんけれども。
「俺の彼女は虹夏だけだ」
「ほんとかなぁ?実はお姉ちゃんやPAさんと隠れて付き合ってたりするんじゃないの?」
そう言うと虹夏は人差し指を突き出して、ツンと俺の鼻の先を押した。くっっそ、そういうところが小悪魔チックで可愛すぎるんだよ、虹夏…!!
俺の内心なんて知らない虹夏は「ふふ、冗談だよ。リキくんが浮気するなんて思ってないから安心して」と優しく俺の頭を撫でてきた。
こ、これは、バブみ?
ときおり俺をからかう小悪魔な虹夏。しかし、今の虹夏はまるで慈愛に溢れた聖母のごとき穏やかな微笑みを浮かべながら、俺の頭を抱き締めている。
「虹夏、そろそろリキが原点回帰する」
「え?」
「いや、ギリギリセーフだ。そしてありがとう、虹夏。俺はさらに君が大好きになった」
ありがとう、虹夏ママ。
そんな彼女に向けるには禁忌的すぎる名称を密かに呼びながらリョウにバブみの極楽浄土を脱出させてもらい、辛うじて男の子の尊厳を守ることは出来た。
「お姉ちゃん、リキくんが変だよ」
「いつものことだろ」
「それもそっか」
そこは否定してよ、虹夏さん。
しかし、それにしてもだ。虹夏と付き合えるようになってから俺の生活には華やかさが増えた。やはり美少女のまわりには美少女しかいないのだろう。
まあ、俺の一番は虹夏だけどな!!
「ところで、リキくん」
「なんだ?」
「いつまでリョウの近くにいるの?」
「星歌さん、最近の虹夏は病んでるね」
「いつものことだろ」
「…ああ、うん、そうだね」
なにやらリョウとお姉さんはヒソヒソと話し合っているかと思った次の瞬間だ。ズズズイッ!といきなり近くに寄ってきた虹夏のキレイな瞳が俺を見上げる。
「いくらリョウでも浮気はだめだよ?」
「……しませんが?」
「ならよし」
そう言って虹夏は俺の胸に顔を押し付け、そのままリョウ達に向かって、ムフー!とそれはもう可愛すぎて死ぬんじゃないかと思うぐらい可愛いドヤ顔を向けた。