【本編完結】山田リョウを餌付けした未練タラタラな元カレくん   作:SUN'S

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薩摩芋のコロッケはお昼に

「やあ、私が来たよ」

 

いつものように私はライブハウス「STARRY」に下北沢高校の制服のまま入店し、じろりと店長に睨まれるも素知らぬ顔で更衣室に向かう。

 

「リョウ、ちょっとこっち来て」

 

汚れても良い格好に着替えて、ホールの掃除に行こうとしたら、よくクラスメートに『もはやお母さんとしか思えない』やら『たまに見れる小悪魔チックな笑顔も可愛いよな』と人気のある親友こと伊地知虹夏に呼ばれる。

 

「私は何もやってない」

 

「えっ、何かやったの?」

 

「ううん、なにもやってない」

 

「あ、うん。……いや、そうじゃなくてさ、またリキくんのところに泊まったでしょ?」

 

プリプリと頬袋を膨らませて如何にも怒っていますという雰囲気を醸し出す虹夏の頬っぺたを人差し指で、ツンツンと突っつきたい欲に耐えつつ、私は首を傾げる。

 

「確かに、昨日と一昨日も先週もリキのアパートには行ったけど。虹夏にもみんなにも迷惑は掛けてないし、リキも私に会えるからWin-Winのはずだが?」

 

「と、とにかく!あんまり頻繁にリキくん家に行ったら迷惑になるんだし」

 

どこか言い訳じみた言動を繰り返す虹夏。

 

そういえば私とリキが付き合ってたときに「私もリキくんみたいな彼氏ほしいなあ」なんて呟いていた気がしなくもないような気がする。

 

そんなことを考えているとお客さんの来店を知らせる備え付けのベルが鳴り、私達は「SATRRY」の出入り口に視線と身体を向ける。

 

「わあっ、リキくんだ!」

 

「よお、伊地知、あとリョウも今朝ぶり」

 

「うん。今朝ぶり」

 

「……むうっ……」

 

私とリキのやり取りを不服そうに見つめる虹夏をからかうように彼の隣に移動し、いそいそと掃除を終えたキレイなテーブルに誘導する。

 

ちゃっかり虹夏も私達に着いてきている。

 

「それで?リキくんは今日は何しに来たの」

 

「何って、リョウのお弁当届けに来ただけだぞ?」

 

「……リョウだけ?」

 

「まあ、そうなるな」

 

「むうぅぅっ!!」

 

ぷくーっ!と頬っぺたを膨らませて虹夏はリキに向かって、私は怒っていますとアピールしているけど。リキは私以外にはすごく鈍感だから、そういうのじゃ気づいてもらえない。

 

「やったぜ、コロッケだ」

 

「いいな、いいな~っ!!」

 

「フフン。あげないよ、はむっ」

 

私はリキの作ってくれたコロッケに齧りつく。

 

今回はジャガイモの代わりにサツマイモを使っているのかと感心しながら、合挽き肉とタマネギ、昨日のペースト状になったニンジンの風味の香るソースを使い、またコロッケを一齧りして、少し冷えたお米を頬張る。

 

「ふう、やっぱり美味しい」

 

「そりゃあ良かった」

 

「リキくん、次は私にも作ってきて!」

 

「よく分からんが、わかった」

 

ふふっ、リキにはまだ乙女心は早いよ。

 

そう内心で思いながらシャキシャキとした瑞々しい千切りキャベツをソースと絡めて頬張りつつ、私の元カレはスゴいだろうと虹夏に向かってドヤる。

 

 

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