【本編完結】山田リョウを餌付けした未練タラタラな元カレくん   作:SUN'S

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鮮やかに鉄火丼

スヤスヤと俺の布団で眠っているリョウの可愛すぎる寝顔にホッコリとしながら台所に移動してパジャマを脱いで、そのまま部屋着に着替える。

 

べつに居間で着替えても良いけど。もしもリョウに勘違いされたら泣きたくなるので、こうして彼女がまだ眠っているときは別室で着替えるようにしている。

 

そもそも男が女の子の前で下着になるのは、さすがにヤバイという俺の価値観もあるが。なんてことを一人で思いつつ、エプロンを装着し、冷蔵庫を開ける。

 

「最近は肉続きだし、今日は魚にするか?」

 

フライ、煮付け、手巻き、何を作ったらリョウは喜んでくれるだろうか。そんなことを考えながら昨日の夜に買いに行っていた刺身用のマグロのパックを取り出す。

 

「よし、今日は鉄火丼だな」

 

マグロの赤身は高タンパク低脂肪で鉄分も豊富だし、なにより消化の効率も良いから夜中の遅くまでベースの練習をしているリョウにも打ってつけだ。

 

まな板の上にマグロを置いて、1cm幅に平造りにして、さらに縦1cm幅に切り分ける。

 

つぎにボウルの中に醤油と擂り卸したワサビを投下し、しっかりとかき混ぜて鉄火丼用の合わせタレを用意し、マグロをボウルの中に流し入れる。

 

マグロとワサビ醤油を絡み合わせるようにかき混ぜつつ、よくかき混ぜたらラップを張って十分ほど放置して、ワサビ醤油とマグロを馴染ませるために漬け込み。

 

その間に海苔の両面を焦がさないようにガスコンロの火で炙り、バリッと手で千切ったときに良い音が鳴ったら細かく海苔を千切り。

 

「そうだな、汁物も作るか」

 

小さめの鍋に二人分の水を張り、小匙二杯分の本だしを入れて、沸騰させる。その間に豆腐を1.5cmに、青ネギを1mm幅に切り、最後に乾燥ワカメを鍋に入れて、お玉で掬った味噌をだし汁で溶かす。

 

「よしよし、上出来だ」

 

そんなことを呟きながら炊き立ての白米をどんぶり鉢に敷き詰め、その上にワサビ醤油に漬け込んだマグロと海苔をパラパラと振りかける。

 

「リョウ、起きろ。朝ご飯だぞ」

 

「……んっ…なまぐさ…」

 

モゾモゾとベッドから這い出てきたリョウは俺のシャツを身に付けているだけでズボン類は履いておらず。なんだか「よっしゃあぁーーーっ!!」とか叫びたい気持ちになりながらも深呼吸を繰り返す。

 

そんな俺のことなんて知らないリョウは手早く歯磨きや洗顔を終えるなり、俺の対面側の食卓に座る。

 

「「いただきます」」

 

やっぱり、二人で言えるのは幸せだ。

 

「よく漬け込んでるね、流石だよ」

 

「おっ、そうか?」

 

「うん」

 

モグモグと小さな口に海苔の纏わりついたマグロと白米を少しずつ入れるリョウの仕草にトキメキを感じる。あ~っ、マジでリョウと別れてから、ずっとリョウの事ばっかり考えるな。

 

やっぱり、俺はまだリョウが好きなようだ。 

 

 

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