【本編完結】山田リョウを餌付けした未練タラタラな元カレくん   作:SUN'S

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STARRYで

リョウの所属するロックバンド「結束バンド」。

 

名前だけならギャグかと思うが、彼女の真摯な話によれば真面目にメジャーデビューを目指しているガールズバンドであり、リョウはバンドの中核を担っているそうだ。が、その話がホントなのかは半信半疑である。

 

あのお金を貯めないリョウに中核なんてさせたら内側から食い潰される。そもそもリョウのバンドには虹夏がいるんだ。絶対に虹夏がリーダーだろ。

 

そんなことを考えながら「STARRY」へと続く階段を降り、ドアベルを鳴らして入店する。いつものように虹夏のお姉さんはカウンター席に腰掛け、せっせと働くリョウと虹夏を見つめている。

 

「うおっ、赤髪の美少女だ」

 

「あ、こんにちは!!」

 

なんかキターン!っていう光の波動を感じる。

 

これが陽キャなのか?

 

そんなことを密かに考えながらマイペースなリョウと、いろいろと気苦労の耐えなさそうな虹夏に視線を向けると「ウチのギターだよ!!」と虹夏は嬉しそうに満面の笑みを浮かべて教えてくれた。

 

その笑顔に思わず、すんげぇ眩しいと感じるほど。

 

「ああ、ギター見つかったのか」

 

「リキも気に入る見た目?」

 

「いや、俺の好みはリョウだが?」

 

「ん。それなら良い」

 

もしかして、焼きもちか?と少しだけ期待しながらリョウに話しかけようとした瞬間、俺とリョウの間に割り込むように赤髪の美少女が飛び込んできた。

 

「私もリョウ先輩が好みです!!」

 

しかも俺に対抗心むき出しで。

 

まあ、リョウがモテるのは周知の事実だ。

 

「とりあえず、ドリンクの材料運びますね」

 

「おう。いつもの場所で良いぞ」

 

「へーい」

 

虹夏のお姉さんに奥の倉庫へ運ぶように言われ、段ボールに詰め込んだドリンクの材料を次々と運ぶ。こそこそと俺の事を訊ねる赤髪の美少女の「あの人って誰ですか?」という言葉に、グサッと心を刺される。

 

「リキ、私の元カレ」

 

「……カヒュッ………」

 

「郁代?おーい、郁代?」

 

なんか俺の知らないところで大変なことになってるけど。俺はバイトの途中だから、そのままリョウの近くに近づいて話し掛けることも難しい。

 

「リキ、彼女は喜多郁代っていう私の追っかけ」

 

「追っかけを、バンドに入れるのか。すごいな」

 

俺が近くに来ないと理解したのか。リョウは白目を剥いている喜多郁代さんを俺に突き出すように見せながら、勝手に自己紹介してきた。

 

「とりあえず、休ませてやれよ」

 

「もうちょっとだけ遊んでからね」

 

そう言うとリョウは喜多さんを揺らしながら虹夏のところに向かってしまった。

 

「………」

 

「リキ、お前まさか羨ましいのか?」

 

「お姉さん、流石に偏見が酷いです」

 

勝手にドン引きする虹夏のお姉さんに俺はショックを受けつつ、リョウのお弁当をカウンターに置いて、そそくさとバイトの続きをするために「STARRY」を出る。

 

 

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