期間が空きすぎたので初投稿です。……本当に申し訳ないです。試行錯誤しながら書いていたらいつの間にかこんなに期間が空いてしまいました………えぇ、本当です、別にワイルドな狩りを楽しんでた訳じゃ無いんです本当に、はい。
カーリーが変な人を連れて帰って来た。
「おかえり!カー……」
「お邪魔するよ」
デカい。一目見て真っ先に頭の中で浮かんだのはそんな言葉だった。普通の女の人よりも背が高いカーリーと比べても頭一つくらいの違いだ。そんな扉を潜り抜けて僕を見下ろす存在に、体中に緊張が走り、微かに身じろいだ。
「ふぅん。この子かい?あんたが守りたい人ってのは」
「あっ、えっ、あの……」
「可愛らしいねぇ」
「あぅあぅあぅ」
ふにふに。もちもち。そんな音が聞こえてきそうな手つきで僕の頬をぺたぺたと触ってくる
「や、やめへ…」
「おい、あんた。ブラッドが困ってるだろ、私に代わ……今すぐ止めろ」
「
「なんだい。つれないねぇ」
後ろに控えていたカーリーが厳しい口調で注意すると、ため息をつきながら最後に頭を優しく撫でた。ゆっくりと微笑み、僕を映した瞳は何処か寂しさと懐かしさが詰まっているように思えた。
「悪かったね、坊や。私はイオリ。訳あってカーリーに色々と指南する事になった……まぁ、言うなれば師匠、といった所かな?だから、しばらくは顔を出すだろうから宜しくね」
「……ホントなの?カーリー」
彼女の後ろを覗き込み、カーリーに問いかけた。赤い髪は頷くと同時にゆっくりと揺れた。
「…あぁ、本当だ。私の方から願い出たんだ」
「そうなんだ……」
ふにっ。
カーリーもぷにぷに強くなる為nもちもち頑張っふにふにふにふに…………………。
「もう!!カーリー!!」
「……はっ。す、すまないブラッド…つい…」
と言いながらも、止める様子が無い彼女に深くため息を吐いた。その背後で、イオリと名乗った人物はケラケラ笑っていた。
これから少し騒がしくなるんだろうな。そう思った。
ーーーーー
三人で夕飯を食べた後、ブラッドはそそくさと眠りに行ってしまった。まださっきの事に怒っているようだった。明日、起きたら謝るとしよう。
「こんな所で住んでる割には実に微笑ましい光景だね」
「あの子のおかげだ」
彼がいなくなったテーブルで私達は向かい合って座っていた。イオリは私の返答に疑問に思ったのか、言葉を続けた。
「そういえば、あの子の事をあんたは守りたいんだったね。理由を聞いても良い?あんたがあんな必死になって私に教えを乞うほどの理由が、強くなる意味があの子にあるのかい?」
彼女の問い掛けに俯いて少し考えを巡らせた。彼との様々な記憶が思い出される中で、私が強く心に残り続けている物。それは彼が悲しみと怒りに身を震わせた私を抱きしめたあの時だった。
「ブラッドは………あの子は……優しすぎるんだ。この
「……」
俯いたまま、自然と口から溢れ出る言葉を次々と吐き出した。
「自分の方が苦しい思いをして来た筈なのに、他人を思いやる事を一番に考えているんだ。……たとえ、隣人が……周りの人達が裏切ったとしても、それは変わる事は無かった」
私が話している間イオリは口を開かなかった。私から溢れる言葉を静かに聞き続けていた。
「………私は、そんな子が都市の悪意に晒されてほしくない……。あの子が幸せに生きる為に私は強くなりたい」
私はあの子に幸せになって欲しい。それだけなんだ。
「なるほどねぇ。やっぱりあんたは私と似ているね。でもね、一つ、言っておかきゃいけない事がある。まぁ、師匠からの最初のアドバイスさ」
イオリは手元に置かれた水を一口飲み、言い放った。
「物事を広く見てみる事だね。今のあんたはどうも、一つの事にしか目がいっていないようだからね」
「それは……」
「私もね。今日までとある目的の為だけに生きて来た。それだけの為に色々やって来たんだけど、ある時気づいたのさ。
「…………」
何も言えなかった。怒りからでは無い、反論したい訳でも無い。熱した頭に冷水をかけられた気分だった。
「じゃあ、どうすれば良いんだ…?守るだけじゃ駄目なら、どうすれば……」
しどろもどろに呟く私に、イオリは笑みを浮かべた。
「それはあんたが見つけな。まぁ、いつか必ず分かる時が来るさ」
もう遅い、今日はゆっくり寝な。明日から厳しい鍛錬が待ってるからね。
そう言って彼女は部屋から出て行った。時間的に掃除屋達が蔓延っている筈だが、彼女なら大丈夫だろうという確信があった。
しばらくの間、私は立ち尽くしていた。
一人残された部屋で時計の針の動く音だけが響く。酷く寂しさを覚えた私は彼が眠るベッドへと目を向けた。
お世辞にも綺麗とは言えない質感の布団がゆっくりと上下に動いており、目の前まで近づくと、そこから薄茶色の綺麗な髪がはみ出しているのが見えた。
「………」
穏やかな寝息を吐きながら眠る彼。私も同じように横になり、顔を見つめた。暖かい色の照明が彼の白い肌を照らし出す。真珠と錯覚してしまいそうな程の綺麗な頬を輪郭に沿ってにそっと撫でた。
柔らかい……力を入れると壊れてしまいそうと思ってしまう程には。
"本当にあの子を守るだけで到達できると思っているのかい?"
イオリが言っていた言葉を思い出す。
今の私ではその答えに辿り着く事は出来ない……。なら、彼女が言ったように答えが分かるその時まで、生きなければ。ブラッドを幸せに出来る、その方法をーーーー。
ぷにっ。
不意に温かい手が私の頬に触れた。気がつくと、目の前の青い瞳が私を睨みつけていた。
「…!起きてたのか…ブラッド…」
「……カーリーが飽きもしないで僕のほっぺばっかり触ってたからね」
ぷにぷに。
不機嫌そうな口調で話しながら、私の頬をこねくり回すように触るブラッド。何だか申し訳なくなった。
「す、すまない」
私が謝ると、ブラッドのさっきまでの不機嫌さは消え、吹き出すように笑った。
「………ふふふ。さっきまでの仕返しだよ、カーリー」
むにむに。
「僕のほっぺは柔らかいのか、よく分からないけど、カーリーのほっぺもすごく柔らかいよ」
「………確かに、恥ずかしいな、これは」
「でしょー?」
しばらく二人で互いの頬を触り合った。何故、こんな事をしているのかよく分からない仕草に二人で笑い合った後、穏やかな気持ちのまま私達は眠った。
私がブラッドを幸せにしようとしたつもりが、逆に彼に幸せな気持ちにさせられてしまったようだ……。
そうだ、何も急がなくても良いのだ、焦る必要なんて無い。
だって、彼も私も、二人一緒ならこんなに温かい気持ちになれるのだから。
しっかりと完結はさせます(鋼の意志