市議会議員 戌亥とこの戦争 : Page of Lambda C   作:芝三十郎

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3BK_IF、Page of Lambaの二次創作。戌亥を主人公に、地獄視点から見た本編を描くシリーズの第四話です。

#4 あらすじ
地獄の魔物たちの議会は、人間界とつながる門を破壊して断交する案を採決しようとしていた。戌亥は妹たちと共に墓参して覚悟を固め、ただ一人で議場に挑む。


緊急動議! つよつよケルベロスの決意

 ブレイズ市の中央にそびえる大きな丘、その中央には巨人族や竜族でも入れそうなほど大きな建物がある。見た目は長四角の黒い箱のようだ。長四角の短い側面のうち市議会側は、大扉になっている。

 

 壁も扉も黒っぽい石で出来ているように見えるが、石造りと呼んでいいのか、厳密には誰も知らない。他のどの石材とも似ていないのである。未知の別世界で採れた石材だと信じられていた。現にその建物は異世界へ転移するための門であるから。門の先にある世界を旧世界、または人間界という。

 

「おーい、姉ちゃん!」

「とこ姉!」

 

 巨大な門の前で飛び跳ね、手を振っている二つの影があった。パタパタと尻尾を振りながら戌亥に駆け寄ってきたのは、彼女の二人の妹たちだった。戌亥と同じ狼の耳と尾をもつことを除けば、見た目は七、八歳の人間の女子のようだ。顔や手足はまるきり人間のそれである。ずいぶん人族寄りの見た目だと、獣人をよく知る魔物なら思っただろう。

 

「バンも、ケンもお疲れさま。今朝はどう?」

 

 バンとケンと呼ばれた二人は、相次いで答えた。顔かたちといい、息の合い方といい、何でも瓜二つの二人だった。

 

「誰も来てないよ」

 

「昨日まではいっぱいだったけどね。『門を壊せ』とか何とかって」

 

 戌亥はうなずいた。断交を求める運動は市街に満ち、当然この門のそばまで行進してくることがあるのだった。しかし今日、そのような群衆は市議会の周囲に集中しているようだった。今日、そこですべてが決まるからである。

 

 そのような時に、戌亥は議場に詰めているよりも優先すべき用があった。

 

「じゃ、いこか」

 

 といって、戌亥がバンとケンと共に向かったのは門のそばにある花畑だ。花に埋もれるように白い墓石が点々と立っている。人間界の近くで眠ることを望んだ、少数の魔物達の墓であった。

 

 目指す墓石にむけ、できるだけ花を踏まぬように歩きながら、戌亥は妹たちに尋ねた。

 

「なあ、門番してて、どう?」

 

「どうって?」

 

 バンが無邪気に聞き返した。戌亥は言葉を選びながらつづけた。

 

「うん…人間たちのこと。まだ怖い?」

 

バンとケンは顔を見合わせた。先に答えたのはケンだった。

 

「ぜんぜん!」

「みんないい人間だよ!」

「めったに来ないけどね!」

 

 というと、妹たちは二人して笑った。そっか、と戌井が言った時、三姉妹は二つの墓石の前に着いた。それらの足元で絡んでいるのは薔薇と茨である。戌亥は持ってきた二つの白い花束をそれぞれに供えた。三姉妹は墓前でしゃがみ、しばし瞑目する。

 

 目を開く前に、それぞれの耳がぴくり、と動いた。立ち上がった後、バンとケンは早速振り返って声を上げた。

 

「おーい」

「おっちゃーん」

 

 しまった、という顔で頭をかいたのは、吸血鬼の風間ニコラオスである。サングラスをかけ、野歩きには似合わぬ三つ揃えを着込んでいる。息が上がっているのは、太鼓腹を抱え、大汗をかきながら丘を登ってきたからだった。ずいぶん離れたところに居たつもりだったが、三姉妹の耳には足音が届いたのだった。

 

 吸血鬼は汗を拭きながら近づいてきた。バンとケンは風間の方へ笑顔で駆け寄っていたが、戌亥は歩いて向かった。何と言うべきか、考える時間が必要だと思えた。しかし合流したとき、口をついたのは工夫のない言葉だった。

 

「何しとるんです」

 

 風間は妹たちにじゃれつかれながら答えた。もう汗が引き、息も整ったらしいところは、一応は回復の早い吸血鬼らしくあった。

 

「鳥の観察や。かくも自然は小鳥たちの心をゆさぶる」

 

「風間はん?」

 

「なんや、他人行儀な。いつもみたいに『ニコちゃん』って呼んでや」

 

「呼んでねえだろ。人がちゃんと年長者を立てようとしとるのに」

 

 風間は手をひらひらと振ってみせた。偉ぶらない気さくな男、というのが彼の評判だった。年を重ねてから、彼は意図してそのように振舞うようにしていた。

 

「バン、ケン、あたしたちは仕事行ってくるわ。二人も門番、頑張ってな」

 

「うん、わかった。がんばってね!」

「いってらっしゃい。おっちゃんもー!」

 

 二人は元気よく門の方へ駆けていった。戌亥は風間とともに手を振って見送る。妹たちが振り返らなくなってから、戌亥は風間に言った。

 

「こんなところに来とる場合ですか? 大忙しでしょう。私以外は」

 

 共存派の議員たちの中で、昨夜ゆっくり寝るように言われたのは戌亥だけだった。風間を始め、他の議員たちは議会の事務室で夜を明かしていた。

 

「字が下手なもんでなぁ。追い出されてしもたわ」

 

 呵々と笑う風間を、彼女は半眼で見つめた。大嘘だと分かり切っていた。奇策の準備を同志たちに任せて、首魁たる彼は切り札の様子を見にやってきたに違いない。

 

「妹さんたち、もういくつになる?」

 

「ほんの七十歳くらいです。そういうことにしてあります。正確には分からんけど」

 

 幼年の魔物の成長は人間の十分の一程度の速さである。風間は何気なく頷いた。

 

「早いもんや。あんたが門番のクジに当たったんも、同じ年頃やったかな」

 

「子どもの仕事だと思われとるんじゃないですか。めったに誰も通らんから」

 

 二人はバンとケンの後ろ姿と、その先の転移門に見つめた。しばしあって、先に口を開いたのは風間だった。

 

「ああいう子たちのためでもあるんや。まずは手筈通り、時間を稼いでもろて…その後はやっぱり、あんた次第やな」

 

 吸血鬼は門を眺めながらつづけた。

 

「降りてくれてもええ。拝み倒してでも頼みたいけど、結局、本人に気がないと何も伝わらんからな」

 

「もし私が降りたら?」

 

「任しとけ。あんな若造に二回もやられるかよ」

 

 それが虚勢でしかないと戌亥には分かった。風間は熟練の政治術で知られているが、それは議会規則への精通ぶりや根回しの巧みさであって、雄弁さではない。議事が始まる前にその趨勢を決めてしまう、彼は古い型の政治家なのだった。その限界を自ら悟ったから、自分のような者が必要なのだと、彼女はとうに察していた。

 

 戌亥は二つの墓石をみた。両親も彼も、きっと許してくれるだろう。次に転移門を見て、妹達の過去と現在を思った。あまりに重すぎるものが、自分の肩にかかっているのを感じた。しばらくそうしてから、ついに彼女は風間に向き合った。

 

「できると思いますか? 私に」

 

 その問いは、ほとんど承諾のようなものだった。吸血鬼はにまりと顔をゆがめる。

 

「ほな、試そうか。公のことはクジ引きで決める。新世界、二千年の伝統や」

 

 吸血鬼はポケットに手を突っ込むと、二本のコヨリを取り出した。その下端は手に握られて、見えない。

 

「赤が出るかな。どっちや」

 

 戌亥は突き出された二本のコヨリを一瞥し、次に中年男の気楽そうな顔を眺めた。彼女がため息をつきながら一方のコヨリを引くと、そちらが赤だった。

 

 会心の笑みを浮かべた風間は、両腕を大げさに広げて役者のように言った。

 

「さても、かたじけなきクジ運かな! いざ語られん、門番の物語!」

 

「あたし、そろそろ怒ってもええと思いますよ」

 

 戌亥は苦笑しつつ言った。丘のはるか下に円形の議場が見えた。傍聴を求める市民が建物の外まで溢れているようだった。

 

 

 

 

 議場はかつてない緊張感に包まれていた。その源は、傍聴席をいっぱいに埋めた市民たちである。ブレイズ市において政治は市民の健全な娯楽だとみなされているから、傍聴者が多い日も珍しくはない。しかし日頃なら、弁当をぱくついている者や、全く関係ない雑談に興じている者もいるはずだ。今日に限っては誰もが厳しい目で議員たちを見つめていた。

 

 視線の先は、向かい合う二つの演壇に立つ、ビアデスと戌亥である。ビアデスの後方の席には、勢力を増した断交派の議員たちが埋めている。対する戌亥の背後には、数十の空席があった。議場に姿をみせた共存派は戌亥一人であったから。

 

 ビアデスは珍しく困惑を隠せない口調で言った。

 

「まだ一人で質疑を続けるつもりですか。あなたを軽んじるわけではないが、他の共存派の諸君はどうされたのか」

 

「さっき言った通りです。ちょっと遅れとるだけや」

 

 戌亥は相当な時間、たった一人で質疑の席に立ち、ビアデスと議論を続けていた。しかし、断交側でほとんど固まった議場と傍聴席の空気を覆すには至っていない。

 

「正直、私はもう討論は十分ではないかと思います。採決に移るべきだ。最後に、あらためて断交案の趣旨を申し上げておきたい」

 

 ビアデスは正面の戌亥を見るのをやめ、議会を囲む傍聴席に顔をむけた。大げさなほどの身振りで市民たちに語り掛ける。

 

「議員諸君、傍聴の市民諸君。私は二百年前の赤い冬の生き残りです。人間界で生まれ育った私は、街ぐるみの虐殺にあい、全ての家族を失いました。

 

 殺したのは、それまで私たち魔物と隣り合って暮らしていた人間たちでした。道端でも、広場でも、魔物たちは自分を殺そうとする人間にしきりに尋ねていた。なぜ、と。ずっと隣同士で暮らし、垣根越しに遊び、通りで毎日行き交い、買い物で顔を合わせてきたのに。何をしているか、なぜそうするか尋ねられたとき、男も女も、大人も子供も、言うことは一つだった。『くたばれ、魔物め』だ。私はもう人族の一切を信じられなくなった。

 

 しかし私が転移門の破壊を、人間界との断交を主張するのは、怒りからでも恐怖からでもありません。私は感情ではなく、知性に従って判断したい。誰しも、相手の気持ちがわかるということは不可能に等しい。どんな親密な関係、たとえ親子でも完全に相手の気持ちが完全にわかることはありません。まして、人間と魔物が分かり合えるはずがない。このことは誰にも否定できません――」

 

 戌亥は間髪入れずに発言した。

 

「私は否定できます」

 

「失礼だが、あなたはお若い。あの冬を経験してもいない。なぜそんなことが言えるのです」

 

「それは――」

 

 戌亥の頭部で、獣の耳が動いた。ようやく時が来たことを知り、彼女は議長に向き直って告げた。

 

「議長。この議案の採決は延期する必要があります」

 

 議場がざわついた。議長が鋭く尋ねる。これ以上、言を左右にすることは許さないと、その語気で示していた。

 

「本日、他の議案は提出されておりませんが――」

 

 その時、議場の扉が音を立てて開いた。山のような巻物を抱えた風間が議場に飛び込んできた。

 

「これや、これや!」

 

 その後に、同じく両手いっぱいに巻物を抱えて、数十人の議院が続いている。いずれも風間に近しい共存派の議員たちである。議長は眉を逆立てた。

 

「風間議員! 議会運営委員長ともあろう方が、遅刻した上に、扉を足で蹴って入るとは何事ですか」

 

「すんまへん、すんまへん。両手がコレなもんで、堪忍してください」

 

 と言いながら素早く議長席のそばに行き、山と抱えた巻物、その一つを差し出した。戌亥はその間に降壇し、自分の議席に戻った。議場では風間とともに入ってきた議員たちが、巻物を他の議員たちに次々と配ってまわっている。

 

 押し付けられた資料を一瞥した議員たちは、一様に目を見張った。議長も例外ではない。

 

「これは」

 

 議長が読み進めるより早く、風間はそそくさと議席についた。といっても、腰を下ろすことはなく、立ったままである。大きく息を吸い込むと、市議会の古い作法どおりに声を張り上げた。

 

「議長ぉ―! わしら議会運営委員、二十名の連署をもって、新たな議案の発議に関する緊急動議を提出いたします。

 

 発議せらるる議案、その述べるところは、新たな常任委員会の設置であります。その名も外交(・・)委員会や。()交と()交、並び立たたんのは無論であります。じゃによって、議会運営規則に従い、断交案の採決はこれを延期とし、両案を並行して審議せられんことを、望みまぁーす!」

 

 言い終えると、風間は大きく息をついた。

 

「はあ、久々にやったら疲れるわ、これ」

 

 今や風間一派の企みは明らかになった。不可避と思われた断交案の採決に待ったをかけ、どころか逆転まで試みようと、新規の議案を緊急動議としてねじ込んだのである。規則上は可能でも、滅多に使われない荒業だった。

 

 それでも過去に先例がないではないと、蛇女議長は記憶をめぐらせた。頭部の白蛇たちが複雑に絡み合い、回答を導き出した。

 

「風間議員、委員会の逐条審査を経ない発議は受理できません。そのような内容なら法務局の審査も必要となります」

 

 風間は得たりとばかり、いくつかもの書類を次々に掲げながら答えた。

 

「それ、その委員会を夜中からやっとったんですわ。組織の改廃はうちらの所管です。議事録はこれですわ。法務局の確認も、この通り、貰とります。後は議案の写しが全員分で、要件は全部ですやろ。最後のが一番、大変でしたわ。手首が折れそうや。けど確かに五百一部。全員に行き渡ったはずです」

 

 議長の白蛇たちが素早くこうべを巡らし、全議席を確認する。議長はしぶしぶという口調で答えた。

 

「要件は満たしていると、認めざるをえないようです――」

 

途端、断交派の議員たちから無数のヤジが沸く。

 

「横暴だ!」

「議長は拒否せよ!」

 

 それらのヤジを受けて、かえって議長は背を押されたようだった。彼女は朗々と宣言してみせた。

 

「議長判断により、ただいまの緊急動議を受理します。規則と先例の定めるところにより、対立する二つの議案の是非について討論に移ります。討論の後、一方が可決されれば、それをもって他方は否決となります」

 

 風間の一派は歓声をあげ、断交派議員たちは激高した。もはやヤジともいえない罵声が議場に飛び交う。

 

「越権だ!」

「議長は恥を知れ!」

 

 蛇女の眼光はますます鋭さを増した。彼女自身の信条はどちらかといえば断交派に近いと噂されていた。しかし、この場にあって彼女は第一に議長だった。限度を超えた罵声の主たちを白蛇たちが一人一人にらみつける。

 

「お黙り! あたしの悪口はいくら言ってもいいけど、規則と先例には敬意を払いなさい。本当に石にかえちまうよ」

 

 議員たちの幾人かが鼻白み、ヤジは勢いを弱めた。議場が静まるには至らなかったが、その間隙を突いて議長は議事を進めた。

 

「新たな議案について、所管委員長の主旨弁明を許します。演壇を逆にすべきところですが、今回はこのままとしましょう。議会運営委員長は質疑席へ」

 

 場内の注目は議長から風間に移る。再び盛り上がったヤジと罵倒を一身に浴びながら、風間は演壇に登った。

 

「議員諸君。ビアデス議員が述べられたように、門を壊すことが解決策なら、それに異を唱える者は少ないでしょう。しかしそれは最後の手段です。

 

 その前にできることはまだある。わしらが提案する外交委員会、その所掌するところは、人間社会に対する調査と交流であります」

 

 外交、調査、そして交流という言葉は魔物達にとって異様な印象を与えた。ヤジのすべては止まなかったが、風間の言葉を聞こうとする者が増えた。

 

「委員会の下に調査官を任命し、人間界に派遣します。彼ら彼女らは、人間各国の魔物の扱いや、その動向を密かに調査します。委員会が可能と認めるときは、人間の要人との接触を試みます。今よりも積極的に人族と交流し、誤解や偏見をとき、将来的には対等な関係の樹立を目指すっちゅうわけです」

 

 断交派議員の一人が議席から立ち上がり、その場で発言した。

 

「ふざけるな、コウモリ野郎」

 

 議長は直ちに木槌を鳴らして静止した。

 

「おやめ! 着席! ただいまの発言は許可を得ないばかりか、限度を超えています。種族の外見や性質に関わる罵倒は、この場ですら絶対に許されません。それを忘れれば新世界は破滅あるのみです」

 

 種族対立につながりかねない言行は魔物社会の禁忌である。魔物、と一口に言っても多種多様な種族間で差別や憎悪が起こり、高じて内戦に至ることこと、魔物達は最も恐れ続けてきたのだった。

 

 暴言の主は、粛然として座り込んだ。

 

「では、風間議員」

 

「議長、適切な介入に感謝します。しかしわしには、これ以上の発言はありません。質疑への答弁は、別の者に委ねたいと思います。戌亥とこ議員に、再び」

 

 議員も、傍聴の市民たちも、それは予想していた展開だった。再び注目を一身に集めながら、戌亥は慎重に登壇し、風間と交代した。すれ違うときに風間は大きく頷いてみせたが、彼女が返した動作はかすかだった。

 

 対する壇に立っているのは引き続きビアデスである。

 

「さて、戌亥議員。立場は逆になりましたが、討論を続けましょう。私の質問は先ほどと同じです。

 

 あなたは魔物と人が分かりあえると言う。なぜそんなことが言えるのか。納得のいくお答え頂きたい。それがない限り、外交委員会など夢物語だと考えざるをえません。

 

 多くの議員諸君、市民諸君も、この疑念は同じではないでしょうか?」

 

 ビアデスが視線と手振りを向けると、断交派の議員たちが勢いを取り戻し「そうだ、そうだ」と繰り返した。ヤジは傍聴の市民たちからも飛んだ。「門を閉じろ」「人間を信じるな」と多くの声が言う。

 

 それらの声に交じって、戌亥は風間の声を聴いた。彼のダミ声は幼い頃から聞きなれている。その声は騒音の中でも不思議によく通り、彼女の背を押した。

 

 

 

「物語を」

 

 

 

 戌亥は息を整えつつ、思いを巡らせた。

 

 ここでやらない方が、自分を許せなくなるに違いない。駄目で元々だ。でも、風間はできると言った。当たりクジを引いた。自分のこれまでは、この日のためにあったのかもしれない。もう、どうにでもなれ――!

 

 戌亥は目を開き、様々な意味で歴史に残ることになる、その答弁を始めた。

 

「ご質問にお答えします。そのために、まず議長」

 

 彼女は中央の議長席に向き直ると、告げた。

 

「あたし、歌います」

 

 

 

 

(つづく)

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