市議会議員 戌亥とこの戦争 : Page of Lambda C 作:芝三十郎
原作第1~2話相当、さんばか出会い編のプロローグです。
フジの樹海発、二通の報告書
新暦二千二百三十三年 竜の月 十二日
旧世界における魔物の暴走事案に関する調査結果報告(第二報)
ブレイズ市議会外交委員会 特命調査官 戌亥とこ
件名について、未だ真相の解明には至らず。
中間報告として、王都ヘルエスタ近傍における調査結果について、付属書類第一から第三のとおり報告する。
事後、本職はフジダクラーヌの山麓において、本調査を継続する。
(※添付の走り書き
「会期前には帰るつもりですが、まだしばらく留守にします。
何かあれば風間のおやっさんを頼るよう、妹たちに伝えて下さい」)
(※受領者の返答「よっしゃ、よっしゃ」)
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山厳かにして、水豊かなる東ヘルエスタの領主にして、物満ち光輝なる広大無辺の地と讃えられし大ヘルエスタの統治者たる国王陛下に、謹みてご報告を奏す。
かねてご宸襟を悩ませたる、ジェヴォーダン地方における禁猟破り並びに家畜の窃盗事件に関し、近衛隊は王命を奉じて調査にあたるも、容易には解決を見ず。臣の愚見をもってするに、そのさま次のごとし。
派遣されし近衛隊は近在領主たちの衛兵とともに周辺の徹底した捜索を行いしが、何らの発見にも至らず。犯人(ないし何らかの肉食獣)は、何人の立入りも禁じられたる王領林、通称フジの樹海に潜伏せるものと思ゆ。
樹海内の捜索は困難を極めしがゆえ、さしあたり近衛隊は衛兵たちとともに森の周囲を封鎖し、臣民の安全を期したり。かかる処置は至当にして、近衛の兵らには何らの落ち度もなきものと信ず。
しかしながら犯人の正体は不明なれば、仮に襲撃を受けたる時は兵らの身の安全に懸念なきにしもあらず。また、衛兵の長きに渡る動員は、かねて悪化が懸念されたる周辺治安に悪影響を及ぼしかねず、急ぎ何らかの対処を要するものと愚考す。
かかるゆえをもって、王土と臣民を安んぜんがため、臣は新たな手段を策す。
犯人は大規模なる捜索を恐れてその身を隠したると思わるることから、まず臣は独断にて捜索活動を
また、近隣に居住せし旧知の錬金術師一名を徴用せり。彼女が秘術を活用し、この際、少人数での捜索を自ら試みんがためなり。
なお、たとえ臣の身に不慮のことあるも、その責はこの身のみありて、忠良なる近衛にも、徴用せられたる錬金術師にもあらじ。
恐惶謹言、王城を再拝して記す
王国歴九百三十三年 辰の月の十二日
陛下の忠実なる近衛従士にして第二皇女 リゼ・ヘルエスタ 十歳
(※添付の走り書き「というわけで、父上にお伝えしてね。よろしく」)
(※使者の所感
「陛下にご報告する私の身の安全についても、たまには懸念して欲しいッピ」)