Re:ゼロから始める青春物語   作:カピバラバラ

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『慈愛の顛末』

 

「────」

 

──この女には、短期間で激しい怨恨を抱かせられる。

恋をしていると言った少女の前で、その面にスバルは咀嚼しきれぬ感情を抱いていた。

 

すぐ傍にハナエが居てくれるお陰で、落命の可能性は薄いとはいえ相手は特級の危険人物。淫靡な表情とは全くそぐわない怪訝とした視線は、仮面の下に抑え込まれた知性を嫌でも感じ取らされる。

 

ここに来る直前まで、スバルの脳内を支配していたのは出口のないミノタウロスの迷宮からの脱出方法の様な、断崖絶壁の自問自答だった。

 

人間が人間である限り、その人間性が損なわれない限り、必然として問うべき事。

 

──どんな人間であっても、何のために生きているかを定義する為に努力する。

 

人は複数の顔を、その人にだけしか見せない仮面を身につけるもの。それは分かりきっている事で、ならば追求すべきは何のために仮面を付けるかである。

 

一度目、桐藤ナギサと阿慈谷ヒフミの意志を継ぎ和平を望む軍師としての顔。二度目、アリウス指揮官として振る舞う顔。そして三度目、ナツキ・スバルと相対するその顔。

その顔の裏に何を眠らせている。怒りも悲しみも無い笑顔の裏には一体、何が渦巻いている。一体何のために、狂気に笑顔で蓋をする──?

 

「どうして、この場に戻ってきたのですか?」

 

「…………」

 

「悍ましきを、惨憺たるを、醜さを知った筈です。それ以前に貴方は、古書館の一件で深く傷ついていた」

 

「……アレも、お前の仕業か」

 

「──。いいえ、私は何も。あの事件はこのトリニティの歪さがもたらした、いわば疑心暗鬼による犯人の居ない犯罪。それより、問いへの返事をお聞かせ願えませんか、ナツキ・スバル♡」

 

最初に断っておくが、別に心が折れていない訳ではない。

折れたまま少し歩けているだけで、依然として聖園ミカとアリウスへの恐怖心は健在。ただ、現実を見ると、合理性を突き詰める選択しか残っていないだけ。

震えは止まっていないし、今でも奥歯を噛み締めなければ吐き戻す。けれども、彼女らの『ナツキ・スバル』を知らなければ結末は変えられない。

 

「──『ナツキ・スバル』を知る為に」

 

「……うふふっ。そうでしたか」

 

「お前らが何の話をしているのか、ずっと分からねぇ。そんな奴は何処にも居ないし、お前らが知ってる『ナツキ・スバル』は全部嘘っぱちだ、何でそんなもんを頼るようになったのかも、どう信じる価値を見出したのかも分からない」

 

──ナツキ・スバルはどうしようも無いクソ野郎。それは、あらゆる嘘と虚実が並ぶトリニティですら変えようのない事実。

 

「…失望しろよ、してくれよ。なんで、そこまで盲目なんだよ…!何も出来ない愚図の癖して期待ばっかり向けられる奴の、何がそんなに信じられる!」

 

「それは、この世にはあまりにも『真実』が少ないから、とでも」

 

返答に、スバルは息を飲む。

気迫とでもいうべきものが、浦和ハナコの言葉から伝わってくる。笑顔の鉄仮面は常に笑っているのではなく、ああそうか、嘲笑しているのだと。

 

「事実は必要無いんです。意志を放棄し、可能性を排し、目的を忘れ、信じる苦痛から逃れられればそれでいい」

 

「苦痛から逃れる為に、私達は進化を続けてきたのです。であるのなら、ナツキさん──何故?という疑問は、疑問にすらなりません。神であれ、人であれ、物語であれ、どんな形であれ我々は等しく信じられるものだけを信じる」

 

「──見たいものを見たいように見る、根源的、生理的欲求に嘘は介入できないのですよ。劣悪な環境、能力不足による発生する不幸の責任を、誰かに転嫁し信仰へ昇華できれば、それが『真実』となり、精神の苦痛を和らげる」

 

「つまり私達という存在は、想像よりもあまり複雑に作られていない………どうでしょうか?」

 

「────」

 

首を横に振る。

どうでしょうか。どうもこうもない、浦和ハナコの冷たい価値観には納得できない箇所がある。

 

「ミカは、そうじゃなかった」

 

信じる過程の苦痛を受け入れなければ、『やり直し』を前に自らの意志は貫けない。自分以外の為にやり直しを求めた聖園ミカは、行いへの善悪を問わなければ尊さを纏う。

 

「──。いいえ。ナツキさんもまた、物事を見たいようにしか見れない呪いからは、人である限り逃れられません」

 

「見たいように見て何が悪い?言っとくが、俺は──」

 

「悪いからこそ、この様な状況になってしまったのではないでしょうか」

 

「…………」

 

それは、否定できない。

古書館への放火といい、少しの情報しか手元に無いが、補習授業部に関する事といい、あらぬ真偽を前に踊り狂ってしまったが故の悪行。

トリニティを構成するのは疑心暗鬼と盲信で、アリウスもまた、その渦中にある。

だがそう俯瞰して話していいのは、浦和ハナコのような他者に疑心を振りまくような者では無い。

 

「お前は、どうして補習授業部を調べろ…なんて言ったんだ」

 

「あら、あらあら。恐らくですがそれは、私の趣味だと思います♡」

 

「───は、ぁ?…趣味?」

 

「私、人助けが趣味なんです。特に迷える子羊に…一振り、杖を首に掛けてあげるように」

 

「────」

 

よくもぬけぬけと、よくも、皆殺しにしておいて。

趣味が人助けとほざいたハナコと視線が合う、するとまるで、スバルの腹の中を見透かすようにゆっくりと頭を下げ──謝罪、らしきものをする。

それは『余計』な仕草だった。今のがもし、スバルの冷静さを欠かせる戦略なら素晴らしい一手だが、

 

「──その目で見られるのは、慣れています」

 

「…『恋』の定義を考えた事はありますか?思うがままに心の内を晒しあい、叶うかどうかも分からない願いを口にして分かち合う……情熱的で、狂熱的で、互いに溶け合う様な……濃密な時間を過ごしたいと、願う。変わらぬ現実を前にして、それでもと、求め合う」

 

「私はその目に、貴方の敵意に恋をしているんです♡」

 

「恋をしているから、分かち合いたい。不思議がる事も何も無い、至って普通の理由で…──以前の私は、貴方にヒントを与えたと仮定しましょう」

 

沈黙するスバルに、浦和ハナコは言葉を続ける。ただでさえスバルは今の今まで、浦和ハナコに仕掛けられた全てのトラップに太刀打ち出来ていないのに、言葉の一つ一つが蠱惑的な感覚を与えてくる錯覚で頭がおかしくなりそうだ。

震える奥歯、浦和ハナコが死ぬ直前まで崩さなかった鉄仮面を思い出し、スバルは漸く、自然な恐怖を感じ始めた。

 

──何処までが、想定内なのか。

 

スバルが一通りの問題を解決しエデン条約に至っても、情報収集の為に古書館に足を運び、更に切り札であるゲマトリアを利用しようとしても、浦和ハナコの手中から逃れられる気がしない。

 

「──。うふふ、少し、意地悪が過ぎましたね」

 

「ではナツキさん、今回の解答用紙の提出は如何なさいますか?」

 

──解答用紙。

問題を見て、決まった答えを紙に記入するだけの代物。決まった答えを、正解を、解答を、間違いか正解かで区別する。

提出をどうするかと聞かれても、手渡して返ってくる点数は精々三十点かそこらで、スバルの現状把握不足を突っつかれる。

 

「…黙って聞いてりゃ、好き勝手言いたい放題だな。正答率が上がる度、お前は追い詰められていくってのに…!」

 

「なら、最初に減点を」

 

「減点……っ?」

 

「──最初から聖園ミカの提案を疑い保留し、古関ウイを頼り古書館で『捜索』を始めた事。夜の逢瀬の帰りに古関ウイとの接触を仲正イチカに見られた事。外部の勢力を頼ろうとし、未だアリウスの全貌を掴めていない事。古書館の放火や内部の反乱を見通せず、戦況の変化に着いていけずに流され、策もなく戦場に立ち撤退を余儀なくされた事。そして今、私と会話してしまっている事」

 

「貴方なら、全て防げた筈です。なので──減点は三百点程。うふふっ。ナツキさん、この点数から挽回、してくれますか?♡」

 

「──。……っぁ……」

 

ほんの数秒、沈黙を余儀なくされた。

何故スバルの醜態を事細かく知っている、何処から、誰から、どうやって、そう沈黙を破る為にも喉を動かし、空気でも何でも吐き出そうとした瞬間、浦和ハナコが立てた一本の指にせき止められる。

あの指だ、スバルのループ回数を的中させた指、当てられる訳が無いと高を括った上で当てられたのを思い返す。以前よりも更に自信と確信に満ち溢れた一本の指が、スバルの前で輝かしく立てられていた。

 

「まだまだ、テスト勉強が足りてないみたいですね」

 

「たった一度、されど一度。私がヒントを与える程の絶望を、そして心を摘み取る経験を経て、『ナツキ・スバル』を理解できましたか?」

 

「もしそうでないのなら」

 

「私から、貴方に祝福を──心とは、かくも不確かなモノ。そこに神性は宿り、完全性が産まれ、不完全性によって『神』は、本音は姿を表す」

 

「所詮、全ては虚飾に過ぎないものでした」

 

────。

チェックメイト、既にスバルが不利を覆せるチャンスは無いのだと告げられて、その動かし難い事実に涙が滲みそうになる。一度として泣き虫である事はスバルにとって良い方向へ転がったことは無い、喉を駆け上がる嘔吐感を抑え無様を晒さないことだけが、今のスバルに許されていることだった。

 

白く点滅する意識を頬の内側を強く噛んで保ち、立っていられなくなる足を拳を握り締める力の硬直で無理矢理立たせる。

誰かが助けてくれれば勝利が見える、なんて次元はとうに過ぎていて、勝利の定義すら出来ていない男には何が出来るのか。

 

何も出来ずとも──スバルは、ウイの、皆の悲しみの為に立つ、立っていなければ、どうしようもなくなる。

 

「……ハナコさん」

 

「あら、マリーさん」

 

「──マリー…!?」

 

そこへ、追い打ちをかけるように、

 

「サクラコ様は旅立たれました、後継は貴方へと。私達シスターフッドは浦和ハナコの手となり足となり、混沌に満ちたトリニティに光を示すまで──この命、捧げます」

 

「あらあら…♡」

 

「────」

 

──最悪の加勢が、スバルではなく相対する浦和ハナコへと加わった。

 

変わらない笑顔を浮かべ、立てた指を収め、ハナコはスバルへと顔を向けなおす。そして鉄仮面の下から冷たい、とある提案を突きつける。

 

「私は、あらゆる可能性に対しあらゆる選択を仮定しています。ですのでこれもまた、一つの想定の内にすぎません」

 

「──ナツキさん。貴方が選べるのは二つに一つ」

 

「トリニティを去るか、まだ抗うか」

 

「元より私は、私自身の手で最期までやり通すと決めています。貴方がここにいる事も、些細な物語の注釈に過ぎずここでの顛末は結末に影響しない」

 

「私が無理ならば貴方が、貴方が無理ならば私が」

 

「──『ナツキ・スバル』は、私達のどちらかが至ればいい。どちらも辿り着けないのなら、貴方は必ずやり直す」

 

「その過程で私達は互いに真実を求め合い、より深くより濃密に、より繊細な関係の元、互いの境界線が分からなくなるほどに。ああ、これはもしや」

 

「──恋、やはり、私達は恋しあっている。そうは思いませんか?ナツキさん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よいしょ…よいしょ…」

 

──戦場の片隅で、シスターフッド長である歌住サクラコは気絶した聖園ミカを背負い、何やら話し合いを始めたハナコと再び闘い始めたミネ、ツルギ、イチカ達を他所に脱力しきった人間の重量を感じていた。

 

本来は内紛に参加すべきでは無いシスターフッドも、強硬派の思想を前に和平派への協賛を申し出て、結果的には丸く収まりそうな状況に彼女は心踊らせている。

 

「急に戦いを始めた時は驚きましたが…──聖園ミカの打倒無くしてトリニティに真の平和は訪れない、確かにハナコさんの言う通りです…!」

 

「……うーん、よいしょっ…」

 

幾ら民と戦っても問題は解決しない、叩くのならやはり本陣だという意味だったのだろう。少し過激ではあるが、このままダラダラと膠着していても皆疲弊していくだけで、解決策を提示してくれたハナコには感謝しかない。

後は、聖園ミカとしっかりお話が出来れば内紛も終わらせられるかも。彼女だって人であり特別な立場に居るとはいえ、ちゃんと心と心で語り合えば、

 

「──きっと、ほんの少しすれ違っただけなんですから」

 

互いがただの学生である事は、どうにも変えられないのだ。

人は人である、神は神であり、交わることは無い。交わることが無いからこそ、遠く離れて届かない様に見えたとしても手が届かない訳じゃない。

 

理解を通じて愛を伝える、シスターフッドとして出来ることはそれぐらいなのだから、

 

「……」

 

「…運び方を変えたら良いのですね!」

 

「んっ…」

 

服を汚さないようにとおんぶの形でミカを運んでいたが、歩く度に彼女の口から空気が押し出されるのを聞くとなんとなく運び辛い。一旦背から降ろし、腕を脇と足に通してお姫様抱っこの形へと変える。

 

これならより走りやすい上、サクラコ自身の負担も軽い。意気揚々と、戦火からミカを遠ざけようとした所──、

 

「……サクラコ…様…ッ!」

 

「あ、マリーさん」

 

ミカを運ぶサクラコに、戦線を抜けて現れたマリーが拳銃を向ける。複雑な感情の織り交じった、今にも泣き出しそうな顔で。

争いが苦手な彼女の事だ、こんな唐突に戦場へ駆り出されてはその心労も計り知れない。

 

「──。大丈夫ですよ、全てはもう終わりました。銃を下ろして下さい」

 

「全て、終わった──?サクラコ様、それは…」

 

「ええ。聖園ミカは私の手に、最早争いを続ける理由はありません。ヒナタさん達にも通達を…終わりにしましょう、全てを」

 

この後の事は、きっとハナコが何とかしてくれる。自分は政治に向いていないから、聖園ミカと浦和ハナコの対談──それさえ実現できれば、これらの争いも終わらせられる。

そう思い、肩の荷を降ろしてもらおうと声を掛けたのだがイマイチ、マリーの顔は強ばったままだ。

 

「マリーさん。そう怖がらずとも大丈夫です、後は任せています」

 

「っ…後は任せる──そう、だったのですね。サクラコ様…」

 

「はい。何も心配せずとも、これからのトリニティはハナコさんと共に、シスターフッドが導いていきましょう。大勢の人が道行きに迷う中、光をもって先を示せるのは我々だけ」

 

「──そのお言葉、魂に刻みます」

 

分かってもらえて良かったと、笑顔を浮かべサクラコはその場を後にしようとして、再度マリーから名を呼ばれ引き止められた。今度は何が不安なのかと振り向いて、涙をポロポロと零す彼女に驚きどうしたのかと唖然とした。

 

「っぅ…お願い、します。お聞かせください…!聖園ミカを連れて、貴方は何処へ行かれるのですか…!?」

 

「──?それは、誰の手にも届かない場所に…ですかね」

 

一旦は戦場から遠ざけないと、彼女も安心して起きれないし話せない。自分とは違い常に戦いを続けてきて、ずっと孤軍奮闘していたのだから、誰の手も届かない静かな場所で休んでもらいたかった。

その意が伝わったのか、どうして涙を流しているのか分からないマリーは泣くのを止めて、息を飲み込んだ。

 

そんなマリーの肩に手を置き、「お疲れ様でしたね、マリーさん」と労いを口にする。

 

「────」

 

「全ては終わったと──。そう仰るのなら、何故っ…」

 

「貴方が、貴方がその手を汚す必要が…何処に…ッ」

 

「ハナコさんから託された、私の役目だからですよ。ミカさんを頼むと、彼女がそう仰った、ならば私は責任をもって彼女を連れて行く。それが今の私の役回りであり、責任の果たし方です」

 

「──聖園ミカの打倒無くしてトリニティに真の平和は訪れない。私はその言葉に倣うまで」

 

皆が必死に切り開いた道を通って、一人元気に現れた以上、土や灰で手を汚そうが関係あるものか。自分も少しは貢献したい、人一人を運ぶことぐらいどうということは無いと、その元気を示すような輝きを持つ華やかな笑顔を再度、サクラコはマリーに見せる。

 

後はミカを連れて行き、三人きりで話せる場所で彼女の過失を叱る。沢山叱った後は心の傷を抱き締めて、愛を分かち合う。

救済を行うにしてもまずは、ごめんなさいと彼女に言わせてから。問題の根幹が彼女の心にあるならば、彼女を一度打倒しなければ本当の意味でトリニティは救われないのだ。

 

「誰も彼も、こんな争いは望んでいなかった。私達は人々の憎しみの中で唯、前を向き真に救済を示す。けれど大勢の方は中々、心に刻み込まれた傷によって動けないままでしょう」

 

「なればこそ、ミカさんにも責任を果たしてもらうのです。それが、贖罪とならんことを」

 

「──怒りは胸の奥底に沈めるものではありません。両の足へと送り、原動力とする。人に向けて発露するものではなく、己を奮起させ前へと進む為の力とする。そうして立って歩いていけば、自ずと怒りや憎しみは自分自身を支える勇気へと昇華されていく」

 

「決して、負の感情を負の感情のままにしないで下さい。心も体も廻るもの、マリーさんもそうであって欲しいのです」

 

「────」

 

「…けれど、大きすぎる罪過には代価と代償を」

 

「これは、それだけの事なのですよ。マリーさん」

 

オイタが過ぎれば、それだけ沢山の方への謝罪を。

ハナコと共に三人で、この荒れ果てたトリニティを元の形に取り戻す、そんな未来を想像すればするほど、口元と目尻が緩んでいく。

 

「──。私達は、私達は…貴方の崇高な信仰には程遠かったのですね。唯一人で、貴方は私達全員の罪業を背負って…」

 

「ならば、私達はこの後…一体何を信じていけば…」

 

「ハナコさんを頼り、信じなさい。彼女ならば新しい光となる事でしょう。私が知る限り最も聡く、温かい心を持つ方です」

 

「……分かり…ました…」

 

よろめきながら去っていくマリーを見届けて、サクラコは満足げに走り出す。聖園ミカが目覚めて抵抗されては自分ではどうしようもないので、優しく慎重に運び、そして──そういえば、どうして泣き始めたのかを聞きそびれたと、

 

「マ───…行ってしまいましたか」

 

「…………」

 

「……私が頑張れば、きっと笑顔になってくれる筈ですよね!」

 

「待っていて下さい!必ずミカさんを叱った後は、みなさんでトリニティを救済致しましょう!」

 

「……ええと、それで何処に行けば良かったのか…」

 

マリーへの心配と慈愛の顛末、その行方を知らず。

 

 

──みんな、仲良く出来れば良いな。と、純粋にもそう願った。










──。頭ワッピーなのは、何処かのピンク髪にデロデロに甘言を受け続けてた影響だったり……。
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