Re:ゼロから始める青春物語   作:カピバラバラ

36 / 133
今回短め&本編進行殆ど無し。


閑話『星の崩れ方』

 

 

<side : H>

 

 

チグハグが、頭の中に残ってて。

チグハグが、胸の中に残ってて。

チグハグが、心の中に残ってて。

 

 

ずっと、ずっと、ずっと。

 

 

永遠に、自分を呪う声が止まないのです。

 

 

永遠に、永遠に、永遠に、永遠に、永遠に、永遠に、永遠に、永遠に、永遠に、遠に、永遠に、永遠に、永遠に、永遠に、永遠に、永遠に、永遠に、永遠に、永遠に、永遠に、永遠に、永遠に、永遠に、永遠に、永遠に、永遠に、永遠に、永遠に、永遠に、永遠に、永遠に、永遠に、永遠に、永遠に、永遠に、永遠に。

 

 

終わらないチグハグが、固まらないチグハグが、壊れたものが、今でもチグハグのままで──。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『やったー!新しい後輩だよ!ホシノちゃんの、後輩〜!』

 

「そうですね、■■」

 

『シロコちゃんに、ノノミちゃん!シロコちゃんはあんなにトゲトゲしてたのに、とっても元気な子になって……ノノミちゃんも、本当に良い後輩だね〜』

 

「まぁ、シロコちゃんはお転婆が過ぎますけど」

 

『それを咎めるのも、先輩の仕事だよ!ホシノちゃんに伝えたみたいに、シロコちゃんにも……──伝わって、くれるかなぁ…』

 

「私が頑張ります、■■が教えてくれた事、ちゃんと受け継ぎますよ」

 

 

チグハグ、チグハグ、見るべきものが見えなくなって。

 

 

『え!さ、最年長!?ひぃん…あんなに可愛かったホシノちゃんも、いつの間にか3年生かぁ…』

 

「そうなんだよ〜、■■■■、おじさんにも後輩も四人出来たし、新しく委員会も作っちゃった」

 

『えへへ…ホシノちゃんの事、おじさんみたいで可愛いって言っちゃった事、気にしてたんだね…』

 

「しょげないでも大丈夫だよ〜、■■、おじさん嬉しかったんだからさー」

 

 

チグハグ、チグハグ、聞くべきことが聞こえなくなって。

 

 

「借金返済、これからも頑張ります、■■」

 

 

『──やっぱり、私はそっちのホシノちゃんの方が好き、おじさんなホシノちゃんも好きだけど、後輩にもカッコイイ所見せてあげてね』

 

 

「…分かってます、■■■■」

 

 

チグハグ、チグハグ、守るべきものを守れなくなっていく。

 

 

見るべき未来が、聞くべき想いが、伝えるべき言葉が、守るべきものが、チグハグな私はどうしたらいいのか分からないので。

 

 

分からないまま、見えないまま、聞かないまま、伝わらないまま、チグハグなままの私で、守るべきものを守るのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『──セリカちゃんが?』

 

 

少女の問いに、奥空アヤネは小さく息をのんだ。

 

何の変哲もない、とりとめのない問い。

戸惑いを含んだその問いは、後輩が連れ去られたという事実に対しては至極当たり前のモノで、アヤネ自身も急を要する問題だった。

だから返事をしようとする、ほんの少しの時間で済む、肯定の返事。

 

 

『────』

 

 

しかし、アヤネの喉は、彼女に声を返せなかった。

彼女から発せられる重圧が、アヤネの喉を締め上げていた。

決して人に向けていいものでは無い、彼女の中にあるヘドロの様な感情から漏れだして、それを感じとってしまう。

 

 

『……ごめん、すぐに向かうね、周りも探してくるよ〜、大丈夫!セリカちゃんなら不良くらいやっつけれると思うし!』

 

 

『っ……ホシノ、先輩…』

 

 

アヤネの固まった表情を見て、少女は慌てて顔を緩ませる。

チグハグなものを隠して、チグハグであることが幸せだと思って、チグハグだという事が自分だと信じて。

 

少女は、駆け出していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……黒服』

 

『ククッ、お待ちしてました、暁のホルス』

 

 

悪い大人に騙される訳にはいかなかった。

二度と同じ誤ちを起こさない為に、二度と大切なものが傷つけられないように、二度と私の手から失われる事が無いように。

 

 

『──ナツキ・スバル?』

 

『ええ、彼の身柄を頂きたい』

 

『…お前が欲しがるような奴なんだ、ナツキ・スバルって』

 

『勿論です、彼はキヴォトス最大の神秘になりうる存在ですので』

 

『またそれか』

 

 

私のせいだ。

 

また、私のせいで誰かが傷つく。

手を出さないと言った筈の男の言葉は嘘で、帰ってみると大切なものが2つ失われていて、漸く気づく。

 

 

『──』

 

『ごめん、ホシノ先輩……二人で風にあたってくるって、外に出てから…』

 

『ううん、シロコちゃんのせいじゃない』

 

 

また、私のせいか。また、騙されたのか。

 

■■から貰ったものを後輩に渡したかった、■■から受けた優しさを後輩に伝えたかった、■■から信じてもらった私の手でアビドスを救いたかった、■■から命を奪って生きてる私を誰かに見て欲しかった。

■■が目指したものを作り上げたかった、■■が語った夢を叶えたかった、■■が今のアビドスを見てあどけなく喜んでくれるようにしたかった、■■が生きていたらまた同じようにアビドスを取り戻したかった。

■■になりたかった、■■のように優しくなりたかった、■■みたいに後輩へ教えられたらよかった。

 

■■、■輩に、■メ■輩、■メ先輩に、会いたいです。

 

 

『───』

 

 

チグハグ、チグハグ、守るために

チグハグ、チグハグ、バレないように。

チグハグ、チグハグ、夢を固めて。

 

チグハグな自分を、チグハグな夢を、チグハグな未来を、完成へと近付けていく。

 

 

『ユメ先輩』

 

 

声にもならない、呻き声をあげて。

 

 

『──もう、誰も、二度と』

 

 

信じるものか(騙されない)

 

 

チグハグ、チグハグ、ズレていくのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『俺は、俺だよホシノ』

 

『見た通りのナツキ・スバル』

 

 

ナツキ・スバルという存在に、出会ってしまった。

 

 

『銃を向けられたら怖くて泣き叫びそうで、身の丈に合わない無茶ばっかりして』

 

『痛いのも我慢できない、碌に覚悟もない、特別な何かもない」』

 

『誰かの手を、借りねぇと…1人で立ち上がれもしない』

 

『──死にたくねぇ』

 

『死にたくねぇ!!俺は死にたくない!俺は!死にたく!!無い!!!』

 

『助けて…欲しい…!』

 

 

ひたむきに、前を走ろうとする背中が、ユメ先輩に似ていて。

 

 

『まだ、俺のせいで泣いてるやつが…いる、からぁ…』

 

 

そうやって、泣いてる姿も何処か重なってて。

 

 

『ホシノちゃん』

 

 

私は、彼の手を取ってしまった。

柔らかい肌、直ぐに傷つく身体、彼はただの人間だ、撃てば殺せる。

──爆弾を積んだ車を走らせた、殺さないと。

──謎の悪寒は、私に死をイメージさせた、殺さないと。

──特攻後の計画的な配信、恐ろしい、殺さないと。

──私を、アビドスを利用しようとしている、殺さないと。

 

騙されない為に、アビドスを奪われない為に、後輩を守る為に、とっくに決めた覚悟を振りかざして。

 

振り、かざして。

 

 

『ホシノちゃん』

 

 

そうできなかった自分は、どこまでもチグハグだった。

 

 

 

 

※※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

チグハグ、チグハグ、守るために

チグハグ、チグハグ、バレないように。

チグハグ、チグハグ、夢を固めて。

 

チグハグな自分を、チグハグな夢を、チグハグな未来を、完成へと近付けていく。

 

※※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 

 

 

騙されない。

 

騙されるものか、もう二度と信じないと誓ったのだから。

 

 

「俺もお前も理想も夢も、抱くだけが一丁前で、叶わねぇのに手を伸ばしてるとこ、そっくりだろ」

 

 

うるさい。

 

 

「諦めてるからだ」

 

 

「全員幸せになる未来なんて無いって、蹲って」

 

 

「後輩より、その悪い大人って奴を信用してどうすんだ」

 

 

うるさい、黙ってて。分かってる、分かってるよ。

 

 

「……ーー君の理想は?」

 

 

「全員、笑顔で飯食う事」

 

 

今更過ぎる、なんで、今になって。

 

なんでこんなにまで、『なっちゃって』から、来るんだ。

 

 

「理由が、それ?」

 

 

「ああ」

 

 

もっと早く助けてほしかった。もっと、もっと早く、ユメ先輩が生きてるときに、ユメ先輩と一緒に生きていた時に。

 

どうして、どうして、そう言ってくれる存在が、こんな事になる前に、来てくれなかったの?

 

どうして、今になってチグハグを暴きにきたの?

 

 

「こう、なる前なら」

 

 

「掴んでみてもよかったかも」

 

 

私のせいでユメ先輩は死んだ。

私がユメ先輩を殺した。

私がアビドスを終わらせた。

──私がユメ先輩と出会ったから。

──私がユメ先輩に声をかけたから。

──私がこの世界に生まれてきたから。

 

全部、私のせいだった。

 

私のせいで後輩が不幸になった。

私のせいでセリカちゃんは苦しんだ。

私のせいで二人が連れ去られた。

私が後輩を苦しめてる。

 

全部、私のせいだった。

 

チグハグな私が、チグハグなまま、チグハグに生きてきたから。

 

こうなってしまう、その前に、誰か、

 

──私を、消して欲しかった。

 

 

 

──────

 

 

 

『ホシノの態度が柔らかくて感動してんだよ、初対面思い返してただけ』

 

 

『それは君が爆弾詰めた車で爆走してたからだけど』

 

 

騙されるな。

 

 

──────

 

 

『大ありだぜ、逆にホシノは俺が『あーはいはい大体知ってるから任せて引っ込んどけ』とか言ったら撃つだろ』

 

 

そんなことないよ~(騙されるな)

 

 

──────

 

 

『ホシノ……達の、責任でも、ねぇだろ…』

 

 

『なんで、なんでここまで、こんな目に合わなくちゃなんねぇんだ…!!』

 

 

『理不尽を当たり前だって、受け入れ続けちゃうとさ、心が麻痺して、壊死していくんだ』

 

 

『だから、うん、そうだね…』

 

 

ありがと(騙されるな)

 

 

騙されない、騙されるか、信じない、信じてなるものか。

 

最後の最後、尻尾を出すその時まで。

 

 

 

『ホシノはアビドスの問題はアビドスのせいだっつってたけど……ーー俺は、それだけが原因とも思わねぇ』

 

 

『何処かで、誰かが、どんな些細な事でも……』

 

 

『手を…、差し伸べれた瞬間があると思う』

 

 

───(騙されるな騙されるな騙されるな)

 

 

──もう、いい。

 

 

『目の前で子供が転んだら、手を差し伸べるだろ?目の前で困ってる人がいたら、少しは助けようかなって思う筈だろ?』

 

 

──もういい、分かったから。

 

 

『──だからさ、ホシノ、見放されるのはこれで終わり』

 

 

『俺が…助けてもいいか?』

 

 

──もう、疑わせないでよ。

 

 

君が(騙されるな)

 

 

私達を、救うの?(騙されるな)

 

 

『──そうだ、でも、ちょっと違う』

 

 

『俺とホシノと、シロコも、俺を助けてくれる全員で、だよ』

 

 

──もう、疑うのも疲れたよ。

 

 

………(騙されるな)

 

 

──助けて欲しいな(騙されるな)助けて…くれる?スバル(騙されるな)

 

 

『ああ──、勿論』

 

 

『ホシノが助けて欲しいってなら、俺は神にだって噛み付いてやる』

 

 

──ああ、早くこの地獄が、終わりますように。

 

──チグハグな私が、見つかりませんように。

 

──願わくば、チグハグな私が、終わりますように。

 

 

 

※※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

チグハグ、チグハグ、守るために

チグハグ、チグハグ、バレないように。

チグハグ、チグハグ、夢を固めて。

 

チグハグな自分を、チグハグな夢を、チグハグな未来を、完成へと近付けていく。

 

※※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 

 

『…──ホシノ』

 

 

 

 

『どうしたの、スバル』

 

 

 

 

『──無茶すんな』

 

 

 

──────…。

 

 

 

『…ユメって人は、ホシノの先輩なんだよな』

 

 

 

『……そうだね』

 

 

 

『……』

 

 

 

『良い、先輩だったんだな』

 

 

 

『──…』

 

 

 

『後輩は先輩の背中を見て育つ、今のホシノを見て、俺は今ユメの背中も見てる』

 

 

 

『──良い先輩だな、ユメは』

 

 

 

※※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

チグハグ、チグハグ、守るために

チグハグ、チグハグ、バレないように。

チグハグ、チグハグ、夢を固めて。

 

チグハグな自分を、チグハグな夢を、チグハグな未来を、完成へと近付けていく。

 

チグハグになって、チグハグのまま、チグハグなものが多すぎて、元の形がわからないぐらいにチグハグになって、新しい形になっても、まだ。

 

 

チグハグのまま生きていく。

 

チグハグのまま終わっていく。

 

幸せな、ユメを目指して。

 

※※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 

 

 

 

「あれ…こんな時間に……」

 

 

いつもの通りに、深夜まで遅く徘徊し、アビドスに異変が無いか監視をしていた。

 

 

「──スバル?」

 

 

屋上から一望できる光景に、彼の姿が映ってしまった。

明日は遊撃戦、この夜風で彼に風邪でもひかれたりしたら、作戦に支障が生じてしまう。

 

 

「……」

 

 

後をつけて、スバルの行き道を追い続ける。

 

夜風に混じる砂がいつもより敏感に感じて、銃を握る手がいつもより鈍くなって──、

 

 

「────」

 

 

「──」

 

 

「黒服」

 

 

その時に感じた痛みよりも、その時に感じた悲しみよりも、その時に感じた苦しみよりも、その時に感じた絶望よりも。

 

 

「やっぱり」

 

 

「最後の、最後まで…信じきる前に」

 

 

「踏みとどまれて、良かった」

 

 

──良かった、と思う安心の方が大きかったのは、何故でしょうか。




駄文でした。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。