世は動乱の時代
弱き者は淘汰され強気ものが生き残る、そんな時代
各国は国土を広げる為に戦争を繰り返し、本来民を守るはずの領主によって行われる度重なる搾取のせいで土地はやせ細り、民は疲弊する
緩やかに、しかし確実に各国の腐敗は進んでいた
日は沈み、夜の帳がジスタード王国を覆う中、山の中で二人の男女が焚き火を囲い話をしていた
片方は鮮やかな銀色の髪と蒼く澄んだ瞳を持つ二十歳くらいの青年、もう片方は漆黒の髪と瞳を持ち全身を黒いローブですっぽりと覆った十五、六歳程の少女
どちらも優れた容姿の持ち主であった
「なに?ブリューヌ王国がディナント平原に戦力を集めている?」
「はい。影を使い調べた所、ブリューヌ国王の息子であるレグナス殿の初陣の為に戦力を集めているそうです」
ブリューヌとジスタードの両国は少し前から各地で小競り合いが発生していた
今回のレグナス王子殿下の初陣を好機と見た貴族たちが国王を唆し、大規模な戦をジスタードに仕掛けたのだろう
「ディナント、と言うことはそこに隣接しているライオメリッツの
各
二人の内の青年が不安げな表情で思案する
「ブリューヌはあとどのくらいで戦力を集中させられる?」
「あのペースから考えて、おそらくニ三日程度で戦力が集まってしまうかと……」
「そうか……ありがとう」
そう返事をした青年の顔には少しだけ不安な色がみてとれた
「それでどう致します?ブリューヌの軍勢は凡そ二万を超えるかと思われますが……加勢しに行きますか?」
青年のいる所からライオメリッツまで約一日半程の距離だ
四日後を予想される開戦の時期には十分間に合うだろう
それに加えてライオメリッツが動員できる数は約五千程度、いくら
青年は少し考え込む素振りを見せた後、決意を露わに言った
「エレンに加勢しに行く。準備が出来次第出発しよう」
「了解です!全員に通達!我らはこれよりライオメリッツへと向かい、エレオノーラ様に加勢する!急いで準備せよ!」
少女が号令を掛けるや否や、周りにいた数人が急いで準備を始めた
その様子を尻目に青年ーアルフレッド・ヴァーミリオンーは呟いた
「エレン……今、助けに行くよ」
ディナント戦四日前の出来事であった