ゴブリンスレイヤー二次創作やってると、悩むのは原作で死亡したり悲惨な目に遭うキャラたちの扱いですね。助けれるヒトは、助けたいという思いもありますがさて……。
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魔法剣士が魔女から魔術を習い、辺境最強の銀等級冒険者である槍使いとも顔見知りになった日の翌日になってからのことだった。
改めて女神官から連絡があり、やはり新たな奇跡を授かる試練を受けることになったため、数日は神殿に籠るため戻って来れないらしいということがわかった。
そのため魔法剣士は、女神官と合流するまでの数日のあいだに金を稼ぎ、経験を積み、新たに覚えた魔術を試すために何か依頼を請けようと今日もギルドにやってきた。
「──お? よお、坊主。昨日ぶりだな」
そう言って声をかけてきたのは、先日知り合ったばかりの銀等級冒険者、辺境最強の槍使い、その人だった。
颯爽とした佇まいに、引き絞られた体に鎧を身につけ、軽銀の長槍を片手に軽快な、それでいて隙がのない足取りで魔法剣士に近づいてきた。
「──あ、どうもです! 昨日はお世話になりました」
「なぁに、気にすんな。あいつが勝手にやったことさ。まっ、気に病むならいつか返してやりゃあいい」
そう言ってヒラヒラと手を振って言う槍使い。
駆け出しに恩を着せようとは思わないが、生き延びる理由のひとつにでもなれば上々だろうという気配りを感じさせず、槍使いは訊く。
「そういや、聞いたぜ? 一緒に組んでる女の子のためにいまは、ひとりで頑張ってんだってな」
「はい。あいつは、いまも神殿で修業してるはずですし、俺だけ怠けてるわけにもいきませんから。帰ってきたら少しでも成長してるところを見せて、同じパーティとして恥ずかしくないようにしたいんです」
実力云々もだが、おそらく魔法剣士が言っているのは、在り方のことなのだろう。
仲間がパーティのために頑張ってるのに、自分が何もしないのでは同じ一党として一緒にいられない。
「それに……あいつは、女の子ですから。男の自分が守れるようにならないと」
「ははっ、そうか。いいぜ坊主。男らしいじゃねぇか」
年頃の男の子らしい理由に槍使いは破顔する。
何もかもを助ける気にはならないが、それでも女の子のために頑張るっていうのは、槍使い的に評価点が高かった。
だから槍使いは、彼の美学的に気乗りしたのかこんなことを訊いた。
「坊主、今日の仕事はもう決まってんのか?」
「え? いえ、まだこれから探そうかなと……」
「よし、なら俺が一緒に仕事してやる」
「ええっ!? ぎ、銀等級の人と行くような仕事ですか?」
いくら駆け出しでも早くに昇級してるとはいえ、黒曜等級程度では銀等級と文字通りに天と地ほどの差がある。
魔法剣士が及び腰になるのも無理はない。
だが槍使いは笑って否定する。
「ああ、違う違う。俺にじゃなく、おまえに合わせた仕事にってことだ。ちょいと新人教育ってやつさ。どうだ? おまえならこのチャンス、どうする?」
銀等級の冒険者と一緒に仕事する。
そんな機会、駆け出しにはまず訪れないことだろう。
もちろん、どんな仕事も危険は伴う。
だからこその冒険だ。
それは銀等級冒険者が一緒でも変わらない。
しかし、経験も知識も技術も豊富な銀等級冒険者から何かを学べる機会など骰子を振るまでもなく、逃す理由がなかった。
「……よろしくお願いします!」
「よっし、決まりだな。仕事内容は……まあ、今回は俺が選んでやるか」
頭を下げる魔法剣士にそう言って槍使いは、コルクボードへと向かう。
その途中、魔女の肩をポンっと叩いて二、三言葉を交わした槍使いは、コルクボードの前で貼り出された依頼書と向き合っている。
槍使いから話を聞いただろう魔女がこちらを向いて微笑を浮かべていたので、魔法剣士はお世話になりますと頭を下げた。
魔女は、そんな魔法剣士に、そして珍しいことをする槍使いに、意味深な微笑を浮かべて煙管に火を落とすのだった。
「さぁて、どいつにすっかな」
槍使いは、コルクボードの前で貼り出された依頼書を吟味していた。
(あまり遠出すんのもなぁ……いくら戦士職でも新人じゃまだそこまで遠くには出歩けねぇだろうし。かといってあんま近場でもな……何より仕事の内容だ。預かった以上、きっちり学ばせて、しっかり帰してやる義務がある。難しすぎず、簡単すぎずってのは、ちょいと贅沢かねぇ?)
槍使いがこのギルドの門を叩き、冒険者になってかれこれ五年。
新人の面倒を見るのは、なんだかんだ初めてな槍使いだったが、生来のものか意外と面倒見が良かった。
(あん? 遺跡調査か。これなら冒険して、報酬もらえて、場合によっては棲みついてるかもしんねぇ怪物退治して、行き来の野営なんかについてや、遺跡探索のイロハも学べる……こいつなら悪くねぇな。いや、むしろ良すぎるくらいだ)
新人は、なかなか優秀な斥候などもおらず、金も実力もないから遺跡調査も難しい。
だが、自分たちが面倒を見るなら、いまの魔法剣士の実力ならいけるだろうと槍使いは考える。
(ま、もし途中でバテてもそれも経験ってな。いまの自分の限界を知るのも悪くねぇこった)
新人には貴重な経験点になるだろうと、槍使いは口元に笑みを浮かべると依頼書をコルクボードから引き千切った。
そして、受付を見やると空いている列にではなく、混んでいても目当ての受付嬢を見つけると、喜び勇んでその列へと並ぶのだった。
§
槍使いが請けてきた依頼は、遺跡の調査だった。
この西の辺境には、辺境ゆえに未踏破の遺跡も数多い。
冒険者にとっては、一攫千金を夢見る舞台のひとつだ。
自分たちの欲求を満たしつつ、依頼ゆえに報酬も出る。実に悪くない仕事だ。
魔法剣士は、冒険の準備支度を終えると、槍使い、魔女とともに臨時の一党として辺境の街を発った。
場所が場所なため、馬車は使わずに荷物を背負っての徒歩による移動だ。
そのあいだも、槍使いは、魔女に補足説明をしてもらいながら自分たちの冒険から得た経験に基づく知識を、魔法剣士に伝えてくれた。
小さく荷物をまとめる方法、日だるの神に捕まらないように木陰で休むこと、その際には休憩中の者を狙う盗賊などに気をつけること、体を休めるときは装具を緩めるといいということ、他にも冒険に役立つ知識を教えてくれ、魔法剣士は頷きながらそれを覚えていった。
聞き上手かつ疑問に思ったことなどを訊いてくることもあり、槍使いはついつい話しすぎたものだが──。
(なぁに、これだけ言ってどれかひとつが生死を分けることもある。それで命を拾えたなら充分ってなもんだ)
役立つかどうかは、個人のがんばりと偶然と宿命の骰子しだいだ。
「遠出するときは、純粋な前衛増やしてからのほうがいいかもな。呪文使いは、率先して休ませないとならないからよ」
夜営のときは、そんなアドバイスももらった。
確かに呪文使いの休息を軽視するのは愚策だ。彼ら彼女らは、一党の生命線なのだから。
もちろん、気をつけていても死ぬときは死ぬのだが……。
そうして、夜も教導を受けつつ、魔法剣士も資金は出したが銀等級オススメの手頃な疲労回復効果のある携行食で食事を済ませ、明日に備えて槍使いと交代で見張りをするのだった。
しかし──。
「あの……」
「あん? なんだ坊主。まだ起きてたのか? 早く寝ておかねぇと明日つらくなるぞ」
経験豊富な槍使いが先に火の番をしてくれることになったのだが、魔法剣士は目が冴えているのかつい話しかけてしまった。
槍使いは、先輩冒険者として注意するが、先達ゆえに初めての夜営のときは不思議と目が冴えることも理解していた。
「まあいい。で、どうした?」
「その、なんで冒険者に?」
「俺か? 俺は……まあ、よくある話だ。最強になりゃあなんでもできると思って村を出たんだよ」
「最強……」
それは、魔法剣士も憧れてる称号だった。
「ああ、そうさ。男に生まれたからには、美女と最強を目指さないて何を目指すってんだ。女にモテて、感謝もされて、世の中のためになって俺も強くなれる。悪いことなしだ」
冒険者をやる奴なんてバカだ、村で安定した生活を送る自分は賢いだなんて思ってる。
誰もが聞けば鼻で笑うような夢。槍使いは、それを本気で目指していた。
「結局よ、綺麗なお題目なんていらねぇのさ。やりたいようにやれ。冒険者は、自己責任だからな」
良くも悪くも行ないは、自分に返ってくる。槍使いは、それを見てきたし、身を以って知っていた。
「……はい」
「そういうおまえはどうなんだ?」
「俺は……世界を自分の目で見て回って、いつか最強の冒険者になるって故郷を出ました」
「ははっ、そうか。なら俺たちは、ライバルだな」
「ら、ライバルですか!?」
まさかのことに魔法剣士は驚くが、槍使いは笑みを浮かべていた。
「おうよ。俺もまだ諦めてねぇしな。いつかどっちが先に最強になるか勝負できるといいな」
「……はい!」
何をすれば最強の冒険者になれるのか、魔法剣士にもまだわからない。
だけど、ヒトが聞けば笑うような夢を真剣に聞き、また自分も目指しているという目の前のこのヒトに恥じない冒険者を目指そうと、魔法剣士は決意を新たにした。
そうして一日と少しの移動でついた先は、そんな遺跡のひとつだった。
依頼内容はこうだった。
いまだ未踏破の遺跡の調査。
これだけならばありきたりだが、この遺跡は少し違う。
冒険者の一党が何組も挑んでいるが遺跡に入ったまま帰還しておらず、内部の構造が現状すべて不明なのだ。
「原因はなんだと思う?」
と、槍使い。
彼は彼なりの考えや推測があるのだろうが、新人の魔法剣士を教導するためにあえて訊ねているのだ。
魔法剣士は、思考を巡らして自分なりの考えを口にする。
「……内部に凶悪な魔物が居るか、罠にかかっているか、だと思います」
「悪くはねぇな。だが、全員が全員そうなると思うか?」
槍使いはそう言ってニヒルに笑い、槍の石突きで遺跡の入口周りを指し示す。
見れば足跡は、ヒトらしきものがほとんどだ。
「……ゴブリンでもないですね」
小鬼特有の足跡はなく、汚物の類いも積まれていない。
ゴブリンが巣食っている可能性は限りなくゼロに近い。
と、槍使いが顔を顰める。
「どうしました?」
「……いいや、ちょいと嫌な奴を思い出しちまっただけだ。気にすんな」
「ふ、ふ……」
魔法剣士は不思議そうだったが、魔女は何かを知っているのか面白そうに口元を笑ませる。
「やめだやめだ! あんな辛気くせぇ奴のこと考えても、せっかくの冒険が台無しだ。とにかく、だ! 魔物の類いじゃねぇな。そういう痕跡がねぇ」
「それ、と……罠な、ら……あとのヒト、が……気づかない、とは、思えない、わ」
槍使いと魔女の言葉に魔法剣士は、自分なりに理解する。
(確かに魔物や獣特有の匂いや痕跡はないし、罠なら先にかかった人の死体なりを見れば、回避はできるな。少なくとも後続の一党が立て続けに同じ罠にかかるなんてあり得ないはずだ)
遺跡などの調査は、宝箱狙いなら早い者勝ちではある。
しかし、安全面ではあとに入った者のほうが有利なのだ。
まあ、安全などを極度に気にしては、何が冒険者かという話にはなるが。
「……つまり、他に原因があると?」
「ああ。盗賊が棲み着いたんだろうよ」
「え? でも……」
「ああ、わかるぜ。それにしては、見張りも何もねぇってんだろ? そいつが盲点になんのさ」
見張りがいなければ魔物はもちろん、盗賊の類いも棲み着いていない。
そんな先入観が少なからず冒険者にはある。
「なら、この足跡は……」
「まっ、入ってみりゃあわかるだろ。行くぞ」
「は、はい!」
「ふ、ふ……頑張りましょう、ね?」
「は、はい!」
ベテランふたりに促され、魔法剣士は気合いを入れて、初めての遺跡探索への第一歩を踏み出すのだった。
END
というわけで槍使いさんと魔女さんとの冒険開始です!魔法剣士くんは、槍使いさんと魔女さんの初めての弟子みたいなものですね。こういった原作キャラとの関わりのある話、もっと書きたいですがなかなかネタがなかったりします。
それでは読了お疲れ様でした!また次回お会いしましょう!
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