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槍使い、魔女とととに臨んだ冒険は、学ぶこと、思うところなどはあったがそこそこの結果に終わった。
ギルドに死んだ冒険者の認識票を提出し、報酬をもらい、宝箱の中身や回収した武器防具なども売り払い、相応の額をきっかり三等分で分配された。
ちなみに初めての宝箱の中身は、古銭だったため売ってもそれなりの額にしかならなかった。
槍使いは、冒険なんてこんなこともある、むしろこれが普通と笑って魔法剣士の頭を撫でたものだった。
ひと山当てる、一攫千金を夢見ても現実はこんなものだが、魔法剣士は、初めての遺跡探索、初めての宝箱とあってそこで得た経験や、感じたドキドキやワクワクなどは得難いものだったと思っている。
みすぼらしい者たちに思うところはあったが、彼らと違って安全ではなく冒険──危険を冒したからこそあの遺跡の奥を見て、知ることができたのだ。
自分は彼らと違うと、魔法剣士は、今回の一件をしっかりと受け止め、割り切ることができていた。
そんな経緯と銀等級ふたりからの報告もあり、ギルドからの魔法剣士への評価も上々。懐も少なからず温まった。
それに槍使いや魔女もまた一緒に、今度は女神官もともに冒険に行こうと言ってくれた。
駆け出しの魔法剣士としては、充分に満足いく結果だった。
そんなこんなもあり、遺跡探索から帰ってきた翌日。女神官が合流する当日早朝の冒険者ギルド。
「──お久しぶりです」
数日ぶりに再会した女神官は、見た目には変わりないようだった。
「ああ、久しぶりだな。元気そうで何よりだ」
「はい。あなたもお元気そうで安心しました。おひとりで無茶していないかと」
数日ぶりでも久々な気がするふたりは、変わらぬ相手の様子に笑顔で言葉を交わす。数日の隔たりなどでは変わらぬ関係がそこにはあった。
それから魔法剣士と女神官は、依頼の貼り出し時間までこの数日の間にあったお互いのことを話し合っていた。
「そ、そんな大変なことがあったんですね」
魔法剣士が新しい呪文を覚えたという話を自分のことのように喜び、祝福していた女神官だったが、遺跡探索の話になると上々青ざめていた。
みすぼらしい者たちのおこないは、女神官には刺激が強かったようだ。
「その、だいじょうぶ、なんですか?」
それでもこちらを心配してくれる、そんな女神官の優しさに魔法剣士は、心が安らぐのを感じた。
「ああ、だいじょうぶだ。むしろ、奴らを見たからこそもっと頑張らないとなって思ったよ」
強がりでもなんでもなく、魔法剣士がそう宣言すると女神官の体や表情の強張りも解け、「よかったです」とそっと微笑を浮かべる。
「ああ。それと、やっぱり探索系の依頼には、斥候か野伏が必要だと感じたよ」
魔法剣士は、槍使いと魔女のふたりと行った依頼での所感を口にした。
あの一党は、槍使いのフィジカル、魔法の道具などでこなせていたが、そのどちらも不足している自分たちには厳しいと、魔法剣士は実感していた。
「なるほど……ならやはり、斥候か野伏のかたに加入してもらえたら助かりますね」
「ああ。いちおう、受付に話は通しておいたから、運が良ければいずれ見つかるかもな」
とはいえ、いまはどうしようもないと魔法剣士は肩を竦めた。
「それよりも、だ……そっちはどうだったんだ?」
「あ、は、はい。わたしのほうはですね……」
暗い話や難しいは終わらせ、空気を変えようという魔法剣士の問いかけに女神官も、その流れに乗ってここ数日の間の出来事を話しだした。
神殿を出て少しで再会した家族同然のみんなと顔を合わせ、恥ずかしかったこと。
その短い間に昇級を果たしたことを神官長含め、みんなに祝われたこと。
数日の試練を受けたことで新たな奇跡をふたつも授かれたことなど。女神官は、照れながらも楽しげに説明してくれた。
「──すごいじゃないか。奇跡をふたつも授かれたなんて」
奇跡を授かれるかどうか、どんな奇跡を授かれるかは、その神さましだいだ。
奇跡を授かれるのもそうだが、一度にふたつも授かれたのは、ひとえに女神官が地母神に認められたということで、魔法剣士も我がことのように嬉しかった。
「い、いえ、そんな……すごいのは、地母神さまで、わたしなんて……」
「そのすごい相手に認められてるってことだろ? ならやっぱりすごいさ」
謙遜──というよりは、本気でそう思ってるらしい女神官に魔法剣士がそう賞賛すれば、女神官はようやく照れながらも少しだけその言葉を受け入れた。
「あ、ありがとうございます! これでもっとあなたのお役に立てるかなって……」
その想いで頑張ったりしたのだが、それ以上は、恥ずかしくて女神官には言いだせなかった。
「ああ、頼りにさせてもらう。それで早速なんだが……」
魔法剣士は、女神官が授かったというふたつの奇跡の内容を教えてもらった。曲がりなりにも一党の頭目である以上、知っておかなければいけない事柄だからだ。
もちろん、魔法剣士も自分の修得した呪文について説明した。
そうして、お互いの成長について話し合いが終わった頃だった。
「はい、冒険者の皆さん! 朝の依頼貼り出しのお時間ですよー!」
と、今日は馴染みの受付のお姉さんがギルドのロビーで声を上げた。冒険者たちの歓声が上がった。
「よし、俺たちも行くか」
「はい! あ、そうでした」
立ち上がった魔法剣士のあとに続こうとした女神官だったが、不意に足を止めた。
「ん? どうかしたのか?」
「いえ、その……改めて、今日からまたよろしくお願いします」
訝しげに振り返った魔法剣士に、女神官はそう言って一礼した。
その様子に虚を突かれたように目を僅かに見開くのも一瞬、魔法剣士は微笑を浮かべる。
「ああ。こちらこそ、またよろしく頼むよ」
「はい!」
ふたりがそうして心機一転したときだった。
「──少しよろしいですか?」
カウンターの向こうから出てきた受付のお姉さんが声をかけた。
魔法剣士が代表して応じる。
「どうしたんですか?」
「はい。先日、あなたが申請していた一党の候補のかたが見つかりました」
まさにいま話していたことのひとつだった。
「本当ですか?」
「はい。それも、戦士と斥候兼任のかたです。あなたたちよりも一年ほど先輩に当たりますね」
求めていた技能待ち、それも一年の経験があるというのは、不足を補うという点ではかなり大きい。
「どうする? 俺は、会って確かめてみようと思うんだが」
「はい。わたしもまずは、会ってみるのがいいと思います」
顔を見合わせた魔法剣士と女神官の意見は一致した。
「お願いできますか?」
「はい。──どうぞ、こちらが私が紹介する、条件を満たしたオススメの一党です」
魔法剣士の申し出に、受付のお姉さんは、そう言って一歩横にズレた。
代わりに一歩前に出たのは、ひとりの女性だった。
鳶色の瞳とそれよりも濃い栗色の髪、豊かな胸を持ち、その容姿は誰もが振り返るような美人だ。
ただし、その女性は、只人とは少し違った。
頭には濃い栗色の犬耳が、尾骶骨のあたりには尻尾が、それぞれ生えていた。
──獣人、そのなかのひとつ、狼人だ。
「──初めまして。あなたがたが、募集をしていた一党ですね」
そう言って笑顔を浮かべる狼人の女性。一年先輩とあってどこか大人びた雰囲気がある。
「──はい、そうです。あなたこそ、自分たちの一党に加わってくれるヒトですか?」
後輩の一党でいいのか、という魔法剣士の言葉に狼人の女性は、優しく微笑む。
「はい。話を聞いた限りでは、私なら力になれるかと思いまして。あ、先輩後輩も気にしないでください。言っても一年のことですし……等級も同じですから」
そう言って狼人の女性は、豊かな胸元に揺れる認識票を指で摘んで掲げた。黒曜の輝きだ。
「むしろ、私はあなたたちを尊敬してます。僅か数日で等級が並んでいることもですが、これまでの冒険についてもです」
「わたしたちの冒険、ですか?」
「はい。一党に加わるうえでこちらの受付のかたに、あなたたちの冒険者記録を拝見させていただきました」
狼人の女性が言う冒険者記録とは、冒険者ひとりひとりの冒険者になってからの足跡を書き記したものだ。そこには、その冒険者のほとんどすべてが詰まっているといってもいい。
「最初の依頼でトロル相手に引かずに勝ち得たことも、次の依頼で想定外のことがありながらも依頼人を守り切ったことも、素晴らしいと思いました。特にあなた」
そう言って狼人の女性は、魔法剣士を見つめた。
「あなたは、若くして能力も人格もあります。きっと何かを成し遂げられるヒトでしょう。そんなあなたを頭目とすることに、私はなんら抵抗はありません。むしろ喜んであなたの指示に従います」
狼人の女性は、一転して表情を凛々しく引き締めてそう言ったあと、頭を下げた。
「どうか、私をあなたたちの一党に加えてくださいませんか? お願いします」
その様子に魔法剣士も女神官も慌てる。
「い、いやいや、そんなことしなくてもいいって!」
「そ、そうですよ!」
とはいえ、ふたりとも先輩冒険者に冒険者として評価されて嬉しかった。
「どうする? 俺はいいと思うんだが……」
「わ、わたしもいいと思います。短いやり取りでも、伝わってくるくらい良いヒトみたいですから」
「だな」
受付のお姉さんが勧めてきたのなら、能力は問題ない。それを度外視しても、性格的に不和を招かなさそうであり、やっていけそう、一緒に冒険してみたいと思ったのならそれでもう仲間といってもいいだろう。
「なら、こちらこそよろしくお願いします。俺たちの一党に加わってください」
「はい! よろしくお願いします!」
魔法剣士の言葉に顔を上げ、差し出された手を取って握り返し、狼人の女性──賢狼剣士は、嬉しそうに笑顔を浮かべた。
それから業務に戻った受付のお姉さんに礼を言ったあと、魔法剣士、女神官、賢狼剣士は、席に座り直すと、改めて自己紹介をしていた。
「改めまして、今日からあなたがたの一党に加えさせていただきます。狼人の────といいます。職業は、戦士兼斥候を務めています。よろしくお願いしますね」
魔法剣士、女神官の自己紹介のあと、最後に賢狼剣士が名前を口にしてそう言って頭を下げた。
魔法剣士と女神官も口々に「よろしくお願いします」と返すと、賢狼剣士は仲間になるからこそと自分の冒険者記録をふたりに差し出した。
そこには、賢狼剣士のこれまでの冒険者人生が書き記されていた。
隣り合って座っている魔法剣士と女神官が覗き込むように冒険者記録を確認すれば、賢狼剣士の能力、技能、経験なども詳しく書かれており、まさに自己申告どおりに戦士兼斥候として高い技量を有していることがわかる。
(これなら頼りにして良さそうだな)
頼りきりになってはいけないが、頼るのは問題ない。でなければ一緒に冒険する意味がないと、魔法剣士は考える。
「……あぁ、そうだ。大切なことを訊き忘れていた」
と、魔法剣士は切り出した。
「はい? なんでしょうか?」
「まずこちらに悪意はないというのを前提として聞いてほしい」
小首を傾げる賢狼剣士に、そう前置く魔法剣士。
賢狼剣士が頷いたのを確認し、魔法剣士は続ける。
「俺たちは、見てのとおり只人だ。獣人とも初めて交流を持つ。だから今後冒険をともにするうえで、獣人、あるいは狼人、個人的に関して気をつけてほしいことなんかあれば事前に言ってもらいたい」
釣書がなければ冒険をともにできないなんてことはない。だが、種族の違いからくる価値観の相違などは、事前に擦り合わせておいたほうがいいだろうという魔法剣士の提案だった。
「なるほど……確かにそのとおりです」
賢狼剣士は、納得したように頷くと少し考えるそぶりを見せ、口を開く。
「そうですね……獣人としてなら、香草などの匂いのキツいものには気をつけてほしいです。冒険中の刺激臭には、慣れましたがあれらはどうしてもだめでして」
「なるほど……わかった。他にはあるか?」
「私は、狼人として寒さには強いですが、逆に暑さにはあまり強くありません」
賢狼剣士は、只人より少し体毛が多いので、と恥じらいながら付け加えた。
「あとは、私はあまり気にしませんが、狼人は犬人、人狼などと一緒にされるのを酷く嫌います。後者に関しては、決闘も辞さないほどです」
賢狼剣士は、「私も、人狼とは一緒にされたくありません」と言う。
人狼、人虎などは、ヒトに化ける獣、あるいは獣に化けるヒトのことだ。最初から獣の特徴を持つだけの獣人とは、大きく違う。
「種族柄はこのあたりを押さえておいていただければだいじょうぶです。私個人としましては……そうですね、頼ってもらえたら嬉しいです」
賢狼剣士の前の一党は、彼女が新人とあってなかなか自分の能力を信じてもらえなかったらしい。
「そうなのか? 一緒に冒険に出てるのに、もったいないな。せっかくの能力なんだから頼りにしていいと思うんだが……」
「そうですよね。わたしも、そう思います」
魔法剣士と女神官の言葉に、賢狼剣士は嬉しそうに尻尾を振っていた。
「ありがとうございます。私からはこのくらいですね」
「ああ、よくわかった。それらに気をつけつつ、これから一緒に頑張っていこう」
「はい、よろしくお願いします!」
話し合いが終わり、お互いに少し距離が縮まった魔法剣士一党は、さっそく冒険に出て賢狼剣士の能力を確かめようと考え、席を立ったのだが──。
「……さすがに良さげな依頼はないな」
「そうですね……タイミングを逃してしまったので」
「ど、どうしましょうか……?」
コルクボードの前に魔法剣士だけでなく、賢狼剣士はともかく、華奢な女神官も立って貼り出された依頼書を眺めていた。
このことからわかるとおり、すでに朝の依頼貼り出しからの争奪戦は、収束していることがわかる。
残っているのは、駆け出し向けのなかでも特に人気のないものばかりだ。
「話し合いに時間をかけすぎたか……」
「申し訳ありません。私のせいで……」
「ああ、いや、そういうつもりじゃないんだ。ただ、依頼書を取ってから話し合えばよかったかなと、反省していただけさ。気にしないでいい。必要で、大事なことだったからな」
「は、はい! ありがとうございます」
魔法剣士の本心からの言葉が伝わったのか、賢狼剣士は曇った表情を華やがせた。
「それに逆に好都合かもな。各自の能力を確認する意味も込めて、比較的安全な冒険に行くっていうのは」
絶対安全な冒険はないが、比較的安全な冒険にすることはできる。事前準備はもちろん、依頼の吟味からそれは始まっており、自分たちの技量や力量を鑑みて仕事を選ぶのも、冒険者の能力のひとつだろう。
「では、どれにしましょうか?」
女神官の問いに魔法剣士は、「そうだな……」と呟いて残っている依頼書を順繰りに目を通していく。
下水道のネズミや蟲退治、薬草の採取など、やはりパッとしないものばかりだ。
「……ああ、これなんかいいんじゃないか?」
そう言って魔法剣士が指差した依頼書に、女神官と賢狼剣士も目を通す。
その依頼とは──。
「ゴブリン退治、ですか……」
そう、女神官の言うようにゴブリン退治の依頼だった。
最初の冒険でいろいろとあったこともあり、女神官の脳裏にはゴブリンの陰惨さ、トロルという強敵、虜になった女たちの惨状が浮かんでいた。
「私も、何回か請けたことありますがゴブリンは厄介ですからね」
一年先輩なだけあってか、賢狼剣士の言葉には、実感が伴われていた。
「まあ、確かにな。だが、ネズミや蟲退治は、下水道だから種族柄キツいだろう? ゴブリンの巣穴も似たようなものだが、下水道よりはマシなはずだ」
と、魔法剣士が賢狼剣士を見て言えば、彼女はさっそく事前申告を考慮してくれたことに嬉しそうに頷く。
「それに、このゴブリン退治の依頼は、洞窟らしいからな。斥候としての技量を実戦で把握できると思うんだ」
せっかく加わった一党に一番欲しかった役割だ。まずは、どのくらいなのか、どれほど変わるのか頭目として確認する義務が魔法剣士にはあった。
そうすることでどのくらい頼っていいのか、一党としての相性なども把握することができると考えていた。
先ほどの話し合いのように冒険者記録からだけでは、わからないことがあるのだ。
「なるほど……わかりました。私は、構いません」
「そう、ですね……わたしもいいですよ。た、ただし、準備はしっかりしていきましょう!」
賢狼剣士が、続いて女神官がそれぞれ了承したことで魔法剣士は、「決まりだな」と頷き、コルクボードから依頼書を引き千切るのだった。
END
というわけで、『異世界迷宮でハーレムを』からロクサーヌをモチーフにしたキャラ、賢狼剣士さんの登場です!お名前などの提供ありがとうございました!
ここで登場したのは、本人ではなく、あくまで外見をモチーフにしているという感じです。そこのところはご了承ください。
ちなみに漫画のほうは読みました。やはりロクサーヌはいいですね。
いちおう、クロスオーバータグは入れてありますが、元ネタのタグもこの場合は入れるべきなんですかね?限りなく本人に近いけど、本人ではないわけですが。
しかし、男をひとり仲間に入れるかどうかでいまだに悩みますね。同世代の男が一緒のほうが魔法剣士くんも気楽でしょうし、でもハーレムパーティも捨てがたい。
あと採用確定なのは、銀髪の魔法使い。悩むのは、男の武闘家か、森人の弓使いのどちらにするか。意見をもらったところ半々な感じなんですよね。とはいえ、そろそろ決めねばです。
それではまた次回お会いしましょう!
受付のお姉さんの外見のイメージは……
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エノメ(不徳のギルド)
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ルナ(このすば)