ゴブリンスレイヤー【魔法剣士の異聞録】   作:星屑の騎士

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今回は活動報告にて発表したました、募集にあったクエストを作者なりに手を加えつつ始めさせていただきます。

提供してくださったかた、ありがとうございました!


↓へのご協力よろしくお願いいたします!

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女子学者

 

 魔法剣士たちが新たに銀髪魔法士を仲間に加えた翌日。

 

 今日も今日とて魔法剣士一党は、早朝から冒険者でごった返すコルクボードの前を遠巻きに見つめる。

 

「……よし、行ってくる」

 

「は、はい。頑張ってください」

 

「私が行ってもいいのですが……」

 

「いや、ここは頭目の俺が行かないとな」

 

「冒険に行く前から怪我をしないようにしなさいよ?」

 

「ああ、わかってるよ」

 

 冒険に挑むくらいの気構えの魔法剣士に、女神官、賢狼剣士、銀色魔法士は気遣わしげに声をかけた。

 

 魔法剣士としては、華奢な女神官を始めとした女性陣をあの只中に突っ込ませるような愚行をおこなう気はないし、気を遣う必要はなく、また気を遣わせるつもりもない。

 

「ああ、任せておけ」

 

 だから力強くそう返し、魔法剣士は並居る冒険者たちの人垣へと挑むのだった。

 

 

 

 

 

 人垣さえ乗り越えれば、競争相手になる他の新人は相手にならず、魔法剣士は貼り出された依頼書のなかからいい依頼書を取ることができた。

 

 経験や力量、技量もあるが文字が読めるのも強い。大抵の平民出の冒険者は、文字など読めないのだ。

 

 依頼書を手にした魔法剣士は、女神官と合流する。

 

「戻ったぞ」

 

「お、お疲れ様です! でも、いつ見てもすごいですね……」

 

 魔法剣士を出迎えた女神官は、いまだに依頼書争奪戦を続けている冒険者たちを見て、引き攣ったような声を洩らす。

 

「まあ、今日の仕事にありつけないと、その日の暮らしも危ないのが冒険者だからな。それは躍起にもなるさ」

 

 いい仕事というのは、ヒトによって違うだろうし、まだ自分にも判断つかないがな、と魔法剣士は肩を竦めた。

 

(何かを専門でやるか、楽に稼げる仕事にするか、何かを目指したり探したりするか、まあいろいろだよな)

 

 そう考えるも、まだまだ駆け出しの自分たちには、仕事を選り好みできるほどの実力も、等級もないと魔法剣士は割り切る。

 

 いまは、自分たちにできる限られた仕事のなかから、少しでも稼げるものを選ぶことにしていた。

 

(数をこなせば稼げるし、経験も積めるし、自分たちの得意分野や苦手分野もわかるだろうし、そのうちまた昇級できるかもしれないしな。とにかくいまは、働くしかない)

 

 何をするにしても金が必要であり、行動が必要だった。

 

「それで、今日は……?」

 

「ああ、今日請けようと考えているのは、これだ」

 

 そう言って魔法剣士は、依頼書を見せた。

 

 魔法剣士、女神官、賢狼剣士、銀髪魔法士は、依頼書を挟んで顔を突き合わせる。

 

 その依頼書には、駆け出し冒険者への依頼としては珍しい、地下遺跡のアンデット退治というものだった。参加者には、要神官の文字もある。

 

「アンデット、ですか」

 

「アンデット、ねぇ」

 

「え? え?」

 

「まあ、そういうことだな」

 

 賢狼剣士と銀髪魔法士の視線、魔法剣士の頷きにそれらを向けられた女神官は、困惑したように首を傾げている。

 

 そう、アンデットには神官だ。絶対的とはいえないが、相当有効な存在であることは間違いない。

 

「頼りにさせてもらうぞ?」

 

「は、はい! 自信はありませんが、がんばります!」

 

 魔法剣士の言葉に女神官は、緊張と興奮を半々──緊張のほうがやや強いか?──錫杖をしっかと握って頷く。

 

 頼りにきりになってはいけないが、頼らねば一緒に冒険に出た甲斐がないというもの。

 

「私たちもサポートしますから、あまり気負わずに」

 

「私も、この一党では初めての冒険者だもの。一緒にがんばりましょう?」

 

「は、はい!」

 

 賢狼剣士が優しく、銀髪魔法士が静かに言えば、女神官も緊張が弱まったのか健気な笑みを浮かべる。

 

 そして、女性陣の視線が魔法剣士に向き──

 

「そうだぞ。俺たちは一党だ。ひとりでがんばる必要はない。もちろん、俺も頭目としてできる限りのことはするつもりだ」

 

「はい!」

 

 女神官は、花が咲くような笑顔を浮かべるのだった。

 

「よし、ひとまずは、依頼人に会いに行こう」

 

 魔法剣士の言葉に一党は、頷くのだった。

 

 

 

 

 

       §

 

 

 

 

 

 辺境の街の冒険者ギルドに併設されたのとは、別の宿屋へ向かい、そこの店主に認識票を提示して用件を伝えると、依頼人がやってきた。

 

「──あなたたちが私の依頼を受けてくださった、冒険者のかたたちですか?」

 

 依頼人は、肩のあたりまでの桃色の髪をした少女だった。歳の頃は、成人したてといったところか。

 

「ああ、そうだ。このとおり神官も居る」

 

「どうも、今回はよろしくお願いします」

 

 魔法剣士の紹介に隣に並び立った女神官が、ぺこっと頭を下げた。

 

「そうですか。頼りになりそうな冒険者のかたたちに引き請けてもらえて、私も嬉しいです!」

 

 そう言って依頼人の女の子は、魔法剣士の左腕に抱きつく。ふにょんと柔らかい、ほどよい大きさの胸が触れる。

 

 その様子に女神官、賢狼剣士、銀髪魔法士は、面白くなさそうに大なり小なりムッとするが、相手が依頼人とあって直接言うようなことは──

 

「ちょっと距離が近いんじゃないかしら?」

 

 あった。銀髪魔法士は、物静かだが少し冷たい声音でそう言った。

 

「あ、ごめんなさぁい! 嬉しくてつい」

 

 依頼人の女の子──女子学者は、そう言って魔法剣士から離れた。

 

 チラッと女神官が確認すると、魔法剣士は特に表情が緩んだ様子もなく、いつもどおりに見えてホッと薄い胸を撫で下ろした。

 

「それで、依頼内容を詳しく教えてもらってもいいか?」

 

「はい、もちろんです」

 

 魔法剣士の要求に女子学者は、頷くと概要を説明する。

 

 女子学者は、以前から目を付けていた地下遺跡から雇った作業員の男たちを使って発掘作業をしていたが、奥からアンデットがたくさん出てきたため、女子学者を置いて作業員たちが逃げ出してしまった。

 

「やっぱり弱い男の人はだめですね。そこで、冒険者を雇うことにしたんです」

 

 女子学者は、「見せかけ筋肉ですねあれ」と言ってハァっと嘆息する。

 

「とはいえ、そんな木偶の坊……失礼。頼りにならないヒトたちを雇ってお金があまりないので、この冒険で出た拾得物を山分けするといった感じで依頼したいんですが……いかがでしょうか?」

 

 女子学者は、そう言って首を傾げる。

 

 駆け出しが請けられるなかでは、報酬、貢献も悪くない依頼だ。

 

 魔法剣士は、仲間たちを順繰りに見回し、彼女たちが首肯すると頷き返し、女子学者に向き直った。

 

「そういうことなら、ぜひやらせてもらおう」

 

「ありがとうございます!」

 

 魔法剣士の言葉に女子学者は、喜色も露わに跳びはねる。

 

 その際に女子学者のほどよい大きさの胸が弾むが、魔法剣士は自然に目を逸らした。

 

 

 

 

 

       §

 

 

 

 

 

 それから準備を整え、女子学者が手配した馬車に乗って魔法剣士一党は、目的地へと向かって移動していた。

 

「そういえば、冒険で馬車に乗るのは、初めてですね」

 

「ああ、そうだな。いままでは、徒歩で行ける範囲だったからなぁ」

 

「只人のヒトたちは、本当に長く遠くまで歩けますもんね」

 

 隣り合わせで座って話す女神官と魔法剣士に、この場で唯一異種族である賢狼剣士がしみじみと言う。

 

 今回も歩けない距離ではなかったが、必要な機材や依頼人が同行していることもあり、初めての馬車移動となっていた。

 

「ありがとうございます。馬車を用意していただいて」

 

「いいえ、気にしないでください。これも報酬の一環のようなものですから」

 

 女神官の礼に女子学者は、そう言って微笑む。

 

「……地下遺跡ってどうなっているのかしらね? アンデットが居るということは、塚山、墳墓の類いかしら? 財宝が眠っているのなら、いしにえの王の墓所という可能性もあるわよね」

 

 銀髪魔法士が静かに、けれども確かな興味を以って言う。

 

 賢者の学院を卒業し、そこで得られる知識だけがすべてとは思わない。そう考えて冒険者となった銀髪魔法士は、未知なる遺跡に知的好奇心が湧き上がっていた。

 

「私の調査では、古代の蜥蜴人が遺したものだそうですよ?」

 

 女子学者は、事前調査でその遺跡に目をつけた経緯を教えてくれた。

 

「私は、そういった異種族の遺したモノに興味があるんです。只人にはない文化に触れられますし、値千金の財宝が眠ってることもありますから。蜥蜴人は、竜に連なるからかいろいろ溜め込んでたりしますし」

 

「異種族の文化には、確かに私も興味が唆られるわね」

 

 文字通りに人智が及ばないことなので、銀髪魔法士としても興味が尽きない。

 

 最初は、少々険悪だったが共通の興味からか、銀髪魔法士と女子学者は、少なからず仲良くなれているようだった。

 

 依頼人とは、良好な関係を築けたほうがいいため、魔法剣士はこの手の話を銀髪魔法士に任せた。

 

 魔法剣士も知識神の文庫の出であり、知識も相応にあるがやはり専門家には敵わない。任せられるなら任せてしまおうと、信頼していた。

 

 そうこうしているうちに、馬車は目的地へと到着した。

 

「ありがとうございました。ひとまずは、ここで待っていてくださいね」

 

「あ、ああ! わかった!」

 

 女子学者が前屈み気味にそう言って胸元をチラッと見せれば、御者の男はそれに視線を奪われながら頷いた。

 

 その様子に女神官が顔を赤くし、賢狼剣士や銀髪魔法士は特に気にしないで支度する。

 

「あら? あなたも興味あります?」

 

 女子学者は、こちらを見ていた魔法剣士にイタズラげに目を笑ませ、服の襟元を摘んでチラッと谷間が見えるか見えないかのギリギリまで引っ張りながらそう声をかける。

 

「……いや、別に。ただ、もう少し自分を大切にしたほうがいいぞ?」

 

「え? ……ふぅん、面白いヒトですね」

 

「何がだ?」

 

「いえ、私の周りにそんなこと言うヒトは居ませんでしたから。これが普通なので」

 

 魔法剣士に何か興味を持ったふうだが、女子学者はそう言って話題を打ち切るように振り返る。

 

「さ、行きましょう! 問題の遺跡はもう目の前です!」

 

 

 

END

 

 

 

 




まずは導入ですね。次回から本格的に地下遺跡の調査を開始します。


女子学者のイメージは、まんまモモ・ベリア・デビルークをイメージして書きました。キャラの役割的にぴったりなイメージだったので。もちろん、本人じゃありませんが。

またゴブスレ二次創作を今後も続けるために、皆さんにクエスト募集をかけることになると思います。そのときはご協力のほど改めてよろしくお願いします!

それではまた次回お会いいたしましょう!

受付のお姉さんの外見のイメージは……

  • エノメ(不徳のギルド)
  • ルナ(このすば)
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