いったい何があったのか?作者にもわかりませんが、ここ最近でグンっと増えました。本当にありがとうございます!
今後とも感想、評価、お気に入り登録などしていただけるようにがんばります!
今回は短いですがお楽しみいただければ幸いです。
地下遺跡の攻略を終え、宝箱を開けた一党は、等級相応の宝を手に入れ、外へと戻ってきたのだが──。
「──あ、遅かったですね? お待ちしていましたよ」
待機していた馬車の下へ行くと、そこには飛び去ったはずの夢魔が女子学者の姿で待っていた。
「……なんでここに居るんだ?」
「え〜? そ・れ・は、ですね? あなたたちのためですよ」
「わ、わたしたちのためですか?」
「はい。ほら、私はいちおう依頼人じゃないですか? 冒険のさなかに依頼人を死なせたとあっては、あなたたちの評価に関わりますからね。依頼達成までは、お付き合いしますよ。帰るまでが冒険でしょう?」
と、魔法剣士と女神官の疑問に夢魔──女子学者はそう言って片目を瞑っていたずらげに微笑んだ。
「……それが見逃す見返りというわけかしら? あなたのほうに落ち度があるにしては、少しムシがいいと思わない?」
「そう受け取ってもらってかまいませんよ。もちろん、ここでほとんど力のない私を殺したいというのならかまいませんが」
「……どうしますか?」
銀髪魔法士と女子学者のやり取りを尻目に、警戒していた賢狼剣士が魔法剣士へ問いかける。
「……仕方ない。今回はそれでいこう」
「交渉成立、ですね。安心してください。ちゃんと報酬も別途でお渡ししますから」
「宝箱の中身を折半だったはずだろう?」
「お詫びですよお詫び。ほら、私の想定以上の怪物をお相手してもらいましたし、見逃してもらうお礼も兼ねて色をつけて差し上げます」
そう言って魔法剣士に身を寄せ、そのほどよく実った胸を押し付ける。
「そ・れ・に……私、あなたのことを気に入っちゃいましたから。お近づきの印にってことで」
「……やたらくっつくな」
「ふふふ。この感じ、まだ童貞さんですね? こぉんなにかっこいいのにもったいない。かわいい子もたくさん居るのに」
女神官たちの嫉妬の視線に流し目を返した女子学者は、魔法剣士から身を離した。
「つらかったら言ってくださいね? いつでも私がお相手してあげます。もちろん、お金はもらいますが」
そう言って女子学者は、馬車へと乗り込んでいった。
魔法剣士は、嘆息すると「行くぞ」と仲間に声をかけて馬車へと乗り込むのだった。
§
辺境の街の冒険者ギルドへと戻った魔法剣士一党、女子学者は、受付のお姉さんに冒険の報告をしたあと、女子学者からだけでなくギルドからも報酬の増額を認められた。
宝箱からの財貨に加え、黒曜等級の依頼二回分ほどの報酬を別途にもらい、これで今回の冒険は終わった。
「それでは皆さん。またどこかでお会いいたしましょう」
最後までその正体を隠しきったことを確認した女子学者は、そう言って冒険者ギルドをあとにした。
「──あ、そうです。あの約束、私はいつでもいいですからね? 私の元を訪ねてくれたら、好みの姿でお相手します」
去り際に魔法剣士に身を寄せ、そのほどよい胸を押し当てながら耳打ちした女子学者は、女神官たちに意味深な微笑みを向けて身を離し、去っていった。
仮にも混沌の勢力を見逃すのは、忸怩たるものがあったが女子学者はそこまで危険な存在だと思えなかった。
もちろん、それこそが夢魔の術中な可能性もあるが。
しかし、今回は正当な取引であったため、魔法剣士たちも仕方ないと諦めるのだった。
「これでよかったのでしょうか?」
「……まあ、夢魔はそこまで強力な存在じゃないからな。特にあいつは、本気でこちらと共生したいみたいだし、だいじょうぶじゃないか?」
場所は、冒険から帰ってきた冒険者たちで賑わう、冒険者ギルド併設な酒場の一角。
冒険後の打ち上げをする一党、そのひとつである魔法剣士たちは、各々好きな酒や料理を飲食しながら話し合っていた。
もちろん、話題となるのは先の冒険で知り合った夢魔の存在についてだ。
「……まさか絆されていないでしょうね? 男の子ってああいうタイプに弱いでしょう?」
「そうなのですか?」
銀髪魔法士の冷たい視線と声音に、賢狼剣士が首を傾げて視線を向けた。
女神官も気になるのか、チラチラと視線を投げかけている。
女性陣の視線は、誰もが棘があり、チクチクと痛い。
「それこそまさかだな。ただ、だいぶ社会に溶け込んでいるみたいだし、逆に下手な真似をしてないし、できないんじゃないか?」
「……まあ、それもそうね。夢魔がおかしなことしていたら、教会とかも容赦ないもの。いえ、もしかしたら気づいていて見逃しているのかもしれないわ」
「水の街といったら、あの剣の乙女さまのお膝元でもありますからね」
あの街のどこかしらの娼館で働いているというなら、過剰に──それこそ命に関わるような真似をすればとうに討伐されていてもおかしくはない。
おそらく、本当に必要な精をもらっているだけなのだろう。それも死なないように、ひとりひとりから最低限の量を奪っているのだ。
そのうえ夢魔の与える快楽は、文字通り夢見心地のものだ。男たちから訴えがないのなら、どうにもならないのだろう。
「それよりもだ。改めて、新しい仲間との最初の冒険の成功を祝おう」
「……成功でいいのかしら?」
「全員生き残って、依頼も達成し、報酬も手に入れた。これで成功じゃないのなら、何が成功なんだ?」
ある意味で今回の主役である銀髪魔法士は、魔法剣士の言葉に疑問が浮かぶがそう言われたら、たしかに冒険者としてこれ以上の成功はまずないだろう。
「……そう、そうよね。ええ、たしかにこれは成功だわ」
そして、銀髪魔法士は、ようやく肩の力を抜き、微笑を浮かべた。
それを見て女神官、賢狼剣士もを崩した。
「……それで、私はあなたたちのお眼鏡に適ったのかしら?」
「ああ。一緒に冒険していて楽しかったし、頼りにもなったからな」
銀髪魔法士の言葉に魔法剣士がそう言うと、女神官も賢狼剣士も頷く。
「はい。とっても冷静で頼りになりました」
「私も知らないことを知っていて、助かりました」
「……そう、よかったわ」
能力は、二の次のような評価に銀髪魔法士は、「おかしなヒトたちね」と微笑を浮かべる。その言葉とは裏腹に、本当に嬉しそうだった。
容姿や能力ではなく、一緒に居て楽しいというのは、一党を組むうえで何よりも大事なことだ。そこを評価されて嬉しくない者はまずいない。
「……私も、あなたたちと一緒に冒険できて楽しかったわ」
そう言って銀髪魔法士は、蜂蜜酒が入った盃を掲げた。
魔法剣士、女神官、賢狼剣士もそれぞれの盃を掲げた。
そして、声を揃えて「乾杯!」と盃を交わした。
いま、改めてこの四人の一党が結成された瞬間だった。
END
といった感じでこの依頼は終わりました。改めましてご提供いただけたかた、ありがとうございました!
女子学者が再登場するかは謎。いちおう予定している原作一巻内ではないですね。
それ以降はやるかわからないのでやはり不明。とりあえず原作一巻分を書き切ることがいまの目標ですね。
それではまた!
受付のお姉さんの外見のイメージは……
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エノメ(不徳のギルド)
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ルナ(このすば)