ソードアート・オンライン〜旭日の防人達〜 作:霧のイージス艦
零
次、ルクスだな。どうする?
ルクス
あの、SCARいいですか?
零は「おっ」と意外そうに、しかしルクスの意図を察してニヤリと優しく笑った。
零
SCARか! いいな。リーファもSCAR-SCを選んだが、お前がその小柄な体で前線に飛び込むなら、これしかないだろ。FN社製、『SCAR-L CQC(クローズ・クォーター・コンバット)』の、もちろんブラックモデルだ
零がタブレットを操作して画面を見せると、リーファのサブコンパクトモデルよりは少し長く、しかし標準型よりは短く切り詰められた、全身を漆黒に染めた美しいアサルトライフルが表示された。
ルクス
わぁ……! 真っ黒で、すごく引き締まっていて格好いいです……! わたし、あの世界(SAO)の時からずっと、黒い装備に憧れていましたから……この子なら、すごく落ち着いて戦えそうな気がします
画面に映る黒い銃を見つめ、ルクス――黒瀬樺恋はどこか嬉しそうに、しかし真っ直ぐな瞳で微笑んだ。
零
だろ? 特徴はリーファのやつと同じで、アルミ削り出しの一体型アッパーレシーバーによる抜群の剛性と信頼性だ。CQC仕様はバレル(銃身)が短縮されているから、お前がSAO時代に二刀流(風)で培った、超至近距離での目まぐるしいスイッチングや鋭い踏み込みを一切邪魔しない。もちろん弾薬はキリトたちのMCXやリーファのSCARと同じ5.56mmNATO弾だから、前線でのロジスティクスも完璧だぞ
たきな
戦術的にも素晴らしい組み合わせです。リーファさんのSCAR-SCとベースの設計や操作系が同じですから、お互いに銃の扱い方やメンテナンスの手順を教え合えるというメリットもあります。5.56mmの軽量な弾薬規格は、ルクスさんのスタミナを無駄に奪いません
たきながいつも通りの完璧なロジスティクス目線で太鼓判を押すと、キリトがどこか誇らしげに、温かい「俺」の口調でルクスに語りかけた。
キリト
ルクスが黒いSCARか、なんだか俺も嬉しいな。あの世界でお前が俺の背中を追いかけて、一生懸命戦ってくれたこと、ちゃんと覚えてるよ。現実の戦場は厳しいけど、その黒い相棒を持ったルクスが一緒に前線を走ってくれるなら、俺もすごく心強い。よろしくな、ルクス
キリトの優しい言葉に、ルクスは少し頬を赤くしながらも、ぎゅっと拳を握りしめて力強く頷いた。
ルクス
はい、キリトさん……! わたし、現実世界でもキリトさんやみんなの隣に立って、恥ずかしくないように、全力で道を切り拓いてみせます! ……あの、零さん。この子に合わせるサイドアーム(拳銃)は、どうすればいいでしょうか?
零
メインが真っ黒な傑作機なんだ、サイドアームもコハルやサチ、ナユタたちとお揃いの**『H&K SFP9』**にしておけ。……これで、この場にいる女の子たちの大部分と同じ『SFP9ファミリー』の仲間入りだな。握りやすさは保証するし、安全対策も万全だから、お前の護身用の盾としてはこれ以上ない相棒になってくれるさ
ルクス
みんなとお揃いのSFP9……! ありがとうございます、零さん! 一人で戦うわけじゃないんだって、それだけで勇気が湧いてきます。この子たちと一緒に、わたし、精一杯がんばりますね!
憧れの「黒」をその身に纏い、大切な仲間たちと共に歩む覚悟を決めた少女。
リーファのSCAR-SCとルクスのSCAR-L CQCという、ベルギーが誇る最高峰の「SCAR姉妹コンビ」が結成されたことで、防人たちの前衛突撃部隊は、より華やかで、より盤石な突破力を手に入れることとなった。
零
次、レンだが…もうP90とFN Five-seveNだろ。流石にピンク色は実戦だと目立ちすぎるから無理だけど
レンは「ええーっ、やっぱりピンクはダメですか……」と、ちょっとだけ残念そうに肩を落としつつも、すぐに諦めたように苦笑して自身の大きな頭をガシガシと掻いた。
レン
現実の私はこんなに背が大きくて(183センチ)、ただでさえ戦場じゃ目立っちゃいそうなのに、ピンク色まで封印されたら、もう『ピンクの悪魔』なんて名乗れないですね……。でも、実戦ですもんね! 郷に入っては郷に従え、です! 真っ黒で渋いピーちゃん(P90)と一緒に、全力で戦場を駆け抜けてみせます!
零
はは、安心しろ。その183センチの長身から繰り出されるロングレッグの瞬発力と、P90の50発の弾幕の組み合わせは、敵からすりゃGGOのチビな『ピンクの悪魔』の何倍も恐ろしい脅威だからな。お前がハイスピードで肉薄しながら、人間工学に基づいたブルパップの極小のシルエットでP90を構えて横っ跳びに弾をバラ撒く姿が、今から目に浮かぶようだぜ
零が不敵に笑いながらタブレットの画面を操作すると、マットブラックに塗装され、光学機器がスマートにマウントされた最新仕様のP90が映し出された。
たきな
戦術的にもロジスティクス的にも、極めて強力なピースが嵌まりました。先ほどエイジさんが選んだCMMG Mk.57、そしてお二人がサイドアームに携える**『FN Five-seveN(ファイブセブン)』**。これらはすべて、同じ『5.7x28mm弾』を使用します。マガジンこそ違えど、前線における5.7mm小口径高速弾の補給ラインをエイジさんと完全に二等分して融通し合えるのは、後方支援班としても非常に管理がしやすいです
たきなが端末のデータを更新しながら、満足そうに眼鏡の奥の瞳を光らせた。
エイジ
へえ、レンもお揃いの5.7mm口径か。マガジンは共有できなくても、バラの弾さえあればお互いに分け合えるな。お前のあの恐れを知らない超高速の突撃力、今度は同じ前衛として隣で拝ませてもらうよ
レン
はい、エイジさん! 5.7mmの弾の軽さなら、私、どれだけでもマガジンを背負って走れますから、弾切れの心配はナシです! 一緒にどんどん前線を押し上げちゃいましょう!
キリト
GGOのあの過酷なスクワッド・ジャムを力技と執念で制したレンの突撃が、現実のこの世界でも見られるなんてな。俺たち前衛の突破力は、これでいよいよ誰も止められない次元になった。よろしく頼むぜ、レン
キリトがいつもの相棒に対するような、信頼に満ちた「俺」の口調で拳を差し出すと、レンも「はいっ、キリトさん! お任せください!」と、長身を屈めながら元気にその拳を合わせにいった。
お気に入りのピンクこそ封印されたものの、現実の体躯という最大の武器と、最も愛する相棒(ピーちゃん)の信頼性を手に入れたレン。
エイジとの5.7mm弾薬補給網が確立されたことで、防人たちの前衛突撃部隊は、いかなる防弾装甲をも瞬時に消し去る、超高速の「高速徹甲弾の嵐」を完成させた。
零
で、フカ次郎事、フカだが…ダネルMGL140な。勿論2丁持ちは却下だ
フカ
えええーーっ!? 2丁持ち却下ってなんやそれ零! ウチから2丁の『うに(グレネード)』を奪ったら、ただの大人しくて可憐な女子大生になってまうやんか!
フカ次郎――篠原美優は、大袈裟に頭を抱えて関西弁で叫んだ。その隣で、レンが引きつった笑みを浮かべながらそっと肩を叩く。
レン
フカ……前世での現実のフカは確かに普通の女子大生(JD)だけど、GGOのあの暴れっぷりを知ってたら、1挺だけでも十分すぎるくらい恐ろしいよ……
たきな
当然の判断です。ダネルMGL140は本体重量だけで約6キロ。40mmグレネード弾を6発装填すれば7キロ近くになります。いくらザ・ボスの訓練を受けるとはいえ、それを両手に持って同時に引き金を引けば、反動で両肩を脱臼するか、まともに狙えず味方に誤射するのがオチです
たきながいつも以上に厳しいプロの視線でピシャリと言い放つと、フカは「うっ……さすがのウチでも、現実の肉体じゃそれは無理かぁ……」と、しょんぼりと肩を落とした。
零
ガッカリするな。2丁持ちは無理だが、1挺だけでもその破壊力は文字通り『歩く野砲』だ。お前にはこれを用意してある
零がタブレットの画面を操作すると、ぶっといリボルバー式のシリンダー(回転式弾倉)を持つ、威圧感の塊のような大型グレネードランチャーが表示された。
零
南アフリカのミルコ(旧ダネル)社製『MGL140』。特徴は何と言っても、40mmグレネード弾を6連発できる圧倒的な面制圧能力だ。お前がゲームで培った『とりあえず敵がいそうな場所にうにを叩き込む』っていう大雑把な勘の良さは、現実の乱戦でも敵の防衛線を丸ごと吹き飛ばす最高の火消し役になる。エギルのM240と並んで、我が部隊の最大火力の一角だぞ。前世で使ってたのはそのまま使えるからな
たきな
兵站の観点からも、非常に強力なバックアップになります。使用する40mm高低圧弾は、通常の榴弾(HE)だけでなく、煙幕弾(スモーク)や、建物の扉を吹き飛ばす特殊弾まで幅広く紺碧会ルートで調達可能です。前線が膠着した際、フカさんのこの一挺が放つ火力は、一瞬で戦況をひっくり返す起点になりますね
たきなの太鼓判に、フカは現金にも一瞬で目を輝かせ、ニシシと不敵に笑った。
フカ
おっ、エギルのおっちゃんと同じ『最大火力』か! ええ響きやなぁ、気に入ったわ! 1挺でも6連発できるなら、クソ大人どもの陣地に『うに』の雨を降らせるには十分やね! ……で、零っち。メインがこれだけ重たいんや。ウチの可愛い身を護るサイドアーム(拳銃)は何にしてくれるん?
零
メインが超重量級で両手が塞がるからな。サイドアームは徹底的に軽量で、お守り代わりにサッと抜けるこれしかない。コハルやルクス、ナユタたちとお揃いの**『H&K SFP9』**だ
フカ
お、女の子組の大部分とお揃いのやつな! 軽くて扱いやすいなら、ウチみたいな実戦初心者の護身用にはバッチリや。しゃあない、ハンドガンは大人しくそのスマートなやつにしとくわ!
キリト
フカ次郎のグレネードランチャーか……。GGOの時も、彼女の弾幕がなければ突破できなかった局面が何度もあったからな。現実でもその『うに』の火力が後ろに控えててくれるなら、前衛の俺たちは遮蔽物ごと敵を消し飛ばしてもらえると思って、安心して突っ込めるよ
キリトが戦友としての信頼を込めて「俺」の口調で笑いかけると、フカは親指をグッと立ててウィンクしてみせた。
フカ
任せとき、キリトくん! レンちゃんやみんなの進む道、ウチの特大の『うに』で綺麗さっぱり更地にしたるから、安心して突っ込んでや!
GGOの破壊神が、現実世界でも最強の「移動砲台」として完全覚醒した。
エギルのM240による銃弾の嵐、そしてフカ次郎のMGL140による爆炎の雨。この二大巨頭の圧倒的な重火力が加わったことで、防人たちの火力水準は、もはや一国家の特殊部隊をも凌駕する次元へと突入した。
ルクス
FN SCAR-L CQC
H&K SFP9
レン
FN P90
FN Five-seveN
フカ次郎
ダネル MGL140
H&K SFP9