ソードアート・オンライン〜旭日の防人達〜 作:霧のイージス艦
零
さて、じゃいつの間にかいる
神崎エルザ事ピトフーイ
阿僧祇豪志事エム
狭井雪嗣事イツキ
出てこい
??
……ちっ、なんだ。せっかく気配を消して、後ろからハチの巣にしてやろうと思ったのに。色気のない呼び出し方しないでよ、零
高級そうな私服に身を包んだ小柄な女性――神崎エルザが、つまらなそうに髪を弄りながら影から姿を現した。その瞳には、リアル姿の歌姫としてのオーラとは裏腹に、隠しきれない狂気と好戦的な光がギラギラと宿っている。
エム
す、すまないエルザ! 私の索敵スキルが足りないばかりに、君の奇襲の手間を止めさせてしまって……!
その背後から、長身でモデル顔負けのイケメン――阿僧祇豪志が、額に汗を浮かべながら大慌てでエルザに平謝りしている。リアル姿の彼はどこからどう見ても完璧なジェントルマンだが、その中身(エム)は完全に彼女の忠実なシモベだ。
イツキ
やあ、お呼びかな? 驚かせてしまったなら悪かったね
そして、なぜかこのリアルの空気感の中に、一人だけゲーム内の衣装のまま、飄々とした笑みを浮かべて佇む男――イツキ(狭井雪嗣)。アバター姿の彼は、愛用の銃を軽く肩に担ぎ直しながら、油断のならない笑みを零に向けた。
ピトフーイ(エルザ)
で? 私たちをわざわざここに引っ張り出したんだ。当然、退屈しのぎになる『面白いこと』を用意してくれてるんでしょうねぇ……?
エム(豪志)
エルザ、あまり脅すような真似は……。あ、いや、君がそうしたいなら私は全力でサポートするが……!
イツキ
おっと、僕を巻き込むなら、それなりの『対価』を期待させてもらうよ? 例えば……君たちがこれから見せてくれる、最高に予測不能な計画(ゲーム)とかね
いつの間にかその場を制圧した、GGO(ガンゲイル・オンライン)が誇る一癖も二癖もある問題児たち。彼らの視線が、一斉に「零」へと注がれる。
レン
え、えええええええええーーーーっっ!?!? 更新停止してた脳細胞が一気にトップギアでエンストしたんですけどぉぉぉ!!
静まり返った空間に、**レン(小比類巻香蓮)**のリアルとアバターがゲシュタルト崩壊を起こしたような絶叫が響き渡った。
彼女の視線は、目の前にいる「超有名歌姫」と「そのマネージャー(イケメン)」、そして「なぜかゲームのポリゴンを維持したままの男」の間を激しく往復している。
フカ
ちょっと待ってレン! 落ち着きぃ! うちも頭の処理が追いついてへん! っちゅうか、そこのモデルみたいなイケメンが……あの、あの、いかつい盾男の『エム』ぉ!? 嘘やろ、神様のキャラメイクどうなっとんねん! リアルの方が圧倒的に詐欺やん!
フカ次郎が頭を抱えながら、エム(豪志)を指差して吠える。しかし、彼女のツッコミはそれだけでは終わらない。
フカ
ほんで一番おかしいのはそこや!! なんでイツキはゲームの格好のままリアルに溶け込んどんねん! 画面のグラフィックバグっとるわ! 遠近感が狂うわ!!
クレハ
イ、イツキ……!? あんた、またそんな胡散臭い笑顔浮かべて、裏で何か企んでるんじゃないでしょうね!?
クレハは、いつもの調子でイツキに詰め寄ろうとした――が、その足がピタリと止まる。イツキの隣に立つ神崎エルザから放たれる、常軌を逸した「本物の戦場」のプレッシャーに本能が危険信号を鳴らしたのだ。
ツェリスカ
クレハちゃん、下がりなさい……。あの女性(ひと)からは、ゲームのシステムすら生ぬるいと感じるほどの、本物の『硝煙』の香りがするわ……
常に冷静なツェリスカでさえ、その妖艶な美貌を驚愕に歪め、引きつった笑みを浮かべるしかない。GGOのトッププレイヤーたちを数々見てきた彼女をして、目の前の3人が醸し出す空気は異質、かつ圧倒的すぎた。
レン
ピ、ピトさん……なんでここに……というか、零さんとどういう繋がりなんですかぁぁ!?(涙目)
フカ
アカン、これ関わったら一瞬でデスペナ(現実の)喰らうタイプの修羅場や……! レン、いつでもグレネード(※心の引き金)引ける準備しときや!
クレハ
ちょっと零! 説明しなさいよ! なんでこんなアクの強すぎる連中が、あんたの一言でぞろぞろ出てくるのよ!?
ツェリスカ
……どうやら、私たちの知らないところで、とんでもない『イレギュラー』が始まろうとしているみたいね
驚愕に目を見開く4人の美少女たち。
その視線の先で、ピトフーイは「あはっ♪」と愉しげに、狂気に満ちた笑みを深めていく――。