ソードアート・オンライン〜旭日の防人達〜   作:霧のイージス艦

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武器選び〜彩加、優美子、沙希、留美〜

次は彩加だな。どうする?性格的には狙撃銃で後方から一撃が良いだろうと思うんだが…

 

零の言葉に、名前を呼ばれた戸塚彩加は少しおずおずとしながらも、スッと背筋を伸ばして前に出た。そのあまりにも可憐な佇まいに、食堂の一角から凄まじい勢いで「待った」がかかる。

 

優美子

ちょっと零!! 彩加にそんな物騒で重たい銃持たせるの、マジであり得ないし! さっきのヒキオみたいにシゴかれたりしたら、彩加のピチピチなお肌が傷ついちゃうじゃん!

 

三浦優美子がガタッと椅子を鳴らして立ち上がり、完全にガチ恋の過保護モード全開で零に詰め寄る。その横では、彩加本人が両手を振って慌てて優美子をなだめていた。

 

彩加

あはは……優美子、心配してくれてありがとう。でも大丈夫だよ、僕だって男の子だし、八幡やみんなが頑張るなら、ただ守られてるだけじゃ嫌なんだ。……零さん、僕、狙撃銃なんて扱えるのかな? テニスのラケットなら自信あるんだけど……

 

テニス部で培ったその『空間把握能力』と『動体視力』、そしてボールの芯を正確に捉える『集中力』。それこそがスナイパーとして最も必要な資材(才能)だよ、彩加くん。お前が前線で激しい銃撃戦をするのが苦手なら、一歩引いた後方から、テニスのサーブを打ち込むように一発で精密に狙い抜く……。お前にはこれが一番合ってる

 

零が不敵に笑いながらタブレットを操作すると、これまでの無骨な狙撃銃とは一線を画す、非常に洗練されたスマートなデザインの白い狙撃銃が表示された。

 

フィンランドの名門サコー社製、**『SAKO TRG-22』**のホワイト・タクティカル仕様だ

 

彩加

わぁ……! すっごく綺麗……。これ、銃なのに冷たい感じがしなくて、なんだかお洒落だね!

 

だろ? 性能も世界最高峰だ。ボルトの動きがシルクみたいに滑らかで、お前の細い腕の筋力でも全く力を入れずに次弾を装填(ボルトアクション)できる。さらに人間工学に基づいたストックは、お前の体格に合わせてミリ単位でフィットさせられるんだ。使用弾薬はランのG28E3やサチのM24と同じ『7.62mmNATO弾』だから、補給の心配も一切ない。お前がみんなの後ろでこの白い相棒を構えていてくれるなら、前線は安心して突っ込めるぞ

 

たきな

完璧な選定です。TRG-22はヨーロッパの特殊部隊でも数多く採用されている超高精度ライフルです。ボルトアクションの中でも特に軽量な部類に入りますし、反動吸収システムが優秀なため、彩加さんの華奢な体格でも銃の跳ね上がりに恐怖を覚えることはありません。ランさん、サチさん、フィリアさんと共に、7.62mmの強固な後方支援ラインがこれで完全に盤石になりますね

 

たきなが淡々と、しかし完璧なロジスティクス目線で太鼓判を押すと、優美子はまだ少し不満げに頬を膨らませつつも、彩加が嬉しそうに画面を見つめているのを見て、観念したようにため息を吐いた。

 

優美子

……ふん。まぁ、あっちのランちゃんたちと一緒に、一番安全な後ろから撃つって言うなら、百歩譲って許してあげるし。彩加、もし危なくなったらすぐに銃を放り投げて逃げてくるんだよ?

 

彩加

うん、ありがとう優美子。……零さん、メインはこれでバッチリです! それで、僕の身を護るためのサイドアーム(拳銃)は何が良いでしょうか?

 

お前にはこれしかない。コハルやサチ、ツェリスカたち、そして何より……お前の大好きな八幡ともお揃いの**『H&K SFP9』**だ。……まぁあいつのはグロック19だが、同じ9mmパラベラム弾仕様のポリマーフレームピストルだからな。軽くて、安全対策も万全。お守り代わりに腰のホルスターに挿しておくには、これ以上の信頼性はないぞ

 

彩加

八幡とも同じ弾(9mm)の拳銃なんですね! 女の子たちともお揃いだし、なんだかすごく安心します。零さん、素敵な武器を選んでくれてありがとう! 僕、このサコーTRG-22とSFP9で、八幡たちの後ろを絶対に守ってみせるよ!

 

可憐な笑顔の奥に、男の子としての確かな決意と、大切な仲間を今度こそ守り抜くという強い意志を宿した彩加。

白銀の傑作狙撃銃を手に入れたことで、防人たちの後方狙撃班(スナイパー・ライン)に、一際スマートで確実な「白い盾」が加わったのだった。と思ったが

 

あ、彩加、さっきのカラーは市販の銃の話だからな

 

零はタブレットの画面をスッと操作し、表示されていた白いTRG-22の画像を、一瞬で光沢のない引き締まった漆黒のモデルへと切り替えた。

 

実戦の、それも夜間や隠密作戦が基本の特殊作戦部隊で白なんか使ったら、夜目が利く敵からすりゃ『ここにスナイパーがいます』って宣伝してるようなもんだ。反射で位置が一発でバレて即座にカウンターを喰らうぞ。だからお前のも、キリトのMCXやサチのM24と同じ、光を反射しないマットブラック(特殊作戦仕様)で手配するからな

 

たきな

その通りです。反射防止コーティングが施されたステルスブラックこそ、実戦におけるスナイパーの絶対条件です。市販のハンティング用やスポーツ射撃用なら白も映えますが、私たちの作戦は国家を相手にする隠密お掃除(クーデター)ですからね

 

たきなが厳しいプロの目線でピシャリと補足すると、彩加は「あ、あはは……」と少し頬を赤くしながらも、納得したように深く頷いた。

 

彩加

そうだよね! ごめん、僕ついついゲームやスポーツの感覚で綺麗だなって思っちゃった。実戦だもん、目立っちゃダメだよね。うん、でもこの真っ黒なTRG-22、すごく引き締まってて格好いいと思うよ! 八幡たちの黒い銃ともお揃いだしね!

 

優美子

……ふん。まぁ、目立って敵に狙われるよりは、その真っ黒な方がずっとマシだし。っていうか、黒くておっきい銃を構える彩加……ギャップが凄すぎてそれはそれでマジで最高だし……!(ゴクリ)

 

三浦優美子が独自の視点で新たな魅力を発見して目を輝かせる横で、零はフッと口角を上げて手元の電子端末の名簿へと視線を戻した。

 

次、優美子だな

 

名前を呼ばれた優美子――三浦優美子は、腕を組んで少し不機嫌そうにしながらも、スッと前に出た。その視線は、さっき漆黒のTRG-22を選んだばかりの恋人、彩加の方を片時も離さない。

 

優美子

あーし? 正直、銃の名前とかマジで何一つ分かんないし。……あ、でも、あーしは絶対に彩加の隣にいるから。後ろで狙撃に集中してる彩加のところに、汚い大人の手駒が近づいてこようとしたら、あーしが全員ハチの巣にしてやるし。そういう、近寄る奴をまとめて黙らせられるやつがいい

 

彩加

優美子……。僕のために、そこまで言ってくれてありがとう

 

彩加が少し照れくさそうに、けれど嬉しそうに微笑むと、優美子は「べ、別に彩加のためだけじゃないし! あーしらの居場所を守るためだし!」と、分かりやすく顔を赤くしてそっぽを向いた。

その様子を見ていた零は、フッと口角を上げてタブレットの画面を彼女に向けた。そこに映し出されたのは、近未来の特殊部隊が携行するような、極めて洗練されたスタイリッシュな漆黒のサブマシンガンだった。

 

彩加の専属護衛、兼、狙撃陣地の近接防衛(セキュリティ)か。お前のその高飛車なプライドと、身内を絶対に傷つけさせない執念……。それなら、中途半端なアサルトライフルより、最高峰の俊敏性と操作性を備えたこれが最適だ。SIG SAUER社製、**『SIG MPX』**の8インチバレル仕様だ。もちろん、光を一切反射しない特殊作戦用の真っ黒なやつな

 

優美子

へぇ……なんか、シュッとしててちょっと格好いいじゃん。あーしこういうの詳しくないけど、ダサい銃じゃなくてそこは安心したし。これ、どんな銃なわけ?

 

キリトのラトラーやアスナのスピアと同じSIG社のファミリーで、操作系はM4カービンと全く同じだ。つまり、お前がパニックになっても直感的に扱える。最大の特徴は、一般的なサブマシンガンと違って、アサルトライフルと同じ『ガスピストン方式』と『クローズドボルト』を採用している点だ。引き金を引いた瞬間のブレが極限まで抑えられているから、お前が走って飛び出してきた敵に銃口を向けて引き金を乱暴に引いても、9mmの弾丸がレーザーみたいにまっすぐ敵を制圧してくれるぞ

 

たきな

完璧な選定です。SIG MPXは現代のカウンタートランジション(近接変遷戦闘)における最高峰のサブマシンガンです。使用する9mmパラベラム弾は、リズさんやユウキさん、アルゴさんたちのメイン、あるいはサイドアームと完全に共通規格ですから、後方支援班としての弾薬管理の手間も一切増えません。後方から彩加さんを狙ってくる奇襲部隊を迎え撃つには、これ以上ない『番犬』の一挺ですね

 

たきなが手元の資料にカチッとチェックを入れると、優美子は「ふん、番犬ってのはちょっと気に入らないけど、彩加を守れるなら合格点をあげてもいいし」と、少し満足げに顎を引いた。

 

よし、メインは決まりだな。……で、そのMPXに合わせるサイドアーム(拳銃)だが、これはもう、聞くまでもないよな。お前の大好きな彩加と完全に一対(ペア)になる、**『H&K SFP9』**の自衛隊仕様で決まりだ。……まぁ、コハルやサチ、ナユタたちともお揃いだがな

 

優美子

~っ!? さ、彩加と、お揃い……!?(みるみる顔を林檎のように真っ赤にする)

 

彩加

わぁ、優美子、僕とお揃いの拳銃なんだね! メインのMPXも僕の黒いTRG-22と並ぶとすごく格好いいし、これで僕たち、本当の意味で最高のペアになれた気がするよ!

 

彩加が純粋無垢な、天使のような笑顔で優美子の両手をぎゅっと握りしめると、優美子は完全にキャパシティをオーバーしたように頭から湯気を立ち上らせた。

 

優美子

あ、彩加がそこまで言うなら、あーしも大人しくそのエスエフピー(SFP9)ってやつを持ってあげるし……! も、文句なんてあるわけないじゃん、マジで最高だし……!

 

現金に、しかし最高に幸せそうに顔を真っ赤にして身悶えする優美子の姿に、食堂の全員から温かい、そして少し当てられ気味の苦笑いが沸き起こった。

勝気なギャルとしてのプライド、そして愛する人を絶対に近づけさせない「漆黒の番犬(MPX)」を手に入れたことで、防人たちの後方防衛網は、より苛烈で、より鉄壁なものへと完成された。

 

よし、次に沙希だな

 

名前を呼ばれた沙希――川崎沙希は、少し気恥ずかしそうにロングヘアの毛先を指で弄りながらも、どこか凛とした佇まいで前に出た。彼女の鋭い視線は、ついさっき地下の射撃場へ連行されていった恋人・八幡の消えたドアの方を、実は先ほどからずっと気に揉んでいる。

 

沙希

あたしは……アサルトライフルで。ヨーロッパのがいいかも。例えば、H&Kの……『HK433』とか、用意できる?

 

零は「へえ……!」と驚いたように片眉を上げると、実に見事な選択だとばかりにニカッと笑ってタブレットを叩いた。

 

HK433か! これまた凄まじく合理的、かつ最新鋭のチョイスをしてくるな、沙希。お前のその、クールに見えて家族や仲間を絶対に裏から支え抜く堅実なスタンスには、これ以上ないほどシンクロする獲物(銃)だぞ

 

零が提示した画面には、名銃HK416のスマートさと、G36の無骨な剛性を融合させたような、全身をマットブラックに染め上げた最新鋭アサルトライフルのシルエットが映し出されていた。

 

ドイツのH&K社が開発した最新のモジュラー・アサルトライフルだ。最大の特徴は、HK416の『圧倒的な操作性の良さ』と、G36の『泥や砂に対する異次元のタフさ』を良いとこ取りしている点。アッパーレシーバーは高強度のアルミ削り出しでガタつきは皆無だ。もちろん、弾薬はキリトたちのMCXやクラインの89式と同じ西側共通の5.56mmNATO弾。お前が志願してくれた物資管理(ロジスティクス)の裏方仕事をこなしつつ、万が一の防衛戦で前線のカバーに回るには、これ以上ない最高に頼れる相棒だぞ

 

たきな

文句なしの選定です。HK433はパーツの分解結合が非常にシンプルで、メンテナンス性が極めて高いです。物資や兵器を管理する沙希さん自身にとっても、整備の手間がかからないというのは大きな利点になります。それに、銃身長(バレル)を簡単に変更できるモジュール設計ですから、陣地防衛から狭い通路での近接戦闘まで、状況に合わせて一瞬で仕様を変更できます。非常にスマートですね

 

たきなが手元の資料をめくりながらプロの太鼓判を押すと、沙希は「……なら、良かった」と少しホッとしたように口元を緩めた。だが、すぐにその視線を再び地下へのドアへと向け、少し声を低くする。

 

沙希

あたしが物資管理と一緒にこの銃を持つの、別に自分のためじゃないからね。……あの死んだ魚の目が、さっきのザ・ボスさんたちのシゴキで本当に干物になって戻ってきたら笑えないでしょ。あいつが裏で泥を被ったり、無茶な作戦で矢面に立ちそうになったら、あたしがこのHK433で、あいつの前の壁(敵)を全部ハチの巣にしてやるんだから

 

家族想いの姉としての優しさが、今は恋人である八幡への不器用な、しかし絶対的な守護の意志へと変わっている。その健気な独占欲(?)に、隣のテーブルから優美子がニヤニヤしながら肘で突っついてきた。

 

優美子

ひゅーひゅー、サキ、マジでヒキオに対して過保護すぎだし! あーしが彩加を守るのに対抗してんじゃないわよ。まぁ、あのひねくれ男には、そのくらいゴツいドイツ製の銃で後ろから見張っとくのがちょうどいいかもねー?

 

沙希

~っ、三浦! あんたとは違うって言ってるでしょ! あたしはただ、あいつが京華(妹)たちの前に五体満足で帰ってこないと、色々と面倒だから……!

 

真っ赤になって言い返す沙希の姿に、食堂のメンバーから再びクスクスと温かい笑いが漏れる。零は楽しげに肩を揺らしながら、最後の仕上げとして画面をフリックした。

 

ははは、いい相棒になりそうだ。じゃあ沙希、その最新のHK433に合わせるサイドアーム(拳銃)だが、これもメインと同じH&K社製で揃えるのが一番合理的だ。俺やレイン、そして彩加たちともお揃いの**『H&K SFP9(自衛隊仕様)』**で決まりだな。……これで八幡のグロック19とも同じ9mmパラベラム弾仕様だから、お前たちの間での弾薬共有もバッチリだぞ

 

沙希

……あいつと同じ弾。うん、それが一番いいわ。零、色々と配慮してくれてありがと。……この真っ黒なHK433とSFP9、あたしの新しい仕事の道具として、大事に使わせてもらうわね

 

頬の赤みを隠すように少し不機嫌そうな顔を作りつつも、その瞳には、愛する人の背中を今度こそ裏から守り抜くという、不退転の「防人の覚悟」を宿した沙希。

最新鋭のドイツ製小銃を手に入れたことで、防人たちのロジスティクス&防衛網に、一際クールで強靭な「黒い盾」が加わったのだった。

 

で…留美だが…ユイちゃんと同じ、**『SIG SAUER P230JP』**だ。……悪いが、メインアーム(小銃)はなしだ。流石に10歳のお前を戦場に出すわけにはいかないからな

 

名前を呼ばれた留美――鶴見留美は、年齢にそぐわない冷めた瞳を僅かに揺らしながら、静かに一歩前に出た。

彼女の小さく華奢な体を見つめながら、零はいつになく真剣で、どこか父親のような頑固さを孕んだ声音で告げた。

 

留美はキュッと唇を噛み締め、零を少し睨むように見上げた。

 

留美

……子供扱いしないでください。私だって、あんな過酷なDAの訓練を耐えてきたんです。ただ守られてるだけの役立たずになるくらいなら、八幡の『目』になって、あのひねくれ者の代わりに危険を察知してあげたいのに……

 

反発する留美に対し、零は優しく、しかし絶対に譲らない強い意志を込めて、彼女の目線に合わせて屈み込んだ。

 

子供扱いしてるわけじゃない。お前のその観察眼や知性は、裏での情報戦や八幡のバックアップとして絶対に必要だ。だけどな、戦場に子供を立たせて平気な顔をしていられるほど、俺たちの神経は麻痺しちゃいない。それに……もしお前にかすり傷一つでもついたら、今頃地下でシゴかれてるあの八幡の奴が、正真正銘の『死んだ魚』になっちまう。あいつを安心して裏方仕事に集中させるためにも、お前は安全な司令部(ここ)にいるのが正解なんだ

 

たきな

……零の言う通りです、留美さん

 

たきなが隣に歩み寄り、ユイの時と同じように、冷徹ながらも確かな優しさを込めて言葉を添えた。

 

たきな

戦場に出ないからといって、無力でいていいわけではありません。このP230JPは、万が一この基地や司令部が強襲された際の、あなた自身を守るための『絶対的な最後の自衛手段』です。使用する**.32ACP弾**は反動が極めてマイルドで、10歳のあなたの筋力でも跳ね上がりに振り回されることなく確実に連射できます

 

沙希

……そうよ、留美。アタシたちの後ろで、ユイちゃんと一緒に司令部を守って。比企谷の奴をこれ以上心配させないためにも、それが一番のサポートになるんだから

 

川崎沙希も、同じ総武高の妹を持つお姉さんとしての優しい視線を留美に向け、その細い肩をそっと抱き寄せた。

留美は、沙希の温もりと、零たちの真摯な言葉をじっと噛み締めるように俯いていたが、やがて小さく、しかしはっきりと頷いた。

 

留美

……分かりました。銃を撃つようなことにならないように、私は安全な場所から、八幡とみんなの進む道をしっかり見守ります。……でも、もし本当に危なくなったら、この銃でちゃんと自分を守ります。ユイちゃんとお揃いなら、寂しくないですし

 

ああ。ユイちゃんと同じ『JP仕様』だから、手動の安全装置(マニュアルセーフティ)もついてるし、脱落防止の紐(ランヤードリング)を取り付ける金具もある。もちろん、光を反射しない真っ黒な特殊作戦仕様だ。パニックになっても落とす心配はないからな。……八幡の奴が戻ってきたら、お前がこれを持って後ろに控えてるって教えて安心させてやれ

 

留美

ふふ……そうですね。私がこの真っ黒な拳銃を持ってるのを見たら、あの人、また面白い顔をして慌てると思います

 

ほんの僅か、年齢相応の悪戯っぽい笑みをその可愛い顔に浮かべた留美。

10歳の少女に銃を持たせるという戦場の過酷さを滲ませつつも、リーダーである零の徹底した「子供は絶対に戦場に出さない」という鉄則により、防人たちの司令部防衛ラインは、ユイと留美という「P230JPコンビ」によってより一層優しく、そして確実に守られることとなった。

 

それにだ。ユイちゃんは人間年齢で6歳だ。10歳の留美、君が姉としてユイちゃんも守れ。できるな?

 

零のその言葉を聞いた瞬間、留美はハッと目を見張った。

ただ「危ないから下がっていろ」と遠ざけられるのではなく、自分よりもさらに小さく、この歪んだ世界の荒波に放り込まれた6歳の少女を保護する――。

それは、居場所を求めていた10歳の彼女にとって、前線で銃を振るうこと以上に重く、誇らしい**「お姉ちゃん」としての重大な任務(ミッション)**だった。

 

留美

……ユイちゃんが、6歳……

 

彼女が呟くと同時に、キリトとアスナの傍らから、生身の肉体を得たばかりのユイちゃんがトコトコと歩み出てきた。

留美の前に立つと、ユイちゃんは少し小首を傾げ、こぼれんばかりの純粋な笑顔を咲かせて小さな手を差し出した。

 

ユイ

はい! 留美お姉ちゃん、よろしくお願いします! 私、お姉ちゃんができてすっごく嬉しいです!

 

キリト

……留美ちゃん。俺たちの、世界で一番大切な宝物なんだ。……パパとママが前線で暴れてる間、ユイのこと、頼んでもいいかな?

 

アスナ

留美ちゃん、お願いね。あなたみたいな聡明なお姉ちゃんがついていてくれるなら、私たちも安心して戦えるわ

 

キリトとアスナが、親としての心からの信頼と願いを込めた眼差しを向ける。

留美はその視線をしっかりと受け止め、差し出されたユイちゃんの小さな手を、自分の手のひらできゅっと力強く握りしめた。その瞳から、子供特有のひねくれ気味な翳りは完全に消え去り、確かな責任感が宿っていく。

 

留美

……うん、任せて。10歳の私の方が、ちゃんとお姉ちゃんだもん。パパとママが帰ってくるまで、ユイちゃんのことは私が命がけで、絶対に守る。……だから零さん、私にこの真っ黒なP230JPを預けてください

 

ああ、お前に託すよ。頼んだぞ、留美お姉ちゃん

零が優しく笑って頷くと、その様子を後ろで見守っていた川崎沙希が、ふっと張り詰めていた表情を緩め、留美の頭をぽんぽんと優しく撫でた。

 

沙希

よく言ったわ、留美。アタシたち大人(高校生)もすぐ後ろにいるんだから、安心して司令部を守りなさい

 

優美子

あーしも、彩加の護衛をしながら司令部全体の警戒を怠らないし。留美とユイちゃんに指一本触れさせないから、マジで安心していいし!

 

彩加

うん! 僕もみんなの背中をここから絶対に撃ち抜いて守るよ!

 

ギスギスしていた前世の人間関係の枠を超え、お互いの譲れないもののために一つの「家族」のようにまとまっていく総武高校の面々。

その絆の強さと覚悟の形に、たきなや千束、そして清隆たちも満足そうに目を細めていた。

零は手元の電子端末を操作し、名簿の「鶴見留美」の欄に確定のチェックを入れた。

 

彩加

SAKO TRG-22

H&K SFP9

 

優美子

メイン:SIG MPX

サイドアーム:H&K SFP9

 

沙希

メイン:H&K HK433

サイドアーム:H&K SFP9

 

留美の

SIG SAUER P230JP

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